BtoBブランディングの成功事例7選!ブランディングの進め方や効果も併せて解説
最終更新日:2026年09月17日
BtoBブランディングに取り組もうとして、まず他社の成功事例を調べている方も多いのではないでしょうか。
ただし、成功企業が実施した広告やWebサイト、コンテンツなどをそのまま取り入れても、自社で同じ成果が出るとは限りません。企業ごとに、狙っている顧客や競合環境、持っている強み、使える予算が異なるためです。
BtoBブランディングの事例を見る際に重要なのは、「何を実施したか」だけではなく、「誰に、どんな価値を、どの接点で伝えた結果、選ばれる理由が生まれたのか」を読み解くことです。
この記事では、BtoBブランディングの成功事例を紹介するとともに、各社に共通する成功要因や、自社のブランディング戦略へ落とし込むための考え方を解説します。
BtoBブランディングとは

BtoBブランディングとは、企業や商品・サービスについて、「どのような顧客に、どのような価値を提供する存在なのか」を明確にし、取引先や見込み顧客から選ばれる理由をつくる取り組みです。
単に企業の知名度を高めたり、ロゴやWebサイトのデザインを統一したりすることだけがブランディングではありません。顧客が複数の企業を比較した際に、「この課題ならこの会社に相談したい」「この会社なら安心して任せられる」と認識してもらえる状態をつくることが重要です。
特にBtoBでは、商品やサービスの機能・価格だけでなく、企業としての信頼性や専門性、導入実績、サポート体制なども選定材料になります。そのため、自社の強みを一方的に発信するのではなく、顧客が企業を選ぶ際に重視するポイントと、自社が提供できる価値を結び付けて伝えることが求められます。
BtoBブランディングとBtoCブランディングの違い
BtoCでは、商品を利用する本人が購入を決めるケースが多く、デザインや世界観、使ったときの体験など、感覚的な魅力が購買の後押しになることがあります。
一方、BtoBでは担当者だけでなく、上司や経営層、購買部門など複数の関係者が意思決定に関わることも多く、比較検討から契約までに時間がかかる傾向があります。
そのためBtoBブランディングでは、印象の良さだけでなく、「なぜこの会社を選ぶのか」を社内でも説明できる具体的な根拠を示すことが重要です。技術力や実績、導入事例、専門性などの情報を通じて、自社がどのような顧客の、どのような課題に強い企業なのかを伝えていく必要があります。
つまりBtoBブランディングでは、幅広い企業に好印象を持ってもらうことよりも、自社が価値を発揮しやすい顧客から「自社に合った会社だ」と認識してもらうことが重要になります。
BtoB企業にブランディングが必要な理由と得られる効果
BtoBでは、複数の企業を比較しながら導入先を決めるケースが多く、機能や価格だけでは違いが伝わりにくいことがあります。
そこで重要になるのが、「どのような顧客の、どのような課題に強い会社なのか」を明確にし、選ばれる理由をつくることです。
BtoBブランディングに取り組むことで、主に次のような効果が期待できます。
比較検討の候補に入りやすくなる
どれだけ優れた商品や技術を持っていても、見込み顧客に「自社に関係のある会社だ」と認識されなければ、比較検討の候補には入りません。
自社が得意とする領域や提供できる価値を継続的に発信することで、顧客が課題を感じたときに思い出してもらいやすくなります。
BtoBブランディングは、単に社名の認知度を高めるのではなく、特定の課題やニーズと自社を結び付けて認識してもらうための取り組みでもあります。
価格以外の理由で比較されやすくなる
各社の商品やサービスの違いが伝わらなければ、顧客にとって比較しやすい基準は価格になりがちです。
一方で、「この業界への支援実績が豊富」「この課題への対応に強い」「導入後の支援まで任せられる」といった価値が明確になれば、価格以外にも判断材料を持ってもらえます。
自社ならではの価値を顧客の選定基準と結び付けて伝えることで、単純な価格競争から抜け出しやすくなります。
