IT資産管理ツールの導入にあたって、数あるツールの中からどれを選ぶべきか迷っている方もいますよね。企業の規模によって運用体制や必要な機能が異なるため、自社のIT資産管理に合うものを選ぶのがポイントです。
本記事では、管理や導入のしやすさを重視する中小企業向けのクラウド型ツールと、強固なセキュリティや柔軟な管理体制が求められる大手企業向けのオンプレミス型ツールに分類しました。IT資産管理ツールの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
IT資産管理ツール
導入しやすいクラウド型
中小企業向け
柔軟に構築するオンプレミス型
中〜大企業向け
Assetment Neo
持ち出し・貸し出し管理から、IT資産の使用状況まで一括管理。バーコード・QRコード・RFIDに対応し、現場に応じたIT資産管理でどこに何があるか簡単に把握できる。
秘文
社内のIT資産を一元管理する機能を搭載。ソフトウェアの一斉配布やパッチ管理により、全体のセキュリティ向上に繋げ、情報漏洩などのトラブル防止や内部監査に備えることができる。
InfoBarrier
企資産管理や遠隔サポートができる大手企業向けの管理ツール。2000クライアント以上の一括管理が可能。企業の課題に合わせてシステム構築し、管理者の負担を軽減する。
Desktop Central
社内のデバイス・OSをまとめて管理できるUEMツール。インベントリ管理、パッチ管理に加えてUSBデバイスの利用制限や監視機能があり、テレワーク時のセキュリティ対策にも有効。
IT資産管理ツール一覧表
会社名 | サービスの特徴 |
---|---|
Colorkrew Biz |
スムーズな導入でらくらく管理!幅広いニーズに対応する管理ツール
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Eye“247” Work Smart Cloud |
IT資産の自動管理で、コスト削減とコンプライアンス強化を支援
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AssetView |
社内のIT資産を全て可視化する高セキュリティツール |
MCore |
オンライン資産を自動登録!ウイルス対策や不正防止もカバー |
LANSCOPE エンドポイントマネージャー |
脆弱なセキュリティを早期排除してリスクに備える管理ツール |
秘文 |
IT資産を一元管理するセキュリティ対策に優れたツール |
ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント |
デバイスと利用者情報の紐付けや遠隔ロックで安全に管理 |
MaLionCloud |
情報の自動取得でソフトウェア管理を楽にする |
SS1 (System Support best 1) |
リモートコントロール対応のサポート体制でトラブル時も安心 |
ISM CloudOne |
不要なソフトウェアの早期発見によりコストを削減 |
Pallet Control |
リアルタイムの情報取得で効率的な管理が可能 |
HCL BigFix |
IT資産を厳格に管理し、スマートなセキュリティ対策を実現 |
Freshservice |
自動検知機能で組織内にあるIT資産を一括管理 |
SKYSEA Client View |
ソフトウェア配布機能で作業時間外のアップデートに対応 |
ADVANCE Manager |
確認漏れや記入漏れを防ぐIT資産管理ソリューション |
InfoBarrier |
2000クライアント以上を管理できる大企業向けシステム |
Assetment Neo |
データの紐付け管理でライセンスや更新時期の確認が容易 |
Seculio |
テンプレートによるスムーズなIT資産管理を後押し |
Desktop Central |
禁止ソフトウェア検知でセキュリティ対策に役立つ |
QND Premium/Standard |
インベントリ収集でデバイス管理を簡単に |
iTAssetEye |
権限管理やアラート機能で高セキュリティを実現 |
Perfect Finder |
全工程の可視化により属人的でないログ管理を実現 |
Ivanti |
独自技術でネットワーク負荷を最小限にセーブ |
ジョーシス |
アナログ業務を自動化して業務コストを削減 |
ezNodeFinder |
未管理端末を自動検知して管理漏れや不正端末を防止 |
TANIUM |
国内外の拠点にあるIT資産を一括管理 |
そもそもIT資産管理ツールとは?導入の目的は?
