バリュープロポジションとは?ひとり勝ちを狙える戦略を事例付きで深掘り解説

バリュープロポジションとは?ひとり勝ちを狙える戦略を事例付きで深掘り解説
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キャククルでもよく文中で紹介する「バリュープロポジション」。図にするとイメージがつかめるのですが、言語化するとちょっとわかりにくいですよね?

そこでここでは、マーケティングの基盤ともいえるバリュープロポジションについて、徹底的に深掘りして解説していきます。

だれもが知る有名企業のバリュープロポジション事例や、基礎知識が学べる書籍なども紹介していますので、いまひとつ理解できていないと感じているかたは、読んでみてください。

バリュープロポジションとは

バリュープロポジションとは

製品やサービスを上市する際には、「バリュープロポジション」を意識しないと売上につながりにくくなります。なぜならBtoBでもBtoCでも、市場には製品やサービスがあふれかえっているからです。

たくさんの候補から自社製品を選んでもらうためには、購入の決め手となる理由が必要になります。

バリュープロポジションは「提案できる価値」という日本語に置き換えられますが、もう少しわかりやすく説明するなら「顧客が自社の製品やサービスを購入する理由」

ただし顧客が感じる価値=バリューは、かならずしも企業側が考えているモノとは一致しません。したがってここがぶれてしまうと、マーケティングの原則である「売れる仕組み」をつくることができません。

このバリュープロポジションを明確にしてから、製品開発やソリューションの開発をするのが理想です。

マーケティング戦略を考えるうえで、このバリュープロポジションは非常に重要な要素となります。

バリュープロポジションで満たすべき3つの条件

ビジネスでは下記の3つの条件を満たすものがよいバリュープロポジションにあたります。

  • 顧客が心から求めているニーズに応えられる
  • 顧客の課題や問題を解決できる優位性がある
  • 自社にしかない強みがあり競合には真似できない
バリュープロポジションのイメージ図

図を見るとわかりやすいと思いますが、どんなに自社で価値を高めても、競合他社にも類似製品があれば決め手にはならず、また自社が価値ある強みだと主張しても、顧客がそれを欲しなければマーケティングは成立しません。

重要なのは、顧客のニーズが立脚点であることです。企業側が「顧客にとってはこれは有益だ!」と考えても、実際のユーザーにはまったく求められていなかったとなれば、当然その商品は売れません。

的確なニーズを捉えられないとどうなるか

例えばカフェを経営する際に価格の安さを求められていると思って、食材などの原価を下げて人件費も削減するためにオーナーだけで切り盛りしていたとします。

しかしお店の近くに住む人から求められていたのが価格ではなく、注文の速さや味だった場合はどうなるでしょう?

求められていると思って工夫したことが裏目に出て、お客さんが寄り付かなくなるかもしれません。

さらに自分ではギリギリまで価格を下げたつもりだったのに、他の店舗と大きく金額の差がなければライバルも提供できる価値となり、バリュープロポジションにはあたりません。

その街のニーズがとらえきれていなかったため、このカフェには少しのお客さんしか訪れないということになります。

商品やサービスの開発、リニューアルの基盤となる

よいバリュープロポジションが定まっていれば、新商品やサービスを開発する際に、目的がぶれることがありません。プロジェクトなどを進める上でも、バリュープロポジションが方向性を定める軸になるからです。

リニューアルを検討する際も同様です。追加するべき魅力はなにか、一番売りにしていたことはニーズからずれていないかを再検討できます。

売り上げや契約数減少に悩むときにも有効

バリュープロポジションが役に立つのは新しく何かを開発するときとは限りません。売り上げ数や契約数が減少している際に問題点を見つける方法としても使えます。

実や顧客のニーズを掴んでいるのに、「自社では当たり前にやっていることだ」と認識していて、うまくアピールできていない場合もあるのです。

例えば修理作業を請け負う仕事で地域の最安値と同等の費用で勝負しているのに、なかなか売り上げが上がらないケースを考えてみましょう。

売り上げアップのため調査をしているうちに保証年数が地域で一番長いことを知り、過去に顧客の声か「アフターサポートが充実して安心できる」という声が多いことに気がついたとします。

