百貨店集客の成功事例から学べること

成功した男性のイメージ
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集客力が落ちても潰れない百貨店

平日に限らず週末でも閑散としている百貨店もあり、手持無沙汰の店員を見て「百貨店ってなんで潰れないんだろう」と不思議に思う人も少なくないはず。

潰れる百貨店と潰れない百貨店の違いは何なのか?本当に百貨店は斜陽ビジネスと言い切れるのか?
百貨店の集客成功事例を整理しながら解説をしていきます。

本当に百貨店は「オワコン」なのか

いわゆる「オワコン」といわれている百貨店業界。オワコンとよばれるポイントはどこなのか。

  • 百貨店でしか買えないものがなくなった
  • 品質はよいかもしれないが高い
  • 通販で買えるのでわざわざ百貨店に行く必要がない
  • という点が理由として考えられます。

    百貨店は良くも悪くも横並びのマーケティング展開で、高度成長期経済の一翼を担ってきた存在です。ただこのネット時代にはそぐわない、前時代的な要素が少なくないのも事実。旧態依然とした体質から変われない百貨店が「オワコン」化してしまっています。

    閉店のニュースが相次いでいることからもわかるように、地方都市の百貨店はまさに青息吐息。ショッピングモールがあれば事足りてしまう、いまの世の中にはマッチしていない部分が多々あるのです。

    そんな中でも集客戦略によって成功している事例もあります。以下はプレジデントオンラインからの引用です。

    阪急うめだ本店、あべのハルカス近鉄本店、ジェイアール名古屋タカシマヤといった旗艦店は、大規模改装で支持を集めている。そして17年の百貨店の売上高は、新店を含んだ全体ベースでは対前年比0.4%減だったが、既存店売上高の対前年比は0.1%増。チェーンストアが0.9%減、コンビニエンスストアが0.3%減という数字と比べると、百貨店へのニーズが底堅いことがわかるだろう。

    ひとつはJ・フロント リテイリング(大丸松坂屋百貨店)などに見られる「テナント型」。東急ハンズやニトリなど、外部に空間を貸して、安定した家賃収入を稼ぐ。
    エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神百貨店)は、「イベント型」だ。「コトコトステージ」といったイベントや催事で集客を図り、ファンを獲得・定着させていく。
    そして三越伊勢丹ホールディングスの伊勢丹は、商品の独自仕入れ・売り場の自主編集に長けており、百貨店としては最も正統的な「MD型」といえよう。

    「消える百貨店と残る百貨店」
    https://president.jp/articles/-/27618
    引用元:PRESIDENT Online

    生き残る百貨店には3つのタイプがあるとプレジデントオンラインの記事では解説されています。

    ・テナント型
    ・イベント型
    ・MD(マーチャンダイズ)型

    3つの特徴を兼ねそなえているのが「高島屋」

    PRESIDENT Online「消える百貨店と残る百貨店」より引用

    関東と関西に旗艦店を持ち、MDにも催事にも強い。ショッピングセンターの運営も、百貨店の中で最も実績がある。さらにシンガポール、ベトナム、タイなど海外事業も着々と拡大している。競争力は堅実といえよう。

    このように、生き残る百貨店と潰れる(オワコン)となる百貨店にはそれぞれ特徴があるということがわかりました。生き残る百貨店は新しい価値観や変化を受け入れ、そして、実現できる体力がある。

    反対に生き残れないのはどちらかが欠けているか、もしくはその両方か。

    そして百貨店の経営体力となる売上・利益をもっとも多くもたらす生命線のひとつが、外国人観光客をターゲットにした「インバウンド」による収益です。

    百貨店はインバウンドで回っている

    インバウンド

    いまさら説明するまでもありませんが、百貨店の売り上げを大きく左右するのは、インバウンド消費です。いち早くインバウンド専用フロアを整備した銀座三越のように、多くの中国人観光客が爆買いするようすがニュースになってきました。

  • インバウンド = 外国人が観光目的などで訪日すること
  • インバウンド消費 = 訪日外国人の日本国内での消費行動(買い物など)
  • ということになります。2019年5月時点の全国百貨店の免税売上動向を調べてみると、売上高は前年同月比でおよそ108%と売上を伸ばしています。

    百貨店の中でインバウンド需要の高い商品は、化粧品、食品、ブランド品などです。

    ただ直近ではご存知のようにコロナウィルスの関係で訪日中国人の数が減り、大きな打撃を受けているというのが実情です。

    中国の食べログ『大衆店評』の活用

    銀座三越などは中国の食べログやホットペッパービューティ―のような口コミアプリ『大衆点評』を活用した戦略を立て成功しました。

    『大衆点評』のユーザー数は約6億人(2017年)、アクティブユーザーは2.5憶人にのぼるといわれています。公式店舗ページに登録してクーポンを配布、訪日中国人はみなこれを活用するために百貨店に押し寄せます。

    このアプリににいち早く目を付けて中国人観光客の集客に力を入れた結果、2012年は2%、2013年は5%、2014年は12%、2015年は25%で売上増になっています。

    「歴史あるブランド」として老舗百貨店の意地

    とはいえ、100年以上続く老舗百貨店のブランドはゆるぎなく、特に外商顧客と呼ばれる富裕層によって百貨店の経営は支えられています。、ここまで、ご紹介してきた内容を振り返ってみても、続かない百貨店と続く百貨店の違いは古い価値観を捨て、新しいものへの取り組みやアイデアを参考にすることにあるといえます。

    斜陽ビジネスといわれていることは一部事実かもしれませんが、百貨店の歴史はそう簡単に崩れるものではありません。するべきことは店舗ごとや立地ごとのしっかりとしたマーケティング戦略です。