営業や商談で自社の価値を説明しやすくなる
ブランディングは、広告やWebサイトなど顧客向けの発信だけに関係するものではありません。
「誰に、どのような価値を提供する会社なのか」が社内でも共有されていれば、Webサイト、営業資料、提案内容などで伝えるメッセージをそろえやすくなります。
その結果、顧客がWebで得た印象と営業担当者から聞く説明のズレを減らし、問い合わせから商談、比較検討まで一貫して「自社を選ぶ理由」を伝えられる状態をつくりやすくなります。
BtoBブランディングの進め方

BtoBブランディングでは、いきなりWebサイトをリニューアルしたり、広告を出したりするのではなく、自社の現状や顧客から選ばれている理由を整理したうえで、ブランドの方向性を決めていきます。
ここでは、BtoBブランディングを進める基本的な流れを5つのステップで紹介します。
- 現状の顧客・競合・自社を整理する
- どの顧客から選ばれたいのかを決める
- 顧客から選ばれる理由を言語化する
- 伝えるメッセージと顧客接点を設計する
- 優先施策を決めて効果を検証する
1. 現状の顧客・競合・自社を整理する
まずは、現在どのような顧客と取引しているのか、顧客から何を評価されているのかを確認します。
あわせて、競合企業がどのような顧客を対象にし、どのような強みを訴求しているのかも整理しましょう。
自社だけを見て強みを考えるのではなく、「顧客は何を重視しているのか」「競合と比べて何が違うのか」まで把握することが重要です。
既存顧客へのヒアリングや営業担当者への聞き取り、問い合わせ内容の分析なども、現状を把握する手がかりになります。
2. どの顧客から選ばれたいのかを決める
次に、自社が今後どのような顧客との取引を増やしたいのかを明確にします。
業種や企業規模だけでなく、抱えている課題や商品・サービスを選ぶ際の基準まで考えることで、自社が狙うべき顧客像が具体的になります。
現在取引しているすべての顧客を対象にする必要はありません。自社の強みが特に価値として評価されやすい顧客を見極めることが、ブランドの方向性を決めるうえで重要です。
3. 顧客から選ばれる理由を言語化する
ターゲットが明確になったら、その顧客に対して自社がどのような価値を提供できるのかを整理します。
「高品質」「技術力が高い」「丁寧に対応する」といった特徴だけでは、競合との違いが伝わらない場合があります。
自社の特徴が、顧客のどのような課題を解決し、どのようなメリットにつながるのかまで掘り下げましょう。
「自社の強み」ではなく、「この顧客が自社を選ぶ理由」として説明できる状態を目指します。
4. 伝えるメッセージと顧客接点を設計する
選ばれる理由を整理したら、それをWebサイトや広告、営業資料などの顧客接点へ反映します。
どの媒体を使うかは、狙う顧客がどこで情報を集め、どのような流れで比較・検討するのかによって変わります。
たとえば、検索段階では課題に関する情報を提供し、比較検討段階では導入事例や実績を示すなど、顧客の検討段階に応じて必要な情報を用意することが大切です。
5. 優先施策を決めて効果を検証する
ブランドの方向性が決まっても、すべての施策を一度に変更する必要はありません。
予算や人員を踏まえて、Webサイトの訴求変更、導入事例の追加、コンテンツ制作など、優先度の高い施策から取り組みます。
その際は、指名検索数や問い合わせ数だけでなく、狙った顧客からの問い合わせが増えているか、商談で自社の強みが正しく理解されているかなども確認しましょう。
施策を実施して終わりにせず、顧客の反応を確認しながら「誰に、何を伝えるか」を継続的に見直していくことが、BtoBブランディングでは重要です。
BtoBブランディングで活用される主な施策
BtoBブランディングでは、Webサイトや広告、コンテンツなど、さまざまな施策を活用できます。
ただし、先に「Webサイトを作る」「広告を出す」と施策を決めるのではなく、前述したように、まずは誰にどのような価値を伝えるのかを整理することが重要です。