宣伝する際に、費用ではなくアフターサポートの長さを一番の売りにすれば、何も作業自体は変わっていないのにニーズを捉えた宣伝をすることで大きく売り上げが上がります

保証期間が長い業者は信頼できると考えている顧客に対して、保証期間の長さはアピールするべき価値です。

他社では提供できていないメリットであることに気がつき、実績数を重視した広告方法に変えるだけで契約数が大きく増加するというのも珍しくありません。

バリュープロポジションを戦略の軸とする意味

バリュープロポジションを軸にするべき理由は大きく分けてふたつあります。

  • ニーズは変化し多様化している
  • 品やサービスの差別化が難しくなってきている

詳しく解説します。

ニーズは変化し多様化している

昔と比べると現在は何かを購入したり利用したりする際に求められている要望は多様化しています。下記はプレジデントオンラインに掲載されていた一文です。

かつて多くの男性は「いつかはクラウン」と憧れましたが、今では「車はいらない、自転車で十分」という人も増えているといいます。
購買意欲が底をつく時代の空気の中、ユニクロのようにリーズナブルで「標準化」した商品を店舗展開していくのもひとつの成功例でしょう。
しかし、現代の若者が「物欲が乏しい」といわれる背景には、企業が彼らの嗜好の多様性に対応できていないという側面もあります。
引用元「PRESIDENT 嗜好の多様化(https://president.jp/articles/-/5498)」

以前に人気の高かった商品が捉えていたニーズは既に変化している可能性がありますし、同じ商品やサービスを利用する人であっても個々でもっているニーズは異なります。捉えることができないとライバルに差をつけられてしまい、差別化が難しい現代では勝ち抜くことができません。

商品やサービスの差別化が難しくなってきている

さらに同様な製品やサービスを提供している競合も多くなっているのが現状です。

日本では多くの業界で技術の進歩が進み、各企業で同様のサービス内容を提供できるようになってきました。ターゲットにとっては「どれを選んでも同じ」という状況になってしまっているのです。

差別化を図ることはライバルに勝つために必要で、ビジネスの基本。差別化が難しい現代にあって、同じ商品・サービスを提供する企業の中で差別化するために必要なものが、バリュープロポジションなのです。

バリュープロポジション戦略を意識してわかること

戦略を考えるイメージ写真

バリュープロポジションを意識した際に発見できるのは下記のような点があります。

  • 気づいていなかったターゲットのニーズ
  • ニーズと提供している内容のずれ
  • うまくアピールできていなかった自社だけの価値

気づいていなかったターゲットのニーズ

バリュープロポジションを軸に考える場合にニーズの分析は外せません。調査していく上でビジネス戦略として重要なターゲットのもつ要望が新しく見つかることがあります。

今までニーズだと思っていたけれど実は違っていた、または予想していないニーズをもっていたなど、新しい発見があるのです。

顧客の要望をしっかりとらえているはずなのに思ったほど成果がでていない、と悩んでいる方は一度調査の上でバリュープロポジションを見直してみましょう。

ニーズと提供している内容のずれ

現在提供しているもしくは今後提供しようと考えている内容の不一致、ずれがあることに気付くのは、正しいニーズを把握できたときです。ずれたまま進んでしまうと他社との競争に巻き込まれてしまい、売り上げや契約数は大きく伸びません

。いち早くニーズからずれていることを気付き修正する、もしくは対象とするターゲットを絞ったり変えたりすることが売り上げの増加につながります。

うまくアピールできていなかった自社だけの価値

バリュープロポジションを軸に考えることで、今まで気がついていなかった自社の価値に気がつけます。

自社が提供しているサービスや商品をひとつずつ見直しすることで、新たなサービスや開発をせずとも広告方法を変えるだけで大きな売り上げアップにつながる事例もあるのです。

