【マーケティングシフト】コロナウイルスで変わる消費者行動へのマーケティング戦略

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コロナによる自粛で消費者行動が変容、マーケティングシフトが急務

コロナウイルス感染リスクを下げるために消費者行動が大きく変容しています。巣ごもり需要への対応や、デジタルシフトで見えてくる新たなニーズについて考察していきます。

毎朝の通勤電車や街の人出を見てもわかるように、コロナ前といまとでは人の行動に大きな変化が生じています。「緊急事態宣言」の期間は2020年5月6日までとなっていますが、コロナウイルス感染症がすぐに終息するわけではありません。

コロナ自粛により考えられる業務上の影響

まずはビジネスの面で、コロナ前と後でできなくなっていることを整理してみましょう。

  • イベントや展示会などの中止による販促・販売機会の損失
  • 臨時休業などによる販売・サービス提供機会の減少
  • 時短営業等による売上の減少
  • 対面によるサービス提供機会の減少
  • 対面による営業機会の損失
  • 外出自粛による広告効果の減少(看板や街頭広告等のオフライン広告)
  • 消費行動減少による売上減少、購買率の低下
  • リモートワーク(テレワーク)による業務効率低下
  • 従業員のモチベーションの低下
  • セミナー、見学会休止による営業機会の損失
  • 人材採用スピードの低下
  • 新卒研修など人材育成の遅延・低品質化

観光業や交通機関、遊興施設、飲食業、風俗業など「3密」に関わる接客業を中心に多方面にわたり影響がでており、いつになれば経済が正常化するか、だれにも予測ができません。終息を待つことはできないのです。

「経済死」を招かないためにも、まずはコロナの影響で変容した消費者行動に合わせ、マーケティングシフトをしていく必要があります。

外出規制は2022年まで必要という報告も

米国の米科学誌サイエンス(電子版)に掲載されたハーバード大が発表した論文によれば、「断続的な外出規制が2022年までは必要とする」といいます。

ワクチンや薬の開発が進めば期間短縮の可能性もありますが、今後長期にわたる対策が必要なことだけは確かです。こうした専門家の発言は経済界にさらに大きな影響を与えます。

コロナによりデジタルシフトした消費者行動

ニッセイ基礎研究所では、「暮らしに関する調査」の定量調査を実施していますが、そのなかからコロナに関する興味深いデータを紹介します。

引用元:「ニッセイ基礎研究所」https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64044&pno=3?site=nli
※調査期間:2020年3月6~7日 調査対象:全国20~50代男女 調査人数:3,929(有効回答)

上記の図はコロナに関する質問に回答した3,929名の回答ですが、外出が抑制されて自宅にいる時間が長くなった消費者の行動がどのように変化しているかがわかります。

テレビの視聴時間の次に増えているのが「ネットサーフィン」で43.8%増、動画配信サービスの視聴が27.5%増、インターネットショッピングが20.9%増と、オンライン行動がかなり増加していることがわかります。

通勤・通学も含め外出を控え、旅行をキャンセルし、運動や娯楽も自粛せざるを得ない現状で、唯一行動量が増えているのがデジタル上の行動なのです。

さらにコロナウイルスへの感染に対して不安に感じている人と、感じていない人には、大きな違いがあることもわかりました。

コロナに対する不安からネットに走る消費者達

さらにニッセイ基礎研究所の調査結果で「コロナに不安がある人」と「コロナに不安がない人」には、行動に違いがあることがわかりました。

引用元:「ニッセイ基礎研究所」https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64044&pno=3?site=nli
※調査期間:2020年3月6~7日 調査対象:全国20~50代男女 調査人数:3,573(有効回答)

上記の図でわかるように、コロナに対する不安がある人と不安を感じない人を比較すると、外出抑制で増えた行動について「テレビの視聴」は非不安層より18.8%UP、「ネットサーフィン」は13.9%UP、「インターネットショッピング」は10.8%UPしています。

ニッセイ基礎研究所の記事によれば、コロナに対する不安で外出を自粛している人ほど、テレビやネットでの情報収集の時間が長く、さらにコロナ不安があおられるという「負のスパイラル」に陥っていると解説しています。

ただこれは、消費者行動が今後どのように変容していくかがわかる、マーケティングシフトのサインでもあるのです。

巣ごもり消費者に購買行動を起こさせるには?

