宇宙ビジネスの課題とマーケティング戦略

宇宙ビジネスの課題とマーケティング戦略
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現在、世界的な大企業のトップや大富豪たちの多くが宇宙ビジネス産業に目を向けており、宇宙開発に莫大な投資を行っています。実際に「宇宙旅行」を実現した富豪も現れ、ニュースで大きく取り上げられるほど話題になりました。

富豪たちや大企業がこれほどまでに宇宙にこだわる理由は、どこにあるのでしょうか。日本でも宇宙関連ビジネスに挑む企業が増えてきており、市場は活況を見せています。

本記事では、近年注目を集める宇宙ビジネスについて、世界的な市場規模やビジネス環境から、日本における宇宙ビジネスの課題と可能性を考察しています。それと併せて宇宙ビジネスにも活用できるマーケティング戦略の考え方も紹介していますので、ぜひご一読ください。

宇宙ビジネスの市場環境

打ち上げ中のロケット

「宇宙ビジネス」と聞くと、多くの人がロケットや宇宙旅行を思い浮かべるのではないでしょうか。確かに、ロケットや宇宙旅行も宇宙ビジネスに含まれますが、民間企業による宇宙ビジネスはこれだけに留まりません。

さまざまな分野の宇宙ビジネスが盛ん

宇宙ビジネスは、大きく分けて「製造・インフラ」「宇宙利用」「宇宙探査」の3つに分類されます。

「製造・インフラ」は、主にロケットや人工衛星などを製造する分野です。小型ロケット・小型衛星や人工衛星の機材・設備の製造など、民間企業による宇宙インフラ整備が盛んに行われています。この分野は今後、国家安全保障や防衛という観点からさらに重視されると言われています。

「宇宙利用」とは、人工衛星を利用して位置情報や気候変動の調査などを行う地球上サービスを目的に使うものと、宇宙空間を利用したもの・サービスを指しています。後者のレ例として、天候に影響されずに太陽光エネルギーを蓄積するといった開発が進められています。

そして「宇宙探査」は、文字通り宇宙を探査する分野です。ロケットなどに人が乗って探査を行う有人宇宙探査と、探査機のみが宇宙へ行く無人宇宙探査があり、人類が宇宙空間へと活動範囲を広げることを目的に行われています。

世界の宇宙ビジネス市場

20世紀の宇宙開発は、莫大なコストがかかる、また、技術開発によって軍事利用が目論まれていたことなどから、国が主導する営利を目的をしないプロジェクトがメインでした。

しかし、ITテクノロジーが発展してコスト低減が可能となったことで、現在では民間による商用目的の技術開発競争が繰り広げられています。大企業の参入のみならずスタートアップ企業も登場し、宇宙ビジネスはこれまでにない盛り上がりを見せているのです。

2015年には約3350億ドルだった宇宙ビジネスカテゴリーの世界市場は、2020年には約3780億ドル、2040年には約1兆530億ドルに拡大すると予測されています。2030年頃までには次世代衛星インフラの整備が進み、通信や放送、位置情報、地球観測など、衛星データを活用するサービスが成長する予測です。

さらに、2040年頃には、宇宙探査に関するビジネスが発展するでしょう。民間会社による有人宇宙飛行をはじめ、アメリカの「アルテミス計画」に代表される月開発など、人類が宇宙で活動する産業が活発になると考えられています。

参照元:事業構想「宇宙産業市場規模の推移予測図」(https://www.projectdesign.jp/articles/685173be-25bd-4db1-82d1-a72711a896dc)

日本でも成長する宇宙ビジネス

日本でも、民間と政府の両方から宇宙ビジネスを盛り上げようという動きが起こっています。日本政府は「宇宙産業ビジョン2030」を策定。ビッグデータやAI・IoTと連携したビジネスやサービスの宇宙利用を促進して、世界的な競争力を高めようと国を挙げて支援しています。

また、「宇宙ごみ」を除去するサービスや「人工流れ星」をエンターテイメントやデータ収集に活用するサービスも登場。宇宙ビジネスを軌道に乗せるための挑戦が続いています。

日本の宇宙ビジネスと課題

軌道上の人工衛星の写真

開発サイクルが短くて速いITなどの産業に対し、宇宙ビジネスは開発の段階から試験を繰り返さなければなりません。事業化までに多額の資金と時間を要する点が、日本の宇宙ビジネスの大きな課題となっています。

企業の研究開発に投資できるか

内閣府が発表した令和4年度の宇宙関係の予算概算要求は、約4847億円です。令和3年度に比べて1,433億円増と多くなりましたが、アメリカの宇宙予算は4兆円超、欧州は約6,000億円と、主要国の予算からみてもまだ大きな隔たりがあることが分かります。

このように国家予算ベースでも開きがある中、スタートアップ企業やベンチャー企業など、民間の宇宙ビジネスへいかに投資や支援をできるかが、日本の宇宙産業の発展スピードを左右するカギとなるでしょう。