バリュープロポジションの戦略を立てるメリット

バリュープロポジションの戦略を立てるメリット

商品開発や新しいサービスを考える際にバリュープロポジションで戦略を立てておくことには大きなメリットは、ライバルと戦わずに勝てるという点です。

ライバルと戦わずに勝てる理由としては主に2つあります。

  • ターゲットの要望にそった提案を先取りできる
  • ブランディングできる

ターゲットの要望にそった提案を先取りできる

バリュープロポジションの分析を通じて顧客がもっているニーズを把握していれば、競合よりも先んじて、顧客が求めている価値を提案できます。一方バリュープロポジションが考えられていない会社やサービスの場合、ずれた内容ばかり顧客に提案してしまうことになるのです。

不要な提案をしてくる会社と、自分の求めている要望を解決してくれる提案をしてくれる会社、どちらを選ぶかは一目瞭然です。

反対に顧客が不要なオプションはいらないというニーズをもっていれば、相手に何もおすすめせずシンプルなサービスを提供するという選択もあります。無駄な営業活動をせずに売り上げ増加につながるのです。

ブランディングできる

バリュープロポジション戦略を立てて要望に応える対応が出来れば、「この分野に関してはこの会社」というブランドイメージをターゲットに抱かせることができます。

価格だけを価値と考えると、お互いに利益を削った価格競争に陥ります。しかしブランディングできていれば、提供される価値に見合う価格設定であれば、ターゲットが自然と選んでくれる状態がつくれるため、ビジネスを成長させ続けることができます。

ブランドといっても、高級なイメージだけを指すわけではありません。

例えば下記のものもブランディングのひとつです。

  • 一番商品が揃っている雑貨屋さん
  • いつ行っても気さくな店主がいるカフェ
  • 細かく要望に答えてくれる通販ショップ
  • 作業後に定期的に状況確認をくれるリフォーム業者

商圏内で上記のような条件で探そうとした際に必ずイメージする会社となればブランディングできている状況です。

自社のバリュープロポジションの見つけ方

いざバリュープロポジション戦略を立てようとしても、なかなか見つからないのが実情です。戦略を立てるのに役立つバリュープロポジションキャンバスを作るのがおすすめです。

バリュープロポジションキャンバスとはターゲットの特徴を捉えつつ、ターゲットにぴったりなバリュープロポジションを見つけるための図式です。

詳しくはこちらの記事でも解説しているので参考にしてください。

バリュープロポジションキャンバスの作り方

ここでは簡単に解説します。

まずバリュープロポジションキャンバスの作り方をみていきましょう。

作成手順は、以下の通りです。

  1. 誰に何を提供するかを簡潔に書く
  2. 顧客の要望を書く
  3. 顧客に対して提供できる価値を書く

バリュープロポジションキャンバス表

1.誰に何を提供するかを簡潔に書く

まずは右側にターゲットは何かを書きます。基本的にはサービスを利用する、もしくは商品を購入する顧客が該当します。

短く簡潔に記載することが大切ですが、いくつか細かい条件を決めておきましょう。年齢や性別だけではなく、ライフスタイルや考え方なども細かく決めておきます。

なぜなら要望が多様化している現在では、年齢や性別などで大まかにくくった場合、先入観で要望を考えてしまいずれる可能性があるためです。

ターゲットを事前に細かく決めておくことが的確なバリュープロポジションを作成するのに大切です。思い込みなどで考えるのではなく、アンケートなどを客観的なデータを利用するのがベストです。

2.顧客の要望を書く

定めたターゲットの情報をもとに、もっている要望を書き込んで下さい。必ずターゲットにとって価値のあることを考えましょう。バリュープロポジションで一番大切な部分で、ニーズがずれていれば提供する内容も価値がなくなってしまいます。