街に出る機会が減り、電車やバスなどの公共交通機関も使わない。飲食店での食事もしない。映画もコンサートもイベントもない。下手をすれば、身内に会う機会すら減っています。

このような状況下にある消費者に対して、これまでどおりの販売やプロモーションのままでよいはずがありません。消費者の行動変容に合わせて、コロナの影響で販売行動や営業行動も変わっていかねばならないと考えます。

わかりやすいところでは、「3密を避ける」ために百貨店やモールなどに出向く機会が激減していますので、そのぶん高級品やし好品なども各店舗の直営オンラインショップで購入するようになります。

ネット通販業界でも今後シニア層も含め、消費行動が大きく変わることを予測して動き始めています。いまの通販サイトは40~50代くらいまでのユーザーをターゲットにしていますので、シニア向けにUIを改善する必要があるかもしれません。

またこれまで対面でしか行われなかった高額決済なども、オンライン決済ができるように変わっていくはずです。

シニア女性の消費行動の変化にも注目

40代女性イメージ
『日経MJ』のコンテンツで言及されていたのは、シニア女性の行動変容です。ひとことでシニアとくくることはできませんが、いわゆるアクティブシニアに属する女性には、オンラインシフトが起こるであろう、というものです。

スマホに切り替えたシニア女性の多くがその理由について「LINEを使いたいから」だと回答し、コロナの情報含め情報収集の手段がオフラインに移行しているといいます。ご近所の井戸端会議が「LINE」で行われるようになるかもしれません。

シニア女性がこれまでオフラインで手に入れていたものの多くを、オンラインで入手するようになっていくことが予測されています。

記事の中でも「オンラインの役割が、オフラインの補完から、生活の中心に躍り出たのだ。これまでオンラインビジネスがあまり熱心に開拓してこなかったシニア女性層に、新たな商機が生まれるということだ」
引用元: 日経MJ「コロナ後」カギ握るシニア女性 オンラインシフトに商機

と紹介されています。つまり、今まで上手くいっていたシニア女性向けオフラインマーケティングだけでなく、オンラインを組み合わせたマーケティングを行うことが重要になります。

家と会社の往復しかしないからこそのサービスも

巣ごもりができない都心部のサラリーマン向け、出歩くことが難しくなっている高齢者や小さなお子さんがいるお母さん向けのサービスを紹介しましょう。

この機会をチャンスと捉え、ビジネスの目線をシフトして新サービスを始めている事業者もいます。

#東京都北区帰宅メシ

帰宅メシキャプチャ
http://prkita.jp/kitakumeshi/

東京都北区の観光協会と地元の飲食店のコラボにより発足したプロジェクトです。北区の飲食店支援とテイクアウト可能な店舗がマップ上に表示されます。

SNSで「#東京都北区帰宅メシ」のハッシュタグを入れてテイクアウト商品を投稿すると、北区の公式アカウントが拡散してくれる、というもの。

これも支援活動に参加しながら消費する、という新たな消費行動のひとつです。大阪府も「ふるさと納税」を活用した医療関係者の支援を表明しましたが、今後さらに自治体と民間の提携が進むことでしょう。

飲食店の掲載希望は下記よりリクエストしてください。
https://www.city.kita.tokyo.jp/sangyoshinko/shogyo/kitakumeshi.html

おつかいタクシー


https://www.sanwakoutsu.co.jp/press/otukai2020.html
上記以外のタクシー会社で同様のサービスを展開しているところが複数ありますが、コロナ感染リスクを恐れて外出できない高齢者やお子さんがいる家庭などに向けたサービスは、今後もさまざまな展開が考えられるはずです。

