BtoB営業戦略|プッシュ型・プル型営業の違いと、成果につなげる使い分け

BtoB営業戦略|プッシュ型・プル型営業の違いと、成果につなげる使い分け

営業担当者と初めて話すとき、買い手はどこまで検討を進めているのでしょうか。商品を探し始めたばかりの人もいれば、候補を比較し、自社に合う条件を確かめようとしている人もいます。

HubSpotが2026年に公表した国内のBtoB購買調査では、売り手に接する時点で「複数候補のリストアップ以降」まで検討が進んでいた回答者が63.5%でした。BtoB営業戦略では、顧客と会う前に何を伝え、会った後に何を確認するかをつなげて考える必要があります。

企業から働きかけるプッシュ型営業と、顧客からの問い合わせなどを起点とするプル型営業は、その接点をつくる方法です。対象企業を選んで連絡する活動と、顧客が調べる際に判断材料を届ける活動を、自社の商材や体制に合わせて組み合わせます。

両者の違いと使い分け、組み合わせの例、デジタル施策の役割を整理し、自社の営業戦略で優先すべき対応を考えていきましょう。

参照:HubSpot「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」。直近12カ月以内にBtoB商材の比較・選定・稟議・承認・決裁等に関与した1,573名を対象とした調査。

プッシュ型・プル型営業は何が違う?BtoB営業戦略の基本

プッシュ型営業は、企業側から対象となる顧客に働きかける営業活動です。電話、訪問、提案メール、DMなどで接点をつくります。アウトバウンド営業とも呼ばれます。

プル型営業は、Webサイトやコンテンツなどで顧客の関心を引き、問い合わせや資料請求をきっかけに営業活動を進める方法です。インバウンド営業とも呼ばれます。

比較項目 プッシュ型営業 プル型営業
接点のきっかけ 企業から顧客へ働きかける 顧客からの問い合わせや資料請求など
代表的な接点 電話、訪問、提案メール、DMなど Webサイト、検索コンテンツ、資料、セミナーなど
活用できる強み 対象企業や部署を選んで接点をつくれる 情報を探している顧客に判断材料を届けられる
準備すること 対象リスト、連絡する理由、相手に関係する提案 見つけてもらう接点、検討に役立つ情報、相談への導線
運用上の負担 事前調査、個別の連絡、対応履歴の管理 情報の制作・更新、集客施策の運用、問い合わせへの対応

同じ電話やメールでも、役割は変わる

まだ接点のない企業へ電話して提案する場合は、プッシュ型の活動です。一方、問い合わせを受けた顧客に電話して相談内容を確認する場合は、プル型で生まれた接点への対応です。

使う手段だけで分類せず、誰がどのようなきっかけで接点を持ったかを見ると、営業活動の役割を整理できます。

営業戦略は、手法を選ぶための方針

BtoB営業戦略では、どの顧客に、どの価値を提供し、どのように取引へつなげるかを決めます。電話を増やす、記事を公開する、ツールを導入するといった活動は、その方針を実行するための手段です。

顧客と提供価値が曖昧なまま手法だけを変えても、提案が合わないという問題は残ります。プッシュ型・プル型を選ぶ前に、狙う相手と相談につなげる理由を確認しましょう。

BtoB営業戦略は、どんな場面でプッシュ型・プル型を使う?

プッシュ型とプル型のどちらを重視するかは、対象顧客を特定できるか、顧客が自ら情報を探しているか、対応に使える人員や予算がどれだけあるかで変わります。

対象企業が明確なら、個別に接点をつくる

特定の設備を使う企業や、一定の業務条件に当てはまる企業など、対象が限られる場合は、相手を選んで連絡する活動が候補になります。対象企業の情報を調べ、どの部署のどの課題に関係するかを整理します。

市場でまだ知られていない商品や、新しい解決方法を提案する場合も、顧客が検索するのを待つだけでは接点を得にくいことがあります。相手の業務に関係するテーマから対話を始め、反応を確認していきます。

顧客が調べる課題があるなら、情報を届ける

顧客が商品や解決方法、費用、選び方を検索している場合は、その疑問に答える情報を用意します。自社の商品が適する条件を伝え、相談内容に応じた窓口につなげましょう。

ただし、資料をダウンロードした人が、すぐに購入を検討しているとは限りません。情報収集の目的を確認し、その段階に合った対応を行います。

自社・顧客の状況 検討する進め方
狙う企業や部署を特定できる 個別の働きかけと、提案を確認できるWeb情報を組み合わせる
顧客が課題や商品を検索している 検索内容に合う情報と、問い合わせ後の対応を整える
新しい商品で、顧客が探し方を知らない 対象を絞った対話やセミナーなどで、課題と反応を確認する
既存の見込み顧客との接点がある 過去の関心に合った情報提供と、個別の状況確認を行う
問い合わせはあるが対応が追いつかない 集客を増やす前に、担当・対応期限・引き継ぎを整える

プル型へ一度に切り替える必要はある?

