アパレル業界からカテゴリーキラー戦略を学ぶ

アパレル業界からカテゴリーキラー戦略を学ぶ
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マーケティングの言葉でよく聞かれる「カテゴリーキラー」というワード。実際にはどのようなものを指すのでしょうか。
ここでは、カテゴリーキラーとは何か、メリットやデメリットを解説しながら、アパレル業界におけるカテゴリーキラーについて考察していきます。

カテゴリーキラーとは

特定のカテゴリーに絞った商品を大量に揃えて、低価格で販売する小売店の業態を「カテゴリーキラー」といいます。スポーツやアウトドア、スーツ、靴、鞄、下着、ジーンズといったようにカテゴリーはジャンルからアイテム別まで幅広く、安定的な事業運営と収益性の向上を図るビジネスモデルのひとつです。
アパレル業界でいうと、低価格の紳士服専門店やファストファッションブランド、スポーツアパレルショップなどが挙げられます。

商品を大量に低価格で販売

とくに実店舗型のカテゴリーキラーに言えることですが、リーズナブルな価格で商品展開をしているのが特徴的です。
例えば、ラグジュアリーブランドと言われる百貨店に出店しているショップや大幅な値下げが難しい小規模な小売店、ドレスに特化した専門店などは、特定の分野を取り扱うアパレル店だったとしてもカテゴリーキラーには分類されません。
特定のカテゴリーを豊富に揃え、さらに他の企業に価格でも差をつける「カテゴリーと価格で決定的なダメージを与える」ことからCategory “Killer”と呼ばれているのです。

カテゴリーキラーの戦略目的とは

大量仕入れによって徹底的にコストを削ることで低価格の商品提供ができる点を考えると、カテゴリーキラーは基本的に「薄利多売」と言えます。ですが、これは特別な付加価値を付けない代わりにとにかく安く商品を提供する、という高付加価値販売とは逆をついた戦略です。
「デザインやクオリティはそこそこで良いから、安い服を買いたい」と考えているターゲットを集客しやすいでしょう。
また、コストの安い郊外に店舗を出店することで、都市部よりも土地代や家賃・人件費などを抑えられます。さらに、近隣に複数の店舗を出店しておき、倉庫や在庫管理はまとめるという戦略をとっている企業も多いのが特徴です。
仕入れ価格に加え、固定費や管理費などのランニングコストも削減することで、さらなる収益向上を目指せます。

カテゴリーキラーのメリット

「特定のカテゴリ」で商品を「大量に」「安く」販売することで幅広い消費者に認知されるため、ブランドイメージの想起につながります。
「安くても機能性が高い服と言えば○○」「おしゃれな女性に人気のプチプラブランド△△」というイメージを人々の印象に強く残すことで、唯一のブランドとして成長していくのです。
例えば「紳士服と言えば××」というイメージが浸透してブランディングが成功すれば、複数の場所で店舗を展開しても安定した収益を上げられる可能性があります。

カテゴリーキラーのデメリット

大量の商品を安く仕入れて低価格で販売しているカテゴリーキラーには、大衆的なイメージを抱く消費者が多くいるのが実情です。そのため、高価格帯のブランドとして高級路線で商品を販売しようとしても、上手く売れない傾向にあります。
また、特定の分野に集中しているという特徴を持つため、他カテゴリーへの転換が難しいのが実情です。新たなカテゴリーに進出したいときには、別会社や別ブランドを作るなどで対策する必要があります。

アパレル業界におけるカテゴリーキラーとは

日本のアパレル業界で、カテゴリーキラーと呼べる存在の企業をまとめました。

ユニクロ(ファーストリテイリング)

日本のファストファッションの担い手といっても過言ではないほど、人々にブランドイメージが浸透しているユニクロ。国内だけでなく海外での認知度も高まっており、低迷していると言われるアパレル業界において、なお売り上げを伸ばしています。
年代や性別を問わず着られるシンプルなデザインの衣服を低価格で販売することで、幅広い年代層から受け入れられた成功事例です。リーズナブルな価格帯ながら機能性を追求した商品は、次々とヒット。
品質にこだわったブランディング戦略が成功してからは、総合スーパーやデパートの衣料品売り場にとって脅威的な存在となりました。

ワークマン

元々は作業服のメーカーだったワークマン。作業服の専門販売としてのブランドを確立しながら、最近ではファッション性の高さをPRして新たなターゲットの取り込みに成功しています。
SNS世代の女性向けに、女性専用ストア「#ワークマン女子」を展開。製品の高機能性をアピールするために豪雨や豪雪の中でアウターを身につける「過酷ファッションショー」の開催など、話題づくりも得意です。自社工場の生産能力を活かし、低価格を維持しながらも女性向けの商品カテゴリーを増やすことで収益を伸ばしました。
郊外型の店舗展開から、逆に都市部ファッションモールへの進出を成功させた異例のカテゴリーキラーと言えます。

ZOZOTOWN

若い世代に人気のブランドを中心に、多くのファッションブランドが出品しているZOZOTOWN。
実際の店頭で商品や値段を見て、気に入ったらネットショップで購入するという「ショールーミング」の流行や浸透が追い風となり、モール型ネットショップとして圧倒的な収益を上げています。次世代のカテゴリーキラー代表と言えるでしょう。ZOZOTOWN自らも「競合は百貨店である」と発言しており、アパレル業界において日増しに存在感を強めています。

ブランディングと低価格戦略を兼ね備えたマーケティング手法

カテゴリーキラーは、アパレルという分野の中でも、さらに細分化された特定の分野に自社の立ち位置を絞ることで、他企業では真似できない独自の市場をつくりだすことができます。
特定の分野で認知されれば、他の追随をゆるさない唯一のブランドを確立できる可能性も秘めているでしょう。
しかし、カテゴリーキラーには価格競争がつきものです。安い商品を大量に販売して収益をあげるためには、大量仕入れのほかにも工場などの生産ライン、運送ルート、営業店舗など大規模な経営戦略が必要です。価格競争に頼らない集客を目指したいのであれば、紹介したようなカテゴリーキラー以外の方法でマーケティング戦略を練っていく必要があります。

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