事業戦略とは?戦略の立て方と活用したい8つのフレームワーク事例
公開日:2021年11月30日
本記事では事業戦略の基礎知識と戦略の立て方、さらに事業戦略立案に役立てたい8つのフレームワークについて説明していきます。
- さらに、商材の強みを理解した反響が取れるため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえ、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
といった成果を実感いただいている、ポジショニングメディアも紹介します。事業戦略を強力にサポートするWeb施策のひとつです。
※全研本社が提供するポジショニングメディアについてはこちら(記事の後半へジャンプ)から飛べば、すぐにお読みいただけます。
事業戦略とはなにか
事業戦略とは、経営戦略の一つで、事業レベルで市場動向や組織体制に焦点を当てた戦略のことを言います。経営戦略が組織全体の施策を指すのに対して、事業戦略は顧客獲得や競合との差別化など、市場を勝ち抜く方法を事業単位で検討します。
経営戦略とは
事業戦略策定の前に、前提として経営戦略とは何か理解することが重要です。経営戦略とは、経営目的を達成するために定める企業全体の行動指針を指します。
経営戦略の策定は、自社・競合他社の人員や能力といった内的要因、自社と競合他社を取り巻く市場の成長性や消費者のニーズといった外的要因を分析し、経営戦略に落とし込んで行く必要があります。
そんな経営戦略は、事業戦略を含めて大きく下記のような3つのステップに分けられます。
企業戦略
企業戦略とは、企業全体の中長期的な方向性を決定する施策のことです。例として「どの事業に注力していくのか」「企業の置かれている市場の中でどのように成長していきたいのか」など、企業の将来的な目標を定めます。
企業戦略は経営戦略の中でも主軸となる戦略のため、経営理念や事業構成、経営資源の配分なども明確に決めておく必要があります。
事業戦略
企業戦略の策定ができたら、つづいて事業戦略の策定を行います。事業戦略は先述した通り、各事業ごとに領域や資源配分、顧客・市場を定める戦略のことです。
事業戦略は、企業の利益に繋がる戦略のため、事業モデルの決定や顧客・市場の分析は慎重に行う必要があります。
機能戦略
機能戦略とは、企業が事業を行っていく上で、機能組織を適切化させるための戦略を指します。具体的には、企業内の組織を人事、営業、マーケティング、開発などの分野に分けて、それぞれどのような施策を行うのかを決定します。
機能戦略は、企業戦略・事業戦略を達成するために欠かせない戦略となるため、機能別に行う施策を細部まで明確にし、機能間で整合性をもたせることが重要です。
事業戦略の具体的アクション事例
ここまで経営戦略について説明してきましたが、ここからは経営戦略の中でも、事業戦略についてさらに詳しく解説していきます。
事業戦略は、事業ごとに策定するビジネス戦略を指しますが、具体的に事業戦略で検討するべき項目として、下記が挙げられます。
- ビジネスモデル
- 競争優位性
- 事業単位での経営資源の配分
- 顧客・市場分析
上記の項目を検討する上で、事業戦略を施策まで落とし込んだ際の具体的なアクションをいくつかご紹介します。
顧客の購入単価を増やす
顧客ごとの販売数量を増やすことで、一人あたりの購入単価を増やすことができます。増加幅が大きくなかったとしても、新規顧客獲得のためのコストは抑えることができるため、収益効果が期待できます。
画期的な新商品・サービスの開発
競合他社にはない、画期的な商品・サービスを開発することで他社との明確な差別化ができます。自社にしかない強みを把握し、顧客にとって画期的と感じてもらえるような商品・サービスの発想が必要となります。
既存商品・サービスの見直し
新商品・新サービスの開発も事業にとっては大切ですが、一度売れた商品・サービスについても、変化する顧客のニーズや技術の進歩に合わせて見直しが必要です。
新市場の開拓
大手企業は新しい市場での販売基盤を固めるために、競合を買収・合併を行うことがあります。大企業の場合、自社の商品・サービスで既に認知が広まっているため、ベンチャー企業の買収することで商品・サービスの内容をそのまま引き継ぎ、新市場で競争力を高めることができます。
価格戦略
価格戦略には大きく2つの手法があり、購入層を増やすために低価格に設定する戦略と、一般人には手が届きにくい高価格に設定することで付加価値をつける戦略が挙げられます。
低価格設定の戦略を選んだ場合、薄利多売となるため、できる限り数を多く売るための手法を考える必要があります。
一方で、高価格設定の戦略を選んだ場合は、商品・サービスの利益率を高い水準で保ちながら、「高くても購入する価値がある」という点を顧客へ的確に訴求する必要があります。
既存顧客の維持率向上
新規顧客の獲得には宣伝費用など、かなりのコストがかかります。そのため、新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持に取り組む方がコストを抑えながら事業の売上アップの効果が期待できます。
既存顧客に対して、商品・サービスの改善やキャンペーンの打ち出しなど、自社の商品・サービスを選び続けてもらうための施策が必要です。
事業戦略が落とし込める「ポジショニングメディア」とは?
