コロナ過以降、クラウド型のWeb会議システムがあらゆる業界で普及しました。しかし、セキュリティ基準が高く、テレビ会議システムをオンプレミスで構築しなければならないケースもあります。この記事では、そのようなオンプレミス型テレビ・Web会議システムの情報をまとめて紹介しています。
セキュリティ面への不安や接続精度の安定性、使いやすさなどを重視したオンプレミスのテレビ会議システムを検討している方に、ぜひお役立ていただきたいページです。
オンプレミステレビ会議システムの一覧表
会社名 | サービスの特徴 |
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LoopGate |
セキュリティ重視の国産システム!自治体や金融機関にも導入されているテレビ会議ツール
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V-CUBE |
画面デザインやレイアウト、ロゴなど自由なカスタマイズが可能 |
FreshVoice |
初期費用を極限まで抑えたレンタルプランを提供 |
LiveOn |
少ないデータ量でも通信可能。海外拠点などとのコミュニケーションに |
CAMServer |
クライアントユーザを自動認識する機能つき。人事異動や席替えも問題なし |
Visual Nexus |
フルHD画質、1980x1080pxの高解像度映像でのテレビ会議 |
Szia |
30分間・最大4人まで利用できる無料版も用意されている |
Bitrix24 |
複数年利用するとアップグレードの価格が安くなるシステム |
ConforMeeting/e |
社員証などの非接触ICカードを使ったログインが可能 |
Adobe Connect12 |
ライセンスではなく年間契約の料金体系 |
iMeeting-R |
700室以上の会議室の管理が可能。中規模~大規模企業向け |
VRoom Web会議システム |
料金はユーザーごとの課金ではなく、定価での年間契約型 |
オンプレミステレビ会議システムとは?
オンプレミステレビ会議システムとは、自社のネットワーク内にテレビ会議の環境を構築・運用する方法です。
自社のネットワーク下で通信するシステム
Webテレビ会議を行うとき、音声や映像のやり取りを行うためにサーバーへアクセスしなくてはなりません。一方、オンプレミス型のシステムでは、ベンダーが運営するサーバーシステムではなく、自社のネットワーク内にあるサーバーを利用します。社内ネットワークを介するため、インターネット回線を利用する際に感じる遅延や音声の品質低下などを感じにくいのが特徴です。
また、インターネットを経由せずに接続できるので、情報が外部へ流出するリスクを大幅に軽減できます。社員の情報だけでなく、顧客やユーザーの個人情報を守る観点で見ると、高いセキュリティを求める企業であればオンプレミス版は向いていると言えるでしょう。
セキュリティを強化できる分、導入時にコストがかかる
オンプレミステレビ会議システムでは専用のサーバー構築や機器類の購入、サーバーの運用・保守などが必要なため、サービスの導入には一定の初期コストが発生します。また、運用中も保守コストがかかります。そのため、クラウド型の月額費用のようなランニングコストと比較することも必要でしょう。
ただし、オンプレミスであっても社内LANに外部から接続できるようなシステムを用いれば、音声や資料の情報流出も防ぐことが可能です。1拠点に集まらなくても、重要な会議や打ち合わせなどを開けるようになります。
また、どの拠点にいても会議に参加できるため、会議に伴う社員の移動やスケジュールの圧迫も軽減でき、結果として業務効率の向上やコスト削減につながる可能性があります。営業拠点が複数ある、テレワーク(在宅ワーク)を導入しているといった際でもオンプレミス版のテレビ会議システムを利用できます。
自社のセキュリティポリシーに合わせて導入できる
オンプレミステレビ会議システムでは、スケジュール機能や会議室予約機能、管理画面のデザインなど、自社に合わせたカスタマイズはもちろん、自社サービスやソフトウェアとの連携も可能です。