ターゲットと選ばれる理由を明確にしたうえで、顧客が情報を集める場所や検討段階に合わせて施策を選びましょう。
Webサイト・オウンドメディア
Webサイトは、見込み顧客が企業や商品・サービスについて情報を集める重要な接点のひとつです。
商品やサービスの機能を説明するだけでなく、「どのような顧客の、どのような課題を解決できる会社なのか」「他社と比べてどのような価値があるのか」が伝わる情報を整える必要があります。
また、オウンドメディアで顧客の課題や業界に関する情報を発信することで、検索を通じた接点をつくりながら、自社の専門性や考え方を伝えることもできます。
広告・PR
Web広告や業界メディアへの広告掲載、PRは、まだ自社を知らない見込み顧客との接点を増やすために活用できます。
ただし、露出を増やすだけでは、顧客に自社の価値が伝わるとは限りません。
「どのような企業として認識してもらいたいのか」を明確にし、その認識につながるメッセージを一貫して発信することが重要です。
導入事例・実績
BtoBでは、見込み顧客が「自社と似た企業でも導入できるのか」「どのような課題を解決できるのか」を確認しながら比較検討することがあります。
導入企業名や実績数だけでなく、導入前の課題や選定理由、支援内容、成果まで紹介することで、自社が提供できる価値を具体的に伝えられます。
導入事例は、自社が訴求する強みを、実際の顧客との取り組みを通じて裏付ける情報にもなります。
展示会・セミナー
展示会やセミナーは、見込み顧客と直接接点を持ち、自社の専門性やサービスの価値を伝えられる施策です。
特に説明が必要な商品やサービスでは、Web上の情報だけでは伝わりにくい特徴や考え方を、担当者が直接説明できるメリットがあります。
一方で、出展や開催そのものを目的にせず、どのような顧客と接点を持ち、何を理解してもらいたいのかを事前に明確にしておくことが重要です。
第三者評価や客観的な情報
受賞歴や認証、調査結果、導入企業数などは、自社の訴求を客観的に裏付ける材料になります。
ただし、実績や受賞歴を並べるだけでは、顧客にとっての価値は伝わりにくいものです。
その評価が技術力や品質、信頼性などの何を示しているのか、顧客が企業を選ぶ際の判断材料としてどのような意味を持つのかまで伝えることが大切です。
BtoBブランディングの成功事例7選

ここからは、BtoBブランディングに取り組んだ企業の事例を紹介します。
成功事例を見るときに注目したいのは、Webサイトのリニューアルや広告、コンテンツ制作といった「実施した施策」だけではありません。
その企業が「どの顧客に選ばれようとしたのか」「どのような価値を選ばれる理由として打ち出したのか」「その価値をどの接点で伝えたのか」まで読み解くことが重要です。
企業ごとに市場環境や競合、自社が持つ強みは異なるため、成功企業と同じ施策を実施しても同じ成果が得られるとは限りません。
各事例では、取り組みの内容だけでなく、どのような考え方がブランディングにつながっているのかにも注目してみてください。
Sansan株式会社
Sansan株式会社が提供する「Sansan」は、法人向け名刺管理サービスとして事業を拡大しながら、現在では名刺やオンライン上の接点、商談履歴などのビジネスデータを活用し、企業の営業活動を支援するサービスへと提供価値を広げています。
Sansanでは2023年末に、サービスのタグラインを「名刺管理から、収益を最大化する」へ変更しました。背景には、顧客へのヒアリングを通じて、名刺管理そのものではなく、ビジネス機会の創出による売上拡大や業務効率化によるコスト削減に価値があると捉え直したことがあります。
つまり、「名刺を管理できるサービス」という機能ではなく、「顧客データを活用して企業の収益を最大化するサービス」として、顧客が得られる価値を前面に打ち出した事例です。
2026年には法人向け名刺管理サービス市場で13年連続シェアNo.1、契約件数1万1,000件を突破しています。