IT資産管理とは、その名の通りIT資産を管理するツールのことを指します。具体的にはハードウェア・ソフトウェア・付随するライセンス等が管理の対象です。目的としては情報漏洩の防止やコンプライアンス・セキュリティへの対応が挙げられます。
社内で保有・利用しているIT資産の全体像を掴むことで、次の機材をより計画的に購入でき、不必要な資産を廃棄できます。浮いたコストは、他事業に回せるように。資産を活かしてコストを削減するためにも、IT資産管理を行う企業は増えています。
部署異動でIT資産の所在が行方不明になったり、ソフトウェアのライセンスや更新費用が把握できていなかったりする企業は、IT資産管理ツールを使うと効率的な活用が望めます。下記ではハードウェア・ソフトウェア・ライセンスについて詳しく解説していきますので、これを機に企業が保有するIT資産を今一度見直してみてください。
IT資産管理の対象となるハードウェア
IT資産管理の対象となるハードウェアとしては、PC・サーバー・スマホ・プリンター・モデムといった実際に目に見える機械そのものが挙げられます。IT技術の活用に必要な物理機器は全てハードウェアに分類され、キーボードやマウス、ディスプレイなども含まれます。
ハードウェアにはネット接続可能な物理機器と、ネット接続が不可能な物理機器が存在します。ツールを使用し管理を自動化する場合は、ネット接続可能な物理機器情報を自動で取得可能です。オフライン端末については手作業での収集が必要になるケースもあります。
IT資産管理の対象となるソフトウェアとは
ソフトウェアとは、物理機器で動くプログラムを指します。たとえば、パソコンにインストールされるエクセルをはじめとしたアプリケーションもソフトウェアに分類されます。業務効率化のために導入しているIT資産管理ツール・プロジェクト管理ツールそのものも含まれています。
また、ソフトウェアを活用する際に必要なライセンス(使用権)もIT資産管理の対象となります。ソフトウェア・ライセンスの全体数を把握できれば、活かしきれていないIT資産を可視化できます。
IT資産管理ツールの費用相場
IT資産管理ツールは、大きくエージェント型とエージェントレス型、またはインストール型とクラウド型かのどちらかに二分します。インストール型は初期費用がかかりますが、長く使えば使うほどお得です。対して、クラウド型は初期投資を抑えて月額費用を払いながらでの導入が可能です。
費用は、利用する機能や管理対象のIT資産の数に応じて変動します。管理対象数が500以下であれば1ユーザーあたり110~500円程度で利用できるケースも。また、ある程度まとまったIT資産を管理する場合は、1台単位での契約が可能な場合もあります。
100~1000台程度のIT資産管理なら、費用相場は4~23万円となっています。サーバー管理まで含むともっと費用が必要です。200台の管理で88万円前後かかるケースも見受けられます。
IT資産管理ツールの基本機能
IT資産管理ツールに付いている一般的な機能を紹介します。ツールを選定する際は、どの機能が搭載されているかどうかを確認したうえで、自社に合ったものを導入してください。IT資産管理ツールによっては実装していない機能があったり、他ツールで機能を補えたりするケースもあります。自社が保有しているソフトウェアの機能を考慮したうえで検討することが大切です。
インベントリ管理
インベントリ管理とは、ネットワークに接続されたIT機器を自動検索し、情報収集から管理までスマートにできる機能のことです。ネットワークに接続されたハードウェア・ソフトウェアなら自動的に情報を入手できるため、導入した機器・アプリケーションのリストアップが不要になります。
限られた時間や人手でIT資産管理を行うなら、なくてはならない機能だと言えます。専用ソフトのインストールが必要なエージェント型のツールのほうが、詳細な情報収集が可能です。簡易的な管理で問題なければ、インストール不要のエージェントレス型の導入が向いています。
台帳管理作成
台帳管理作成とは、IT資産の情報を収集したうえで台帳に記入する作業を指します。IT資産を台帳に記帳することで、一元管理ができるようになり、誤ってライセンスを余分に購入するなどの人為的なミスを低減できます。持っているIT資産を効率的に活用できるので、既存の台帳管理ツールを所有していない企業は、台帳管理機能が搭載されているツールを選定すると便利です。
ライセンス管理
ライセンス管理とは、ソフトウェアのライセンスを管理できる機能のことです。保有しているライセンスとソフトウェア情報を管理することで、ライセンスの過不足を可視化できます。社員の入社・退社に応じてライセンス数を見直せるようになり、コスト削減に繋がります。特に契約を自動更新する予定なら、ライセンスの増減は把握しておきたいところです。セキュリティパッチ管理
セキュリティパッチ管理とは、機器にインストールしたソフトウェアで見つかった機能上の問題やセキュリティ上の脆弱性に対応するための機能です。パッチ管理を行うことで、顧客情報の漏えいやソフトウェアのエラーによる業務効率の低下を未然に防げます。システムが多いとセキュリティパッチ管理が困難になるため、機能を実装しているツールを選定することをおすすめします。