また、セキュリティカスタマイズもできるため、自社のセキュリティポリシーを標準よりも高く設定していたとしても、カスタマイズしてサービスやシステムの利用ができます。
オンプレミ型システムとクラウド型システムの違い
オンプレミス型はローカル環境でのシステム構築・運用ができるため、インターネットを経由するクラウド型システムに比べてセキュリティ面でのレベル設定が自社に合わせやすい特徴があります。また、カスタマイズの仕方によって、すでに導入している社内システムとの連携も取れます。
オンプレミスの場合はサーバーが社内に設置されているため通信が安定していますが、クラウドの場合は通信環境によって速度が遅くなる場合があります。
一方、クラウド型の利点は、初期費用の少なさと導入の速さです。ネット上のサーバーサービスを利用するため初期費用が少なく、イニシャルコストを最小限に抑えられます。既存のサービスを利用できることから、サービスを比較検討し易い面もあるでしょう。しかし、社内の利用者が多い・欲しい機能を追加したいといった場合は、その分コストはかさみます。
対してオンプレミス型は、初期投資が大きい他、拡張が必要な場合などにもコストがかかります。
機能か費用かなど、両者の違いとそれぞれの利点を比べた上で、自社に適したほうを選ぶようにしてください。
オンプレミステレビ会議システムの費用相場
オンプレミステレビ会議システムの費用は、構築するサーバーの規模や環境によってさまざまです。さらに、テレビ会議ができれば良いのか、録画やファイル共有機能も欲しいのか、セキュリティレベルをどの程度にするのかといった機能やセキュリティ面も企業によって異なるため、費用相場は一概には言えないのが現状です。
費用が一定ではないため、今回ご紹介した12社で比べても「要問い合わせ」となっているサービスが多く見られました。ただ、多くのサービスが取得するライセンスの数によって契約料が変動する他、サーバーソフトの構築費用(初期費用)がかかります。
ライセンス料は年間8万円~10万円、サーバー構築は100万円~かかると見積もっておくと良いでしょう。詳しい費用を知りたい方は、検討しているサービス各社にお問い合わせください。
オンプレミステレビ会議システムの導入メリット
クラウド型と比べてセキュリティが堅牢
クラウド型のWeb会議の場合、システムで使用されるセキュリティレベルは、あくまでもベンダーの設定した強度や方法によるものです。不特定多数が利用するインターネット経由の通信となるため、システムに入り込んだ悪意ある第三者によって、情報やデータが持ち出されるリスクがついて回ります。
一方、オンプレミスの場合は自社内の閉じたネットワークだけで完結するため、外部からの攻撃によって情報が流出するリスクを大幅に軽減できるのがメリットです。
また、オンプレミス型システムの場合、自社のセキュリティレベルや規制に沿うようにカスタマイズすることも可能です。そのため、オンプレミス型テレビ会議システムは、複数のグループ企業でセキュリティポリシーを統一している組織など、セキュリティレベルを一定に合わせる必要のある企業や組織に多く選ばれています。
安定した通信環境でテレビ会議ができる
クラウド型のWeb会議システムの場合、インターネットの通信環境に左右されることがあります。他拠点の通信環境が悪いとつながりにくくなったり、音声や動画が途切れたりといったトラブルも少なくありません。 また、大人数が一斉にアクセスすると、トラフィックが集中し、パフォーマンスの低下を招くケースもあります。
特に音声に遅れが生じてしまうと会議の進行が妨げられて、生産性の低下につながりかねません。在宅ワークやテレワーク等において、会議や打ち合わせ時の通信環境に課題を抱えている企業であれば、クラウド型からオンプレミス型への移行を検討してみても良いのかもしれません。
オンプレミス型のテレビ会議システムなら、インターネットを経由せずに接続するため、サーバー間のレスポンスが早く、通信が常に安定します。スムーズな会議進行によって業務の生産効率を維持したい、また、大人数での会議を頻繁に行うといったケースでは、オンプレミス型システムのほうが適しています。
快適な通信環境を保てるかどうかは、突き詰めれば自社の利益を守ることにもつながっていると言えるでそう。
自社に合わせてカスタマイズできる
