現在、日本は世界一高齢化が進んでいる国です。平成29年の時点で高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が27.7%となっています。この状況は高齢化社会を通り越して、超高齢社会(高齢化率が21%以上)と定義されるほどです。

高齢化率は今後もほぼ間違いなく上昇し続けるため、高齢者向けの広告媒体を押さえておけば、新たなビジネスや広告戦略を検討しやすくなります。

そこで、当ページでは高齢者に対して有効な広告媒体の種類や、実際に広告を作成する際のポイントを解説していきます。

高齢者向けの広告媒体とは?

広告媒体は大きく分けて、以下の3種類が存在しています。

  • Web広告(インターネットを使った広告)
  • マス広告(マスメディアを使った広告)
  • SP広告(ニッチメディア使った広告)

最近はあらゆる世代にスマートフォンが普及していることもあり、高齢者に対してもWeb広告が有効になっています。しかし、インターネットなしで情報発信できるマス広告とSP広告には、まだまだ及ばないのが実情です。

特に年齢層が上がるにつれ、インターネットの利用率は低下するので、マス広告とSP広告の優位性も自然と高まります。

そのため、高齢者にプロモーションをかけるなら、主流はマス広告とSP広告、余裕があればWeb広告にも取り組むといったスタイルが最適です。

高齢者に効果が期待できる広告

集客力の高い施策
マス広告とSP広告の中でも、特に高齢者に効果が期待できるのは「紙媒体」です。

紙媒体は昔から存在しているため、高齢者にも馴染んでもらいやすいことが大きなメリットです。また、高齢者層は若年者層に比べて、時間に余裕を持っている人が多いので、じっくり読んでもらえることにも期待できます。

新聞広告

「新聞広告」はマス広告に該当します。新聞の誌面上に設けられた、指定の広告スペースに掲載する広告です。

財団法人新聞通信調査会が平成30年に行った「メディアに関する全国世論調査」によると、新聞を毎日読んでいる人の割合は、10代~30代だと2割以下、40代~50代でも4割強に低い数値を示しています。一方、60代になると6割以上、70代以上は8割弱と目に見えて数値が増えています。

つまり、新聞は高齢者への情報発信ツールとして、今までと変わらず大きな役割を担っているのです。そのため、新聞広告を掲載すれば、高齢者に対して効率的に訴求することができます。

新聞広告には、記事の下に掲載する「記事下広告」、記事の中に掲載する「記事中広告」、題字の下や横に掲載する「題字下(題字横)広告」など、様々な種類があります。

掲載費用は新聞によって異なりますが、原則として広告スペースが大きいほど、または広告の位置が目立っているほど、料金がアップするという認識でOKです。

基本的に新聞は毎日発行される上、発行部数も多いので、情報をスピーディーに拡散させることができます。また、新聞はメディアとしての信頼性に優れているため、広告内容も信頼されやすいことがメリットです。

新聞広告のデメリットとしては、毎日発行されるという性質上、プロモーション効果も1日で終わってしまうことが挙げられます。長いスパンで訴求したい場合は注意しましょう。

雑誌広告

「雑誌広告」はその名の通り、雑誌内に掲載する広告です。これもマス広告に該当します。

雑誌と一口に言ってもたくさんありますが、特に趣味や健康、ライフスタイルなどに関する雑誌は高齢者に好まれています。そのため、紹介したい商品と雑誌のジャンルが合致しているなら、高いプロモーション効果に期待できるのです。

雑誌広告には、編集者が作成する「雑誌タイアップ広告」と、広告代理店が作成する「純広告」があります。前者は広告というより記事に近い内容なので、読者に受け入れてもらいやすいことがメリットです。一方、後者は背表紙や裏表紙などに大きく掲載できるため、インパクトを持たせることができます。

雑誌広告全般におけるメリットとしては、ジャンルや読者層から細かくターゲティングできることが挙げられます。特定のユーザーに対して、ピンポイントに訴求することも可能です。