この事例から分かるのは、商品やサービスの機能をそのままブランドの価値にするのではなく、「その機能によって顧客の事業にどのような変化を生み出せるのか」まで言語化することが、BtoBブランディングでは重要だということです。
freee株式会社
freee株式会社は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、会計や人事労務、販売管理などのサービスを提供しています。
2021年には、事業領域の拡大に合わせてビジョンやブランドを刷新。「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」という新たなビジョンを設定しました。
同時に、各サービスの名称を「freee会計」「freee人事労務」など「freee〇〇」に統一。個別の業務を効率化するソフトの集合ではなく、スモールビジネスの経営全体を支えるプラットフォームとして、ブランドの位置づけを明確にしています。
また、ユーザーに提供したい体験として「解放」「自然体」「ちょっとした楽しさ」を掲げ、ロゴなどのデザインだけでなく、プロダクトやサポート、マーケティングを含む顧客接点全体でブランドを表現する方針を示しています。
現在では会計、人事労務、販売など複数のサービスを展開し、有料課金ユーザー企業数は2026年3月末時点で71万事業所に達しています。
この事例から分かるのは、事業やサービスが増えたときに、それぞれの商品を個別に訴求するだけでなく、「誰の、どのような課題を解決する企業なのか」という上位の価値を定め、複数のサービスや顧客接点を一つのブランドとして統一することの重要性です。
富士通

富士通におけるBtoBブランディングは、オウンドメディアの立ち上げがメインの手法でした。オウンドメディアである「FUJITSU JOURNAL」では、富士通が提供する事業を分類ごとに紹介。各事業が分かりやすく解説されていたことにより、多くの企業からの関心を集めることに成功したそうです。
多彩な事業を展開している企業では、ユーザーから一つ一つの事業が不明瞭なことがあります。富士通の成功事例のように、オウンドメディアにより事業を分かりやすく解説するBtoBブランディングは、事業内容の不明瞭さを取り除くための有効な手法です。
Salesforce

SalesforceのBtoBブランディングは、設立当初から継続している社会貢献です。Salesforceでは「世の中を良くすることがビジネスのあり方」だというCEOの考え方に基づき、「1-1-1 モデル」と銘打って、従業員の就業時間・株式・製品のそれぞれ1%ずつを社会に貢献する取り組みを行っています。
従業員には就業時間内で年間7日間のボランティア活動時間が与えられており、「社会貢献に取り組む企業」としてのBtoBブランディングに成功しています。
ドルビーラボラトリーズ

音響技術の開発を行うドルビーラボラトリーズでは、BtoBブランディングとして自社の技術をブランド化・ライセンス化しました。対象となった技術はノイズリダクション技術です。
ドルビーラボラトリーズのライセンスを取得した企業は、ロゴマークを製品に付与することにより、ノイズリダション技術を用いている信頼性を得られます。そしてドルビーラボラトリーズにとっては、ロゴマークを広く周知させられるメリットがありました。ユーザー・企業の双方にとってメリットが生まれた成功事例です。
AGC株式会社
AGC株式会社は、1907年に旭硝子として創業し、建築用・自動車用ガラスをはじめ、化学品や電子部材、セラミックス、ライフサイエンスなどへ事業領域を広げてきた企業です。
同社は2007年にグループブランドを「AGC」に統一し、2018年には社名を「旭硝子株式会社」から「AGC株式会社」へ変更しました。
背景には、事業の多角化が進む一方で、「旭硝子」という社名からガラス会社というイメージを持たれやすく、実際の事業領域や企業として目指す姿との間にギャップが生まれていたことがあります。
