ブランドマーケティングとは?上位戦略で経営を成功に導くポイント
最終更新日:2022年12月07日

ここでは「ブランドマーケティング」を理解するための基礎知識と、生活者(ユーザー)目線のマーケティングの本質について解説していきます。とくに中小企業の経営者にお読みいただきたい記事です。
ユーザーの頭の中、ユーザーの視点をコンテンツに落とし込んだ「ブランディングメディア」と「ポジショニングメディア」についても紹介します。
また、下記のページにはブランド戦略やブランディングの基本的な情報をまとめている資料も用意しております。ブランドの価値構造やブランディングの各ステップを解説していますので、ぜひこの記事と合わせてお役立てください。
ブランドマーケティングとはなにか?
ブランドマーケティングとは企業目線ではなく、ユーザー目線に立ったマーケティング戦略の総称です。
日本でも徐々に浸透し始めているブランドマーケティングですが、アウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングへ移行している昨今では、その重要性がさらに増しています。
通常のマーケティング戦略において分析されるのは市場特性やデータであり、ユーザーを一人の人間として見ることはありません。ユーザーは標的であり、広告で追いかけ回し刈り取るだけの存在として扱うケースがほとんどです。
残念ながら、長年実務の現場を見てきて感じるのは、あたかも見込み客を「標的」とみなし、その「標的」を「攻略」するための「ハンティング活動」がマーケティングであるかのように錯覚されている実態だ。
引用元:Mission Driven Brand (参考書籍:ブランディングの教科書 著者:k_bird)(https://www.missiondrivenbrand.jp/)
一方ブランドマーケティングはユーザーを一人の人間として扱い、ユーザーが本当に必要としている商品やサービスを生み出すことを目的としています。
ユーザーによる感情移入の伴ったマーケティング活動のことを指すため、衝動買いなどの購買行動とは異なる、本当の意味での「指名買い」を勝ち取ることができるのです。
ブランドマーケティングは上位戦略
ブランドマーケティングの本場アメリカでは、通常企業が行っているマーケティング戦略よりも、ブランドマーケティングは上位戦略に位置づけられています。通常のマーケティング戦略とブランドマーケティングは分けて考えられているのです。
これらの明確な違いを理解していなければ、いつまでも価格競争や過当競争から抜け出せず、過剰品質を繰り返すループから脱却することは難しいとされています。
ブランドマーケティングには明確な定義がないためなかなか理解が難しいところですが、これから紹介する図にもあるように、経営理念からコミュニケーション戦略まで一貫性が求められます
したがってマーケティング戦略を単体で考えたり、コミュニケーション戦略を先に立てたりしても、十分なブランディングにはつながらないと考えたほうがよさそうです。
ブランド戦略に長けているアメリカと日本のマーケティングの違いは、アメリカではブランド戦略はマーケティング戦略の上位に位置付けられていることだ。つまりブランド戦略はマーケティング戦略そのものを規定するための「上位戦略」とされている。
引用元:Mission Driven Brand (参考書籍:ブランディングの教科書 著者:k_bird)(https://www.missiondrivenbrand.jp/)
下記に引用した図を見ればわかるように、これらを一貫する全体的な戦略がブランド戦略(ブランディング)となります。

マーケティングの考え方にはいろいろありますが、ブランド戦略を単に認知度拡大の施策のひとつとして捉えているとしたら、それは間違いです。
企業理念や経営戦略をも包括する上位戦略であることを理解しておきましょう。
企業理念とブランドマーケティング
ブランドマーケティングの初期段階として、まず企業理念を明確に打ち出すことが重要です。ユーザーにしっかり自社の企業理念や経営理念を知ってもらうことから始めます。
企業理念に一本の軸が通っていることで、ユーザーはその企業理念に共感し興味を抱くようになります。また社員のモチベーション向上や企業全体としての成長などにもつながります。
経営戦略とブランドマーケティング
ブランドは経営戦略から派生するものであり、しっかりと経営戦略を立案することが、ブランドマーケティング活動を促進することにもつながります。
ブランドとは資産であり、経営戦略から一貫して派生するものである。
引用元:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会ベーシックコース テキストP6(https://www.brand-mgr.org/)
ブランディングと聞くと、多くがパッケージやロゴにこだわったり、広告の見せ方にこだわったりする場合が多いのですが、じつはクリエイティブはブランド戦略の一部にすぎません。
