食品のブランディング成功事例とブランド化の価値

食品のブランディング成功事例とブランド化の価値
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なぜ食品ではブランディングが重要なのか

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スーパーに行くと、同じ食品ジャンルの商品が数え切れないほど並んでいます。どの納豆を選べばいいか、悩むほどたくさんの種類がります。インターネットが普及した現在では、スーパーだけでなく通販でも、その品数の多さに消費者が品物選びで苦労するほどです。

同じような商品が無数にある中で、大手商品に埋もれず、自社の商品を手にとってもらうのは至難の業です。だからこそ、消費者の選択肢が無数にある食品というジャンルでは、他ジャンルよりもブランディング戦略が非常に重要になります。

競合ひしめくレッドオーシャン市場で、消費者に自社商品を認知してもらえるよう、自社の強み、こだわり、トレーサビリティといった価値提供はできているでしょうか。ブランディングの方針を決める前に、まず最初に自社商品の要素を棚卸しして、マーケットを分析するところから始めなければいけません。

この記事では、食品ブランディングに必要な要素についてご紹介します。自社商品のブランド化、リブランディングを模索しているマーケティング担当の方はぜひ参考にしてください。

商品をブランド化する2つの価値

新商品が開発された時点では、それはただの商品であって「ブランド化」されているとは言えません。消費者に新商品を使用してもらって、その商品が評価され消費者の中で商品に対するイメージが形成されて、はじめてブランドとなるのです。

消費者の中で、商品が良い印象を持たれてブランド化されれば、他社商品より値段が高くても自社商品を手に取ってもらえる可能性が高まります。

それでは、ただの商品をブランド化するためには、具体的に何から行えばいいのでしょうか?ブランド化を行うにあたって、重要となるのが消費者の機能的価値と情緒的価値の創出です。

機能的価値とは

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機能的価値とは、市場の中で他社と勝負できるような機能や品質のことで、ブランド化には欠かせない要素の一つです。他社との差別化を考える前に、消費者にとって必要な機能や品質が揃っていることは必須の条件となります。

しかし、どれだけ優れた機能を持ち合わせていても、多数の商品がひしめく中で、機能部分だけで差別化を行うのは非常に困難です。同じような機能・商品は多く、これらの要素だけで消費者に認知されるのは難しいといえます。

そこで、機能的価値に加えて必要となるのが、消費者の情緒的価値の創出です。

情緒的価値とは

情緒的価値とは、ひとことでいうと、消費者に商品の良い印象を持ってもらうことです。

消費者が商品を使えば使うほど、その商品に対する評価や印象が積み重なっていきます。この経験と評価は、使用したことのない他社商品にはないものであり、差別化するための不可欠な要素です。

まず、プロモーションで商品の開発経緯や商品への想いなど、消費者に商品のイメージを発信します。そして、プロモーションを見た消費者が商品を実際に使用し、評価を行います。この一連の流れによって、消費者の情緒的価値が創出されるのです。

経験・評価が積み重なるに連れ、消費者は商品のファンとなり、リピーターとなります。ブランド化にとって大切なことは、自社の商品情報を消費者へ的確に伝えて、商品を手にとってもらい、印象・評価を重ねることです。

そのために必要となる要素が消費者の機能的価値と情緒的価値となります。

ブランドがある場合とない場合の違い

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ここまでブランド化に必要な要素について説明しました。ここからは、ブランドの役割について解説します。

ブランドには下記のような3つの役割があります。

  • 識別
  • 認知拡大
  • 品質保証

「識別」とは、消費者がブランド名を見て、パッと商品の印象が思いつく、ということを指します。例えば、あるお菓子メーカーの名前を聞いて、「高級」「チョコレートが有名」など、会社名を見ただけで、その商品の印象が思いつく状態であれば、消費者に識別されているといえます。

「認知拡大」は、ある程度ブランドが確立され、新商品を発売したときにも、簡単に認知してもらえる状態を指します。一定数のファンがついている状態であれば、新商品のプロモーションを行った際に認知してもらいやすくなります。

最後に、「品質保証」とは、「この会社の商品なら大丈夫」と品質が周知されている状態のことを指します。商品を購入する前から「ここのお菓子は美味しい」と品質が保証されている状態なので、消費者は安心して商品が購入できます。