社名変更と同じ2018年には、ブランドステートメントとして「Your Dreams, Our Challenge」を策定。特定の素材を製造する企業という見せ方ではなく、独自の素材やソリューションを通じて顧客や社会の実現したいことに挑戦する企業として、ブランドの方向性を示しました。
事業領域が広がっても、顧客から持たれている企業イメージが過去の主力事業のままでは、新たな価値や強みが伝わりにくくなることがあります。
AGCの事例は、事業の変化に合わせて社名やブランドメッセージを見直し、「何をつくっている会社か」だけではなく「どのような価値を提供する会社なのか」へ企業の認識を広げた事例といえます。
TOPPANホールディングス株式会社
TOPPANグループは、印刷を祖業としながら、現在ではデジタル分野や半導体関連、パッケージ、マーケティング、BPOなど幅広い事業を展開しています。
2023年10月には持株会社体制への移行に伴い、「凸版印刷株式会社」から「TOPPANホールディングス株式会社」へ社名を変更しました。
新しい社名から「印刷」を外した背景には、特定の事業領域に企業イメージを限定せず、DXやSXなどを含む事業ポートフォリオの変革を進めていく意思があります。
また、同社は体制変更に合わせてグループ理念「TOPPAN’s Purpose & Values」を制定。「人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」をPurposeとして掲げ、グループ全体が目指す方向性を明確にしました。
TOPPANの事例で注目したいのは、社名変更を単なる名称変更ではなく、これからどのような領域で価値を生み出す企業になるのかを社内外に示す機会として活用している点です。
事業内容が変化しているにもかかわらず、過去の主力事業によるイメージが強く残っている場合には、商品やサービスの訴求を増やすだけでなく、企業そのものを「何の会社として認識してもらうか」から見直すことも、BtoBブランディングの選択肢になります。
BtoBブランディングの成功事例に共通する4つのポイント
ここまで紹介した企業は、事業内容や顧客、実施した施策がそれぞれ異なります。
一方で、成功事例を「何を実施したか」ではなく「どのように自社の価値を整理したか」という視点で見ると、いくつかの共通点があります。
顧客に提供する価値を明確にしている
成功事例に共通しているのは、自社の商品や技術の特徴だけでなく、それによって顧客にどのような価値を提供できるのかを明確にしている点です。
たとえば、機能そのものではなく「顧客の収益にどう貢献するのか」、特定の商品ではなく「企業としてどのような課題を支援するのか」といった形で、顧客側の視点から価値を捉え直しています。
BtoBブランディングでは、「自社は何が得意か」だけでなく、「その強みが顧客にとってどのような意味を持つのか」まで言語化することが重要です。
事業の変化に合わせてブランドを見直している
事業領域や提供するサービスが変わっても、顧客から持たれている企業イメージが自動的に変わるとは限りません。
事例の中には、事業の多角化やサービス領域の拡大に合わせて、社名やブランドメッセージ、サービス体系を見直した企業もあります。
現在の事業内容と、顧客から持たれているイメージにズレがある場合は、既存のブランドを維持すること自体が課題になる可能性があります。
伝えるメッセージと顧客接点を一貫させている
ブランドの方向性を決めても、それがWebサイトや広告、商品、営業活動などでバラバラに表現されていては、顧客に一貫した印象を持ってもらいにくくなります。
成功事例では、ブランドとして伝えたい価値を、サービス名称やWebサイト、マーケティング、顧客体験など複数の接点へ反映しています。
ブランドを定義するだけでなく、顧客が実際に接する情報や体験まで同じ方向へそろえることが重要です。
施策ではなく「選ばれる理由」から設計している
成功企業がWebサイトを刷新したり、広告を展開したりしているのを見て、同じ施策を取り入れたくなることもあるでしょう。
しかし、各社が成果につなげた背景には、その施策を選ぶ前に「誰に、どのような価値で選ばれたいのか」という方向性があります。