操作ログ管理
操作ログ管理とは、ハードウェア・ソフトウェアの操作履歴を残すことができる機能です。機器のオン・オフから操作ログまで残るため、コンプライアンスやセキュリティに対応できます。記録が残ることを全社員が共有しておくと、不正行為の抑止に繋がります。内部監査やトラブル時の調査に利用できるため、操作ログ管理機能があると安心です。
デバイス制御
デバイス制御とは、デバイスに使用制限をかける機能のことです。許可されたデバイスのみ使用できるようになり、外部デバイスの接続によるウイルス感染や個人情報の持ち出しを未然に防ぎます。USBデバイスでの個人情報の持ち出しによるトラブルの発生は少なくありません。紛失や盗難リスクもあるので、デバイス制御をかけておくことをおすすめします。
ソフトウェアモジュール配信
ソフトウェアモジュール配信とは、既に利用しているソフトウェアの拡張機能などのインストールモジュールを配信して、自動でアップデートやインストールを実施する機能を指しています。社員にアップデートやインストールの実施をゆだねると、人によって進捗状況が異なり、セキュリティが脆弱になるリスクがあるものです。企業側で機能を使って管理することで、セキュリティ性を向上できます。
リモートコントロール
リモートコントロールとは、社員のパソコンなどを遠隔で操作できる機能です。口頭説明では伝わらない操作も、遠隔操作なら対処しやすくなり、トラブルに対応できるようになります。IT関連の知見がない状態で運用するなら、ヘルプデスクやリモートコントロール機能を有するIT資産管理ツールの導入が向いています。
IT資産管理ツールのメリット
ここからは、IT資産管理ツールを導入するメリットを詳しく解説していきます。IT資産管理ツールの導入を決めかねている企業は、下記のメリットを押さえて導入を検討してください。
社員の自主性を重んじてIT資産の管理を任せると、管理しきれないハードウェア・ソフトウェア・ライセンスが出てきます。セキュリティ性が脆弱になるだけでなく、不正行為が起こる要因となるので、IT資産に不安がある企業は早めの導入をおすすめします。
内部不正の抑止に繋がる
IT資産管理ツールを導入するメリットとしては、操作ログ管理やデバイス制御を行うことで、内部不正の抑止に繋がる点が挙げられます。
管理を行わずにハードウェア・ソフトウェアを使用した場合、業務に関係のないソフトウェアのインストールや、外部デバイスの接続によりウイルスに感染する恐れが出てきます。セキュリティの脆弱性の高まりにより、個人情報を漏えいするリスクが生じるため、IT資産は厳重に管理することが大切です。
セキュリティ対策になる
IT資産管理ツールを導入すると、セキュリティパッチ管理やソフトウェアモジュール配信が楽になります。個人にアップデートを任せる場合、実施時期にバラつきが生じてセキュリティが脆弱になる恐れがあるものです。
アップデート状況を一覧で管理でき、管理者側でインストール・アップデートを行える状況なら、対応漏れを未然に防げます。アップデートのための指示時間や作業時間が発生しなくなり、コア業務に集中もできます。
コスト削減に繋がる
IT資産管理ツールを導入すると、正しくハードウェア数・ソフトウェア数・ライセンス数を管理できます。活用していないハードウェア・ソフトウェアが明らかになり、IT資産を効率的に活用できるようになります。
また、社員数に応じたライセンス数を保有できるので、余分な購入を防ぐことが可能です。更新タイミングでライセンス数を増減できるため、コストの削減に繋がります。
IT資産管理が楽になる
IT資産管理を手動で行う場合は、ハードウェア・ソフトウェア・ライセンスの種類や数のリストアップが必要です。膨大なシステムになるほど目視で確認するには限界があるので、データ収集を自動化できるIT資産管理ツールがあると便利です。
ハードウェア・ソフトウェアによらずデータ収集できるツールなら、リストアップや台帳管理にかける時間を大幅に削減できます。
部署を横断して一元管理できる
IT資産管理ツールを導入すると、社内にあるハードウェア・ソフトウェア・ライセンスの保有状況が可視化されます。部署を横断してIT資産を管理できるようになり、活用されていない機器やアプリを可視化できます。使用していない部署のIT資産を他部署で利用できるので、新しい機器・アプリケーションの購入を回避することが可能です。
不正行為をいち早く察知できる
IT資産管理ツールを導入すると、外部デバイスの接続や許可のないソフトウェアのインストールなど、不正行為にいち早く気づくことができます。昨今では残業時間の削減のために、外部デバイスで個人情報を持ち出すといった不正行為が起こるケースは少なくありません。呼びかけだけでは人の動きを制御することは難しいため、全社の動きを管理できる体制を構築する必要があります。
IT資産管理ツールを導入する際の注意点
IT資産管理ツールを導入する際の注意点を5つ解説します。下記のポイントを押さえて、自社に合うIT資産管理ツールを導入しませんか。機能・提供形態・操作性・サポート・価格の5つを重視して選定すると、導入後にツールを持て余す心配がなくなるほか、ランニングコストの削減に繋がります。
