物流業のマーケティング戦略|優先すべき施策と成果を出す手法を解説
最終更新日:2026年04月06日
世界情勢の影響や国内における課題が山積状態の物流業界。全研本社で運営している物流業界のメディア「ブツレポ」(https://www.warehouse-distribution.net/)などにも、よくお問い合わせをいただいています。
そこでこの記事では物流業界の動向や課題、マーケティング戦略を考えるうえで知っておかねばならない情報などについて説明していきます。
なお、物流業界に特化したマーケテイング戦略に関する資料もご用意していますので、あわせてご活用ください。
物流業界はEC市場の拡大により需要が伸び続ける一方で、人手不足・価格競争・法規制の強化など多くの経営課題に直面しています。こうした環境下で売上を伸ばし、新規荷主を獲得していくためには、従来の「足で稼ぐ営業」に加えてマーケティング戦略の構築が不可欠です。
しかし「マーケティングが必要なのはわかるが、何から始めればいいかわからない」「施策が多すぎて優先順位がつけられない」という声も少なくありません。
この記事では、物流業界の最新動向と課題を整理したうえで、物流業で優先すべきマーケティング施策を具体的に解説します。BtoBマーケティングの優先順位の考え方から、成果の出やすい手法まで紹介しますので、物流会社のマーケティング担当者・経営者はぜひ参考にしてください。
物流業がいま置かれている状況
物流業のマーケティング戦略を検討するうえで、まずは業界が直面している環境変化を押さえておきましょう。
EC市場拡大と物流需要の変化

BtoC-EC市場は拡大を続けており、物流を外部に委託するEC事業者が増加しています。Zenkenが実施したアンケート調査では、36.7%のEC事業者が「オンライン売上増に伴う物流業務改善」を理由に物流委託を導入したと回答しています。

また、物流委託先を選ぶ際に荷主が重視する項目として、上位3つは以下の通りでした。
- 「委託コストを最小限に抑えられるか」……62.4%
- 「保管方法や設備が整っているか」……40.4%
- 「自社に合った柔軟なオプションを用意してくれるか」……39.4%
費用だけでなく、設備やサービスの柔軟性など多様なニーズに応えられるかどうかが荷主の選定基準になっていることがわかります。つまり、物流会社がマーケティングで訴求すべきは「安さ」だけではないのです。
物流2024年問題・2026年問題がもたらす経営環境の変化
2024年4月にはドライバーの時間外労働上限規制がスタートし、輸送力が制約される「物流2024年問題」が現実のものとなりました。
さらに2026年4月には改正物流効率化法が施行され、年間貨物量9万トン以上の「特定荷主」には以下の義務が課されています。
- CLO(最高物流責任者)を経営層から選任
- 物流効率化に関する中長期計画の策定・定期報告
- トラック待機時間の削減や積載率向上への取り組み
この法改正は荷主企業に物流の見直しを迫るものです。物流会社にとっては「法改正対応をサポートできるパートナー」としてポジションを確立する絶好の機会であり、それをマーケティングで打ち出すことが重要です。
ドライバーの高齢化と人材不足
パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」によると、2030年の運輸・郵便分野の労働供給は21万人不足すると予測されています。

トラックドライバーは全産業平均以上のペースで高齢化が進んでおり、高齢層の退職を契機に労働力不足がさらに深刻化する恐れがあります。
この人手不足は、営業面にも影響を及ぼしています。営業担当者を十分に確保できない物流会社が増えており、限られた人数で効率的に荷主を獲得するためのマーケティング戦略がますます重要になっているのです。
モーダルシフトと物流効率化の動き
国土交通省は「モーダルシフト等推進事業」のもと、トラック輸送から鉄道や船舶(大量輸送機関)への転換を推進しています。

労働力不足の解消と温室効果ガス削減を同時に実現する手段として注目されており、物流企業はこうした業界全体のトレンドを踏まえたサービス設計とマーケティングが求められます。
物流業にマーケティング戦略が必要な3つの理由

「物流は営業力で勝負する業界」という認識を持つ方も多いかもしれません。しかし、いま物流業がマーケティングに取り組むべき理由は明確です。
理由①営業リソース不足をカバーできる
ドライバー不足と同様に、物流会社では営業人員の確保も課題になっています。テレアポや飛び込みなどのアウトバウンド営業は人手に依存するため、営業リソースが限られる中ではスケールしにくい手法です。
マーケティング(特にWebマーケティング)を導入すれば、荷主側から自社を見つけて問い合わせてくる「インバウンド型」の集客が実現でき、少ない営業人員でも効率的に荷主を獲得できます。
理由②価格競争から脱却できる
物流業界では同質的なサービスが多いため、どうしても価格競争に陥りがちです。しかしマーケティングを通じて自社の強み・差別化ポイントを明確に伝えることができれば、「安さ」ではなく「価値」で選ばれる物流会社になれます。
実際に、Webマーケティングを導入した物流会社から「受注単価が2.5倍になった」という声も上がっています。
理由③荷主の情報収集行動が変化している
かつては物流会社の選定は「紹介」や「営業を受けて」が主流でしたが、いまは荷主企業の担当者がWeb検索で情報収集するのが当たり前になっています。
「物流 アウトソーシング」「3PL 比較」「倉庫 委託 ○○(エリア名)」などのキーワードで検索し、候補となる物流会社を比較検討するのです。この検討プロセスに自社が入れなければ、そもそも選択肢にすら入れません。
物流業のマーケティング戦略で押さえるべき優先順位

