第三者保守サービスは、サポート期間が終了した機器に対して、第三者の企業が提供するサポートサービスです。安心して機器を使用継続するための保守サービスが受けられるほか、「保守コスト削減」「窓口集約」「IT機器のライフサイクルの最適化」といったメリットがあります。
この記事では、おすすめの第三者保守サービスの特徴や事例などをまとめました。ぜひご活用ください。
第三者保守サービス会社の一覧表
会社名 | サービスの特徴 |
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つなぎ保守 |
国内外の主要メーカーを中心に400社以上対応・40,000台以上の実績
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パークプレイステクノロジーズ |
初回修理保証!初回訪問で問題が解決されない場合、1ヵ月分のメンテ費用が無料に |
ゲットイット |
希少機器にも対応している第三者保守サービス |
データライブ |
パーツが豊富!10万台規模の長期保守に備えて備蓄を進めている会社 |
Evernex |
165以上の国で事業を展開しているグローバル会社 |
リミニストリート |
平均20年の経験を持つサポートエンジニアが保守対応 |
SAT(エスエーティ) |
延命保守(延長保守)を得意とするサービス |
インフォメーション・システム・サービス |
金融系を中心にした実績を有している会社 |
アプライド・テクノロジー |
自主レンタルアップ品を活用により保守運用コストを大幅にカット |
シェアード・ソリューション・サービス |
保守部品を国内外の提携先企業から直接取り寄せている |
ネットワンネクスト |
2時間以内に部品を配送できる体制を構築 |
アイエスエフネット |
マルチリンガル対応も可能な第三者保守サービス |
JBサービス |
IT機器以外にもデジタルサイネージやロボットなどの保守にも対応 |
KSG(国産産業技術) |
ISO9001、ISO27001を取得しており、高品質な管理体制を構築 |
アクシスコンピューテック |
コンピュータ関連機器のレンタルやコンサルティングサービスも提供 |
ネットブレインズ |
ITシステム管理・運用を含めて依頼可能!オーダーメイトのサービスを設計 |
ビジネスコネクト |
オンサイト修理や定期検査サービスも提供 |
アルファテック・ソリューションズ |
ITインフラ及び情報系アプリケーションシステムを包括的に行う会社 |
インフィニティコミュニケーションズ |
年間契約で、障害対応の回数は制限なし |
システック井上 |
提携している米国企業よりEOSとなったパーツや製品を直接輸入 |
TID(ティアイディ) |
旧サンマイクロシステムズ社製のシステムを対象とした独自の保守サービスを提供 |
フィールドワン |
IT機器以外にも電気・ガス、化学、ガラス・土石の延命保守サービスを提供実績あり |
第三者保守とは
第三者保守とは、ハードウェアの保守をメーカー以外の第三者に行ってもらうサービスです。
PC、サーバー、ネットワーク機器などIT機器は、メーカーの保守サポートを受けて管理します。しかし、メーカー保守は期限があるのが一般的です。保守の期限が切れると修理・交換対応が受けられません。
そうなる前に交換できればいいのですが、IT機器のリプレイスは時間とコストがかかります。
メーカーの保守を受けられなくなってしまうと、故障や不具合が発生した場合に業務に支障が生じてしまうリスクがあります。故障してから新しい機器に交換しようとしても、IT機器の手配には時間がかかるのが常です。
では修理をすればいいかというと、修理には時間と高額な費用がかかってしまいます。企業活動において、IT機器の保守は必要不可欠です。
そこでリプレイス以外の選択として検討したいのが、第三者保守です。メーカーの保守が受けられなくなっても、専門の第三者に保守を依頼することで、安定した企業活動ができます。
メーカーの保守が切れた機器を使用できる
第三者保守を利用すれば、メーカーの保守が切れてしまった機器でも継続して利用できます。保守が切れたことを知りつつも、だましだまし利用するのは大きなリスクです。
そのようなリスクを負うことなく、まだ使える機器を使用し続けられます。IT機器は新しい機器の方が利便性は高くなっているものです。しかし、新しい機器に変えると、慣れるまでに時間がかかることもあります。
使いこなせるまで業務に支障が生じる可能性も考慮すると、第三者保守を活用して、使える間は買い替えないのも手です。
機器のリプレイス準備に余裕ができる
保守が切れる時期というのは、故障が発生しやすくなる時期でもあります。新しい機器にリプレイスする時期が到来しているということです。しかし、機器のリプレイスは簡単にできることではありません。
費用の準備はもちろん、入れ替えに合わせて業務を調整する必要もあるでしょう。日常の業務が忙しいと対応の時間が取れません。第三者保守を活用することで、リプレイスのための準備期間を設けられます。
機器を買い替えるタイミングを調整でき、余裕をもったリプレイスの実行が可能です。
コスト削減になる
メーカーによっては、保守の延長ができることがあります。しかし、一般的に、延長保守は割高です。故障時の修理も高額になります。第三者保守であれば、メーカーの延長保守より安く保守してもらえる可能性があります。
EOSLと第三者保守の必要性