繰り返しになりますが、マーケティング戦略もプロモーションも、単独で成立するものではなく、企業理念や経営理念の延長線上にあるものです。
経営とブランディングは切り離すことのできない関係にあることを、いま一度認識しておくようにしましょう。
ブランド構築に必要なステップ「ブランド構築ルート」
ブランド構築に必要なステップは「ブランド構築ルート」を用いればよく分かります。

画像引用元:The highest goal(https://aty800.com/highest-goal/marketing/cbbe.html)
こちらはダートマス大学経営大学院のケビン・レーン・ケラー教授が提唱したブランド構築ルートの図です。通称CBBE(Customer Based Brand Equity)ピラミッドと呼ばれています。
ブランドが構築される過程において「理性的ルート」と「感情的ルート」の2ルートがあり、それぞれ4つの階層に分けたピラミッドとなっています。
ブランド・エクイティ(ブランドの持つ資産の集合体)が創出されるためには、「理性的ルート」と「感情的ルート」の2ルートにおいて、ピラミッド最下層から頂点まで達することが必要とされています。
自社にマーケティング部門がある場合は十分検討されているとは思いますが、念のためどこか欠けているところがないかチェックしてみてもよいかもしれません。
ブランドマーケティングとマーケティングの違い
ブランドマーケティングと通常のマーケティングには明確な違いがあります。これらの違いを理解していないと、ブランドマーケティングを成功へ導くことはできません。
通常のマーケティングの場合
通常企業において行われているマーケティング戦略は企業目線で進行されます。商品の企画・開発から広告出稿、宣伝活動に至るまで企業側がすべて立案し進行します。
言わば企業側が一方的に企てた企画であるため、ユーザーのことを考えられたマーケティングではありません。そのため短期的な売り上げや衝動買い系のユーザーが中心となります。
ブランドマーケティングの場合
一方でブランドマーケティングは、ユーザー目線で行われるマーケティングとなります。ユーザーに寄り添い、ユーザーの必要としている商品やサービスをユーザーのために提供していくのです。
そのためユーザーからすると、その商品やサービスが競合他社のものには変えられないブランド価値が醸成されていきます。
このような状態になると、広告を出稿したり、宣伝活動をしたりしなくても、商品やサービスが売れていきます。
言わばユーザーによる真の意味での「指名買い」状態となり、ライフタイムバリュー(LTV)の長い優良顧客(ロイヤルカスタマー)獲得につながっていきます。
ブランドマーケティングの好事例
企業理念(ブランドビジョン)とブランドマーケティングは無関係ではなく相互関係にあります。さらにこれら2つの要素は基本路線で合致していることが重要となります。
以下にブランドマーケティングの好事例としていくつかの企業を紹介しておきます。
アサヒ飲料
アサヒ飲料といえば押しも押されぬナショナルクライアントですが、ヒット商品を多数抱える大企業です。その中でも特に缶コーヒーの「WONDAモーニングショット」はブランドマーケティングに成功した事例と言えます。
アサヒ飲料は、「パン食の人は朝食にコーヒーを飲む」ことに着目。「缶コーヒーを朝に買うサラリーマンは多いのでは」とにらみ、市場調査を行ないました。その結果、多くのサラリーマンが朝に缶コーヒーを買っている事実がわかりました。
このニーズに着目し「朝専用」をキャッチフレーズにした缶コーヒーで、ブランドマーケティング戦略を立案。徐々に売り上げが好調となり「朝専用の缶コーヒー=WONDAモーニングショット」というブランドを確立させました。
シャネル
シャネルが設立された1910年当時、フランスのパリでは腹部に窮屈なコルセットを使用したジゴ袖のドレスが流行っていました。
流行ってはいたものの「窮屈で着心地が良くない」という消費者の不満にニーズを見出し、ココ・シャネルはそれを汲み取ります。
当時、フランス・パリではアールデコの影響もあり、直線的でシンプルなデザインのファッションを発表したところ、これが大ヒット。
コルセットを使用したジゴ袖のドレスからわずか30年足らずで、流行ファッションをシャネル調へと変えてしまいました。
こちらも潜在的ニーズを満たすというブランドマーケティングの成功例としてよく知られています。
Googleはしっかりと軸のぶれない企業理念を掲げたことによってブランドマーケティングに成功した企業と言えます。
Googleの企業理念は「ベストに甘んじない」こと。そしてポリシーが「ユーザーファースト」です。
つまり「自分たちの技術力に甘んじることなく、徹底的にユーザーの使い勝手がよくなるようにに改善・改良を重ねていく」という企業理念を表しています。
現在でもGoogleの検索エンジンアルゴリズムはアップデートをくり返し、更に進化しています。さらに2023年にはchromeのサードパーティのクッキーを廃止し、Web広告の透明性と個人情報の保護に注力していくといいます。