成功事例から参考にしたいのは施策そのものではなく、顧客・競合・自社の状況を踏まえて「選ばれる理由」をどのように設計したのかという考え方です。
次に、これらの成功事例を自社のブランディングへ活かすために、具体的に何を整理すればよいのかを見ていきます。
BtoBブランディングの成功事例を自社に活かす5つの視点
成功事例をいくつ見ても、「参考にはなったけれど、自社では結局何から始めればよいのかわからない」ということがあります。
これは、成功企業と自社では顧客や競合環境、持っている強み、予算などの条件が異なるためです。
成功事例を自社に活かすには、施策をそのまま取り入れるのではなく、「なぜその企業ではその取り組みが有効だったのか」を分解し、自社の条件に置き換えて考える必要があります。
1. どの顧客に向けた取り組みだったのか
まず確認したいのは、事例企業がどのような顧客から選ばれようとしていたのかです。
同じ商品やサービスでも、大企業と中小企業では抱えている課題や選定基準が異なることがあります。
事例を見る際は「どんな企業が実施したか」だけではなく、誰に向けてブランドをつくったのかを確認し、自社ではどの顧客との取引を増やしたいのかを考えてみましょう。
2. なぜその取り組みが成功したのか
施策だけでなく、その施策が機能した前提条件にも注目します。
すでに一定の認知があったのか、既存顧客から評価されている強みがあったのか、事業領域の変化によってブランドを見直す必要があったのかなど、成功の背景は企業によって異なります。
「何をしたか」ではなく、「どのような課題や条件があったから、その施策が有効だったのか」まで確認することが重要です。
3. 自社にはどのような強みがあるのか
成功企業と同じブランドメッセージや施策を使うことはできません。
自社の既存顧客が何を理由に選んでいるのか、競合と比較したときに評価されている点は何かを整理し、自社ならではの価値を考えます。
営業担当者へのヒアリングや顧客アンケート、商談・問い合わせ内容などから、社内では気づきにくい選定理由が見つかる場合もあります。
4. 自社の予算や体制で実行できるか
大企業の成功事例では、大規模な広告展開やWebサイト刷新、社内外を巻き込んだブランドプロジェクトが行われていることもあります。
しかし、同じ規模で実施する必要はありません。
予算や人員、現在の顧客接点などを踏まえ、自社が伝えたい価値を顧客に届けるために、現実的にどの部分から変えられるのかを考えましょう。
5. 最初に何を検証するかを決める
ブランディングでは、最初からすべての施策を変更するのではなく、優先順位を決めて取り組む方法もあります。
たとえば、Webサイトの訴求を見直す、導入事例を充実させる、特定の顧客課題に向けたコンテンツを制作するなど、自社の課題に応じて最初の施策を決めます。
そのうえで、狙った顧客からの問い合わせが増えたか、商談時の反応が変わったかなどを確認しながら次の施策を考えていきます。
重要なのは「成功企業と同じことをすること」ではなく、成功事例から得たヒントを、自社の顧客・強み・競合・予算に合わせて再設計することです。
BtoBブランディングで失敗しやすい3つのケース
BtoBブランディングでは、Webサイトや広告などの施策自体に問題がなくても、その前提となるターゲットや提供価値が整理されていないことで、成果につながらない場合があります。
ここでは、BtoBブランディングで陥りやすい3つのケースを紹介します。
ターゲットを決めずにデザインや発信だけを変える
ブランディングというと、ロゴやWebサイト、パンフレットなどのデザイン変更をイメージすることがあります。
しかし、誰に何を伝えたいのかが曖昧なまま見た目だけを変えても、顧客から見た自社の価値は明確になりません。
デザインや表現を決める前に、「どの顧客から、どのような理由で選ばれたいのか」を整理することが必要です。
成功企業の施策をそのまま取り入れる
他社がWebサイトのリニューアルやオウンドメディア、広告などで成果を上げていると、自社でも同じ施策を取り入れたくなることがあります。