必ず顧客目線に立って考えなければいけません。

1で記載したターゲット像があやふやだとニーズもずれてしまいます。

3.顧客に対して提供できる価値を書く

ターゲットも人数が決まったら、最後は求められている内容から、自分や自社が提供できる内容を決めていきましょう。

ニーズがしっかり定まっていてもすぐに決まるとは限りません。ときには提供できるサービスがないと判断してしまうこともあります。

しかし実は自社の良さを見つけられていないだけかもしれません。まずは一度提供している内容の特徴を棚卸しすることで発見できることもあります。

例えば飲食店なら下記のようなものが挙げられるでしょう。

  • 注文を受けてから調理する
  • 店舗数が多い
  • 配達に対応している
  • 席数の多さ
  • 嫌いな食材を除くなど柔軟な対応

意識してサービスしている点、ルールとして当たり前になっている点など細かくあげることで見つかりやすくなります

バリュープロポジションを見つけるのに有効な3C分析とSTP分析

バリュープロポジションを見つける際には自社だけではなく他社も含めたマーケティング分析が必要です。

分析なんてしたことがなく、何からすればよいのか分からないという方もいるかもしれません。分析を上手くすすめるコツとしては3C分析とSTP分析を意識することです。

3C分析

3C分析とは下記を明確にする分析です。

  • Customer:顧客
  • Competitor:競合会社
  • Company:自社

顧客

顧客を知るのに調査しておくべきなのはニーズや消費行動に加えて、市場の規模や成長性もあります。市場が変化している状況や、業界自体の変化に合わせて顧客の考え方や行動も変わるためです。

以前は大きく売り上げを上げていたのに減少してしまっている場合、市場や業界の変化を把握できていない可能性があります。

競合会社

競合会社を調査する際には売りにしている特徴やキャパシティ、業界のなかでの位置づけなどです。上位の会社だけではなく新規参入してきた会社の動向、自社と似ている会社なども注意しなければいけません。

また同じサービスを展開する会社を全て競合と考えるのではなく、商圏エリアごとに競合会社を設定することも大切です。自社を利用しない商圏エリアの会社まで競合と考えてしまうと、勝てる要素は限られてしまいます。

自社

自社分析では現在の状況を再確認します。特徴だけではなく、製品やサービスのラインナップ一覧、人員リソースや資金なども確認しておくべき点です。

バリュープロポジションを軸に考えると、自社の以外な部分がアピールポイントになる場合があります。

STP分析

STP分析は下記3つの点を重視して自社を見直すことを指します。

  • segmentation:セグメンテーション
  • Target:ターゲティング
  • Positioning:ポジショニング

セグメンテーション

セグメンテーションは年齢、職業、ライフスタイルなどターゲットの属性を細かく分けて考えることです。現在ではニーズが多様化しているため、特に重要視して考えなければいけません。

ターゲティング

ターゲティングはセグメンテーションで細かく分類したターゲットのうち対象として狙いを絞る対象をピンポイントで考えます。狙うのは男性か女性か、年代は何歳ぐらいか、年収は高めか低めかなどです。

できるだけ多くの人を狙いたいと思う方も多いと思いますが、ニーズを捉えるためには絞ることが重要です。

ポジショニング

ポジショニングでは市場のなかでの位置を考えます。ニーズが多いけれどライバルも多い上位の位置を狙うのか、もしくは市場としてニッチだけどライバルが少ないポジションを狙うのかといった選択です。