参照元:内閣府宇宙開発戦略推進事務局「令和4年度予算概算要求における宇宙関係予算」(https://www8.cao.go.jp/space/budget/r04/fy04yosan.pdf)
内閣府「米国(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)との予算規模比較」(https://www8.cao.go.jp/hyouka/dokuritsu/bunkakai/utyu1th/shiryou5-12.pdf)

官需中心から民需獲得を目指せるか

宇宙産業はこれまで、政府による技術開発投資などに基づいて官需が中心となっていました。売上のほとんどを政府に依存していたために、宇宙機器を製造する企業は、需要拡大に向けたマーケティングを行っていませんでした。そのため、海外市場での競争力が不十分の状態です。

しかし、将来的に成長が見込まれる宇宙ビジネスでは、今後、世界的に競争環境も激しくなっていくことが予測されます。これから先、宇宙ビジネスを拡大していくには、民間に対するマーケティングが重要になると考えられるでしょう。

展示会での機会獲得の可能性

顧客開拓やビジネスの交流を図る場として、展示会に出展する方法があります。現在、国内では以下のような宇宙技術・宇宙ビジネス関連の展示会が開催されています。

国際宇宙産業展

主催 … 日刊工業新聞社
出展分野 … 月面探査・月面開発・深宇宙探査、ロケット製造・打上げインフラ、衛星製造・通信設備・衛星活用ビジネス、軌道上サービス宇宙生活支援(衣・食・住)、宇宙関連の各種団体・アカデミア

航空・宇宙機器開発展

主催 … RX Japan株式会社
出展分野 … 航空・宇宙機器メーカー向け部品・技術・関連製品を製造する企業や電子部品・電源製造業、試験・計測機器製造企業、材料・素材関連企業、工作機械関連業など

国際航空宇宙展

主催 … 一般社団法人 日本航空宇宙工業会 (SJAC)
出展分野 … 機体・機体装備品・機内装備品、航空機エンジン・エンジン関連機器、宇宙機器及びサービス、素材・部品、燃料等消耗材、製造・加工機械、検査・測定機器、ITソリューション、設計・施策支援など

現在国内で行われている展示会は、航空産業系を重きにしているものが多く、製造・インフラがメインのビジネスがほとんどです。宇宙利用や宇宙探査といった宇宙ビジネスは、新しい分野としてまだ浸透していないので、これといったマーケティングが確立していないと言えるでしょう。

宇宙ビジネスにおけるマーケティング戦略の考え方

マーケティングプランのイメージ画像

機器やサービスなど、商材の名称が認知されていない場合、ユーザーニーズをもとに、「何を解決できるか」という視点で自社商材の「価値」を明確にしていく必要があります。

自社の商材価値を明確にするために行うのが「マーケティング戦略」です。具体的には以下のように進めていきます。

1.市場を調査する

自社の製品・サービスを求めるニーズがどのくらいあるか、自社と同じようなカテゴリがどのくらい展開されているかを客観的に捉えるために市場を調査します。市場の動向や競合の有無、自社の強み・弱みなどを分析していきましょう。

2.市場細分化・ターゲティング・ポジショニングを行う

STP分析の解説画像

自社商材が「誰の」「どんなニーズに対して」価値を持てるかを知るために、市場を細分化してターゲットセグメントを決め、その市場セグメントにおける自社の立ち位置(ポジション)を明確にします。

この一連の作業には、それぞれのステップの頭文字を取った「STP分析」というフレームワークを用いるのが一般的です。注力する市場を絞り込んでと競合他社との関係を明確にすることで、マーケティング活動において高い確率で成約になる見込み顧客を集めることができるようになります。

3.マーケティングミックスを決める

STPが決定したら、市場で企業がコントロールできるマーケティング要素「4P」を決めます。4Pとは、「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」の4つです。適切な組み合わせの検討をマーケティングミックスといい、4つの要素を見込み顧客のニーズ・状況に合わせて上手く適合することでマーケティングが成功する可能性が高まります。

4.実行・分析する

市場調査の結果やSTP、4Pの結果に基づいて、実際にマーケティングを行います。市場規模の変化や競争環境、消費者のニーズ、ライフスタイルなどの変化によって効果が変わってきますので、一度の実行で成功できるわけではありません。

マーケティング実行後は定期的に成果を振り返り、結果を検証しながら、軌道修正や戦略の見直しを行います。

競争が激しくなる前に集客手法を確立しよう

ロケットのモデル

宇宙ビジネスのように、新しいビジネスだからこそ集客手法を確立することが重要です。競争が激化する前に早い段階からマーケティングの設計を練っておき、市場内での自社のポジションを固めていきましょう。

自社のポジションが決まったら、見込み顧客への効果的な情報発信がポイントとなります。宇宙ビジネスのようなニッチビジネスなら、細かなターゲティングが行えるオンライン施策が相性が良いでしょう。オウンドメディアを立ち上げたりコンテンツマーケティングを行ったりすることで、見込みクライアントに自社の魅力を伝えましょう。なお、この戦略でいけばうまく行くという確信が持てないのであれば、一度マーケティングのプロに相談するのも選択肢のひとつです。

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