価格競争とは?競合との消耗戦から脱却して、売上を伸ばす方法を紹介

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この記事では価格競争の仕組みや種類と、企業が価格競争から脱却した事例を紹介しています。競合のプライスダウンに追われてマージンが少なくなっている一方で苦労している方は参考にしてみてください。

なお、価格戦略から抜け出すには「自社の強み」の把握が重要です。価格競争の避け方は自社の提供価値によって変わってきますので、対策を行う前に分析を行いましょう。下記のページには自社の強みが導き出せる無料ワークシートを用意しております。ぜひ自社の戦略策定に活かしてみてください。

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価格競争とは?

矢印・競争
まずは価格競争の意味や、どんなケースで価格競争が起きやすいかを解説します。

競合他社と価格の安さで顧客獲得を争うこと

価格競争とは、価格の安さで競合他社と顧客獲得を争うことです。自社から積極的に価格競争を仕掛ける場合もあれば、仕方なく価格競争に巻き込まれてしまう場合もあります。

商品を選ぶ顧客の立場から見ると、価格は重要な判断基準であり、なおかつ数字で簡単に比較できます。企業が「少しでも他社より安い価格にして、顧客に自社商品を選んでもらおう」と考えて安さで競うことで、価格競争が起きるのです。

価格競争が発生しやすいケース

価格競争が発生しやすいケースは、大きく分けて2種類あります。商品やサービスの差別化が難しいケースと、需要と供給のバランスが崩れたケースです。

会社による商品やサービスの差別化が難しくなくなると、消費者が選ぶ基準は価格しかなくなります。すると最も安い商品やサービスが購入されることになるため、どの会社も最も安い値付けを目指し、価格競争が起こります。

需要よりも供給が多くなった場合にも、価格競争は起こりやすいです。供給が多過ぎると商品やサービスがなかなか売れないため、企業は価格を下げることで、消費者に買ってもらおうとするからです。ある企業が安売りをすれば、他の企業も対抗して安売りをして、たちまち低価格競争となります。

多くの業界で「コモディティ化」が深刻に

価格競争の大きな原因となっているのが、多くの業界で深刻になっている「コモディティ化」です。コモディティ化とは、どの会社も商品・サービスの機能や品質を向上させた結果、機能や品質に差がなくなった状態のことです。

たとえば液晶テレビは、どの会社の製品も画質や音質が向上した結果、コモディティ化が起きました。コモディティ化が進むと、品質が良くなっているにも関わらず、他社よりも値下げしないと売れない状態になります。

機能や品質を向上させる激しい競争によって、製造業に限らずあらゆる業界で、コモディティ化が進んでいます。

価格競争の実例

お金
価格競争は過去にも様々な業界で起こってきました。その実例を2つ紹介します。

ファストフード業界

ファーストフード業界では、「安い」ということが商品のアピールポイントであるため、つねに激しい価格競争が起きています。「価格が高い」と思われると、すぐに競合他社に顧客が流れてしまいます。そのため原材料などのコストが上昇しても、値上げをしにくい状況です。

2014年にはマクドナルドの仕入れ先の中国企業が、使用期限切れの鶏肉を使っていたことが判明し、大きな話題になりました。商品の安さを維持しようと無理をすると、最も大切にするべき食品の安全性がおろそかになりかねません。

ひとたび消費者からの信頼を失えば、信頼回復までには長い時間がかかります。ファーストフード業界の企業は、他社との価格競争を戦いつつ商品の品質や安全性は保つという、難しい両立を迫られています。

アメリカのコーヒー業界

アメリカのコーヒー業界でも価格競争が起きましたが、価格競争から抜け出す企業も現れました。アメリカでは1960年代まで、いかに安くコーヒーを提供するかの競争が続きました。その結果、味はそこそこの低価格のコーヒー店ばかりになり、消費者はおいしいコーヒーを飲めなくなってしまったのです。

そんな状況でスターバックスが開業し、価格は高めでもおいしいコーヒーを提供することで、大人気となりました。するとコーヒー業界全体が、豆の産地や焙煎方法など、価格以外の要素で競い合うようになったのです。