物流業のマーケティングは、すべての施策を一度に実装するのではなく、優先順位を決めて段階的に取り組むことが重要です。
BtoBマーケティングプロセスの5つの優先順位
BtoBマーケティングの優先順位として、一般的に以下の順番で着手すべきとされています。
- CVR(コンバージョンレート)改善 — まず問い合わせ導線を整える
- 認知拡大 — 自社を知ってもらう
- リード獲得後、商談化までの改善 — 見込み客を育てる
- 商談から受注までの改善 — 成約率を上げる
- 受注後の改善 — リピートや紹介を増やす
自社がいまもっとも改善に迫られているフェーズがどこかを見極め、そのフェーズに対応したマーケティング施策から着手するのが効率的です。
たとえばWebサイトはあるが問い合わせが来ないなら「①CVR改善」が最優先。問い合わせは来るが成約に至らないなら「④商談→受注の改善」に注力すべき、といった判断ができます。
BANT条件を意識した営業・マーケティング連携
BtoBマーケティングでは、見込み客の質を見極めるためにBANT条件を意識することも重要です。
- Budget(予算):物流委託の予算は確保されているか
- Authority(決裁権):決裁者にリーチできているか
- Need(必要性):物流課題の緊急度はどの程度か
- Timeframe(導入時期):いつまでに切り替えたいか
マーケティングで集めたリードに対して、BANT条件を基に優先順位をつけ、確度の高いリードから営業がアプローチするインサイドセールスの仕組みを構築することで、限られた営業リソースを最大限に活用できます。
物流業で成果の出やすいマーケティング手法7選

ここからは、物流業で特に成果を実感しやすいマーケティング手法を紹介します。短期施策と中長期施策を組み合わせることで、安定的な集客の仕組みを構築しましょう。
①自社ホームページのSEO対策
マーケティングの土台となるのが、自社ホームページのSEO対策です。荷主が検索するキーワード(「物流 アウトソーシング」「3PL 比較」「倉庫 委託 ○○」等)で自社サイトが上位表示されれば、広告費をかけずに継続的なアクセスと問い合わせを獲得できます。
SEO対策で成果を出すためのポイントは以下の通りです。
- 荷主が検索しそうなキーワードのリサーチと選定
- 課題解決型のコンテンツ(ブログ記事、事例紹介)の定期的な発信
- 対応エリア・料金体系・サービス一覧など荷主が求める情報の網羅
- 問い合わせフォームの最適化(CVR改善)
成果が出るまで3〜6ヶ月程度かかりますが、一度上位に表示されれば「資産型」の集客チャネルとして長期的に機能します。
②リスティング広告(検索連動型広告)
SEO対策が中長期的な施策であるのに対し、リスティング広告は設定後すぐに検索結果の上部に広告を表示でき、即効性が高い手法です。
- クリック時のみ費用発生の成果課金型
- 地域・業種・時間帯など詳細なターゲティングが可能
- 予算上限を設定できコスト管理がしやすい
短期的にはリスティング広告で集客しながら、中長期的にはSEOで安定的なアクセスを確保するという二段構えの戦略が効果的です。
③コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーの役に立つコンテンツを制作・発信することで自社のファンを獲得し、最終的には商品やサービスの購入につなげるマーケティング手法です。
物流業における具体的なコンテンツ例としては、以下のようなものがあります。
- 物流コスト削減のノウハウ記事
- 業種別の物流改善事例(食品、アパレル、EC等)
- 物流2026年問題への対応ガイド
- 物流用語解説やFAQなどの初心者向けコンテンツ
SEO対策と組み合わせた「コンテンツSEO」で、様々なキーワードから自社サイトへの流入を増やすことが可能です。
④ホワイトペーパー・ダウンロード資料
荷主が欲しいと感じる資料や役立つ情報を無料で提供し、ダウンロード時にメールアドレスや会社名などのリード情報を取得する手法です。
物流業で効果的なホワイトペーパーの例として以下が挙げられます。
- 「物流コスト削減チェックリスト」
- 「3PL選定ガイド:失敗しない物流パートナーの選び方」
- 「物流2026年問題 荷主企業が準備すべきこと」
ただし、資料に興味があったからといってすぐにゴリ押しの営業をするのは禁物です。リードナーチャリング(メルマガやインサイドセールスで徐々に関係性を構築)と組み合わせて活用しましょう。
⑤ポジショニングメディア
ポジショニングメディアは、自社と競合他社の特徴を明確にしてユーザーに伝えることで、自社と親和性の高いユーザーだけを獲得できるWebマーケティング戦略です。
ポジショニングメディアの特徴は以下の通りです。
- 競合の最新情報をひとつのサイトで確認できる
- 自社の強みを「安さ」ではなく「価値」でアピールできる
- 自社の強みと顧客のニーズをメディア内で結びつけることができる
- ターゲットを絞り込み、顕在性の高いユーザーを獲得できる
ポジショニングメディアを導入した企業からは、以下のような成果が報告されています。
- 価格競争から脱却し、受注単価が2.5倍に
- 契約までのリードタイムを3分の1に短縮
- Webから月2件、元請けの契約を獲得
Zenkenが運営する物流ポータルサイト「ブツレボ」も、ポジショニングメディアの考え方を取り入れた事例のひとつです。

