ブルーオーシャン戦略とは?事例を交えてポイント解説

ブルーオーシャン戦略とは?事例を交えてポイント解説
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新たな事業やビジネスを展開する際に、どの市場に打って出るのか。
それを考える戦略のひとつが「ブルーオーシャン戦略」です。

この記事ではブルーオーシャン戦略の概要と実際の企業事例などを紹介していきます。

ブルーオーシャン戦略とは

ブルーオーシャン戦略とは
ブルーオーシャン(BlueOcean)とは直訳すると青い海のこと。

静かで穏やかな青い海のイメージと重ね合わせて、まだ開拓されていない・競合がいない市場のことを経営戦略用語でブルーオーシャンといいます。

転じて、ブルーオーシャン戦略とは未開拓の新しい市場を切り拓き、先駆者として事業を展開する戦略です。

ブルーオーシャンを見つけることができれば、競合を気にすることなくひとり勝ちできてしまうわけです。

対するレッドオーシャンとは

ブルーオーシャンに対する言葉として、レッドオーシャン(RedOcean)があります。

直訳すれば赤い海。つまりは競合がひしめき、血みどろの激しい競争状態にある市場のことをレッドオーシャンといいます。

新しく開拓されたブルーオーシャンも、次々と競合が参入することでレッドオーシャン化していきます。

後発でレッドオーシャンである市場に参入していく難易度の高さは、言うまでもないでしょう。

ブルーオーシャン戦略のポイント

ブルーオーシャン戦略では、未開拓市場で眠っているニーズを掘り起こし、新しい価値の市場を創造します。

まだ見えていない、潜在的なニーズを満たす市場を新しく創造することもまた非常に困難です。

しかしその分、新市場には脅威となる競合がいないため、自社しか提供していない高い価値を持つ商品・サービスを展開することが可能。低コストで市場を自社がコントロールできる状態というわけです。

そのため大企業を始め、多くの企業がブルーオーシャンの開拓を目指して、トレンドやニーズ・市場の分析・調査に日夜勤しんでいます。

レッドオーシャンへの新規参入も不可能ではありませんが、差別化が難しく激しい価格競争に発展するパターンが多いでしょう。

この競争に生き残る体力がなければ、レッドオーシャン参入はほぼ不可能ですし、できたとしたも多大なコストがかかります。

挑戦しやすくなったブルーオーシャン戦略

実はテクノロジーの発展によって、ブルーオーシャンは発見しやすくなっています。

現代ではWebメディアやSNS、アプリをはじめ、インターネットを活用した利便性の高いサービスが広く普及しています。

特定の価値観やニーズを持つユーザーが物理的な距離に関係なく集まりやすく(企業側から見ると集めやすく)なっているのです。

インターネット自体は低コストで利用できますし、ニーズの発見などの情報収集にも活用できます。

企業規模に関係なく参入しやすく、顧客へのアプローチも容易なため、ブルーオーシャン戦略を実施できる裾野が広がっています。

ニーズの多様化 × アプローチのしやすさが両立する現代では、ブルーオーシャン戦略は有効かつ取り組みやすいというわけです。

ブルーオーシャン戦略の重要性・メリット

ブルーオーシャン戦略の重要性・メリット

前述の通り、ブルーオーシャンの開拓を目指す企業は多くあります。
ここでブルーオーシャン戦略のメリットや重要性を整理してみましょう。

低コスト・高単価のビジネスが実現可能

ブルーオーシャン市場では競合がおらず、ユーザーは自社商品しか選択肢がない状態です。

そうなると競合に勝つため・ユーザーに買ってもらうために行う、広告やマーケティングにかけるコストを低く抑えられます。
また価格競争にも陥らないため、適正な価格設定で利益も生みやすいです。