このように価格競争が進んだ業界であっても、価格が高い商品やサービスを、消費者に喜んで購入してもらうことは不可能ではありません。そのためには他社と差別化をするだけでは不十分で、商品やサービスの高い価格にふさわしい価値を、消費者に認めてもらう必要があります。

価格競争から脱却すべき理由

ポイント
企業は価格競争から脱却することを目指すべきです。その理由を4つ紹介します。

企業に残る利益が減ってしまうから

価格競争から脱却しなければ、企業は十分な利益を得られません。商品やサービスの提供にかかるコストを変えられないのであれば、利益を上げるためには、価格を上げるしかないからです。

利益が少ないと、新商品を開発したり、店舗を増やしたりするためにお金をかけられません。するといずれは、競合他社よりも劣った商品やサービスしか提供できなくなるでしょう。

企業としての成長を維持するためには、価格競争から脱却して利益を確保することが必要なのです。

リピーターが獲得できないから

価格競争をしていると、リピーターを思うように獲得できません。顧客が価格だけを理由に自社の商品やサービスを選んでいるとすると、もっと安い価格の商品やサービスを他社が出せば、顧客は他社に移ってしまうからです。

価格を基準に購入するものを選んでいる顧客は、「どの会社から買うか」には興味がありません。リピーターになってくれるのは、価格が安いからではなく、「この会社の商品だから」買いたいと思ってくれる顧客です

経営資源が少ないと不利になりやすいから

価格競争が続くと、経営資源が少ない中小企業は不利になります。価格競争をしていると利益が出なかったり、場合によっては売れば売るほど損失が出ることもあります。大企業であれば、他の事業で得た利益で損失を補えますが、中小企業ではそれが難しいのです。

価格競争が長引くほど、資金に余裕がない中小企業は現状維持で精いっぱいになり、いずれは価格の安さで勝負できなくなります。経営資源が少ない中小企業は、早めに価格競争を脱却する必要があるのです。

最悪の場合倒産になる恐れもあるから

価格競争をしていると最悪の場合、会社が倒産してしまいます。コストをかけて商品やサービスを販売しても、価格が低いせいで利益が得られないのであれば、いずれは資金がなくなって事業を続けられなくなるのです。

倒産を避けるには、商品やサービスの価格を上げて、利益を確保しなければなりません。価格競争を脱却できるかどうかは、会社の存続に関わる問題なのです。

価格競争を避けるための対策方法

メリット・注意点
価格競争を避けるためには、何をすれば良いのでしょうか。具体的な対策方法を紹介します。

自社ブランドを強化する

価格競争を避けるための有力な手段が、自社ブランドを強化することです。「このブランドの商品が買いたい」と顧客に思ってもらえれば、他社と価格を比べられないため、安売りをせずに済むからです。自社ブランドを強化するために必要なことを3つ紹介します。

まずは自社の強みを理解することが大切

自社ブランドを強化するには、まずは自社の強みを理解しましょう。自社の強みが明確にできれば、その強みに魅力を感じてくれる顧客がどんな人かが想像できますし、業界の中でどのようなポジションを取るべきかも考えられるからです。

自社の強みは、自社の社員だけで考えても気づきにくいものです。顧客にアンケートをしてみたり、取引先の社員に聞いてみたりすると、思わぬ気づきが得られるでしょう。

「どんな価値を提供したいか」を明確にする

自社ブランドを強化するためは、「どんな価値を提供したいか」を明確にする必要があります。提供したい価値が定まらなければ、どのように競合他社と差別化するかの方針が決められないからです。

たとえば服の価値は「おしゃれ」「暖かい」「ケガを防止する」など、色々あります。「自社ブランドでは暖かいという価値を提供する」と決め、商品開発や製造、販売、広告などの方針を統一することで、特色のあるブランドになります。

暖かい服がほしい顧客は、他社商品と比較することなく、自社商品を選んでくれるようになるはずです。

どんな価値を提供するのかをはっきりさせると、社員のモチベーションの向上にもつながります。「寒さに苦しむお客様を救う」といった目的のために働いているのだと意識できると、自分の仕事に誇りが持てるようになるからです。

