ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?手法やメリットを解説

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?手法やメリットを解説
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近年、BtoBマーケティングで注目されている「ABM(アカウントベースドマーケティング)」についてご存じでしょうか。

ここでは、ABMとは何かを解説しながら、実際にABMを行う際のポイントについておさえています。営業活動にも役立つ情報なので、ぜひ参考にしてみてください。

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは
ABMとは「アカウントベースドマーケティング」の略で、BtoB企業におけるマーケティング戦略のひとつです。幅広い顧客に対して均一に対応をするのではなく、優良な「企業=アカウント」をターゲットとしてアプローチを行います。

このとき、「売り上げ上位の顧客だけ」というように、自社にとって価値のある「優良な企業」を絞り込み、その企業に適した戦略を策定していくのがポイント。

ABMは「売上の8割は、全体の2割の上位顧客で生み出される」という「パレートの法則」を活用したマーケティングです。特定の企業を定め、複数の部門が連携してその企業に最適な商談を行うことで、効率的に案件の受注につなげていけるようになります。

企業に対するマーケティング活動

ABMと似たようなマーケティング活動に「マーケティングオートメーション(MA)」がありますが、これは個人を絞り込んで行う戦略です。ABMは企業をひとつの「アカウント」として見なしてアプローチを行います。

ABMとMAのちがいは、よく漁業に例えられます。顧客(個人)がいそうなところに網を投げて、たくさんの魚を獲ろうとするのがMAです。魚を決めて狙いを定め、モリで獲るのがABMと考えると分かりやすいでしょう。

個人に対して行うMAは、ビジネスタイプでいうと新規顧客を獲得する際に向いています。一方でABMは、特定の企業に集中して施策を打ち、既存ビジネスの拡大を図りたいときに有効です。

ABMが注目されている理由

ABMが注目されている理由
企業に対して行う営業活動やマーケティングの概念はこれまでにもありましたが、なぜ今になってABMの考え方が重視されるようになったのでしょうか。

取引先との関係性が変化してきた

これまでの日本企業では、「取引先(顧客)のためにひたむきに尽くす」という、お客様第一主義の姿勢を評価する風潮がありました。しかし、近年での顧客第一は「顧客の立場に立ち、顧客のニーズにあった製品やサービスを提供する」という考え方が主流です。

それによって、取引先との関係を「対等なパートナー」と位置づける会社が増えてきました。自社の売上に貢献してくれる顧客を、企業側が選ぶ時代になってきたのです。

この価値観の変化から、顧客が生涯にわたって会社にもたらす利益LTV=「ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)」が重要視されるようになり、企業単位でマーケティングを行う考え方が注目されるようになりました。

ITの進化で対応しやすくなった

顧客管理などのITツールが発達し、浸透してきたことでABMを実施しやすくなりました。

例えば、従来は営業社員の1人ひとりが机の中で名刺を管理し、対個人で営業を行ってきましたが、ITツールを使うと名刺を顧客データとして一元的に管理できます。

「これまでに社員が取引先の誰と会ったか」「どの部署とまだコンタクトを取っていないか」などを可視化できるようになったのです。

部署ごとが持っている情報や活動を「会社の情報資産」として扱えるようになり、企業全体としてのアプローチがしやすくなりました。

組織体制によるデメリットをなくせる

日本企業特有の「事業部制」による営業活動への弊害をなくせることも、ABMが重視される理由のひとつです。いくつもの事業部に分かれている企業では、マーケティングや営業のプロセスを、それぞれの部署で完結させている会社がほとんどでした。

すると、同じ会社内で動いているのに非効率的な仕事をしていることがあります。例えば営業事業部がアプローチに苦戦している顧客に対して、マーケティング事業部はすでに取引をしていた、というケースがよく起きていたのです。

会社全体で考えてビジネスの機会を失うことを防ごうとする動きの中で、社内での連携を効率化させるためにABMを取り入れる企業が多くなってきています。

取引の意思決定方式が変化してきた

これまで、企業では経営者や役員などが取引の意思決定を行うトップダウン方式が主流でしたが、近年では、複数人で意思を決定する「ボトムアップ方式」を採用する企業が増えてきました。

ボトムアップ方式ではメンバーが複数名となるケースが多いため、トップの経営者のみに営業をかけてもなかなか成約に結びつきません。そこで、組織全体でとらえてアプローチするABMが有効になってきました。

ABMのメリット

費用対効果の向上

ABMのメリット
売上の見込みが通常顧客よりも高い企業に絞り込むことで、リソースを割くべきところが明確になり、費用対効果の向上につながります。

重要な顧客へ集中的にコストを投下することで無駄をなくし、効率的に成果をあげられるでしょう。幅広い顧客層に対してマーケティングや営業を行うよりも、高い費用対効果が見込めます。

マーケティングが効率的になる

これまでにかけていたコストを特定の企業(アカウント)に集中することで、マーケティング戦略を立てやすくなります。企業の特性やニーズに沿ったキャンペーンなど、最適なタイミングに適切なプロモーションを打ち出すことも可能です。

資金の無駄を減らせることから、注力すべきところに集中してリソースを投下できます。

効果測定しやすい

顧客を絞り込んでいるため、効果測定がしやすくPDCAを回しやすいというメリットがあります。

営業で仮説を立てて実際に営業して検証するまでの効果、メールや広告、Web、イベントやキャンペーンなどのさまざまな活動に対し、それぞれでどう効果があったかを検証しやすく、結論を導き出しやすくなります。

ABMに向いている企業とは

大口顧客がいて複数の商談を持ち、複数名の営業担当者がいる企業に向いています。また、いくつもの事業部に分かれている中規模以上で、営業体制に課題を感じているような企業は効果が出やすいでしょう。