ひとたびブルーオーシャンを見つけることができれば、低コスト・高単価という理想的な状況でのビジネスが可能になります。

新市場のシェア独占

当然競合がいない新市場のシェアは、自社が独占する形になります。

既存製品であっても、新市場に対して新たな価値提案ができればシェア拡大が可能です。

多角化を目指す企業にとっても新市場に対して新製品を投入することができれば、事業の厚みが増し安定感が生まれます。

特定の市場でのポジションを確立できれば自社のブランディングにもつながり、認知の拡大やロイヤルカスタマーの獲得も目指していけるでしょう。

ブルーオーシャン戦略の注意点

上述していますが、最初はブルーオーシャンであっても、模倣する企業が後を追って参入してくることでレッドオーシャン化していきます。

先行者優位を保ち続けるには、常に分析・ブラッシュアップが必須であり、方向性を定めるためのマーケティング戦略のノウハウが必要になってきます。

ブルーオーシャン市場を見つけさえすれば安泰、ということはなく、戦いの始まりにすぎません。

自社の独自性を保ち、「この市場に自社あり」という状況をキープし続ける戦略とそれを実行できる体制をあらかじめ考えておく必要があるのです。

ブルーオーシャン戦略で活用できるフレームワーク

ブルーオーシャン戦略に活用できるフレームワーク
ブルーオーシャン戦略について考えていくなら、3つのフレームワークを押さえておくことをおすすめします。

以下では、バリュー・イノベーション、戦略キャンバス、アクション・マトリックスの考え方をわかりやすくご説明していきます。

アクション・マトリックス

以下の4つの要素を、アクション・マトリックスと呼びます。

  • 取り除く:商品・サービスに備わる要素の中で、取り除けるものはなにか
  • 減らす:業界標準の商品・サービスと比べ、大胆に減らすべき要素はなにか
  • 増やす:業界標準の商品・サービスと比べ、大胆に増やすべき要素はなにか
  • 付け加える:これまで提供されておらず、今後自社の商品・サービスに付け加えるべき要素はなにか

これらの要素は、ブルーオーシャンが創造できるか否かを整理するために必要だとされており、レッドオーシャンの分析をする際にも役立ちます。

それぞれの項目を既存市場の常識や基準に当てはめることで、高価値と低コストの両立が可能な価値ポイントを見つけることができるのです。

戦略キャンバス

戦略キャンバスは、「ブルーオーシャンで戦っていくためにはどうしたらいいか」というときに有効な分析ツールです。

  • 横軸:顧客に提供する価値
  • 縦軸:顧客が受け取れるメリットの大小

この2つの要素からなるグラフで、差別化のポイントを考える際にも役立ちます。

キャンバス上には、既存事業と新事業の価値曲線を描き、横軸に描いた各要素に対し、買い手がどの程度の価値を享受しているのか分析しましょう。

戦略キャンバスを描くことで、顧客がどの要素を重要視してるいるのかを可視化できるため、「どのようなコンセプトで戦うか」「自社がブルーオーシャンで勝てる分野はどこか」などのヒントが見えてくるでしょう。

バリュープロポジションキャンバス

バリュープロポジションとは、ユーザーニーズはあるが競合は提供できていない、自社だからこそ提供できる価値のことです。

一見レッドオーシャンに見える既存市場の中にある、隠れたブルーオーシャンを見つけるのにも有効な考え方です。

単純な例ではありますが、価格競争をしている、機能の豊富さを争っている、といったそれぞれの競争環境があるが、機能が豊富かつ低コストという市場がぽっかりと空いているということもあるのです。

またバリュープロポジションを考える上で、特定のユーザーニーズに応えている商品がまだないということがわかれば、その市場を取りに行くことができます。

>>バリュープロポジションキャンバスの作り方や考えるコツを解説

ブルーオーシャン戦略で成功した事例

ブルーオーシャン戦略ですでに成功している企業の事例を見ることで、新しい価値を創造していくためのヒントになるかもしれません。
それでは、実際にブルーオーシャン戦略で成功した企業の事例を見ていきましょう。

任天堂「wii」

2006年に販売された家庭用ゲーム機「wii」は、爆発的なヒットを記録しました。というのも、「wii」の開発スタッフは、ブルーオーシャン戦略の本をヒントに「wii」の構想を練ったそうです。

ソニー社の「PlayStation」がライバルとなり、レッドオーシャンの渦中にいた任天堂でしたが、ターゲット層を子供から幅広い世代に変えたことで「wii」が誕生しました。