既存の営業活動から受注につながっている場合は、その活動を評価しながら、新しい接点を試します。Web施策に移した後で十分な商談が生まれるかは、実際に確認する必要があります。

プッシュ型・プル型の比率を先に決めるより、対象顧客との接点と、その後の提案が成立しているかを見ましょう。費用や対応負担を含めて振り返り、配分を調整します。

電話の後も検索される——BtoB営業戦略でつなげたい顧客の検討行動

顧客の検討は、電話、検索、資料、商談を行き来しながら進むことがあります。営業が伝えた内容をWebで確かめたり、資料を社内で共有してから質問したりする場面を想定して、情報を用意しましょう。

顧客が確認する内容を、段階ごとに整理する

顧客の検討状況 確認したいこと 用意する情報・対応
課題や解決方法を調べている どのような対応方法があり、自社に関係するか 課題の解説、解決方法、対応できる用途
候補を比較している 費用、対応範囲、導入条件、他の選択肢との違い 比較に必要な情報、事例、条件を確認する相談
社内で導入を検討している 自社の場合の効果、運用負担、契約後の対応 個別提案、費用の根拠、導入手順、サポートの説明

段階が進めば、全員が同じ情報を求めるわけではありません。実際の問い合わせや商談で出た質問を確認し、顧客が判断に使う情報を補っていきます。

営業の説明とWebの情報をそろえる

営業では専門的な対応を強みとして伝えているのに、Webサイトでは価格の安さだけを強調していると、顧客の期待がずれることがあります。対応範囲や条件の表現もそろえましょう。

営業で伝える選定理由を、顧客が後から確認できる情報として残すことが重要です。資料やWebページにまとまっていれば、担当者が社内で説明するときにも使えます。

顧客から出た疑問を、次の情報発信に戻す

商談で繰り返し聞かれる質問や、比較で迷われる条件は、公開情報を見直す手がかりです。個別対応で答えた内容のうち、多くの顧客に役立つものを整理し、資料やWebページへ反映します。

情報発信で生まれた接点を営業が使い、営業で得た反応を情報発信に戻す。この往復をつくることで、プッシュ型・プル型の活動をつなげられます。

BtoB営業戦略の組み合わせ例:最初の接点から提案まで

プッシュ型・プル型を組み合わせる際は、最初の接点と、その後に顧客が必要とする情報をセットで考えます。以下は、営業活動を設計する際の組み合わせ例です。

例1:対象企業への連絡から、Web情報と個別相談へ

対象企業を絞り、業務に関係するテーマで連絡します。相手に関心がある場合は、対応できる用途や事例をまとめたページ・資料を案内し、さらに確認したいことを聞きます。

最初の連絡で詳しい提案をすべて説明する必要はありません。まず関連性を確認し、その後の情報収集を支え、具体的な条件を相談する場につなげます。

例2:検索からの資料請求を、検討状況に合った対応へ

顧客が調べる課題や選び方に答えるコンテンツを用意し、関連する資料や相談窓口を案内します。資料請求の後は、関心を持ったテーマや情報収集の目的を確認します。

導入を検討している場合は条件を確認し、比較材料が必要な場合は該当する情報を届けます。資料請求をした全員に同じ商談案内を送る運用にならないよう、対応を分けましょう。

例3:重点企業の開拓と、関係する担当者への情報提供

重点企業を開拓する場合は、対象企業と関係する部署を整理し、担当者ごとに必要な情報を用意します。個別の連絡、セミナー、Web上の説明などを組み合わせ、企業内で検討に関わる人へ情報が届く接点を考えます。

企業単位で営業とマーケティングの活動を合わせる考え方は、ABM(アカウントベースドマーケティング)と呼ばれます。対象を絞る分、一社あたりの準備や対応にも時間が必要です。

組み合わせを決める際は、接点ごとに「顧客が次に何を確認できるか」を明確にしましょう。電話から資料、資料から相談へ進む理由がつながっていることが大切です。

BtoB営業戦略を支えるデジタル施策、どこから整える?