詳細についてはお問い合わせください
上述の事業戦略の事例にもある通り、市場において競合他社との差別化を行うことは非常に重要です。他社にはない・他社よりも優れている自社の強みを顧客に認知してもらうことで、顧客獲得や購買に繋がります。
ポジショニングメディアは、自社の技術や商材にマッチした顧客に絞り込んだ上で集客することができるため、差別化戦略に大いに役立つ施策です。
自社の事業戦略が固まり、注力する事業や製品が決まったら、BtoBやBtoCでピンポイントのターゲットに向けて発信する独自のポータルサイトを制作・運用し、Web上で24時間365日集客を行います。
「契約・購買の可能性が高い顧客」が訪問する仕組みとなっているため、これまでの広告ではなかなか契約にならなかったり、購買に至らなかったりしたケースでも、成果が出ています。
たとえばポジショニングメディアを導入したクライアント様から寄せられている反響には、
- 競合他社との差別化に苦しんでいたが、サイト経由の成約率が5割にもなり差別化の成功を実感
- 契約までのリードタイムが3分の1に短縮、競合から転換できていることが大きいと感じている
- サイトで自社商材を理解してくれてからの問合せなので、これまでと比較するとアポ率が3倍近くになった
といった成果を実感いただいている事例が多数ございます。
これまでさまざまな広告に費用を割いても、
- 顕在性の低い顧客の問い合わせが多く非効率
- 競合他社との比較で負けてしまうことが少なくない
- 自社の強みを商談相手に理解させるのに時間がかかる
というような悩みや課題を抱えるなど、事業戦略やマーケティング戦略にお困りの中小企業が少なくありません。
このポジショニングメディアの成功事例などをまとめた資料が下記よりダウンロードできます。ぜひご活用ください。
事業戦略の策定方法
ここからは、実際に事業戦略を策定する方法を5つのステップに分けて説明します。
1.目的・ビジョン・定量目標の設定
事業戦略策定の際に、まず始めに行うべきこととして目的や定量目標の設定が挙げられます。目的によって、先の行動や手段が変わってくるので目的や定量目標を明確化しておくことは非常に重要です。
「○年までに売上○円を達成する」といったように、具体的な数値目標を設定しておくことで事業に取り組んでいく中で、目標の達成度合いが把握しやすくなります。計画通りに目標を達成できているかどうかが、今後の事業方針を検討する際の指標となるのです。
2.現状分析
目的・定量目標が決定したら、次は現状について分析を行います。現状分析とは、自社を取り巻く外部環境を分析して、その環境の中で現在自社がどのような立ち位置にいるのか把握することです。
市場自体のニーズや競合他社といった外部環境だけでなく、自社のブランド力や開発能力、人材といった内部環境も分析の対象となり、これらをすべてを洗い出して整理します。現状分析は、事業戦略策定プロセスのなかでも特に重要で、現状分析を間違えると今後の戦略すべてが破綻してしまうため、慎重に行う必要があります。
3.方向性の決定
次に、現状分析の結果を基に事業戦略の方向性を決定します。外部環境の分析から、競合他社にはない自社の強み明確にし、その強みを顧客に提供できるような仕組みづくりが必要となります。事業戦略の実現のために、リソースの調達や活用の方向性を決めていきます。
ここでの方向性は、1つだけでなく複数用意しておくことが重要です。1つの方向性に絞っても、その戦略で成果が出るとは限らないため、迅速に次の戦略へ切り替えられるようにいくつかの戦略を準備しておきます。
4.フィジビリティスタディ
フィジビリティスタディとは、事業戦略が実現可能か、どれほどの利益が見込めるのか、などを事前に調査・評価することです。実現可能性の評価とも呼ばれており、「方向性の決定」プロセスで検討した複数の戦略の中から、一番実現可能性の高いものを選定する必要があります。
戦略を実現させたときの費用対効果やリスクなどを、客観的にシュミレーションして綿密に評価することが重要です。
5.施策の設定・実行
最後は、フィジビリティスタディで評価した戦略を、実行可能なレベルの施策まで具現化します。この際、複数の施策案を策定しておき、それぞれのメリットやコスト、重要度から優先順位をつけて実行スケジュールを立てることが重要です。
事業戦略立案に役立つ8つのフレームワーク
上述の通り、事業戦略の策定プロセスにおいて、外部環境・内部環境のデータを収集し、適切に分析することは非常に重要です。ただデータを収集するだけでは、成果を出せる事業戦略の立案には不十分です。
集めたデータを整理し、どのように分析するかが重要となります。
ここからは、そんな事業戦略に必要なデータ分析に活用できる、代表的な8つのフレームワークを紹介していきます。
STP分析
STP分析は、ターゲットと自社の市場での立ち位置を明確にするためのフレームワークです。セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の頭文字をとったもので、STPの頭文字の順番に分析を行います。
はじめに、セグメンテーションでは、消費者を年齢や性別、居住地といった属性に分類します。次のターゲティングでは、ターゲットにする消費者層を設定します。最後にポジショニングで、競合他社の状況も踏まえて市場においての自社の立ち位置を明確にします。
事業戦略立案のベースともなる分析なので、必ず実施するようにしましょう。
3C分析
3C分析は内部環境を分析するためのフレームワークです。顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの要因の分析を行います。具体的には、顧客のニーズと競合他社の動向を分析した上で、自社の強みとなる部分を明確化します。
