【3分で理解】サイゼリヤの価格戦略から学ぶ経営戦略

【3分で理解】サイゼリヤの価格戦略から学ぶ経営戦略
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この記事では、全国に店舗を展開しているイタリアン風ファミリーレストラン「サイゼリヤ」の価格戦略を解説しています。どうぞ貴社の分析や戦略立案にお役立てください。

なお、自社の価格戦略を策定するうえで重要なのは、他社の戦略をそのまま使うのではなく「自社の強み」に合った戦略を練ることです。なぜなら自社しか提供できない価値に基づく戦略は競合性が保ちやすく、価格競争も避けやすいからです。下記のページには自社の強みが導き出せる無料ワークシートを用意しておりますので、戦略策定にぜひ活かしてみてください。

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サイゼリヤの価格戦略のポイント

「日々の価値ある食事の提案と挑戦」を理念とし、イタリア式のリーズナブルな食事を提供するサイゼリヤ。「日々の食事」と「価値ある食事」を掛け合わせることで、「毎日の暮らしの豊かさ」を提供しています。

10~20代の若年層やファミリー層を中心に多くのお客様から支持を集めており、外食チェーンとして着実に成長を遂げてきました。

激化する価格競争の中で競争力を維持し続けるサイゼリヤの核となる戦略は、一体どんなものなのでしょうか。ここではサイゼリヤの価格戦略のポイントを紹介します。

コスト・リーダーシップ戦略による競争力の維持

サイゼリヤの経営で核となるのはコスト・リーダーシップ戦略です。アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が提唱した3つの基本戦略の1つで、他社よりも低いコストで製品やサービスを提供して競争に勝つことを目的としています。

サイゼリヤでは1973年の創業以来、徹底した低価格路線に取り組み成長を遂げました。若年層やファミリー層に向けて、リーズナブルな価格でイタリアンを提供することで国内外に1,500店舗以上を展開しています。

このように他社よりも低価格でおいしいメニューを提供することで、競争力を維持しています。

徹底的な効率化とシステム化

サイゼリヤのコスト・リーダーシップ戦略を支えるのは、徹底された効率化とシステム化です。

一般的な飲食店のように青果店や農家と契約するのではなく、自社農場を持つことで新鮮な野菜を各店舗に効率良く配送するシステムを構築しました。また品種改良も自社で手掛けており、生産性の高い野菜への改良がさらに効率化を促進しています。

サイゼリヤでは生産から消費までをシステム化して管理することで、他社よりも低価格でサービスの提供を実現しました。

効率化により人件費を削減

サイゼリヤでは、すべての業務をマニュアル化することで、人件費のコストカットにも成功しています。

ランチタイムや土日のディナータイムなど忙しい時間帯でも、ホールで業務に就くスタッフは基本的に1人です。もちろん、無理な仕事をさせているわけではありません。お客様のご案内から料理の配膳、テーブルの清掃に至るまでを徹底的にマニュアル化することで、忙しい状況でもスタッフの接客レベルを一定水準に保っています。

また、店内のすべての業務は誰であってもこなせるように工夫されています。これによりホール・キッチンスタッフの区別がなく、より効率的に業務を進められるのも特徴でしょう。

このように徹底されたシステム化とマニュアル化により少数精鋭での業務が可能となり、人件費の削減も実現しています。

飲食業界で初めてモバイルオーダー端末を導入

サイゼリヤは飲食業界で初めてipod touchによるモバイルオーダー端末を導入しました。各店舗に4台ほど導入されており、従来の手書きによる注文と比較してオーダミスの削減にもつながっています。

また、日本国内では米アップル社のiPhoneユーザーが多く、同社のipod touchもiPhoneと同様に直感的な操作が可能です。このため飲食店向けPOSシステムであるハンディターミナルよりも操作を覚えやすく、新人教育も効率良くこなせるでしょう。

専門部署の設置で生産性がアップ

サイゼリヤでは全店舗の業務状況を把握し、生産性を向上させるため社内に専門部署を設置しています。これにより食材や人件費のコストカットだけでなく、業務のコストカットまで実現しました。

例えば今までは掃除機による清掃を行っていましたが、フロアモップでの掃除に変更し清掃にかかる時間を約半分に短縮。また厨房でも効率化を図るため、洗いやすく軽いお皿を使うことで洗い場での業務時間の短縮と水道代の削減にもつなげています。

サイゼリヤの価格戦略まとめ

サイゼリヤは徹底的な効率化とシステム化を追求することで競争力を維持しています。

自社農場の保有など大掛かりな戦略はいきなり取り入れられませんが、業務のマニュアル化やモバイルオーダー端末の導入などは、自社が取り組むべき戦略として参考になるのではないでしょうか。

外食業界においてサイゼリヤほど徹底した管理を行っている企業はまだ少なく、今後もその競争力を維持し続けると予想できます。サイゼリヤのようにシステム化によるコストの削減は、経営を続けていく中で必要な要素と言えるでしょう。

価格戦略とは?
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