ペルソナマーケティングの失敗パターンから学ぶポイント

ペルソナマーケティングの失敗パターンから学ぶポイント
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ペルソナマーケティングとは

ペルソナとは、自社の商品やサービスのターゲットとなるであろうモデルユーザー像のことです。年齢・性別・職業などの基本情報のほか、考え方や性格・価値観・趣味などのより個人に踏み込んだ項目を含めて設定します。このようにして立てられたペルソナをもとに、商品やサービスの設計・プロモーションなどを検討するのがペルソナマーケティングです。

ペルソナマーケティングを行うで、より顧客視点に立って考えることができる上に、無駄な時間や工数を削減できます。そのほか関係者間のイメージ共有ができるとメリットがあります。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナマーケティングにあたって「ペルソナ」と「ターゲット」は、混同しがちな言葉です。どちらもユーザーを指している言葉ではありますが、その範囲や深さに違いがあります。

ペルソナマーケティングで作るペルソナは、性別や年齢などの基本情報によりユーザーに踏み込んだ項目をプラスして、リアルなユーザー像を設定するものです。一方、ターゲットとは、性別や年齢などの基本情報のみで、おおまかな属性を設定するものとされています。

つまりペルソナは「深く狭く」で、ターゲットは「浅く広く」ユーザーをとらえたものというイメージです。

ペルソナの例

  • 田中太郎/33歳/男性/営業職/年収600万円
  • 妻(30歳)、長男(3歳)の3人家族
  • 地方への転勤がある会社に勤めていて、勤続8年目
  • 職業柄人づきあいが多く、休日も友人からの誘いが頻繁にある
  • 友人家族に誘われたキャンプがきっかけで、アウトドアが趣味になりつつある
  • キャンプをきっかけにアウトドア料理への興味が沸いてきた
  • 時間があるとアウトドアを紹介しているYouTubeやInstagramをチェックしている
  • ウエアやグッズなど見た目にこだわるタイプである
  • 日常のやり取りはLINEが多い

ターゲットの例

30~35歳/男性/営業職/アウトドア好き

ぺルソナマーケティングの失敗パターン

ペルソナは、ターゲットよりも詳細な人物像に設定することが重要です。「本当に実在するような人物」になるまで落とし込めていないと、せっかく時間をかけてペルソナを設定したとしても意味のないものになってしまいます。

完全に落とし込めていないペルソナのほかにも、ペルソナを設定する際に陥りがちな失敗パターンが、いくつかあるのでご紹介します。

ペルソナを十分に深堀りできていない

ペルソナの設定には、年齢や性別などの基本情報だけでなく、性格や価値観などのより深掘りした項目まで十分に検討する必要があります。浅く広い情報だけでペルソナを設定すると、真にターゲットとすべきユーザーがぼやけてしまい、ペルソナマーケティングの効果が薄くなってしまうので注意が必要です。

ペルソナを設定してから見直しをしていない

ペルソナは一度設定すればよいというものではありません。時代やニーズの変化によってズレが生じてくる場合があります。そのため、年に一度程度の見直しを行い、必要に応じてペルソナをアップデートしていくことが大切です。

最初からターゲットを限定してしまう

最初からターゲットを限定して、ペルソナを設定してしまうのは誤りです。ペルソナの設定=ターゲットの絞り込みとはいえません。ペルソナの設定には、なるべく広いスタンスであらゆるユーザーを参考にすることが重要です。

ペルソナを理想像にしてしまう

ペルソナは、あくまでも架空のモデルユーザーです。そのため、自社にとって都合の良い捉え方でペルソナを設定したのでは意味がありません。ペルソナ設定においては、理想を盛り込まず、現実にいるであろうモデルユーザーの姿を追求していくことがポイントです。

ペルソナマーケティングを失敗しないためには

失敗しないペルソナマーケティングにするためには、基本と注意点をしっかりと押さえながら、ペルソナを設定することが大切です。

次に、ペルソナ設定の基本手順と注意すべきポイントについてご紹介します。

ペルソナ設定の基本手順

ペルソナに関する情報を集める

ペルソナの設定に必要なのは、既存顧客をもとにした基本情報や、顧客の価値観や性格、ライフスタイル、悩みや目標など、可能な限り深掘りした情報です。この時点でいかに踏み込んだ情報を収集するかによって、ペルソナの精度は大きく変わってきます。

顧客データから読み取れない情報に関しては、インタビューやアンケートを実施するのもひとつの方法です。しかし、時間とコストがかかるものなので、実施が難しい場合は、顧客と接点を持っている営業職やサポート部門へのヒアリングから情報収集してもよいでしょう。