3C分析は主に、既存の事業戦略の問題点を洗い出し、改善する際に活用されます。
SWOT分析
SWOT分析は決定した戦略を実行に移す際に、自社や市場動向を把握するために活用するフレームワークです。強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)、これら4つの要因について分析を行います。この4つの要因の内、強み・弱みは内部要因、機会・脅威は外部要因に分類されます。
SWOT分析を行う時のコツとして、内部要因が外部要因の影響を受けていることを加味して、外部要因・内部要因の順で要因を洗い出します。それぞれの要因の洗い出しが終わったら、実際に戦略へ落とし込めるように、4項目を掛け合わせてクロスSWOT分析を行います。
SWOT分析によって挙げられた項目は、あくまで状況であり、戦略ではありません。クロスSWOT分析では、実際にこれらの項目を戦略に落とし込むために、4項目をそれぞれ下記のように掛け合わせて分析していきます。
- 強み×機会
- 強み×脅威
- 弱み×機会
- 弱み×脅威
自社の強みを活用して機会を活かす方法について検討します。
自社の強みを活用して、脅威を逆手に取って機会として活かしたり、脅威による影響を避ける方法を検討します。
自社の弱みと感じている部分を強化・補強して、機会を活かす方法を検討します。
自社の弱みを理解して、脅威による影響避けたり、できる限り最小限に抑える方法を検討します。
クロスSWOT分析が終わったら、分析結果を基に実際の戦略に落とし込んでいきます。既存の戦略で改善点が明らかになった場合は、戦略の見直しが必要です。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、市場においての企業の影響力を把握するためのフレームワークで、自社を取り巻く外部要因の分析に活用することができます。競合他社を下記の要因に分けて分析を行います。
- 新規参入企業の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 代替品の脅威
- 既存企業同士の競争
ファイブフォース分析を行うことで、既存企業の競争状況や将来的に新規企業が参入してきた時の脅威を明らかにできます。
これらの分析結果を基に、自社が市場に参入した際の収益予想にも役立ちます。売り手・買い手の状況分析も可能で、需要と供給のバランスを把握することで自社の強みは需要があるのか、検討するための材料となります。
PEST分析
PEST分析は事業を取り巻く外部要因を分析するためのフレームワークです。政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの要因について分析を行います。
外部要因はコントロールできませんが、PEST分析を行うことで市場へ参入する前に外部要因によって自社にどのような影響があるのかを把握できるため、市場参入の可否判断や戦略の策定に役立ちます。
VRIO分析
VRIO分析は自社の内部要因を分析するためのフレームワークです。価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣可能性(Imitability)・組織(Organization)の4つの要因について分析を行います。
VRIO分析は、先述の3C分析の内、自社の項目をさらに掘り下げた分析で、3C分析を行っていることが前提となります。VRIO分析を行うことで、自社が所有する人材や技術力といった経営資源の競争優位性を評価できます。
PDCA分析
業務を継続的に改善していくための手法にPDCAサイクルがあります。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことで、業務にある問題点を洗い出し、改善に繋げていきます。
このサイクルによって、各々の業務を分析することをPDCA分析と言います。PDCA分析は主に、戦略を実行に移した後の継続的な改善活動として用いられます。
バリューチェーン分析
バリューチェーンとは日本語で「価値の連鎖」を意味しており、原材料の調達から顧客のもとに届くまでの企業活動の繋がりを指します。バリューチェーン分析は、この原材料の調達から顧客に届くまでを複数の機能に分類し、一連の流れを「価値のつながり」として表します。
バリューチェーン分析を行うことで、価値連鎖のどの段階で自社の事業が高い価値を生み出しているのか把握することができるため、自社の強みが明確となり競合他社との差別化に役立てられます。
事業戦略をバックアップする施策なら
今回は、事業戦略の策定方法を中心に説明してきました。事業戦略の策定のプロセスにおいて、外部環境・内部環境の現状分析は非常に重要です。
単にデータを収集するだけではなく、集めたデータを整理し、どのように分析するかが効果的な事業戦略の立案において重要となります。そんなデータ分析の際に役立つのが、STP分析や3C分析といったフレームワークです。目的にあったフレームワークを選択し、正しい手順で分析を行うようにしましょう。
事業戦略の策定のために、フレームワークを活用してデータ分析を行うことは重要ですが、あくまで最終的な目標は「事業戦略をどのようにして具体的な施策にまで落とし込むのか」ということです。
データ分析が目的ではなく、最終目標として施策まで落とし込めるか、ということを念頭に置いて事業戦略を策定することが大切です。
事業戦略の立案を行いたいが、データを収集して分析する時間がない、そもそもマーケティングのノウハウがない、事業戦略に活用できる具体的な施策を知りたい、という場合は、ぜひ一度Zenkenにご相談ください。
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