不動産営業が抱える課題として、顧客と定期的に接触をする追客が難しかったり、他部門との情報共有が難しかったりといったものが挙げられます。
そこで解決策となるのが、営業活動の効率化や顧客情報の管理・分析に役立つSFA。SFAは日本では営業支援システムなどの意味で扱われており、顧客情報の管理や商談の進捗管理といった機能で営業活動を効率化できるメリットがあります。
この記事では、各社が提供する不動産業界向けSFAシステムの特徴や料金などを比較した内容をまとめました。システム導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
不動産業界向けSFAシステムの一覧表
ここでは、各社が提供する不動産業界向けSFAシステムをまとめて紹介します。各システムの特徴と料金が分かる早見表を作成しましたので、自社に適したシステム選びにご活用ください。
会社名 | サービスの特徴 |
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Digima |
不動産に特化した機能で顧客管理・アプローチを自動化!業務効率の大幅アップが目指せる
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管理戸数ふえるくん |
家主リストもDMもワンクリックで!管理会社専用のSFAツール
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eセールスマネージャーREMIX CLOUD |
1回活動報告すれば案件や顧客情報、リストや予実管理表など様々な情報が自動反映 |
Sales Cloud |
AI + データ + CRMで、速く、スマートに、効率よく営業を進められる |
kintone |
ノーコードで業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれる |
Sansan |
あらゆる顧客情報の営業活用を実現し、さまざまな営業課題の解決を後押しする |
Cyzen |
スマホで簡単にあつかえる営業活動管理アプリ |
Mazrica Sales |
入力自動化とAIの力で営業組織に成果をもたらす |
GENIEE SFA/CRM |
直感的に使える機能で業績向上に貢献する |
JUST.SFA |
ノーコードでSFAを構築・カスタマイズ |
UPWARD |
フィールドセールスでの顧客データの記録・活用を効率化 |
WaWaFrontier |
営業担当者個人の中に留まりがちな情報をシステムで共有化する |
ジョブマネ |
初期費用も一切かからず1,000円から始められる業務管理ツール |
不動産業界が抱える課題とは?
不動産業界が抱える課題として、おおよそ下記が挙げられます。
- 長時間労働の慢性化
- 業務効率化・デジタル化が進んでいない
- 多様化するニーズに対応できていない
それぞれについて、順番に見ていきます。
長時間労働の慢性化
パーソル総合研究所と東京大学中原淳准教授の「残業実態調査」※の結果をみると、残業時間が30時間以上に及ぶ従業員の割合が不動産業では31.8%(月平均21.6時間)と、14業種のうち4番目となっています。
※参照:パーソル総合研究所/東京大学 中原淳准教授 残業実態調査
https://rc.persol-group.co.jp/news/201802081000.html
業務効率化・デジタル化が進んでいない
総務省の調査した「令和元年通信利用動向調査報告書(企業編)」※のテレワーク導入状況の推移によると、令和元年の不動産業のテレワーク率は25.4(平成30年:16.6%、平成29年:9.5%)と、情報通信業や金融・保険業と比べて半分程度の割合です。
また、業界の慣習として「実力主義」や「非効率な業務プロセス」が常態化しており、業務効率化・デジタル化が進んでいないのが実態となっています。
参照:総務省 令和元年 通信利用動向調査報告書(企業編) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_002.pdf
多様化するニーズに対応できていない
近年、インターネットの普及により不動産を購入するニーズは多様化しており、従来型の営業スタイルやマーケティング戦略はすでに通用しなくなってきています。
にもかかわらず、実態としては不動産業界はアナログな業務や長時間労働の常態化など、非効率業務の温床となっています。
そのため、今後はデジタルインフラの整備だけでなく業務生産性を高めることが最優先の課題です。
不動産業界向けSFAシステムに関する質問

Q1.不動産業界がSFAを導入するメリットとは?
不動産業界が抱える課題を踏まえて、なぜ不動産業界にSFAが必要になってくるのか、活用するメリットを列挙して以下で解説します。
顧客情報の資産化を促進
SFAを活用してこれまで企業に横断的に分散していた顧客情報を一元化して集約することで、情報の資産化を促進できます。
たとえば、同じ部署内でも各営業パーソン同士で顧客情報が管理・共有できていないこともよくあります。
そのため、顧客に対してアプローチするタイミングを逃してしまい、離脱(機会損失)が発生しかねません。
このような機会損失を防ぐためにも、SFAを活用して営業とマーケティングの連携を図ることが求められます。
また営業とマーケティングの情報共有が深まることで、時間や費用などコスト削減のメリットもあります。
結果として、コストパフォーマンスの高い営業活動を実現できます。
成約率の高い営業活動の実現
SFAの活用は、成約率の高い営業活動につながっていきます。
SFAの機能を使うことで、顧客情報や行動履歴、商談状況など、あらゆるデータを分析し顧客一人ひとりに合ったアプローチをすることが可能です。
顧客の流入経路や購買行動に基づいた、効率的かつ差別化された営業スタイルを構築できます。
その結果、顧客の情報が反映された競合と異なる営業方法が可能となり、高い成約率を生み出す営業活動につなげられます。
顧客満足度の向上
SFAによって、最適なタイミングで顧客にアプローチすることで、顧客満足度の向上が見込めます。
また、顧客満足度を高めることはLTV(顧客生涯価値)の上昇が見込めるだけでなく、新規顧客の開拓や企業のブランディング強化などさまざまな相乗効果を生み出すでしょう。
Q2.不動産業界のSFAの選び方のポイントは?