EOSLはEnd of Service Lifeを略したもので、「機器の保守サービスが停止する」ことを指します。EOSLと意味が似ている用語としては、EOL(End of Life)やEOS(End of Support)が挙げられます。
EOLは「メーカー販売、生産が終了する」ことを、EOSは「メーカーによる技術サポートが終了する」ことを示しています。
費用・時間の捻出や人的リソース不足が原因でリプレイスが困難であったり、機能的な問題で既存機器の継続利用が求められる場合など、サポート終了や期限切れとなった機器を使用し続けなくてはいけないケースはよくあります。
EOSLやEOL後の機器を、継続的に利用するために必要となるのが「第三者保守」です。
第三者保守サービスの導入メリット
メーカー保守よりコストが安い
第三者保守サービスは、一般的にメーカー保守と比較してサービス費用が安価です。メーカー保守の場合、年間保守費用以外にも、アップグレード、カスタマイズの保守などが上乗せされています。
しかし、第三者保守サービスは、不具合への対応などやるべきことの幅が限定的。ハードウェアの責任がないためアップグレードなどをする必要がなく、その分、費用を安くできます。
また、第三者保守サービスを利用すると、使用機器の稼働期間が延びます。メーカーのサポートが切れる度に新しい機器やシステムを購入すると、初期導入コストがかかります。
メーカーサポートが5年で切れる場合は20年で4回の機器・システム移行が発生しますが、第三者保守サービスを利用して10年以上の長期利用をすれば導入コストを抑えることが可能です。
同じ機器を継続使用できる
使い慣れた機器をそのまま継続利用できるのも第三者保守サービスのメリットのひとつです。正常に稼働している限りその機器を使い続けられます。買い替えの時期でも、第三者保守でつなぎ、移行のタイミングを調整することも可能です。
使い慣れた機器を新しいものに変えると、慣れるまでは業務スピードが遅くなるなどの支障が生じる可能性があります。第三者保守サービスを利用すれば、計画的な買換えが実現可能です。
保守がまとまる
メーカーの保守サービスは自社製品にしか対応していません。企業では、複数の機器・システムを使用しているでしょう。不具合が発生すると、その機器のメーカーに問い合わせる必要があります。問い合わせ先を探す手間もかかります。
第三者保守サービスにすれば、複数の機器・システムのすべてを任せられるため、マルチベンダー対応が可能です。窓口が一本化されるため、問い合わせがスムーズになります。
第三者保守サービスの導入デメリット
最新の状態で使用できない
機器やシステムは、日々新しくなっています。新しいものほど、利便性やクオリティは高まっているものです。
第三者保守サービスを利用して保守が切れた機器を使用し続けると、新しい機器の利便性やクオリティを活用できません。リプレイスしないことで気づかないうちに業務の無駄が発生している可能性があります。
メーカーの知的財産権侵害のリスクがある
第三者保守サービスに切り替えるときは検証作業の実施やアドオン開発などを提供する必要があります。これらがメーカーに対する知的財産権の侵害やライセンス契約違反に当たる可能性が否定できません。
アメリカでは、第三者保守サービス会社に対してメーカーが損害賠償を求める裁判を起こし勝訴しています。
第三者保守サービスの導入事例
パソコンの延命と継続利用を実現
浄水場の監視装置(データロガー)で使用する産業用パソコンがメーカー保守期限をむかえていましたが、新しいパソコンに入れ替えるとすれば、大規模な予算をかけて監視装置システム全体を更新しなければならない状況にありました。 しかし、使用する産業用パソコンの修理・保守を第三者に委託する方法があることを知ったことがきっかけで、パソコンの延命とシステムの継続利用を実現することができました。参照元:株式会社シェアード・ソリューション・サービス(https://www.3scom.jp/voice/moroyama.html)
年間保守サポート費用を従来の半額に削減
無添加化粧品や健康食品を展開する事業会社が、採用するERPであるSAP ECC 6.0システムの保守サポートを第三者保守に切り替え。 第三者保守契約により、安定したSAPアプリケーションを最低15年間にわたり運用することが保証され、高品質なサービスを従来の50%の年間保守サポート料金で受けられるようになった。参照元:Rimini Streer(https://www.riministreet.com/jp/press-releases/fancl-switches-to-rimini-street-support/)
製造業の現場におけるシステム延長
5年間のメーカー保守の後、1年間はメーカー保守を延長できたものの、その上で動かしているシステムをそのまま使っていくのか、改修していくのか、というところで、第三者保守を導入して、システム延長を選択。参照元:株式会社ゲットイット(https://www.get-it.ne.jp/interview_third-party_kokuyo/)
第三者保守サービス導入を検討する際によくある質問
Q1.第三者保守サービスの導入メリットを教えて下さい
メーカ保守と比べて、より安価にサービスを受けられる可能性がある点、メーカー保守切れ(EOSL)になった場合でも、修正・メンテナンスに対応してもらえる点、マルチベンダー対応が可能な点などが挙げられます。
Q2.第三者保守サービス導入にリスクはありますか?