3次元加速度センサーを搭載したリモコンや周辺機器、多彩なソフトを揃えることで、子供はもちろん、両親や祖父母、といった家族全員で楽しめるようになっています。

新たな価値を創造することに成功した「wii」は、発売から1年で世界の販売数は2,000万台を超える大ヒットとなっています。

>>任天堂のブルーオーシャン戦略のポイントとは

ユニクロ「ヒートテック」

ブルーオーシャンで大きな成功を収めている企業のひとつに、ユニクロが挙げられます。

同社の「ヒートテック」は、高い機能性と低価格の両立を併せ持つことで話題を呼び、大ヒットを記録しています。

それを可能にしたのは、製造から販売までのプロセスを同社で一貫していることでしょう。

流通や仕入れ、買い付けなどに必要となるコストを削ったことで、価値の高い商品を低コストで販売し、成功を収めました。

ちなみに同社は、2021年4月からスタートした総額表示義務の流れを受け、これまでの商品本体価格をそのまま消費税込みの価格で販売すると発表したことでも有名です。

ユニクロが低価格な商品を提供し続けるのは、ブルーオーシャンを一気に独占し、競合の参入を困難とする戦略がとられているためです。

これをペネトレーション・プライシング戦略と言い、企画や製造、流通に至るまでのプロセスを一貫して行える大企業にとっては大変有効な施策だと言えるでしょう。

>>ブルーオーシャン戦略の事例解説「ユニクロ」編

アップル「iPod」

つぎに、「iMac」や「iPad」で知られるアップルの成功事例をご紹介します。

今やWindowsと一二を争う同社ですが、Windows95が発売された時期は違いました。パソコンのプラットフォーム争いではWindowsに完敗しているのです。

そんな同社は、「新曲を誰よりも早く聴きたい」というユーザーのニーズを切り口に、「iPod」を開発しました。

ソニー社と比べて自社レーベルといったしがらみのないアップルは、各社から音楽・動画にまつわるソフトを集め、インターネットを介した音楽配信サービスを備えた「iPod」をリリースできたのです。

パソコン「Macintosh」シリーズを中核としていたアップルは、レッドオーシャンからブルーオーシャンへと軸を移したことで、成功を収めました。

2001年の発売以来、ソニー社の「ウォークマン」シリーズを抑え、日本では54.8%、アメリカでは7割のシェアを握ったと言います。

そして、「iPad」や「iPhone」など、操作性に富むデバイスで新たな市場を切り開いた同社は、現在もブルーオーシャンを開拓し、新たな価値を提供し続けています。

レッドオーシャンで勝つことは難しくとも、ブルーオーシャンを開拓することで大きな成功をつかんだ同社の戦略から、ヒントが見えてくるはずです。

※参照元:GLOBIS知見録「アップルのiPodを「ブルー・オーシャン戦略」で解説する」(https://globis.jp/article/497)

企業と買い手双方に魅力的な市場がブルーオーシャン

ブルーオーシャン戦略の本質

このページでは、ブルーオーシャン戦略の本質と成功事例をご紹介しました。

競合ひしめくレッドオーシャンで、シェアを握ることの難しさを痛感している企業も多いでしょう。

一方、対となるブルーオーシャンは、競合の脅威にさらされることのない穏やかな市場です。

いわば、企業と買い手、双方に魅力的な市場がブルーオーシャンだと言えるでしょう。

ブルーオーシャンを開拓する重要性としては、以下の4つが挙げられます。

  • テクノロジーの進化により、挑戦しやすい
  • 多様化し続けるユーザーニーズに応えられる
  • 低コスト・高単価のビジネスが実現可能
  • 新市場のシェア獲得

中小企業にもチャンスがある

ブルーオーシャン戦略の可能性

既存の商品やサービスでも、とらえ方を変えればブルーオーシャンを見つけることも可能です。

成功事例として紹介したアップルの「iPod」もそのひとつで、Windowsに完敗したパソコンのプラットフォーム市場から離れ、新しい市場を創造することで成功を収めました。

このように、既存の商品やサービスを新しい切り口で見てみることで、大企業のみならず、中小企業も成功につながるチャンスはあります。

開拓のチャンスを逃さないように、常にアンテナを張っておきましょう。

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