搭載機能
IT資産管理ツールと一口に言っても、ハードウェア・ソフトウェア・ライセンス管理に特化したものから、操作ログ管理やデバイス制御に対応したものまでピンキリです。
インベントリ機能※に対応しているツールであれば、定期的にIT資産の情報を自動収集できます。基本的にはオンライン接続対応のIT資産は自動取得し、オフラインのIT資産は手動入力やアンケート調査による情報取得が必要です。
また、台帳作成機能を有するツールなら、収集したIT資産の情報を一元管理できます。社員情報と紐づけて保管できるものもあり、組織変更や部署異動にも柔軟に対応することが可能です。IT資産の物理機器に関してはQRコード・バーコード管理ができるツールだと、所在や貸し出し状況を管理しやすくなります。
※ツールによってはインベントリー機能と表示されています。
提供形態(クラウド / オンプレミス等)
IT資産管理ツールの提供形態は大きく分けて2パターンあり、クラウド型・オンプレミス型に分かれます。クラウド型はサーバ―不要で利用でき、ネット環境があれば遠隔からの操作に対応しているツールもあります。テレワーク等、オフィス以外での勤務がある企業はクラウド型がおすすめです。
一方でオンプレミス型は、サーバ―設置が必要でオフィス内でのみで活用できるIT資産管理ツールです。セキュリティ性を考えてオンプレミス型を導入する企業し、外部からの利用を制限するケースもあります。
ただし、オンプレミス型は自社で更新が必要ですが、クラウド型は更新作業が自動で行われるので、管理する手間が省けるのが特徴的です。ツールによりオンプレミス型・クラウド型の片方のみ対応、あるいは両方対応しているなど、仕様が大きく異なるので注意してください。
ユーザビリティ
IT資産管理ツールを導入する際は、操作性・デザイン性などを考慮することが大切です。機能がたくさん搭載されていても操作性が悪いと、ツールを使いこなせないリスクがあります。特に部署異動や人の入れ替わりが激しい企業であれば、引継ぎ作業が十分にできない可能性も。
初めて操作するユーザーでも直感的に利用できるツール、UI/UXデザインが採用されているツールを選定することが大切です。自社のITノウハウで問題なく使用できるツールを選定すると、導入後のトラブルを少なくできます。
また、管理者が危機的状況を察知できるように、禁止行為でアラートが通知されるシステムを選ぶと安心です。操作ログが残るツールやパッチ適用が自動化できるツール、操作制御を行えるツールなら、不正行為の抑止にもなります。
サポート体制
IT資産管理ツールを導入するなら、サポート体制が整っているツールを選定することが重要です。ITノウハウを蓄積している企業であれば、チャットや電話相談でも対応できるでしょう。ただ、自社にITノウハウがない場合は、チャットや電話相談ではトラブルを解決できない恐れがあります。 自社にITノウハウがない場合は、遠隔でのサポートや訪問サポート、導入時のレクチャーをしてもらえるツールを選ぶようにしてください。
遠隔でのサポートが受けられるツールであれば、万が一紛失した際にロックをかけたり、データを削除したりと対策を講じられることも。テレワーク等でデータの持ち出しが考えられる場合は、リモートコントロールできるIT資産管理ツールを導入するとリスクに備えられて安心です。
料金設定
IT資産管理ツールを導入する際は、料金設定を確認しておきたいところです。ユーザー数で料金が変動するのか、あるいは管理するIT資産数で料金が変動するのかはしっかりと確かめてください。
IT資産の数が多い企業では、ツールの導入費用がかさみがちです。料金が端末ごとに価格設定されているツールではなく、1,000や1万などある程度の数で固定化されているツールを選ぶと、管理するIT資産が膨大なケースにおいてもランニングコストを抑えられます。
反対に管理するIT資産の数が少ない場合は、端末ごとに価格設定されているツールを選ぶと、導入費用を削減できます。また、ライセンスの情報を紐づけて管理できるIT資産管理ツールならば、人員の増減に合わせて過不足のないライセンス数を保有できるので、ランニングコストを大幅にカットすることが可能です。
IT資産管理ツール徹底比較まとめ
IT資産管理ツールを導入するなら、自社にとって必要な機能を実装しているか、事前の確認が必要です。インベントリ管理はハードウェア・ソフトウェア・ライセンスに対応しているか、部署異動の際のIT資産の管理がどうなるか等、細かい仕様を確認しておきたいところです。
頻繁に部署異動がある、あるいは人員が増減する現場では、IT資産の自動割り当てや再割り当て機能があると便利と言えます。人の手で再割り当てを行わずに済み、引き続きIT資産を利用できるので、作業時間の短縮に繋がります。
本記事で紹介した内容を参考にして、ぜひ、自社に適したツールをお選びください。
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- 本記事は、2024年12月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。