コロナで変化した行動に向けて取り組みたいマーケティング施策

広告・販促をしていない会社はないとは思いますが、既存の施策と並行して進められる、注目しておきたいオンラインマーケティングについていくつか紹介いたします。

YouTube広告を本格的に取り組む

YouTube
これまでにも動画を使ったプロモーションやSNSによるリードの獲得に取り組んできている、という会社は多いと思いますが、それは平時のときに実施していた施策です。

日本全国の消費者が「自宅にいる時間がこれまで経験したことがないくらい長い」いま、スマホを見ている時間がどれくらい長くなっていることでしょう。

グーグルが行ったYouTubeの利用実態の調査「YouTube オーディエンスリサーチ」によれば、なにがきっかけで見たかという質問に対して、「気になる商品・サービスがあったとき」が15%、「事件やニュースがあったとき」が11%と、暇つぶしやタレント動画以外にも活用されていることがわかります。

ただしこの調査はコロナ前の調査データですので、さらにこの数字は上がっていると思います。いまはネットの検索エンジンと同じような使い方でYouTubeを活用していることが想定されます。

さらにお子さんが自宅にいる家庭では、YouTubeの視聴時間はさらに長くなっているはずです。自宅にいる消費者の時間を長く占有しているこの広告チャネルを、活用しない手はありません。

さらにユーザーがスクロールする導線のなかでうまく広告に誘導できるか、という工夫もとても重要なポイントです。

ディスプレイ広告やSNSをフル活用する

テキスト広告だけでなく、画像や動画を使用したディスプレイ広告も、変化した消費者行動に合わせたキャッチ、画像、動画をつくるのが理想です。

暇つぶしに見ている人は少なくありませんが、街を歩かないぶん、ディスプレイ広告に目が留まる可能性は高くなります。ひと目見ただけのユーザーにクリックというアクションを起こさせるのは容易ではありませんが、看板や印刷物と違い、反響を見て修正していくことができるのも大きなメリットです。

またSNSと広告のエンゲージメントを高めるためには、ユーザー心理をとらえたキャッチや画像、目を引くオリジナリティなどの工夫が必要です。コロナウイルスの情報源はLINEでという人が多いいま、SNSをフル活用した広告戦略も急務ではないでしょうか。

ポスティングやDMで反響を獲る

自宅にいる時間が長い消費者に対して、オフラインで有効なのは「ポスティング」や「折り込み広告」でしょう。ただこれもいま一度その内容を見直す必要があります。

アイキャッチとなる写真やコピーも大事ですが、それ以上に「問い合わせ導線」を見直してみましょう。電話番号だけの場合は、サイトのURL、できればQRコード>を載せると反響が変わるはずです。

なによりユーザーの手間を省き、知りたい情報にすぐアクセスできるようにすることが、反響の獲得につながります。

ネット上でのあらゆる比較検討に備える


オフラインで店舗に足を運ぶ機会が激減するため、Web上にあるものが貴重な情報源となり、商品検討における情報収集もオンラインがより主流になります。

したがって自社の公式サイトだけでなく、ポータルサイトをはじめとするメディアに露出して、自社の特徴をユーザー認知してもらう機会を増やすことが大事です。

ほかにもポジショニングメディアをを用いて、市場における自社商品やサービスの立ち位置の理解、消費者からの見え方を理解、マーケティング施策に利用することで売上に繋がりやすい反響を作ることができます。

このように営業活動が難しい状況にあっても、迷っている消費者の背中を押せる接触点を確保しておくことで、購買意欲をグッと押すことができます。

オンラインで問い合わせ対応

とにかくすべてのことがオンライン上で解決できるようにしていきましょう。現状では対面型の商談や面談ができないため、オンライン上でどこまでクロージングができるかが重要です。

Webサイトの改善で問い合わせをしやすくする

Webサイトの操作性や視認性を改善することでメール問い合わせや、資料請求、電話等がしやすくなります。

この施策は全体的な反響率が上がるものなので、そもそも問い合わせが普段から少ない…と感じているのであれば、必ず取り組んでおきたいところです。

分析の際にはご自身や社員ではすでにWebサイトを見慣れてしまっているので、ご家族や友人に実際にWebサイトを見てもらい、問い合わせがしやすいかどうか、操作性も見ながら問題点を洗い出しましょう。