この終わりのない進化がGoogleの真骨頂であり、ブランドを象徴する経営理念です。
Amazon Japan
Amazon Japanの企業理念も非常にわかりやすく、ユーザーを大切にしている企業であることがうかがえます。
その企業理念が「地球上で最もお客様を大切にする企業を目指しています」です。
徹底的にユーザーの使い勝手を追求し、生活必需品から音楽、映像などのエンターテインメントに至るまで、あらゆる分野の商品を取り扱うまでに成長しました。
さらに従来までは考えられなかったほどの商品到着スピードを実現し、ユーザーニーズを徹底的に満たすサービスを展開してきました。
Amazon Japanもブランドマーケティングを実直に施行してきた企業のひとつと言えるでしょう。
ブランドマーケティングに取り入れたい2つの施策「ブランディングメディア」と「ポジショニングメディア」
上記の「ブランド構築に必要なステップ『ブランド構築ルート』」の項目でも紹介した「CBBEピラミッド」における「理性的ルート」と「感情的ルート」双方に働きかける施策を2つ紹介いたします。
それが下記を活用したWebメディア戦略です。
- ブランディングメディア
- ポジショニングメディア
120業種以上のマーケティング支援を行ってきた全研本社が提供する「ブランディングメディア」と「ポジショニングメディア」について、少し説明させていただきます。
ブランディングメディアとは
ブランディングメディアはおもにCBBEピラミッドにおける「感情的ルート」に訴えかけるWebメディア戦略として最適です。
感情的ルートはさらに細分化すると「イメージ」と「情緒的反応」分けられます。
イメージではその商品やサービスにおける歴史や伝統、経験など抽象的なイメージがユーザーの心理的ニーズを満たしているかが評価されます。
一方情緒的反応では楽しさや興奮、安心感などユーザーの感情的な反応を満たせるかが評価されます。
そのため商品やサービスに対するユーザーのイメージや情緒的な反応に訴えかけられ、ユーザーの頭の中にイメージをインプリンティングできる「ブランディングメディア」が最適というわけです。
ブランディングメディアはオウンドメディアの一種ではありますが、オウンドメディアの中でもブランディングを行うことに特化したWebメディアです。
一般ユーザーはもちろんのこと、特に「toB」に対しては高いブランディング効果を発揮することができ、企業に対して自社ブランドの認知度向上が期待できます。
自社ブランディングを盤石なものにするため、世界観やストーリーを伝えることに重点を置いて制作・運用されます。
ブランディングメディアは製品やサービスの販促目的ではなく、あくまで消費者や顧客の視点・視座でサイトを構築する点で、ほかの集客施策とは一線を画します。
先述したように経理理念や経営戦略とマーケティング戦略に求められる一貫性をアピールする場としても、中小企業の経営者に導入を検討いただきたいのが、このブランディングメディアです。
ポジショニング戦略に基づいた施策の次のフェーズとして、このブランディングメディアを導入する企業が多く見られます。
たとえばライフプランに合わせた保険商材や不動産投資やライフイベントなど、意思決定までに悩んだり迷ったりしやすい商品やサービスに向いているのがブランディングメディアです。
貴社が専門家として中立に解説するメディアを立ち上げることで、ユーザーの疑問を一掃し、「〇〇〇のことはこの会社に相談してみよう」と第一想起される会社として認識してもらえるように、顧客を育てていくのがブランディングメディアの役割です。
リスティング広告などいますぐ客を獲得する施策と並行して運用するメリットは大きく、対策キーワードでの画面占有度も上げられます。
ブランディングメディアのメリット
自社の広告を全面に押し出すのではなく、ユーザーが頭の中で悩んでいることを専門家の視点で情報発信して解決もしくは提案し、自社の認知度浸透と自社のファンを育てたれるところが最大のメリットです。
ユーザーファーストの立ち位置で、専門家や知見のある企業が発信する信頼性の高いコンテンツはSEOでも評価され上位表示されやすいという特徴もあります。
ここで、全研本社が手掛けるブランディングメディアの事例として、下記サイトを紹介させていただきます。

防音室をつくりたいと考えて検索しているユーザーに向け、営業するのではなくさまざまなシーンごとに専門家としてアドバイスをしています。
売らんかなの立ち位置では広告として敬遠されますが、ユーザー心理としては「ここまで説明してくれているこの会社に、一度相談してみようか」という気持ちになるはずです。
実際、公開してからあまり時間が経過していないにもかかわらず、問い合わせからの成約といった成果が出始めています。
ブランディングメディアに関するくわしい解説資料も、下記ボタンよりダウンロードいただけます。この機会にぜひお目通しください。
【無料】ブランディングメディアの
資料をいますぐダウンロード!