バリュープロポジションの考え方を学べる本

書籍イメージ写真

バリュープロポジションという考え方について、より知識を深められる本もご紹介します。

本のタイトル
バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る
本の特徴
バリュープロポジションキャンバスを作成するという考え方を日本で大きく広めるきっかけになった海外の書籍です。日本だけではなく多くの国で翻訳出版されています。図解が多くシンプルな説明が多いため、本を読む習慣がない方でも読みやすいです。
本のタイトル
バリュープロポジション戦略50の作法 顧客中心主義を徹底し、本当のご満足を提供するために
本の特徴
バリュープロポジションの説明に加えて、顧客に伝わらないケースや誤解された顧客満足などを紹介している本です。1ページごとに内容がまとまっているため、じっくり時間をかけて一冊の本を読む時間がない方に向いています。
本のタイトル
バリュープロポジション経営の実践
本の特徴
創業以降赤字がないアシックス商事の前社長である梅垣和英氏が、顧客が望んでいるニーズに対応してきた事例がまとめられています。
本のタイトル
デジタル・ビジネスデザイン戦略 最強の「バリュー・プロポジション」実現のために
本の特徴
ITを使ったビジネス戦略でバリュープロポジションを実現する方法が書かれています。けしてIT分野だけではなく、さまざまなビジネスジャンルに応用できる本です。
本のタイトル
バランス・スコアカード徹底活用ガイド 顧客視点のバリュー・プロポジションから戦略を実現する
本の特徴
経営方針の確認から実際に必要な準備、そして導入するまでを解説してくれる書籍です。実際にバリュープロポジションを意識して進めていて問題がないかを確認するのにも役立ちます。
本のタイトル
マンガ これ、いったいどうやったら売れるんですか?
本の特徴
売れない商品を売る方法としてバリュープロポジション戦略が紹介されています。マンガと合わせて解説してくれるので、普段本を読む習慣がない方でも読み続けやすいのが特徴です。
本のタイトル
スタートアップ・マニュアル ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで
本の特徴
バリュープロポジションについて認識している方向けですが、仮説の立て方や懸賞などが掲載されています。新しく事業を立ち上げる事例や、創業しようと考えている方にぴったりな内容です。Web系とWeb以外の事業について解説されています。
本のタイトル
考える仕事がスイスイ進む 「フレームワーク」のきほん
本の特徴
バリュープロポジションを中心に、商品やサービスの改善するべきステップを教えてくれる本。図式が多いため頭に入りやすく、社内で他のスタッフに提案する際にも役立ちます。バリュープロポジションキャンバスをはじめ、土台となる考え方を上手くいかせない方にぴったりです。
本のタイトル
UXリサーチの道具箱 イノベーションのための質的調査・分析
本の特徴
バリュープロポジションキャンバスの作り方から、評価の仕方まで理解できる本。UXとはユーザーの体験が獲得できる体験のことを指し、バリュープロポジションの価値ともつながる点です。ターゲットを調査した上で改善していくべき方法の要点がイラストでまとめられています。

バリュープロポジションで成功している例

実際にバリュープロポジションを活かして成功している事例を、日本でも馴染みのある製品や企業を例にいくつかご紹介します。

  • iPhone
  • 無印良品
  • ダイソンの掃除機
  • QBハウス
  • ヤマトフィッティングステーション
  • Slack
  • Airbnb

バリュープロポジションの事例:iPhone

iPhoneのバリュープロポジション

日本でも多くの人が利用しているiPhone。誰しもがもっている製品ですが、初めて登場したときにはスマートフォンという概念は一般的ではありませんでした。携帯電話の操作性という概念を大きく変えた商品です。

顧客のニーズ

iPhoneが捉えたニーズは、簡単に多くの機能を操作可能な点。iPhone販売前にも多機能の携帯電話は販売されていました。しかし本体に半分近くに及ぶ多くのボタンがあり使いこなすのが難しため、利用しているのは一部のビジネスマンだけだったのです。
操作が難しい、面倒という従来のスマートフォンユーザーのニーズを捉えました。結果としてスマートフォンユーザーだけではなく、世界的に多くの人が利用する発明となったのです。

他社にはない価値の提供

AppleはiPhone登場以前にはなかった、ボタンをなくすというアイデアを導入しました。他社は機能の豊富さを優先するあまりボタンが複雑になっていったのですが、全てのボタンをソフトウェア化するという方法で解決しています。
簡単な操作で便利な機能を豊富に利用できることがiPhoneの価値です。

バリュープロポジション事例:無印良品

無印良品のバリュープロポジション

家具や雑貨の市場として人気の高いブランドのひとつである無印良品からも学べる点は多いです。顧客のニーズの捉え方と流通経路の工夫で、元々は西友のプライベートブランドという位置づけから大きなブランドへと成長しています。

顧客のニーズ

無印良品が狙っていた市場はライフスタイルと非常に大きな分野なのですが、なかでもシンプルな商品を求めている顧客とターゲットは限定しています。

さらに直接顧客からのニーズを集めるための工夫として、自社のサイト内にて空想無印という「欲しい商品」を投稿できるページをもっていました。一定数の投票が集まると商品開発を進めるという、エンドユーザーが企業に直接提案できる体制をとっていたのです。
空想無印は現在でも外部サイトとして引き継がれています。

他社にはない価値の提供

シンプルなライフスタイルという分野が対象であることは忘れずに、梱包やデザインを簡潔にした商品を開発しています。さらにコンビニエンスストアに独自の販売流通ルートを確保することで、多くの場所で買えるという大きな価値をつくりあげました。