    長く培われてきたブランド力を正しくつかい、独自の強みを活かし、消費者へ向けて生活を豊かにするワンランク上の提案をしていくことが求められています。

    業界が落ち込んだというよりも、専門性に特化した特化店が出てきたことにより顧客が流入したため、取り戻そうとすればそれ以上の施策をうたねばなりません。

    次は実際に百貨店がいってきた施策の事例をご紹介していきます。

    百貨店が集客力アップのためにやっていること

    百貨店が実際にいっている集客力アップの手法とはどのようなものがあるでしょうか。高額収入男性をターゲットにした改装、キャリア女性をターゲットにした売り場をつくる。セグメンテーションを明確にした売り場改革が進んでいった百貨店の取り組みをまとめました。

    伊勢丹新宿店メンズ館

    百貨店のメンズファッションとしてのメインだったのはスーツなどのビジネスウェア。しかし、時代の多様性と他の小売店の成長により百貨店で買うスーツの需要は落ちてしまっている感があります。2019年3月16日のリニューアルオープンに伴いビジネスウェアの売り場については縮小され、代わりにカジュアルウェアの売り場が拡大されました。

    ファッション業界の市場規模については、圧倒的に女性市場のほうが売上が高く男性向けのファッション市場は女性の3分の1程度。東京を代表するメンズファッションビルでもあったルミネマン渋谷が2017年7月に閉館し、SHIBUYA109メンズは2019年2月に業態転換をはかるなど、ファッション感度の高い男性にとってみると数年で買いにいく場所がなくなってしまったと感じるほど変化がおこっています。

    伊勢丹新宿店メンズ館の狙いは、そんなファッション感度の高い男性、主に若い世代を取り込みたいという意向の表れなのでしょう。そして若い世代へのアプローチはこれだけではなく、モノ消費からコト消費への転換もはかり、一部無料体験コーナーで男性化粧品や香水といった美意識の高くなった男性の要望にもこたえています。

    阪急メンズ東京

    伊勢丹新宿店メンズ館と時を同じく2019年3月15日にリニューアルオープンしたのが、阪急メンズ東京。王道を攻めつつ新しい世代を取り込もうとした伊勢丹新宿メンズ館と変わって、ヴィンテージものなど個性の強さ・マニアックさを追求した路線へと転換。

    リニューアルオープン時にもにぎわいをみせていたのが、ファンション売り場よりもアダルトグッズショップのTENGA STORE TOKYOです。かなり際立った変貌で、いろんな意味で注目もされ阪急メンズの生まれ変わった象徴になりつつあるショップです。

    百貨店にアダルトグッズという少し昔ではありえないといわれそうな組み合わせですが、これこそまさに古い価値観を捨て、新しい百貨店のあり方として地域に根付くための改革だといえます。

    正解だったどうかは今後の展開によりますが、かなり話題をよび人々の関心を集めたのは間違いありません。

    松屋銀座

    老舗百貨店がおこなったライバルに勝つための施策は文化的なイベント・催事の強化でした。GINZA SIXから松屋銀座へ流入したのは明確な差別化ができたのと、催事のターゲットが明確でありわかりやすかったという点です。その他にも高級ブランドのデジタル商品券の導入で、新しいギフトの形を提案するなど積極的に改善をはかっている。

    鶴屋百貨店

    熊本市にある、創業65年以上たつ老舗、鶴屋百貨店。
    これまでにご紹介した事例とはまた一風変わった、人情や感情面に訴えたものが多くなっています。

    地域にとことん密着したスタイルで業績を回復。ある意味空気と同じくらい生活インフラの一部のようになるという気持ちを持つ。

    そのような発想から「儲からない場所は客のためにつかう」ということをポリシーとしてかかげている。具体的には売上の上がらない場所を無料のキッズスペースに変えたことなど、次々に変えていった。

    さらに驚きの施策は、社員たちの独自の企画で社員が結成する「鶴弥コーラスグループ エンジェリア」。なんと、店内の広場で突然歌いだすという。自分たちの発送・アイデアや気持ちで、会社を変えていけるという感覚。そんな環境であれば、仕事も楽しくなります。

    大丸東京店

    戦略的な売り場を構築、常識にとらわれない大胆な構想。

    まずは、デパ地下をつかったお弁当戦略。デパ地下に並ぶ店舗は初モノへのこだわりが強く、「創作鮨処タキモト」「牛たん かねざき」「玉ひで からっ鳥」など東京発進出。中には1万円近いお弁当もあり新幹線の利用客を狙うほかにもランチ向けの1,000円以下のお弁当もつくる。これらは全て「立地に対するニーズ」を徹底的に分析することで生まれています。

    大胆な売り場戦略は他にも。百貨店の1階といえば化粧品売り場というのが定番ですが、東京駅の利用客がお土産を買いやすいようなジャンルの「スイーツ」の名店で固めている点。では化粧品売り場はどこにいったかというと、全て2階に集約している。そして、そうすることで集客アップにつながっているとのこと。理由は人の出入りの多い1階よりも2階のほうが女性が立ち寄りやすくなるからです。

    その他にも5階の婦人服売り場には丸の内で働くOLを意識して、格安ファストファッションのZARAが入っていたり、中階層には3フロアを全て家電量販店が埋め尽くしていたりと、百貨店としての売り場づくり、セオリーというものを気にせず、全て消費者が必要とする売り場を用意している。

    さらに面白いのは家電量販店内にある、ポケモンセンター。年齢層が高くなっていく百貨店に子ども連れの客を呼び込むために誘致したという。

    その他にも売り場に適した人材の再配置など細やかで隙のない戦略で経営をV字回復させた好事例です。

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