SFAを比較する際には、次の4つのポイントを確認しましょう。
- 自社に必要な機能は搭載されているか
- 担当者が操作しやすいツールか
- スマホ・タブレットで利用できるか
- トータルコストで費用を比較
自社に必要な機能は搭載されているか
SFAによって搭載している機能が違うため、自社が必要とする機能が搭載されているかを比較し確認します。
顧客情報や案件情報、商談情報、タスク、スケジュール管理などは多くのSFAに搭載されていますが、次のような機能を搭載したSFAは限られています。
- フィールドセールス時に役立つオリジナルマップを作成できる機能
- GPS搭載でスムーズに取引先を訪問できる機能
- 外部ツールとの連携機能
- AIによる入力、分析アシスタント機能
基本的な機能に加えて、どんな機能を使いたいのか前もって整理し、ニーズに対応できるSFAを選ぶ必要があります。
担当者が操作しやすいツールか
営業担当者にとって使いやすいSFAであれば、現場での定着がスムーズで導入効果を得られやすいでしょう。
不動産営業の効率化にSFAを導入するなら、担当者が操作しやすいツールを選びます。
SFAに限った話ではありませんが、業務効率化や生産性アップのためにシステムを導入する場合、何よりも使いやすさが重要。
わざわざマニュアルを確認しなくても操作できる、他の営業担当者からレクチャーを受けなくても直感的に使えるなど、誰でも使いこなせるSFAを選んでおきます。
スマホ・タブレットで利用できるか
不動産営業の管理でSFAを活用する場合、スマホやタブレットでも使えるものを選びます。
不動産営業は、顧客先を訪問していくフィールドセールスが多いです。その際外出中に顧客情報を確認・更新できれば、訪問営業がスムーズに進むだけでなく営業プロセスをリアルタイムに管理可能です。
外出中でも気軽にSFAを操作するには、スマートフォンやタブレットへの対応が不可欠です。外回り営業が多い不動産業では、スマホ・タブレット対応のSFAが必須と言えます。
トータルコストで費用を比較
不動産営業に活用するSFAを選ぶ際には、トータルコストでどの程度の費用がかかるのかを確認する必要があります。
SFAと言っても各サービスで料金形態はバラバラで、ユーザーごとの課金のみの場合もあれば、プラン別、機能別で料金が異なるものもあります。また期費用が数万円かかるものもあれば、無料で導入できるものもあるでしょう。
単に1ユーザーあたりの金額や初期費用の有無だけで決めるのではなく、機能面やサポート体制と照らし合わせて、どれが一番適正価格なのか判断すべきです。
Q3.不動産業界がSFAを導入する際の注意点とは?
SFAを導入する際は、SFAツールの特徴や機能、価格だけでなく、以下の3点に注意しましょう。
- 自社の業務形態に合った機能を抽出しているか
- モバイル端末に対応しているか
- 誰でも簡単に使いこなせる仕様になっているか
自社の業務形態に合った機能を抽出しているか
SFAの導入に際して失敗しがちな要因のひとつに、自社の業務内容と、それを補うSFAの機能がマッチしていないことがあります。
「多くの機能を搭載した方が成果が上がる」と思われがちですが、多過ぎる機能はかえって従業員から「操作が難しそう」「入力が面倒」などと敬遠されたり、悪い印象を与える原因ともなりかねません。
SFAを導入する際は、自社にとって必要な機能だけに絞ることがおすすめです。
モバイル端末に対応しているか
営業マンの業務負担を軽減するためには、PCでの入力に限らず、スマホやタブレットなどのモバイル端末に対応しているかも重要なポイントです。
「SFAは社外では利用できない」となれば、これまでの業務に加え、SFAに入力する工程だけが増えてしまう事態になります。
そうならないためにも、営業マンが外出先で使える仕様を選ぶことがポイントです。
誰でも簡単に使いこなせる仕様になっているか
システムの定着を促すためには、SFAを利用する営業マンにとって使いやすい仕様のものを選ぶことも大切です。
たとえば入力項目が多いSFAだと、入力作業が負荷や負担につながり、結果的に従業員がシステムに入力することを怠るなど正確なデータが確認できない事態に陥ります。
そうならないためにも、あらかじめインターフェースや仕様を確認したり、営業マンに実際に使ってもらったりするなどの試験段階を設けましょう。
不動産業界向けSFAシステムまとめ
不動産業界の営業は、業務過多により残業が増えてしまいがちです。また、顧客情報をうまく共有・管理できず、営業が属人化してしまっている企業も多いようです。
そんな不動産会社には、SFA(営業支援システム)の活用による効率化をおすすめします。不動産業界向けSFAシステムの導入を検討している方は、ぜひ、比較の際に本記事の内容を参考にしてください。
- 免責事項
- 本記事は、2024年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。