クラウド型Web会議システムは初期コストを抑えられる分、カスタマイズの自由度が低いデメリットがあります。また、社内の既存システムと組み合わせられるかは、提供するサービスとの相性によって変わってきます。逆に言えば、自社に導入している既存サービスによって、選択肢が狭まってしまうといったこともあるでしょう。
それに対し、オンプレミス型システムは、自社に合わせてシステムを一から構築してくれます。そのためニーズに合わせたカスタマイズがしやすく、自社の業務に合わせた機能を追加する、自社ブランドやカラーを反映させたデザイン、インターフェイスにするといったことが可能です。
パッケージ化されたシステムでは、不要な機能があるために無駄に費用がかさんでしまう、といったことが起こりえますが、一から作ってくれるオンプレミスならそうした無駄もありません。
また、自社のイメージカラーやロゴ、デザインなどをカスタマイズすることによって、従業員のシステムに対する信頼性が大きく向上します。親しみを持って使用してくれるため、浸透が早まるといった効果も期待できます。システムは、導入すれば終わりではなく、実際に活用してこそ。社員に利用を浸透させられるかといった観点で見ることも大切です。
長期的にみてコストを抑えられる可能性も
クラウド型Web会議が「初期費用不要・月額料金」など、導入コストを抑えられるのに対し、オンプレミス型はシステム構築などの初期投資にコストがかかるとご紹介しました。しかし、社内でサーバーを運用して管理を行うオンプレミス型は、月額費用はかかりません。
中長期的に運用する前提で考えると自社サーバーの運用・保守のコスト下げる取り組みを行えばコストパフォーマンスが高くなり、結果としてトータルコストを抑えられる可能性があります。
クラウド型とのハイブリッド連携も可能
オンプレミス型テレビ会議システムを提供しているサービスの中には、クラウド型サービスとの両方を導入して組み合わせて運用を行う「ハイブリッド型」で運用できるケースもあります。
例えば、テレビ会議システムの場合、「機密情報を取り扱うような重要な社内会議」などはオンプレミス型で、「社外の方やお客様との打ち合わせ」「海外拠点との接続」などは外部からのアクセスがしやすいクラウド型など、利用するシーンによって使い分けることも可能です。
オンプレミス型テレビ会議システムの選定ポイントは?
オンプレミス型テレビ会議システムの特徴は、メリットばかりではありません。デメリットや注意すべき点も存在するため、十分な選定に基づいて導入を検討する必要があります。
自社でメンテナンスが必要
オンプレミス型テレビ会議システムは、自社の目的や環境に合わせたサーバーやソフト構築を行います。つまり、システム一式が「自社のオリジナル」となるため、基本的に運用保守やメンテナンスも自社で行わなくてはなりません。
障害やトラブルが起きた際には担当者の迅速な対応が求められます。社内にIT人材や部署がある会社であれば、自社運用を行うことでランニングコストが下げられるのがメリットですが、そうした対応が難しいことがあります。
オンプレミス型テレビ会議ツールの中には、保守やメンテナンスを行ってくれる、トラブル時にプロのサポートを受けられるなど、アフターフォローが充実している業者を選びましょう。
POINT1.サポートが充実した業者を選ぶ
オンプレミス型テレビ会議を導入したいけれど「トラブルシューティングやメンテナンスに不安がある…」といった方は、サポートの充実したサービスを選ぶようにしてください。
自社のネットワークでトラブルが起きてしまうと、社内全体のテレビ会議システムが機能しなくなることもあります。24時間対応してくれるところや土日祝日も対応してくれる、担当社員では分からないところは、リモート対応で解決してくれるなどの体制が整っていると安心です。
初期費用が高くなる
Web会議システムに必要なサーバー構築やアプリケーションをすべて購入しなくてはならないオンプレミス型。自社の資産としては計上できますが、大規模なシステム導入にあたります。
システム一式の購入ではなく「レンタルで済ませる」といった方法もありますが、長期的に利用する場合、かえってレンタル費用がかさんで割高になってしまうケースもあります。