しかし、企業によって対象顧客や競合、自社の強み、予算、認知度などの条件は異なります。
そのため、同じ施策を実施しても同じ成果が得られるとは限りません。
成功事例は「何をまねるか」を探すためではなく、「なぜその企業ではその施策が有効だったのか」を考える材料として活用することが重要です。
認知度を高めることだけを目的にする
企業名やサービス名を知ってもらうことは、ブランディングの一つの成果です。
ただし、認知度が高まっても、狙った顧客から「自社に合う企業だ」と認識されなければ、問い合わせや商談につながらないことがあります。
たとえばアクセス数や広告の表示回数が増えていても、対象外の企業からの問い合わせばかり増えている場合は、ブランドとして伝えている価値やターゲット設定を見直す必要があります。
認知の量だけでなく、「狙った顧客から選ばれやすくなっているか」という視点で成果を見ることが大切です。
BtoBブランディングの効果を確認するKPI
BtoBブランディングは、広告のクリック数や問い合わせ数のように、短期間で成果を判断しにくい取り組みです。
そのため、認知が広がったかだけではなく、狙った顧客からの比較・検討や商談につながっているかまで段階的に確認することが重要です。
認知の変化を見る指標
まずは、自社やサービスがどの程度認知されるようになったかを確認します。
たとえば、企業名やサービス名の指名検索数、Webサイトへの直接流入、広告やコンテンツの閲覧数などが指標になります。
ただし、認知が増えていても、狙った顧客に届いていなければブランディングの成果としては十分とはいえません。
比較・検討の変化を見る指標
次に、自社に関心を持った顧客が、具体的な比較・検討へ進んでいるかを確認します。
サービスページや導入事例の閲覧数、資料ダウンロード数、問い合わせ数などを見ることで、認知から検討へ進んでいるかを把握できます。
「アクセスが増えたか」だけではなく、顧客が自社の強みや実績を確認する行動が増えているかを見ることがポイントです。
商談・受注の変化を見る指標
最終的には、ブランディングによって商談や受注の質が変わっているかも確認します。
たとえば、問い合わせから商談につながる割合、商談から受注につながる割合、平均受注単価、狙った業種や企業規模からの問い合わせ割合などが指標になります。
また、商談時に「以前から知っていた」「この分野に強い会社だと思っていた」など、自社が意図したブランドイメージが認識されているかを営業現場で確認することも有効です。
BtoBブランディングの成果は、知名度だけではなく、「狙った顧客から、意図した理由で選ばれやすくなったか」という視点で評価しましょう。
自社に合ったBtoBブランディングの進め方を整理する
BtoBブランディングでは、成功企業と同じ施策を取り入れることよりも、「どの顧客に、どのような価値で選ばれたいのか」を自社の状況に合わせて整理することが重要です。
しかし、自社だけで考えていると、長年当たり前に提供してきた強みを見落としたり、競合との違いを客観的に捉えにくかったりすることがあります。
また、「技術力が高い」「サポートが丁寧」といった自社の特徴が整理できても、それがどの顧客にとって価値になるのか、どのように伝えれば選ばれる理由になるのかまで設計できなければ、Webサイトや広告などの施策に落とし込むことはできません。
Zenkenでは、顧客・競合・自社の強みを整理しながら、自社が価値を発揮しやすい市場と、そこで選ばれる理由を明確にしたうえで、Web集客やコンテンツ施策へ落とし込むマーケティング戦略をご提案しています。
「BtoBブランディングの事例はいろいろ調べたものの、自社では何から始めればよいかわからない」
「自社の強みはあるものの、どの顧客にどう伝えるべきか整理できていない」
「Webサイトや広告を見直す前に、まずブランドや集客の方向性を整理したい」
このような課題がある場合は、自社に合ったブランディングと集客の進め方についてご相談ください。