デメリットは競合他社が多く、似たような広告が掲載されやすいことです。そのため、キャッチコピーやデザインでしっかり差別化を図ることが重要になります。

フリーペーパー

「フリーペーパー」は駅構内やコンビニ、スーパーで配布されている無料情報誌です。種類としてはSP広告に該当します。

無料なので入手性が高く、新聞や雑誌を読んでいない人も手に取る可能性があります。そのため、フリーペーパー内に広告を掲載すれば、幅広いユーザーに訴求することが可能です。

また、フリーペーパーはジャンルのほか、地域に特化しているものが多いので、ターゲティングしやすいこともメリットです。クーポンやサービス券といった特典を付ければ、プロモーション効果はさらに高まります。

ただし、フリーペーパーは掲載される広告の数がとても多いため、自社の広告をスルーされてしまう恐れもあります。

折り込みチラシ

「折り込みチラシ」はSP広告にあたりますが、主に新聞とセットで配布されるため、マス広告の恩恵(情報拡散性や信頼性など)を受けることができます。

特に高齢者は新聞を読んでいる人が多いので、折り込みチラシにも目を通してもらえる可能性は高いと言えるでしょう。

また、折り込みチラシは配達地域や配布日時を指定できることもメリットです。特定の地域に対する、タイムリーなプロモーション展開が可能となっています。

折り込みチラシのデメリットは、他のチラシも一緒に配布されることです。ユーザーの興味を引くため、内容はもちろんデザインも洗練させる必要があります。

会員誌

「会員誌」は特定の人にだけ配布されるクローズドメディアです。例えば、通販サイト会員に向けた「通販カタログ」や、ジム会員に向けた「クラブ会報誌」が挙げられます。ここに掲載する広告はSP広告に該当します。

会員誌は配布先が限定される分、ターゲティングも容易です。いわゆる広告の無駄打ちが起こりにくいため、効果的なプロモーションが可能となります。

また、会員は自発的に入会しているため、入会先の企業・グループに信頼を置いています。つまり、会員誌=信頼できる情報源なので、そこに掲載されている広告への信頼性も高まるというわけです。この信頼によって、ブランディング効果や、知名度アップ効果に期待することもできます。

ただし、会員誌は信頼関係を崩さないよう、広告の審査基準が非常に厳しくなっています。会員誌のテーマやイメージとかけ離れていたり、読者への配慮が足りなかったりすると、広告掲載を断られてしまいます。

行政メディア

「行政メディア」は市町村が発行している、公的な広報誌などを指します。ここでも広告を掲載できますが、性質としてはフリーペーパーの広告に似ています。該当する種類もSP広告です。

内容は地域によって異なりますが、税金・年金・福祉・健康診断など、生活に欠かせない情報が掲載される傾向にあります。そのため、大切な情報源としてチェックしている高齢者も多いのです。

そこで、行政メディア内に広告を掲載しておけば、自然と高齢者を訴求できるようになります。公的な機関が発行しているため、社会的な信頼感があることもメリットです。さらに、行政メディアは基本的に無料で配布されるため、幅広いユーザーに広告を届けることができます。

一方、デメリットは他の広告も一緒に掲載されることです。自社の広告が埋没しないよう、工夫する必要があります。また、行政メディアによっては広告を募集していなかったり、審査が厳しかったりする場合があります。

広告を作成する際のポイント

広告は掲載先や業者に外注できる場合もあれば、自分たちで作成しなければならない場合もあります。そこで、広告を作成する際に注意しておきたい、3つのポイントを紹介していきます。

高齢者・シニアという単語を頻繁に使わない

高齢者向けの広告でも「高齢者」や「シニア」という単語や、それを想像させるような言葉は、あまり多用しないほうが無難です。

高齢者と呼ばれる年齢になったからといって、考え方や趣味がいきなり変化することはありません。それなのに、「高齢者にオススメ!」といった感じで押し付けると、人によっては「年寄り扱いしないで欲しい!」など、不快感を感じてしまう恐れもあります。

