SWOT分析を商社事業に活かす!基礎知識や事例と共にマーケティング力を深める

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SWOT分析の基本知識

SWOT分析は、スタンフォード大学のアルバート・ハンフリー氏らが開発したフレームワークです。現在では、企業の戦略立案などに活用されています。具体的に、どのようなものなのでしょうか。概要・目的・注意点を解説します。

SWOT分析とは

SWOT分析は、コントロール可能な内部環境とコントロール不可能な外部環境に分けて、自社を取り巻く環境を分析するフレームワークです。内部環境には「Strength(自社の強み)」「Weakness(自社の弱み)」、外部環境には「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」が分類されます。

ちなみに、SWOT分析の「SWOT」は、これら4つの頭文字から成り立っています。SWOTの詳しい説明は次の通りです。

SWOT 概要
Strength 目標達成の助けになる人材・財務・技術力・ブランド力など
Weakness 目標達成の障害になる人材・財務・技術力・ブランドなど
Opportunity 目標達成の追い風になる市場の変化・競合他社の動向・技術革新・法令など
Threat 目標達成の障害になる市場の変化・競合他社の動向・技術革新・法令など

これらの分析結果をもとに、事業評価や戦略立案などを行います。具体的には、4つの要素を掛け合わせて「自社の強みを使って機会を活用する方法(Strength×Opportunity)」「自社の強みで脅威を遠ざける方法(Strength×Threat)」
「自社の弱みで機会を逃さない方法(Weakness×Opportunity)」「自社の弱みで脅威にさらされない方法(Weakness×Threat)」を考えるのです。

SWOT分析を導入する目的

SWOT分析の目的は、自社を取り巻く環境を多角的に分析することです。さらに一歩踏み込むと、内部環境と外部環境を分析することで、市場機会や事業課題などを発見することといえます。

現状を正しく分析して、そこから適切な戦略を導き出したいときなどに有効です。

SWOT分析の導入にともなう注意点

SWOT分析で、常に正しい結果を導き出せるわけではありません。例えば、目的を設定せずにSWOT分析を行うと、内部要因と外部要因を適切に洗い出せないため、間違った結果を導き出しやすくなります。

SWOT分析は、明確な目的を設定したうえで取り組みましょう。

また、基礎的なフレームワークであるため、単体では細かな分析を行えません。内部環境はコア・コンピタンス分析を併用するとより客観的に、外部環境はPEST分析を併用するとより詳細に分析できます。

必要に応じて、他のフレームワークを併用しなければならない点にも注意が必要です。

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商社に最適なSWOT分析の具体例とは

商社に最適なSWOT分析の具体例とは

SWOT分析についてさらに理解を深めるため、具体例を紹介します。ここでは、大手総合商社の伊藤忠商事を例にとってSWOT分析を行います。伊藤忠商事のSWOTは以下の通りです。

伊藤忠商事のSWOT
Strength ・生活消費関連(繊維・食料・住生活・情報・金融・第8)と基礎産業関連(機器・化学品・石油製品・鉄鋼製品)で構成される非資源分野の売上・利益が安定している
Weakness ・売上が国内に偏っている
Opportunity ・新興国経済の成長による生活水準の向上と消費財需要の拡大
Threat ・米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響で経営環境が不透明

Strength+Opportunity

伊藤忠商事の強みは、非資源分野の売上が大きいことです。具体的には、繊維・食料・住生活などで構成される生活消費関連、機器・化学品・石油製品などで構成される基礎産業関連の売上が大きくなっています。

例えば、ファッションアパレル部門では、メンズファッション・レディースファッション・スポーツウェア・ワーキングウェア・服飾資材・繊維原料などをグローバルに展開して売上を伸ばしています。

伊藤忠商事を取り巻く機会は、どのようになっているのでしょうか。代表的な機会として挙げられるのが、アジア諸国をはじめとする新興国経済の成長です。

新興国経済が成長すると、生活水準の向上並びに消費財需要の拡大が予想されます。

伊藤忠商事の強みと機会の掛け合わせから、新興国市場で生活消費関連の販路を拡大するなどの戦略が考えられます。

Weakness+Opportunity

伊藤忠商事の弱みは、売上の比率が日本国内に偏っていることです。売上の8割程度を国内であげているといわれています。

機会は、前述の通りアジア諸国を中心に、新興国の経済が成長していることです。このような機会を逃さないために、伊藤忠商事は国内市場にとどまらず、積極的に新興国へ進出するべきといえるでしょう。

実際に、伊藤忠商事は中長期を見据えた戦略として、新興国における取り組みを始めています。具体的には、2015年から中国・アジア市場への投資などを行っています。中国・アジア市場での基盤拡大を推進しているのです。

Strength+Threat

伊藤忠商事の強みは、非資源分野の売上と利益が安定していることです。2018年度における非資源分野の利益規模は3,780億円、資源分野の利益規模は1,155億円、その他の利益規模は71億円となっています。

伊藤忠商事を取り巻く脅威として、資源価格の急落が挙げられます。例えば、2020年3月には、新型コロナウイルスの世界的な流行拡大により石油需要が激減したことで、原油価格が急落しています。

商社にとっては厳しい環境といえそうですが、伊藤忠商事は自社の強みを生かし、この脅威を乗り越えられると考えられます。2014年から投資額の8割を非資源分野に投下するなどの対策を講じて、非資源分野で安定した売上と利益を確保しているからです。

非資源分野の売上をさらに伸ばすことで、資源価格の急落に対応できると考えられます。

Weakness+Threat

伊藤忠商事の弱みは売上が国内に偏っていること、伊藤忠商事にとっての脅威は米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの流行で経営環境が不透明なことです。

現在の経営環境は、数年前と大きく異なります。中国・アジアを中心とする新興国市場へ、これまで通り投資を行うにはやや厳しい状況といえるかもしれません。したがって、脅威が生じるまでのやり方ではなく、脅威に対応したやり方で投資を継続する必要があると考えられます。

実際に、伊藤忠商事は、デジタル化への対応を進めるなど、従来のビジネスモデルを脅威に合わせる形で進化させています。

商社はSWOT分析で自社の弱みと強みを分析

商社はSWOT分析で自社の弱みと強みを分析

内部環境と外部環境に分けて、自社を取り巻く環境を分析するフレームワークをSWOT分析といいます。自社の強みと弱み、機会と脅威を明らかにして、事業評価や戦略立案などを行うことができます。

自社の環境を正しく分析したい商社や、分析から的確な戦略を立案したい商社などに適しているといえるでしょう。SWOT分析についてさらに詳しく理解したい方は、以下の記事を参考にしてください。

SWOT分析を事例つきで解説!企業の経営戦略フレームワークを実践

マーケティングでは、集客・広告戦略も重要になります。これらについても理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。

商社・卸の集客はWebマーケティング・広告戦略を中心とした強みの見せ方がポイント

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