導入するにあたっては、初期費用が自社の目的と見合うか、長期的な観点からみてコストパフォーマンスはどうかなど、さまざまなサービスを比較した上で検討すると良いでしょう。複数の企業から相見積もりを取り、費用はもちろん機能面でも比較するようにしましょう。
POINT2.細かな見積もりを出してくれる業者を選ぶ
初期費用に多大なコストがかかるオンプレミス型テレビ会議システムでは、最初の導入費用がはっきりと分からないケースも多いです。概算してみたはいいものの、実際に社内でネットワークを構築するにあたって機器を増やさなくてはいけない・機能を追加したい、といったことが起こるためです。
また、初期費用だけでなく、運用コストや月契約・年契約と別途で費用がかかるところもあります。気になる業者が決まったら、まずは問い合わせを行いましょう。自社の環境や規模を丁寧にヒアリングした上で、費用の概算を明示してくれる業者を選ぶようにしてください。
社外からのアクセスに課題がある
オンプレミス型テレビ会議システムは、閉じられた自社のネットワークで通信するようにできています。リモートワークや出張先など、社外からのアクセスが難しい場合もある点は留め置かなくてはなりません。
「クライアント認証」によって外部からのアクセスができるように設定できますが、完全オンプレミスに比べるとセキュリティレベルは下がってしまいます。在宅勤務者などが多い企業や従業員の私物のパソコンやスマートフォンを業務に使う「BYOD(Bring Your Own Device)」を実施している企業では、意図せず情報が表に出てしまう場合もあり注意が必要です。
POINT3.自社の目的に合った業者を選ぶ
導入後に性能が十分ではない、自社にとって合っていないシステムだと、時間も費用もムダにしてしまいかねません。社外からのアクセスが必要なケースがある場合はその旨を事前に相談して、対応システムを組み合わせられるかを確認しましょう。
その際にセキュリティレベルがどう変化するか、堅牢なセキュリティを組み込めるかなど、懸念点についてもしっかりと打ち合わせた上で選ぶようにしてください。導入後を想定して考える・他社の導入事例を参考にする、といった方法をとると目的に合うシステムの構築がしやすくなります。
また、実際に導入してみて追加機能が欲しくなることも考えられます。そうしたときに、柔軟に対応してくれるか、といった点も加味すると良いでしょう。
【FAQ】オンプレミス型テレビ会議システムでよくある質問
オンプレミス型を導入するとどんなメリットがありますか?
強固なセキュリティ環境下で、安定した通信ができるようになります。社内ネットワークを利用するため情報流出のリスクが少なく、通信速度の低下もほぼ見られません。クラウド型Web会議システムに比べて音声や画像の遅れ、乱れなども抑えられるため、スムーズな会議進行ができるようになります。
オンプレミス型サービスに向いているのはどんな企業ですか。
オンプレミス型テレビ会議ツールは、社内ネットワークにおいて高度なセキュリティレベルを実現できるメリットを持っています。そのため、多拠点を持つ企業や海外にも拠点を持つ企業などの大規模企業、Web会議システムを頻繁に活用する企業などが導入すると、メリットを存分に得られます。
オンプレミス型サービスを選ぶポイントを教えてください。
自社の規模と目的、既存システムとの組み合わせの有無を考えた上で検討することがおすすめです。特に、社内サーバーの構築費用は使用規模によって異なるため、サービスを検討する際には提供する業者に現状を伝え、見積もりを取った上で判断しましょう。
また、納品時期も業者によって異なります。導入を急いでいる場合は、納品時期も含めた検討を行ってください。
まとめ
これまで、オンプレミス型テレビ会議ツールを提供する企業それぞれの特徴や強み、口コミ評判について紹介してきました。企業(製品)によって費用やプラン、含まれるサービス内容も異なります。自社が必要とする規模や目的に合ったサービスを提供している企業はどこかを吟味した上でツールを選定しましょう。
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- 本記事は、2023年4月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。