特に最近は65歳以上でも元気で若々しい人が多く見られますが、気持ちの面でも「自分は高齢者・シニアではない」「まだまだ若い」と考えている人は多いのです。

そのため、高齢者・シニアを強調しすぎないよう表現を工夫しながら、広告を作成することが重要です。広告の文章はもちろん、写真やイラストにも十分配慮しましょう。

文字サイズやフォントに注意する

見た目や気持ちが若くても、高齢者と若年者は身体機能が違います。特に視力の衰えに悩んでいる人が多いため、高齢者向けの広告は読みやすくすることが重要です。

読みやすさをアップさせるには、まず文字サイズを大きくする必要がありますが、ただ単にサイズを上げればいいというものではありません。行間や文字間隔、改行位置にも調整しないと、かえって読みにくくなってしまいます。

また、文字のフォントにも配慮が必要です。読みやすい広告にしたいなら、個性的なフォントよりベターなフォントを使ったほうが効果的と言えるでしょう。

これらに加えて、文字色にも注意しなければなりません。目立たせたいからといって、やたらとカラフルにしたり、きつい蛍光色を使ったりするのはNGです。

広告に説得力を持たせる

高齢者は若年者に比べて目が肥えていることもあり、納得できなければ商品を購入しない傾向にあります。衝動買いしてくれることも少ないため、広告内容にしっかり説得力を持たせることが重要です。

例えば、キャッチコピーや文章に具体的な数値を掲載したり、商品の効果がわかる証拠写真を載せたりすることで、より納得してもらいやすくなります。

わかりやすい言葉を使う

略語や流行語、難しい専門用語など、高齢者にとって馴染みが薄そうな言葉は使わないようにしましょう。当たり前のように使われている言葉でも、高齢者にはピンと来ない可能性があるのです。

誰にでも理解できる簡単な言葉を使って、わかりやすく明確に表現することが重要です。

情報を詰め込みすぎない

わかりやすい広告を作るためには、掲載する情報量にも注意しなければなりません。特に高齢者は認知能力が低下傾向にあるため、1つの広告に情報を詰め込みすぎると、内容を正しく理解してもらえない可能性が出てくるのです。

そのため、掲載するべき情報を選定することはもちろん、広告のレイアウトもしっかり整える必要があります。理想は一目見るだけで「何の商品なのか」「どんな魅力があるのか」を理解できることです。

見やすい色使いを心がける

広告は内容だけではなく、視認性に関わるデザインも重要です。特に色使いは商品の印象にも大きく影響するため、慎重に選ぶ必要があります。

背景や枠の色を検討する際は、文字色も念頭に置きながら考えましょう。広告は見た目の美しさよりわかりやすさが大切なので、文字がはっきり見える色の組み合わせがポイントとなります。

また、高齢者に好まれやすい色としては、男性なら青と緑、女性ならピンクとオレンジと緑が挙げられます。男女問わず、緑色が好まれる傾向にあるので、色使いに迷ったら参考にしてみてください。

60代以上もインターネットを利用している


ここまで紙媒体による広告を中心に解説してきましたが、最近は高齢者にもWeb広告が効果を発揮しています。

実際、平成29年のインターネット利用率を見ると、60~64歳は8割以上、65~70歳は7割弱、70~79歳でも5割弱と、かなりのユーザーが存在しています。また、今はスマートフォンを使いこなす高齢者も増えているため、高齢者とインターネットの距離は確実に縮まっているのです。

これを踏まえると、高齢者に向けたWeb広告も決して無視できません。そのため、紙媒体の広告と合わせて、Web広告による訴求を行うことも、前向きに検討するべきでしょう。

まとめ

高齢者向けのプロモーションを考えているなら、新聞広告やフリーペーパーなど、直接手に取って確認できる媒体が効果的です。しかし、最近は高齢者にもインターネットやスマートフォンが普及しているため、Web広告も戦略の1つとしてオススメできます。

この辺りは地域や商品によっても変わってくるため、柔軟に対応できるよう複数の広告媒体をチェックしておきましょう。