ただしこの「価値」のとらえ方には注意も必要です。顧客が求めていない価値を提供しても支持されることはありませんし、同じような価値を他社でも提供していれば、競合との価格競争は避けられません。

理想は、唯一無二の価値で、顧客が求めているものを提供すること。これを追求できれば、決して価格競争には巻き込まれません。

ターゲットに合わせて広告を打ち出す

ターゲットに合わせて広告を打ち出すことも、自社ブランドを強化するために大切です。自社の商品やサービスに価値を感じてくれる人だけに広告を届けることで、広告費を抑えつつも大きな効果を得られるからです。

たとえば暖かい服のブランドであれば、見た目よりも暖かさを強調した広告デザインにして、秋から冬の時期に集中して広告を出すべきでしょう。ターゲットが明確であれば、どんな広告をいつ打ち出せば良いかの判断もしやすくなります

広告によって自社ブランドが多くの人に知られるようになれば、自社ブランドに魅力を感じる人は他社商品を買わなくなり、価格競争から脱却できます。

独自性を持った製品づくり

商品・サービスに独自性を持たせることも、価格競争を避ける手段になります。他社の商品にはない機能や価格を持つ商品であれば、高い価格でも顧客に受け入れられるからです。

商品・サービスの品質を高める

商品・サービスの品質を徹底的に高めれば、独自性を持たせることができます。そして価格よりも品質を重視する顧客をターゲットにすることで、価格競争を避けるのです。

たとえば近年では、高級な食パンが人気になりました。毎日食べる食パンでは、おいしさよりも価格の安さが重要だと業界では思われていたのですが、「価格よりもおいしさにこだわりたい」という顧客も多いことが明らかになったのです。

デザインを変えただけで付加価値となるケースも

独自性の創出には、デザインも重要です。ユーザーの目を惹くものは売り場のなかでも目立ち、選ばれやすくなりますが、それだけではありません。持ち運びたくなる、人に見せたくなるデザインは付加価値になるのです。SNSの拡散や話題作りを狙った商品デザインを意識している商品も増えています。

顧客満足度を高める

価格競争を避けるためには、顧客満足度を高めることも有効です。商品・サービスに深く満足した顧客がリピーターとなることで、価格に関わらず、自社の商品・サービスを購入してくれるようになるからです。顧客満足度を高める方法を2つ紹介します。

顧客が何を求めているのか調査する

顧客満足度を高めるためには、顧客が何を求めているのかを調査することが有効です。「顧客が求めているのはこれに違いない」と自社で勝手な思いこみをしている場合も多いので、注意しましょう。

調査をするには、購入者にアンケートに答えてもらうと良いでしょう。自社の社員の予想とは違う意見が特に貴重です。予想外の調査結果であっても無視せずに真剣に向き合い、商品・サービスに反映させることが大切です。

従業員満足度も高めるべき

従業員満足度を高めることも、顧客満足度の向上につながります。従業員の仕事への意欲や充実感は、顧客にも伝わるものだからです。たとえば店舗で買い物をするときには、店員の接客態度によって、買い物の満足度は大きく変わります。

従業員満足度を高めるためには、それぞれの従業員のスキルや性格を見極めて、強みを活かせる仕事を任せると効果的です。商品・サービスや顧客だけでなく、自社の従業員にも気を配りましょう。

流通戦略で差別化を図る

流通戦略で差別化を図ることも、価格競争を避けるための手段になります。競合他社とは違った販売経路を使うことで、他社と比較されなくなるためです。

オムニチャネルの考え方を取り入れてみる

流通戦略で他社に差をつけるために、「オムニチャネル」の考え方を取り入れてみましょう。販売経路には、実店舗だけでなく、ECサイトやSNSなど様々な種類があります。オムニチャネルとは、それらの種類にこだわらず、あらゆる販売経路で顧客とつながろうとすることです。