逆に、商談単価の低い顧客が中心という企業、営業担当者が少ない企業、事業部ごとの連携が十分にとれない・難しいといった企業には向いていません。

顧客管理のIT化によって効率化を図りながら、マーケティングオートメーション(MA)などの施策をベースに戦略を行う必要があります。

ABMを実施する方法

ABMを実施する方法

1.アカウントのリストアップ

まず、自社にとってアプローチに注力すべき企業(アカウント)はどこかを絞り込んでいきます。パレートの法則に従って「売上の大半を占めている2割の顧客」をリストアップし、既存取引の大きさを確認しましょう。

取引履歴、営業に対するレスポンスの大きさなどのデータがあれば、これも判断基準として活用できます。

さらに、「価値の高い顧客の基準」を定めて絞り込みます。価値の高い顧客かどうかは、以下3つのポイントを基準に判断します。

  • 成約に結びつく可能性が高いか
  • アカウントの市場における影響度
  • リピーターになる可能性はあるか

このとき、自社の製品・サービスが市場でどのくらいの規模を占めているかを分析し、総需要から収益を予測してみると良いでしょう。もしここで目標の収益を見込めないようなら、選定を見直していく必要があります。

2.キーパーソンの特定

ターゲットとなる企業(アカウント)において、経営的意思決定に影響力を持つキーパーソンを特定しておきましょう。

企業(アカウント)の組織構造を把握し、部署や役職、業務内容まで掘り下げて、その部署での重要人物やインフルエンサーになる人を特定します。

取引履歴や名刺を確認し、まだそのキーパーソンとのタッチポイントがない場合には営業部署などと連携して、情報を入手しておきましょう。企業(アカウント)が複数人で意思決定を行うボトムアップ方式を採用している場合、効果につながるカギとなります。

3.ターゲットごとにキャンペーンを実施

企業(アカウント)を絞り込んだら、その企業のニーズに対応して、それぞれ最適なキャンペーンを実行していきます。このとき、ABMをサポートしてくれるツールがあると効率的です。

対象の顧客専用の広告を用意する、最適なタイミングでコンテンツを配信して興味を引く、最重要アカウントには特別なコンテンツを提供するなど、意思決定権のあるキーパーソンやインフルエンサーに向けて発信します。

4.効果測定と改善

キャンペーンを実施したら、しっかりとアプローチできたか、対象企業とのエンゲージメントは強化されたかを中心に測定し、改善を図っていきます。

実際の取引量がアップしたかはもちろん、対象企業とのミーティングや販売機会が増えたか、Webサイトへのアクセスや問い合わせは増えたかなど、営業のプロセス全体で結果を確認することが大切です。

ABMをサポートしてくれるツールの一例

ITの進化により、ABMをサポートしてくれるツールも日々登場しています。ABMツールを導入することで、従来は商品・サービスごとに顧客管理されていたデータを企業単位で管理できるようになりました。

ABMツールを使用することにより対象企業に対し、適切な時期に適切な施策を打つことができます。

ここでは、ABMを促進してくれる代表的なツールを紹介します。

Marketo(マルケト)

全世界で5,000社以上の導入実績があるAdobeのクラウドサービスです。顧客管理のほか、顧客のオンラインの動向をとらえるのが得意。顧客の行動やその背景にある顧客のインサイトを把握して、コミュニケーションを促しながらパートナーとして良好な関係を構築することを目指せます

既存のCRMと連携できるため、これまでのデータを活用することも可能です。

また、Marketoは700社以上のパートナーと連携しており、定期的に企業のマーケター同士が情報交換を行うことも可能。銀行や情報通信、製薬会社などに選ばれています。

uSonar(ユーソナー)

日本全国の法人企業データベース「LBC」を搭載しているABMツール。既存客データを統合させて未取引のターゲット企業を特定し、効率的にマーケティング活動を実践できます。また、Google Chrome上の検索結果と連携しているのが特徴です。

例えば「都内の情報通信業」のようなキーワードから、Google Chrome上で自社がターゲットに適している企業、アプローチすべき企業を割り出してくれます。

FORCAS(フォーカス)

144万社以上の企業データベースをもとに顧客分析を行い、受注傾向や営業時のポテンシャルを把握できるのがFORCASです。過去の受注企業をインポートすると、狙うべき企業やターゲット戦略の決定まで提案してくれます。

高精度のアルゴリズムにより「成約する確率の高いターゲット」を効率的に検索して分析し、どんな営業やアプローチが適切かまでアドバイスしてくれます。ほかのABMツール同様、基本料金は問い合わせる必要がありますが、無料トライアルも行っているようです。

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ABMは営業リソースの見直しに最適

ABMは営業リソースの見直しに最適

ABMは、自社の利益に直結しやすい顧客を絞り込み、戦略的にマーケティングを行いたい際に有効です。事業部署の連携や体制改善にも役立つため、主に企業向けに商品やサービスを提供している中規模程度の企業にとって大いに有効と言えます。

さらにABMをサポートしてくれるツールを使えば、本来なら事業責任者がやっているような戦略やアプローチをツールが自動で提案してくれます。専門的な人材を配置できない企業にも十分メリットがあるでしょう。

しかし、導入コストが高い点やABMと相性の良くない企業が行うと効果が出にくく、無駄なコストになってしまう可能性もあり、導入するには慎重な見極めが重要です。

BtoBの集客においてお困りの企業様は、いつでも全研本社までご相談ください。クライアント独自の強みを分析し、その強みを軸としたマーケティング戦略をご提案いたします。

特に競合との差別化ポイントを明確に伝えることができるポジショニングメディア戦略を得意としており、クライアント企業と相性の良いユーザーを狙った集客・マーケティングを可能にしています。

ABMを含めたマーケティング戦略でお悩みや課題がありましたら、ぜひご相談ください。

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