デジタル施策は、顧客への情報提供、個別の対応、記録や情報共有を支えます。すべてを同時に導入するより、現在の営業活動で不足している役割から整えましょう。

Webサイト・SEO・コンテンツ:顧客が調べる内容に答える

Webサイトには、商品・サービスの説明に加え、対応範囲、導入条件、費用の考え方、事例などを用意します。SEOやコンテンツマーケティングでは、対象顧客が検索する課題や選び方に答えます。

流入数だけを見てテーマを広げると、自社の提供範囲に合わない相談が増える場合があります。誰のどの疑問に答えるページか、読み終えた後にどの相談へ進めるかを決めて制作します。

公開した情報は、商品や条件の変更に合わせて更新します。制作・運用の費用と、成果を確認するまでの期間も含めて取り組みを考えましょう。

インサイドセールス:接点を個別の相談へつなげる

問い合わせや資料請求の後は、顧客の課題と検討状況を確認する対応が必要です。電話・メール・オンライン会議などを使うインサイドセールスは、この個別対応を担う方法の一つです。

対応する担当者、確認する項目、営業へ引き継ぐ条件を決めます。少人数の場合は兼任でも、誰が次の連絡をするかを明確にしましょう。

詳しくは、BtoBのインサイドセールスの役割・導入手順をご覧ください。

CRM・SFA・MA:対応状況と次の行動を共有する

CRMは顧客情報や関係性、SFAは営業案件や活動、MAは情報配信や見込み顧客の行動把握などに使われます。製品ごとに機能は重なるため、自社で管理したい情報と業務から選びます。

まず、接点のきっかけ、課題、対応履歴、担当者、次の行動を記録できる状態を整えます。ページ閲覧やメール開封は関心を知る手がかりですが、顧客から確認した内容と合わせて判断してください。

必要な支援の整理には、BtoBの営業支援ツールと導入の進め方も参考になります。

AI:準備や記録の作業を支える

AIは、公開情報の整理、資料やメールの下書き、記録の要約などを補助する用途から検討できます。社内の利用ルールに沿って入力する情報を決め、出力内容を確認する担当者を置きます。

顧客の状況、商品の仕様、提案条件、数値などは元の情報と照合します。導入後は、確認にかかる時間も含めて、実際に作業が改善したかを見ていきましょう。

ツールを使う前に、誰が何を判断し、次にどの対応をするかを決めることが、運用を続けるための土台です。

なぜ商談にならない?BtoB営業戦略で見直す5つのつまずき

営業活動の成果が伸びないときは、接点を増やす前に、どの段階で進まなくなっているかを確認します。プッシュ型・プル型という分類だけでは、原因は判断できません。

つまずいている場面 確認したいこと 見直す対応
連絡しても反応が少ない 対象部署と内容が合っているか、相手に関係する理由を伝えているか 対象企業、接点、伝えるテーマ
Webへの流入はあるが相談が少ない 顧客が必要な情報を得られるか、相談する内容と窓口が分かるか ページの内容、対応条件、相談への導線
問い合わせが対象外に偏る 集客時の訴求と、自社が対応できる条件が合っているか ターゲット、扱う課題、提供範囲の伝え方
資料請求の後に対応が止まる 担当者と対応期限、必要な情報が決まっているか 初期対応、情報共有、継続フォロー
商談しても具体的な提案へ進まない 課題、比較条件、関係者、検討予定を確認できているか ヒアリング、商談の目的、提案材料

対象顧客との接点が足りない場合と、接点はあるのに対応が進まない場合では、優先する施策が異なります。既存の活動で解決できるかを確認したうえで、新しい手法やツールを検討しましょう。

特に、電話でもWebでも自社に合わない反応が多い場合は、狙う顧客と、相手に伝えている選定理由が合っているかを振り返る必要があります。

BtoB集客のターゲット・訴求と接点の選び方を相談する

BtoB営業戦略の成果は、問い合わせ件数だけで測らない

プッシュ型では連絡件数、プル型では流入数や資料請求数が増えても、提案できる顧客との接点が増えているとは限りません。活動から受注までを段階に分けて確認します。

評価する段階 確認する指標の例 判断すること
接点づくり 接触できた企業数、問い合わせ数、資料請求数 必要な相手との接点が生まれているか
対象との適合 狙う業種・部署・用途に合う相談の件数 自社が対応できる顧客が集まっているか
商談への接続 商談実施数、商談化率、提案に進んだ案件数 接点が具体的な検討につながっているか
受注 受注数、受注率、受注金額、利益 取引として成果が出ているか
費用・負担 制作・運用・ツールの費用、対応工数 継続できる費用と体制で運用できているか