たとえばSNSで商品を販売しているのが自社だけであれば、SNSでその商品を知ってほしいと思った人は、その場ですぐに購入してくれるでしょう。競合他社の製品と比べられずに済むので、価格競争を避けられるのです。

価格競争を避ける対策にはオウンドメディアが有効

パソコンやタブレットで検索
価格競争避ける対策としては、オウンドメディアも有効です。オウンドメディアとは、自社で運営するメディアのことで、ブログなどを通じて独自のコンテンツを発信できます。価格競争に悩む企業には、オウンドメディアの運営をおすすめします。

オウンドメディアで商品・サービスの認知度を向上させる

オウンドメディアを運営することで、自社の商品・サービスの認知度を向上させられます。読者の役に立つ記事を届ける中で、自社の商品・サービスを自然な形で紹介できるからです。

たとえば、自社がダイエット食品を販売する会社だとします。その場合は「ダイエット」をテーマにしたオウンドメディアを運営すると相性が良いでしょう。「ダイエット成功のために必要なこと」という内容の記事で食事管理の重要性を説明したうえで、自社の食品を紹介すれば、読者に商品を知ってもらえます。

ブランドイメージを定着させるのに効果的

オウンドメディアはブランディングメディアとも呼ばれます。ブランドイメージを定着させるためにも、オウンドメディアは効果的です。ブランドが目指す未来や世界観を、メディア内の多くの記事を通して顧客に伝えられるからです。

たとえばダイエット食品のブランドイメージが「がまんしないで楽に痩せる」ならば、「がまんしなくていいんだよ」というメッセージをオウンドメディアを通して発信します。すると「このダイエット食品なら、食べるのをがまんしなくていいんだ」というイメージが定着していくでしょう。

オウンドメディアを通してブランドを好きになった読者は、他と比べずに自社商品を購入してくれるため、価格競争から脱却できるのです。

Zenkenの
オウンドメディア制作について

自社の強みを伝えるならポジショニングメディア

バリュープロポジション
先ほど価格競争に巻き込まれないためには、自社製品やサービスが「唯一無二で、他社には提供できず、顧客が求めているモノ」である必要があると説明しましたが、これをわかりやすくまとめると、上記の図のようになります。

自社の強みや立場を明確にしたメディアを、ポジショニングメディアと呼びます。ポジショニングメディアは競合他社との比較も交えながら、自社の強みを伝えつつ、自社にしかない価値が提供できることをアピールできるため、自社と相性が良い顧客が効率よく集められます。

たとえば「ダイエットの成功に必要なのは運動ではなく食事管理」という立場をはっきりさせれば、ダイエットをしたいけれど運動は苦手な人を集められるでしょう。そうした人に自社のダイエット食品を紹介することで、購入につながる確率が高まるのです。

ポジショニングメディアを通して自社のファンになった人は、自社を信頼しているため、価格を気にせずに商品を購入しやすい傾向があります。価格競争を避けたいのであれば、ポジショニングメディアによるプロモーションも検討すべきです。

ポジショニングメディアの仕組みについては、下記ページでよりくわしく説明していますので、ぜひ一度お読みください。

ポジショニングメディア
について詳しく

記事を読む時間がなかなか取れないという場合は、コンパクトにまとめた資料もご用意しています。新しい広告手法を探しているのであれば、ぜひ参考になさってください。

価格競争から脱却するための対策方法まとめ

会議
価格競争から脱却するための対策について説明してきました。企業を疲弊させるだけの価格競争に陥らないためにも、価格戦略を見直すタイミングを逃さないようにしてください。

高級食パンやこだわりのコーヒーのような成功事例をなぞるだけでなく、「人はなにに価値を感じるのか」という本質に立ち返ることが大事です。

「いくら出してもいいから、欲しいモノ(サービス)はなにか」というブレストを社内で実施してみるのもよいでしょう。

自社の強みを活かして他社と差別化を図り、唯一無二の価値を提供するにはなにをすべきかをとことん追求し、価格競争とは無縁のビジネスを展開してください。

価格競争に陥らないプロモーションやブランディングメディア、ポジショニングメディアなどの戦略にご興味があれば、Zenkenにご相談ください。

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