品質保証が確立されていると、消費者が商品を選択するときに圧倒的に商品を選んでもらいやすくなります。

このように、ブランドには「識別」「認知拡大」「品質保証」という3つの役割があり、競合他社の商品が並ぶ中で、自社の商品を手にとってもらうためには、ブランドの確立が欠かせません

それでは、ブランドがある状態とない状態では、認知から購買までにどのような違いがあるのでしょうか?端的に言うと、ブランドの有無で消費者の購買までのプロセスは大きく異なります。

パーチェス・ファネルとは

消費者の購買プロセスを表したモデルとして「パーチェス・ファネル」というものがあります。

パーチェス・ファネルとは 「パーチェス(購買)」と「ファネル(漏斗)」を組み合わせたもので、認知から購買に辿り着く消費者の数が減っていく様子が漏斗に似ていることから、このように呼ばれています。

ブランド商品がない場合のパーチェス・ファネル

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画像引用元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査」(https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000034531_file2.pdf)

上記の図は、ブランド化された商品がない状態のパーチェス・ファネルです。ブランド化された商品がない状態では、消費者は大量の商品を比較して、ある一部の商品に関心を持ちます。そこからさらに吟味し、最終的に購入する商品を決定します。

消費者は多数の商品を比較・検討するため、購入までに膨大な時間がかかります。

ブランド商品がある場合のパーチェス・ファネル

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画像引用元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査」(https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000034531_file2.pdf)

上記の図は、ブランド化された商品がある状態のパーチェス・ファネルです。ブランド化された商品は、大量にある商品の中でも、認知されているため、そのまま購買に繋がります。比較・検討するとしても、一部の商品を選んだ状態で行われるのです。

このパーチェス・ファネルから、認知が広がっている大手の商品は選ばれやすく、大多数の商品は関心を持たれることなく選択肢から外れてしまう、ということが分かると思います。認知が拡大していない、中小企業の商品が選ばれるためには、大手以上にブランディングが重要です。

地方の中小メーカーが大手に勝つためには?

それでは地方の中小メーカの商品が、大手に勝つためには、どのようにブランドを確立させればよいのでしょうか?中小メーカーがブランド化するためにやるべきこととしてSWOT分析が有効です。

SWOT分析を行い、自社の強み、弱み、機会、脅威を明確にすることで、消費者への認知につなげるための展開方法が見えてきます。

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画像引用元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査」(https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000034531_file2.pdf)

対大手メーカーの強みはなにで、弱みはなにか。どのような機会に認知を広めブランド化を進めていけるか、食品のブランディングを目指す中で脅威となるのはどのようなことか。

あらかじめ課題や問題点を認識したうえで、ブランド化を目指すと失敗のリスクを軽減することができます。

※参照元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査

地域密着型の展開

まず、地方の食品メーカーがブランド化しやすい場として、地元のスーパーが挙げられます。 地産地消という言葉もあり、その地域で生産されたものを食べるという働きかけは全国で行われています。

しかし、地域密着型の展開は、地域住民の食卓をサポートするという部分では有効ですが、大手メーカーとの価格競争になると、勝ち抜くことは難しいといえます。

そこで、地域密着の他に、大手メーカーと差別化できるポイントとして「プレミアム、希少価値」といったことがあげられます。

プレミアムという戦略

どれだけ質がよい商品でも、大手メーカと価格で比較されれば、勝負できません。そこで地方の中小メーカーが大手と差別化できるポイントとして、こだわりを全面におしだした「プレミアム性」をもたせることが大切です。

大手メーカの食品は工場で大量生産されているため、同品質・低価格なものが並びます。一方で地方の中小メーカーの商品は、原材料などの品質にこだわっているという面をアピールポイントとすることで、大手の商品と差別化することができます。

多少価格が高くても、高品質の商品を購入したい、という層は一定数いるため、価格や生産量で勝負するのではなく、希少価値といったプレミアムブランドを確立することが、市場を勝ち抜く上で有効です。

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画像引用元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査」(https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000034531_file2.pdf)

※参照元:株式会社日本経済研究所「地域発行食品メーカーのブランド食品調査

食品のブランディング成功事例

ここからは、地方で食品を扱う企業のブランド化成功例をご紹介します。ぜひ、自社のブランディング戦略の参考にしてください。

杉山フルーツ

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画像引用元:杉山フルーツ(http://sugikiyo.com/)

