【3分で理解】エルメスのブランド戦略について解説
最終更新日:2022年12月08日

この記事では、フランスの高級品メーカー「エルメス」のブランド戦略について考察しています。自社のブランド戦略を策定する上て参考にしていみてください。
なお、自社のブランド戦略を打ち出すにあたって、ブランドやブランディングに関する基礎的な知識も必要です。下記のページではブランド戦略の概要やブランディングの流れを詳しく解説している資料を用意しておりますので、ぜひこちらもご活用ください。
エルメスのブランド戦略のポイント
商品そのものの価値や価格と同じく、市場での優位性を獲得するためにブランディングは非常に重要といえます。
創業200年以上を誇るハイエンドブランド「エルメス」は、どのようなブランド戦略を行ってきたのかをみていきましょう。
「クラフトマンシップ」ストーリーにこだわるブランド戦略
エルメスは、1837年に馬具工房として創業しました。時代の流れとともに取り扱う製品は変化しましたが、創業当初から変わらないのが「クラフトマンシップ」へのこだわりです。
エルメスの製品は、一流の職人が最高の素材を使ってひとつひとつ手作業で作り出しています。こうして完成した製品はどれもクオリティが高く、おのずと高価なものとなります。
しかし、どんなに価格が高くてもエルメスの製品が売れるのは、それに見合うだけの価値があるからです。
高級感だけを演出し、大量生産で手の届く価格帯で販売する戦略もありますが、エルメスはこれを良しとしていません。
エルメスのブランドアイデンティティは、職人の手仕事で生み出される、価格以上の価値をもつ製品へのこだわりです。そのため、ブランド戦略においては、価格よりも価値をポイントとしたアプローチを展開しています。
そのひとつがプロモーション活動です。
他のハイエンドブランドの多くは、セレブや有名人を起用したプロモーションを行っていますが、エルメスは職人の手仕事を見たり触れたりして体験できるプロモーションを多数展開しています。
ファッションショーをはじめ、体験型展覧会、エルメスのスカーフを巻いたポップアップイベント、エルメスの手しごと展などを通して、職人たちのクラフトマンシップの魅力を発信。
ブランドアイデンティティを活かした、エルメスらしいブランド戦略といえるでしょう。
エルメスらしさを活かした「ニーズに応えるブランディング」の徹底
馬車と従者が描かれたエルメスのロゴは有名ですが、よく見るとなぜか馬車には人が座っていません。実はこれこそがエルメスのフィロソフィー(哲学)なのです。
「エルメスは馬車に乗るために必要な最高の品物を揃えるが、馬車を御すのはお客様自身である」
つまり、エルメスはお客様が快適に馬車(人生)に乗るためのサポート役であり、あくまでも馬車(人生)を進めるのはお客様自身であるという考え方といえます。
このフィロソフィーのもと、エルメスと顧客は創業当初から「共生」という特有の関係性を構築してきました。
市場のニーズに流されるのではなく、自社のブランドアイデンティティを活かした唯一無二の価値の提供こそが、エルメスを求める顧客のニーズや心を捉えたブランド戦略につながったといえます。
ブランドと顧客が共に幸せになれる情緒的価値の付加
顧客との共生関係を構築することで、確固たるブランディングとロイヤリティの確立をしてきたエルメス。
職人仕事によるハイクオリティな製品の提供にこだわっているだけでなく、その製品を手にしたときの情緒的価値の付加にもこだわっています。
製品を作る人と使う人双方がポジティブになれるものづくり・体験づくりが、エルメスのブランド価値を高め、さらなるロイヤリティの醸成につながっているといえそうです。
エルメスのブランド戦略まとめ
ハイエンドブランドの中でも確固たるポジションを維持しているエルメスは、一流の職人が作り出す最高品質の製品に深いこだわりのあるブランドです。
200年以上という長きにわたって愛されてきた背景には、自社のブランドアイデンティティを理解し、常に誇りをもって継承してきたことが挙げられます。
時代に流されるのではなく、自社のこだわりを貫きながら、その時代に生きる人たちに寄り添ったブランド戦略を実践してきたことが、今のエルメスを作り上げています。