さらに現在の空想無印では再販要望を気軽に出せて、要望は無印良品スタッフから返答がもらえるのです。顧客の商品要望に対してWeb上で返答をするのも、他の企業にはない価値のひとつです。

バリュープロポジション事例:ダイソンの掃除機

ダイソンのバリュープロポジション

日本でも多くの家庭に購入されているダイソンの掃除機。吸引力が下がらないというのがバリュープロポジションですが、キャッチコピーに使うなどアプローチ方法も非常によい事例です。

顧客のニーズ

掃除機を利用する際に悩みとして目をつけたのは、吸引力が変わってしまうことです。従来の掃除機は紙パックにゴミを集めている設計で、吸い込んだゴミがパックに詰まってしまうのが原因でした。

紙パックを取り替えることで吸引力を戻していましたが、紙パックはメーカーによっても種類がバラバラで、取り替える手間が面倒というのも付随するニーズです。

他社にはない価値の提供

ダイソンは紙パックを使わずにゴミを分解するサイクロン技術を使い、吸引力を落とさない掃除機を開発しました。吸引力が落ちないだけではなく消耗品の紙パックを購入する必要もありません。

従来では当たり前であった吸引力の低下を防ぐため、製材工場の分離装置を掃除機に取り入れる研究を5年続けていたのです。

日本ではいかに掃除機の価格を下げるかが競われていた時代に、ダイソンは日本で最初に販売し1台あたりの価格は20万円でした。しかし国際産業デザイン見本市で賞を受賞するなど多くの人に評価され、日本の企業も高価格掃除機の開発に追従していくことになったのです。

バリュープロポジション事例:QBハウス

QBハウスのバリュープロポジション

1,000円カットというジャンルを生み出したQBハウスは、余分なサービスを除いてシンプルにすることで潜在的なニーズを捉えた事例です。

できるだけ多くのサービスを提供しなければと思うあまりに、顧客の求めていないものを付加してしまうことに気をつけなければいけません。

顧客のニーズ

理容室や美容室ではおしゃれなヘアーに仕上げてくれるカット技術やマッサージなどのサービスで競っていましたが、一方で手軽にカットのみやってしてほしいという要望もあったのです。

QBハウスが格安カットを開拓する前には時間をかけて要望を聞いた上でカットし、シャンプーやひげ剃りなども基本的なセットとして提供されていました。

他社にはない価値の提供

理容室でカラーリングなどをしない場合でも1時間ぐらいかかるのが当たり前だったのですが、QBハウスはわずか10分でカットするというサービスを展開しました。

時間が短く回転率も高くなるため、4,000円ほどが相場だったのを1,000円という低価格を打ち出しています。

価格だけではなく、スピーディーな対応で顧客の時間を節約できるというのが大きな価値です。

結果として、日本版顧客満足度指数第3回調査にて、生活関連サービスの1位をとる結果となりました。

バリュープロポジション事例:ヤマトフィッティングステーション

ヤマトフィッティングサービスのバリュープロポジション

現代で拡大しているインターネット通販ですが、便利ななかにも潜んでいるニーズを捉えて宅配業者のクロネコヤマトが他社と連携した事例がヤマトフィッティングステーションです。

現在では一部の都市に限定されたサービスでまだ多く広まってはいませんが、実証実験をおこなった上で実際にサービスがスタートし、対応通販ショップが増えていることは見逃せません。

顧客のニーズ

ヤマトフィッティングステーションには2種類のターゲットがいます。

  • アパレル購入のエンドユーザー
  • ECアパレル事業者

インターネット通販でアパレル商品を購入する顧客からは、実際に試着ができないことや色合いなどが実際とは違っていたという声があり、返品に対応していてもいちいち送付しなければいけません。他にも宅配便を受け取るために自宅にいる必要があることも、通販の悩みです。