情報をもとにペルソナを設定する

集めた情報をもとに、ペルソナを設定していきます。「骨組み」を作るイメージで、項目ごとに箇条書きにするとまとめやすいでしょう。

ここで注意したいのが、自社に都合の良い情報に偏ったペルソナ設定にしてしまうことです。ペルソナはあくまでも実在するであろうモデルユーザーであり、理想像ではありません。思い込みや先入観にとらわれず、しっかりと現状を把握しながら判断するようにしましょう。

ペルソナにストーリーをもたせる

先の手順である程度形になっているペルソナにストーリー性を付加することで、より顧客に寄り添った考え方がしやすくなります。このプロセスには、カスタマージャーニーというフレームワーク活用するのがおすすめです。

カスタマージャーニーは、設定したペルソナの行動や考え方、心情などを時系列にまとめて見える化したものです。このフレームワークを使うことで、ペルソナによりリアリティが付加され、ペルソナの精度が高まります。また、マーケティングを行う上での効果的なタッチポイントやアプローチ方法なども洗い出すことができるので、ペルソナ設定とセットで活用するとよいでしょう。

社内でのペルソナ設定の失敗にも注意

ペルソナマーケティングが失敗してしまうパターンは、ペルソナ設定そのものだけとは限りません。どんなに精度の高いペルソナを設定できても、社内の意思統一や理解がなければ、成功が難しくなってしまいます。

社内体制が原因となるペルソナマーケティングの失敗例は次のようなものです。

ペルソナを作成したのに利用されなかった

ペルソナは「仮説」という特性上、誤解されていたり、誤用されていたりするケースが少なくありません。特に、ペルソナ設定で失敗した経験がある場合、ペルソナの有効性が否定され、せっかくのペルソナがお蔵入りしてしまうということもあるようです。

しかし、ペルソナは適切に設定し活用すれば、マーケティング全体を支える土台となる、大変価値のあるものです。このことを理解してもらうには、成功例を示しつつ論理的な説明をもって粘り強く働きかける必要があります。

失敗事例では何が悪かったのかを突き止め、しっかりと見直したうえで、社内全体が納得するような説明と提案が大切です。

上層部からの賛同が得られない

ペルソナマーケティングに対して、上層部からの賛同が得られないために失敗に終わってしまうケースもあります。上層部が賛同しない理由には様々なものがあると思いますが、すでに自分たちは、顧客に関する多くのデータを十分に把握しているという自負もそのひとつのようです。

こうした場合は、別の切り口で提案するのもひとつの方法です。例えば、ペルソナの位置づけを、「調査によって作り上げたユーザー像」としてではなく、「社内調整用ツール」とすれば、それぞれがもっている顧客情報を集めて、ペルソナという共通の土台に落とし込むことができます。

その結果、社内全体でユーザータイプを共有できるので、意思決定の混乱を防ぐことができ、ユーザーのニーズにも反応しやすくなるメリットを提示することができるでしょう。

ペルソナが共有されていない

ペルソナマーケティングの壁となる場合が多いのが、縦割り体制での活用です。ペルソナの設定に関わった人だけが、その有効性や活用法を知っていて、他の部署が蚊帳の外という体制では、ペルソナは全く意味のないものとなってしまいます。

ペルソナの設定にあたっては、単独の部署やチームだけが携わるのではなく、企業または関係する部署全体が関わることが重要です。幅広い組織が当事者となることで、ペルソナそのものの認識や理解を深めることができ、より精度の高いペルソナを設定することができるでしょう。

失敗パターンを念頭に置いたペルソナ設定を行なう

ペルソナマーケティングで作り出されるペルソナは、自社の商品やサービスを、より適切なユーザーに、的確に訴求していくための土台ともいえます。ペルソナの設定は、年齢や性別などの基本情報に、価値観や性格、ライフスタイルなどの詳細情報を肉付けして、よりリアリティのある人物像にしていきます。どれだけ現実のユーザー像に近づけるかがポイントです。

しかし、ペルソナの設定方法にはいくつかの失敗パターンがあります。「深く踏み込めていない」「思い込みや先入観でターゲットを絞っている」「作ったままほったらかしにしている」など、思い当たる点はないでしょうか。

また、ペルソナそのものに問題がなくても、社内体制が障壁となって失敗してしまうパターンも少なくありません。

今後、ペルソナマーケティングを実践する、あるいは見直すという場合には、こうしたさまざまな失敗パターンを念頭におきつつ、ペルソナ設定や社内体制に関する課題があれば、ひとつずつ改善しながら進めていきましょう。

ペルソナの設定方法についてもご紹介しましたが、実際にペルソナを設定するとなるとさまざまな課題や悩みが生じるかと思います。「自社の強みを求めるユーザーがわからない」「どのような項目を設定すればよいかわからない」などお悩みがあれば下記の記事より学んでいきましょう。

ペルソナマーケティングの
進め方や事例を紹介

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