ブツレボ(物流レボリューション)は、物流アウトソーシングや3PLに関する情報、業界動向などのコンテンツで構成された物流専門メディアです。物流の位置づけを「ビジネスに付加価値を創造するもの」として展開し、業界別の事例を紹介しています。
ポジショニングメディアについて、物流業界向けの資料をご用意しています。導入されたお客様の声や、一般的なWeb集客手法の課題もまとめていますので、ぜひダウンロードしてご確認ください。
⑥SNSマーケティング
物流業界でもSNSの活用は有効なマーケティング手法です。特にBtoBマーケティングでは、LinkedInやFacebookを通じて荷主企業の担当者や経営者にリーチできます。
物流業界でのSNS活用のポイントは以下の通りです。
- 倉庫内の作業風景や車両、スタッフ紹介など現場のリアルな情報発信
- DX化や働き方改革への取り組みなど企業姿勢のアピール
- 業界ニュースへのコメントや自社の見解を通じた専門性の訴求
すぐに商談につながる施策ではありませんが、企業の認知度とブランド力を高め、インバウンド営業の基盤を作る長期的な施策として有効です。
⑦メールマガジン・リードナーチャリング
ホワイトペーパーのダウンロードや問い合わせで獲得したリードに対して、定期的にメールマガジンを配信し、関係性を維持・育成する手法です。
物流業界では、すぐに切り替えが起きなくても「現在の物流会社に不満が出たタイミング」で声がかかるケースが少なくありません。そのタイミングで第一想起される存在になるためには、継続的な情報提供が不可欠です。
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すれば、メール開封率やリンククリック率に基づいてリードのスコアリングを行い、確度の高いリードだけを営業に引き渡す仕組みを構築できます。
物流業のマーケティングを成功させる4つのポイント
ここまで紹介した手法を実行するうえで、成功の鍵となるポイントを4つ整理します。
①自社の強みと差別化ポイントを明確にする
「何でもできます」では荷主の心に刺さりません。自社が最も得意とする業種・サービス・エリアを特定し、それを一貫してマーケティングメッセージに反映させましょう。
差別化のポイントとなり得る例は以下の通りです。
- 特定業種(食品・アパレル・精密機器等)での豊富な実績
- WMS・クラウドシステムによる在庫可視化・データ共有力
- 流通加工(ラベル貼り・セット組み・ギフトラッピング等)への対応力
- 2026年問題に対応した物流効率化の提案力
②短期施策と中長期施策を組み合わせる
マーケティングは「すぐに成果が出る施策」と「時間をかけて資産を積み上げる施策」をバランスよく組み合わせることが重要です。
| 施策タイプ | 具体的な手法 | 成果が出る目安 |
|---|---|---|
| 短期施策 | リスティング広告、ポータルサイト掲載 | 即日〜1ヶ月 |
| 中期施策 | ポジショニングメディア、ホワイトペーパー | 1〜3ヶ月 |
| 長期施策 | SEO対策、コンテンツマーケティング、SNS運用 | 3〜6ヶ月以上 |
③データに基づくPDCAを回す
マーケティング施策を始めたら、KPI(重要業績指標)を設定してデータを定期的に分析しましょう。Googleアナリティクスなどの解析ツールを活用し、以下の指標をモニタリングします。
- Webサイトのアクセス数・流入キーワード
- 問い合わせ件数・コンバージョン率
- 広告の費用対効果(CPA・ROAS)
- リード獲得数→商談化率→成約率
④専門知識を持つパートナーと連携する
物流会社の本業は物流サービスの提供です。マーケティングの専門知識やリソースが社内に不足している場合は、物流業界のBtoBマーケティングに精通した外部パートナーと組むことで、最短で成果を出せる可能性が高まります。
物流業のマーケティング戦略まとめ

物流業のマーケティング戦略で重要なポイントを整理します。
- 物流2024年問題・2026年問題により業界環境が大きく変化しており、マーケティング戦略の再構築が急務
- 営業人員不足を補い、価格競争から脱却するにはインバウンドマーケティングの強化が不可欠
- マーケティングプロセスの優先順位を見極め、段階的に施策を実装する
- SEO・リスティング広告・コンテンツマーケティング・ポジショニングメディアなど複数の手法を組み合わせる
- データに基づくPDCAを回し、効果の高い施策にリソースを集中させる
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