ECアパレル事業者の視点では、実店舗を用意すると人件費などが高額なため踏み切れない、商品の返品までに時間がかかるという点が課題としてありました。

他社にはない価値の提供

アパレル購入のエンドユーザーとECアパレル事業者、両方のニーズを解決したのがヤマトフィッティングステーションのサービスです。

提携しているEC事業者の商品をエンドユーザーがECサイトから買ったものが衣類のリフォームショップなどに設置された「フィッティングステーション」にて試着できます。

商品が希望と違っていた場合、試着後渡すだけですぐに返品でき、さらに裾直しなどもフィッティングステーションがある店舗が対応してくれるのです。

バリュープロポジション事例:Slack

slackのバリュープロポジション

現在では社内ツールとして多く活用されているSlackも、顧客のニーズをとらえたサービスです。

顧客のニーズ

現在でもファイル共有ソフトを使って渡したデータを担当者へ別のチャットツールを利用して連絡するなど、複数ソフトを利用する方もいると思います。

しかし全てのソフトで操作と利用方法を覚えなければいけず、スマートフォンでは利用できないソフトも珍しくありません。全て使い勝手も異なり、新入社員へも一通り教える必要があります。

他社にはない価値の提供

Slackには複数のサービスが利用でき、チャットだけではなくミーティングツールやアラートの機能なども含まれている豊富な機能が他にはないSlackの最大の価値です。チャットのなかで重要なコメントなどをピン留めできるので、他のメモソフトを起動する必要がありません。

また直感的な操作ができる使いやすさもSlackの大きな価値です。

バリュープロポジション事例:Airbnb

airbnbのバリュープロポジション

日本でも海外旅行をする際に使っている方もいるAirbnb。宿泊施設を利用するシステム自体を大きく変えたサービスです。

顧客のニーズ

Airbnbもターゲットは2種類います。

  • 宿泊先を探している旅行者
  • 空き家や空き部屋を活用したい物件オーナー

宿泊先を探している旅行者

旅行者のニーズは宿泊費用と予約の手間の2種類です。宿泊費用は旅行にかかる費用のなかでも大きなウエイトを占めるほど費用がかかり、世界中を旅行する方は国ごとに宿泊施設サイトを使って予約しなければいけません。

空き家や空き部屋を活用したい物件オーナー

入居者のいない施設がお金にならないというのが物件オーナーのニーズです。

他社にはない価値の提供

空き部屋を一時的に宿泊施設として貸し出すシステムをAirbnbは提供しました。ゲストハウスなども同様のサービスは提供していますが、行き先の国に関わらずAirbnbだけで手続きできるのが大きなポイントです。

さらに物件オーナーに対しては空き部屋を収益として活用し、利用方法がなかった物件のニーズを満たしました。

開始当初は朝食付きでの提供だったのですが、オーナー側から上がっていた準備が大変というニーズをもとに宿泊のみに限定したことで一気に利用者が広まっています

サービススタート後の改善も大切だと分かる事例です。

バリュープロポジションを活かせるWebメディアの活用を

ポジショニングメディア事例ポジショニングメディア事例 詳細はお問い合わせください

バリュープロポジションが見つかったら、その価値を効果的に伝える手段が必要です。

他社にはない、顧客にとって魅力的な価値を有しているのであれば、具体的な施策で、ターゲットに知ってもらい、見てもらわないと売上にはつながりません。

上記画像はZenkenが手掛けたラベル自動貼付機器に関するメディア「業務用ラベラー事典」(https://www.labelers-dict.com/)というBtoB向けのWebメディアです。

このメディアは自社のバリュープロポジションを認知してもらいながら、顧客の悩みや課題を解決に導くコンテンツで構成されている「ポジショニングメディア」というメディア戦略の一例。

バリュープロポジションとWebマーケティングを掛け合わせた具体的なWebメディアとして、多くのBtoB会社に導入いただいています。

ポジショニングメディアの詳細な戦略については、以下の記事でくわしく解説しています。Web上での集客施策に関心があるかたは、併せてお読みください。

120業種・8,000件以上の豊富なサイト制作実績をもっている弊社では、市場や競合会社のリサーチに基づいたマーケティング分析も実施しております。

  • バリュープロポジションがなかなか見つからない
  • バリュープロポジションの宣伝方法がわからない
  • ターゲットのニーズが正確に把握できていない

といった課題や悩みがあるかた、Web施策に困っているかたは、Zenkenまでお問い合わせください。貴社に最適な施策をご提案させていただきます。

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