入力フォームも入力数が多い、入力しづらいのであれば、改善をすべきです。項目数が多い場合には、「名前」「連絡先」「住所」「電話番号」を中心に最低限の入力内容に絞っていきましょう。

サイト訪問ユーザーへチャットツールで対応する

「電話をするまでもないが聞いてみたいことがある」「FAQが見つけられない」こんなニーズを持っているお客様は多くいらっしゃいます。

オンラインでの情報収集や検討が多くなる以上はこのちょっとした「聞きたいニーズ」へも対応できるとよいでしょう。

もし購入前に確認しておきたい内容をチャットツールで解決できれば、迷わせることなくそのまま購入へ繋げることができます。

オンラインで面会・商談対応

全国に支店がある大企業でもまだまだ取り入れていないオンライン会議。Web会議にはセキュリティ上の問題なども発覚しましたが、それでもリモート社員と出社中の社員のミーティングはオンラインで十分成立します。

オフラインで行われていたミーティングよりも簡潔に、短時間で完了するという副次的効果もあります。

会社のWeb会議だけではなく、プライベート面でも飲み会やお見合いまでもがオンライン化するようになり、オンラインコミュニケーションツールのハードルが各段と下がっています。

オンライン商談・面談を使いこなす

いまは都心から地方への出張はご法度な時期。コロナ保菌者ではないという保証がないこと、移動中に感染するリスクを避けることを考えれば、今年中は対面営業は厳しいと考えるべきでしょう。

それでもなお商談を前に進める、契約をするならば面と向かって営業しなければならないという意識はあると思いますが、この状況ではそんなことは言ってられません。

恐らくですが、コロナウイルス終息後もオンラインでMTGや商談をする機会は、コロナウイルスまん延前よりも多くあるはずです。この機会に営業手法を切り替える、というのもひとつのやり方です。

オンラインでできないことがなくなる?


リモートワークの導入は数年前から提唱されてきましたが、遅々として進みませんでした。IT企業でさえ、インフラ整備が整っていない会社が多かった、というのが実情です。

でも、今回はまったく事情が異なります。補填としてのオンラインではなく、「オンラインがビジネスの屋台骨」になる可能性が現実味を帯びています。

コロナによるマーケティングシフトは、言い換えれば「オンラインシフト」であるといっても過言ではありません。

学校や塾にしても、オンラインのメリットを最大化して、恒久的なサービスにつながっていくことが予測されます。

愛媛県西条市では過疎化による学校統廃合の危機から救う取り組みとして、数年前より複数の小学校をつなぐ遠隔合同授業を行っています。この「バーチャルクラスルーム」という発想もオンラインの長所を最大化したものです。

Web会議、Web商談、オンライン診療、オンライン処方、オンラインセミナー、オンライン相談会、オンライン見合い、オンライン決済。

今後「オンラインでできないこと」を探すほうが難しくなる、とまでは言いませんが、AIやアプリ、プログラムやSNSを総動員すれば、コロナのピンチを新たなビジネスに転換できるかもしれません。

コロナで起こるマーケティングシフトのまとめ


現在休業を余儀なくされている業態、たとえば全国の銭湯がSNS上にアップしている「オンライン銭湯」では、現時点では売り上げにつながらなくても、自粛明けの集客に貢献する可能性はあります。

またYouTube動画の広告なども、今後ますます価値が高まります。調理法やレシピなどを動画で公開し、そのままテイクアウトの料理や食料をデリバリーしてもらう、というビジネスも展開されていくはずです。

コロナにより市況が激変してしまったとしても、大切なことは変わりません。日本人、いや世界中の人すべてが「未来に目を向けて生き残る」強い気持ちを共有することです。

『キャククル』を運営するZenkenでも、市場や競合状況に合わせたWebマーケティング戦略がご提案できますので、お気軽にご相談ください。

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