同じ条件で比較する

商談化率を使う際は、分母となる接点と対象期間を決めます。問い合わせと資料請求を一緒に集計する場合は、それぞれの内訳も確認しましょう。

受注まで時間がかかる商材では、接点が生まれた月と受注した月がずれます。特定の期間に獲得した顧客が、その後どう進んだかを追うと、施策の評価がしやすくなります。

最初の接点と、その後に使った情報を残す

電話を受けた後にWebサイトを見て問い合わせる顧客や、記事を読んだ後にセミナーへ参加する顧客も考えられます。受注を最後の接点だけに結びつけると、途中で役立った活動が見えなくなります。

最初の接点、確認した資料、営業で得た情報などを記録し、複数の活動がどうつながったかを振り返ります。

接点の数、顧客との適合、提案の進行、費用を合わせて見ることで、活動を増やすべきか、対象や対応を修正すべきかを判断できます。

BtoB営業戦略の軸を定める、選ばれる市場と強みの伝え方

プッシュ型・プル型の活動を組み合わせる際は、どの接点でも伝える価値をそろえる必要があります。電話では対応力、Webでは価格の安さ、資料では幅広い品ぞろえを強調していると、顧客が何を理由に選べばよいか分かりにくくなります。

顧客の選定基準と、自社が示せる根拠を合わせる

既存顧客が採用した理由、商談で比較される条件、失注した理由を確認します。そのうえで、自社が対応できる業種や用途、評価される強み、示せる事例や実績を整理します。

「自社に強みがある」だけでなく、その強みを必要とする顧客と、判断に使われる基準を明確にすることが、ポジショニングを考える出発点です。

重点を置く市場と、届く接点を選ぶ

自社の強みが評価される領域に重点を置き、その領域で選択肢として認識されることを目指す考え方が、ニッチトップ戦略です。

対象を狭くすれば成果が出るわけではありません。必要とする顧客がどれだけいるか、競合と何が違うか、顧客に情報を届けられるかを確認して、取り組む市場を選びます。

ポジショニングをWeb集客へつなげる

キャククルを運営するZenkenは、顧客・競合・自社の価値を整理するポジショニングを起点に、Web集客の戦略と発信内容を設計します。自社の強みが評価される対象を整理し、その顧客が情報を調べ、比較する場面に合わせて接点を考えます。

ポジショニングメディアは、その戦略を実行する手段の一つです。市場や用途における商品・サービスの違いを伝え、顧客が自社に合う選択肢を判断するための情報を届けます。

ポジショニングメディアのコンバージョンフロー

既存の導入企業の声では、問い合わせ件数の変化や、求めていた内容の相談が得られたことが紹介されています。

1件単価20~30万円以上するので、月2件決まればいいかなというところ、毎日1~3件の問い合わせあります。

閑散期にも拘わらず今まででは考えられないほどの問い合わせが来ています。全体の問い合わせの3分の2はポジショニングメディア経由です。

この施策によって、間違いなくシェアが拡大したと実感しています。信じてよかったです。(リース関連企業)※引用抜粋元:Zenkenクライアントボイスより

ポジショニングメディアを導入してから、受注単価の高いコンサル系の問い合わせがあり、分析したところポジショニングメディアを経由しておりました。
ほしい!と思っていた問い合わせが増やせている点がありがたいです。(空調関連企業)※引用抜粋元:Zenkenクライアントボイスより

自社で活用を検討する際は、こうした結果だけで判断せず、対象市場、顧客が比較する条件、自社が示せる強み、問い合わせ後の対応体制を確認しましょう。

Webで伝える強みと営業で提案する価値をそろえたい場合や、問い合わせの内容が自社の提供範囲と合っていない場合は、ターゲット・訴求・集客導線を合わせて見直せます。

BtoB向け専門メディアの考え方と支援内容、ポジショニングメディアの特徴・導入事例もご覧ください。

自社の強みが伝わるBtoBのWeb集客戦略を相談する

BtoB営業戦略は、自社の強みを必要としている顧客を見つけることから始める

プッシュ型・プル型の活動を考える前に、自社の強みがどの顧客に役立つかを確認しましょう。たとえば、短納期で対応できることが強みなら、急な発注や納期の遅れに困っている企業が、開拓先の候補になります。

自社が得意なことと、顧客が困っていることが合う相手を見つけ、その強みが伝わる接点をつくる。電話で提案する場合も、Webで問い合わせを集める場合も、この組み合わせが営業戦略の軸になります。

Zenkenは、顧客の課題と競合の提供内容、自社の強みを整理し、どの業種や用途で役立てるかを考えるところからWeb集客を設計します。そこで定めた顧客像と伝える価値を営業でも共有することで、プッシュ型・プル型の活動をつなげていきましょう。

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