知的財産権侵害やライセンス契約違反のリスクほか、アドオンが肥大化するリスク、第三者保守ベンダーの事業継続性に関するリスクなどがあります。ベンダーを選ぶ際には、安さだけでなく、実績や信頼性の高さも重視する必要があります。
第三者保守サービス会社の選び方
第三者保守サービス会社を選ぶ際は、「保守形態」「スピード」「実績」の3つをポイントに比較するのがおすすめです。それぞれどのようなポイントを見ればよいか解説します。
保守形態はオンサイト保守であること
保守のサービス形態には、大きく分けて「オンサイト保守」と「センドバック保守」があります。第三者保守を選ぶ際は、「オンサイト保守」を選びましょう。
オンサイト保守は、コンピューター機器やシステムが置かれている場所に直接来て保守をしてくれるサービス形態です。不具合が発生した場合は、担当の技術者がすぐに派遣されます。
目の前で修理してもらえるだけではなく、修理後の注意点なども教えてもらえるため、安心感が大きいです。メンテナンス品質が良い業者を選んでください。
一方センドバック保守は、故障した機器を窓口に発送して修理・交換してもらう形態のサービスです。機器が復旧するまでの間は、代替品を送ってもらえます。
機器を保守に送る前に代替品を送ってくれるシステムは「先出センドバック」です。先出センドバックは、代替品があるため、機器を使用できない期間が生じません。
しかし、後出しセンドバックの場合は、機器を使用できない期間が生じます。
また、機器を送ってしまうため、何が行われているか把握できず、修理中も修理後も不安が残りがちです。
対応スピードが速いこと
機器の不具合は、いつ発生するか分かりません。いざ発生したときは、対応スピードが重要です。不具合が発生したままでは業務に支障が生じます。不具合の内容によっては、利益の機会損失にダイレクトにつながる可能性もあるでしょう。
対応の遅れは、そのまま業務の遅れ、利益の減少につながります。第三者保守サービスを選ぶときは、迅速に対応してくれる業者を選びましょう。問い合わせへの対応スピードが遅い業者は注意してください。
ただし、スピードが速くても仕事のクオリティが低いなら意味がありません。丁寧で迅速な対応をしてくれる業者かどうかを見極めることが大切です。
実績が豊富にあること
企業活動において、IT機器やシステムは重要な役割を果たしています。その保守を任せる業者は、コストだけで選ぶのではなく、品質も見極めてください。品質を見極める方法のひとつが実績の確認です。
どんな企業の保守を請け負ってきたのか、どのくらいの実績があるのかをチェックしましょう。実績が豊富な業者を選んでください。
第三者保守サービスまとめ
第三者保守サービスは、メーカーの保証が切れた後、新しい機器に入れ替えるまでのつなぎのサポートです。安定して稼働している機器をサポートが切れた後も使い続けたいときに活用できます。
第三者保守サービスを選ぶときは、「オンサイト保守に対応しているか」「対応は迅速か」「実績は豊富か」の3ポイントをチェックするのがおすすめです。この記事で紹介した会社も参考にしていただきながら、自社の希望に合うサービスを提供してくれる会社を選んでください。
- 免責事項
- 本記事は、2023年09月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。