ポジショニングメディアとは
詳細についてはお問い合わせください
一方で、CBBEピラミッドにおける「理性的ルート」に訴えかけるWebメディアとしては「ポジショニングメディア」が最適です。
理性的ルートはさらに細分化すると「性能、機能」と「客観的判定」に分けられます。
性能、機能ではその商品やサービスの特徴や信頼性、デザインなどのパフォーマンスや機能的ニーズを満たせるかが評価されます。
そして客観的判定では、その商品やサービスの品質やメーカーの信用性、競合他社と比較したときの優位性など、商品やサービスそのものが評価されます。
そこで競合他社との差別化が図れる「ポジショニングメディア」の出番となります。
ポジショニングメディアは従来のホームページ及び、ポータルサイトでは難しい「競合他社との差別化」や「商品やサービスの比較検討」などが行えるWebメディアです。
自社ホームページや他社運営のポータルサイトでは、SEOで評価を受けたいキーワードや社名、製品名での上位表示はなかなか厳しいという現状があります。
さらにポータルサイトでは大手企業が目立つ位置を独占してしまうため、中小企業が露出するためには費用が高い広告を掲載するなどの工夫が必要です。
それに比べポジショニングメディアはターゲットを絞った施策を行うためSEO対策がしやすく、親和性の高いユーザーがアクセスをしてくる傾向がある施策です。
冷やかし半分の資料請求ではなく、購買意欲の高いユーザー(顧客)から反響が得やすいという施策として、多くの中小企業様に導入いただいています。
ポジショニングメディアのメリット
ポジショニングメディアの第一のメリットは、自社の強みや優位性、独自性や技術などをアピールして競合他社との差別化が図れる点です。ユーザーの意思決定を後押しして、自社商品やサービスを納得したうえで、問い合わせや資料請求などのアクションを起こしてくれます。
すでに自社製品やサービスへの理解が進んだ状態での反響なので、成約率や購買率が高いという、クライアント様からのお声もいただいています。
ポジショニングメディアを導入した企業さまからは、
- 求めていた顧客がサイトを経由して問い合わせてくれるようになり、受注単価が従来の2.5倍近く跳ね上がった
- 月に150万を超える売り上げが毎月ポジショニングメディア経由で発生しており、成果を実感している
- サイトに掲載した競合他社からの転換も実現でき、契約までのリードタイムが3分の1まで圧縮できた
などといった、メディアの導入効果をご実感いただいています。
このポジショニングメディアは全研本社が第三者機関として公平な視点で情報提供することを徹底しているため、ユーザーに役立つサイトとして信頼度が高く、Googleからも質の高いコンテンツとして評価されることが多いという特徴があります。
ポジショニングメディアのコンセプトや仕組みについて説明した資料が下記ページよりダウンロードできます。導入した企業様の成功事例がたくさん載っていますので、ぜひ一度ご覧ください。
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ブランドマーケティングまとめ
マーケティングはそれまでの「ユーザーを刈り取る」という発想では、中々うまくいかないようになってきています。
通常のマーケティング戦略よりブランドマーケティングが上位に位置づけられているアメリカでは、「ユーザーに寄り添ったマーケティングを行う」ことがすでに根付いています。
企業理念や経営先約をも包括するブランド戦略を見直すことが、最終的には売り上げにつながるのだということを忘れないでいただければと思います。
ブランドマーケティングに役立つメディア戦略に興味がある経営者やマネジャーのみなさんからのご意見、ご相談は下記問い合わせフォームよりお願いします。