ファイブフォース分析で吉野家の戦略に触れる

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そもそもファイブフォース(5F)分析とは?

ファイブフォース分析とは、ハーバードビジネススクールのマーク・ポーター教授が提唱したメソッドです。多くの企業の経営戦略にも用いられている、ファイブフォース分析についてみてみましょう。

ファイブフォース(5F)とは?

ファイブフォース分析は、業界を取り巻く5つの外部要因を分析する手法です。ここでの5つの要因とは、「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」であり、これらの力が強いほど、収益性と魅力度が低いということになります。

業界内の変化や売り手・買い手の力関係を明確に分析できるため、多くの企業で取り入れられているようです。

ファイブフォース分析の目的とは?

ファイブフォース分析の目的は、業界を取り巻く外部要因が、経営に与える影響を分析し、先々の経営戦略に活かすことです。業界の競争構造を分析することで、企業が市場で勝ち続けるにはどうすればよいかを明確にできます。

吉野家をファイブフォース分析してみると…

吉野家の公式サイト画像
引用元:吉野家公式サイト「https://www.yoshinoya.com」

5つの外部要因から経営環境を明確にする「ファイブフォース分析」を使った、吉野家の分析事例をみてみましょう。

吉野家における「業界内の競合」とは?

牛丼業界大手チェーンである吉野家の「業界内の競合」として挙げられるのは、松屋、すき屋などです。牛丼業界は市場の成長率が比較的低いうえに、複数の企業が存在しているため、厳しい競争状態にあるといえます。

吉野家を取り巻く「新規参入の脅威」とは?

牛丼は、シンプルなメニューであるがゆえに、他社との差別化を図りにくいのが現実です。吉野家では、トッピングや定食メニューで独自性を出してはいるものの、他社を引き離すまでには至っていません。

こうした業界においては、新規参入の障壁が低いため、新たな企業が参入しやすいといえます。実際に、牛丼の販売を開始した回転ずしチェーン店も出てきているので、牛丼業界は、既存の競合同士のみならず、新規参入企業との競争も激しくなると予想されています。

吉野家を取り巻く「代替品の脅威」とは?

吉野家は、「早く・安く」食べられるというのが、提供価値です。吉野家と同じ提供価値は、マクドナルドや、立ち食いそばの富士そば、低価格でゆでたての讃岐うどんが食べられる丸亀製麺などにも当てはまります。提供価値が同じということは、お互いが「代替品の脅威」になるといえるのです。

また、ニューノーマルの流れによって、自宅で食べる人の割合が増えていることから、コンビニやスーパー、他企業のテイクアウト参入なども新たな「代替品の脅威」となりつつあります。

吉野家における「売り手の交渉力」

吉野家における「売り手」とは、牛肉や玉ねぎ、米などの原材料を供給する農家や卸業者です。また、出店する土地や建物を扱う不動産業者も該当します。

原材料を供給する農家や卸業者にとって、大手牛丼チェーンの吉野家は、一定量以上を安定的に供給できる取引先です。そのため、交渉の必要性はあまりなく、「売り手の交渉力」は比較的低いといえそうです。

一方、不動産業者に関しては逆です。吉野家のようなチェーン店は、こだわりのメニューで勝負しているような個人店とは違うので、いわゆる「隠れ家」的な場所に出店しても、収益をあげることはできません。収益性を高めるには、駅前や幹線道路沿いなど、利便性のよい場所であることが重要です。そのため、条件に合った土地や建物を扱っている不動産業者の「売り手の交渉力」は高めといえます。

吉野家における「買い手の交渉力」

吉野家における「買い手」とは、消費者です。牛丼業界の場合、よっぽどこだわりがある人を除いては、どの企業も味や価格に大きな差は感じられません。

例えば、吉野家が混雑していた場合、「ほかに競合や代替品がない」「吉野家でしか味わえない商品がある」というのであれば、順番を待つしかありません。しかし、吉野家は競合間との大きな違いがないため、ほかの選択肢はいくらでもあります。つまり、吉野家の「買い手の交渉力」は高めといえるのです。

ファイブフォース分析とは?
事例や分析手法を紹介

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