杉山フルーツは商店街の中にある果物屋です。個人の果物屋が4万軒から2万軒まで数を減らしている中、杉山フルーツの業績は大変好調です。好調な理由は、徹底した品質へのこだわりがあるためです。

杉山フルーツの販売するゼリーは370円~と安くはありませんが、毎日500個ほどが完売する勢いです。素材の味をそのまま届けられるよう、工場で大量生産はせずに、品質にこだわり続けていることが業績を大幅に延ばしている要因となっています。

伊那食品工業

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画像引用元:伊那食品工業(https://www.kantenpp.co.jp/)

伊那食品工業は、国内市場の80%を占める寒天メーカーです。寒天に関する商品を開発し、利益を上げ続けています。

そこまで大きくない寒天市場の中で、48年間も利益を増やし続けられるのは、会社に欠かわるすべての人を幸せにするという理念のもと、会社を経営しているためです。

社員がクレーンで怪我をしたときには、会社が傾くかもしれないほどの投資を行い、設備を一新しました。この設備投資は、結果として生産性の工場に繋がり、社員のやる気を引き出すきっかけとなっています。利益を追い求めすぎず、社員ファーストの経営を行うことで、継続的な増収につながっているのです。

福島屋

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画像引用元:福島屋(https://www.fukushimaya.net/)

福島屋は東京・羽村市にあるスーパーで、年商は50億円を超え、10店舗を展開しています。

元は、スーパーの売上を追求する経営方針でしたが、売上の減少をきっかけにお客様本位の経営へと切り替えました。そんな福島屋がお客様から愛されるスーパーになった要因として、他にはない珍しい商品を取り扱っていることが挙げられます。

福島屋には、他のスーパーにはない独自の商品が多く、お客様のことを考えて、安全で美味しい商品が並びます。とことんお客様を想った品揃えにするで、遠方からでも足を運びたくなるようなスーパーとなれたのです。

小松製菓

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画像引用元:小松製菓(https://www.iwateya.co.jp/)

小松製菓は創業70年以上の、老舗煎餅メーカーです。国内の煎餅販売数は1位で、年商は30億円にも及びます。

小松製菓は社員をとても大切にする会社で、煎餅というジャンルでありながらも、就職先として人気を誇っています。社員を家族のように扱い、手当を充実させることで、採用のブランディングに成功しています。

食品の新しい価値を生み出すブランディング

ここまで、中小・中堅食品メーカーにスポットを当ててきましたが、大手の食品メーカーでもブランディングは積極的に行われています。

味の素のブランディング

味の素はドレッシング市場に参入する際、ブランディングのお手本のような展開を行いました。

ドレッシング市場を調査した結果、消費者は既存のドレッシングに満足しており、味の素が新たに参入できるスキはありませんでした。ただ野菜を美味しく食べるためのドレッシングはいくらでもあったのです。

そこで、味の素は今までにない新たな市場機会を見つけ出し、主菜に使用するソースとしてのドレッシングを提案しました。さらに、ドレッシングのパッケージにもこだわり、情緒的価値を付与するために食卓に置きたくなるようなパッケージを提案したのです。

まずは自社の強み、競合の強み、顧客のニーズを洗い出し、「顧客ニーズを満たし、かつ競合が参入できない領域」を見つけ出します。これを市場機会と呼びます。抜粋引用元:
BRANDINGLAB「【ブランディング事例】飽和状態の市場に新しい価値を生み出したブランディング術~味の素株式会社」(https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/branding-example1

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画像引用元:BRANDINGLAB【ブランディング事例】飽和状態の市場に新しい価値を生み出したブランディング術~味の素株式会社(https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/branding-example1)

上記のように、市場を分析したときに、すでに多数の競合が存在している領域ではなく、自社が勝負できる新たな領域(=市場機会)を見つけ出すことが、食品ブランディングには重要です。食品のブランディングには市場の分析とバリュープロポジションの明確化が成功のカギを握っているのです。

ブランディング戦略の成功事例と失敗事例から得られる学び
【ブランドによる差別化戦略】効果的なブランディング実現のポイント
リブランディングの成功事例から戦略を探る!

食品のブランディング戦略まとめ

食品のブランディング戦略まとめ
ここまで、食品のブランディング戦略について解説しました。競合の多い食品というジャンルでは、どれだけ質のよい商品でも、消費者に認知されなければ手にとってもらうことはできません。

だからこそ、他ジャンル以上に市場の分析とブランド化が非常に重要となります。市場分析を行い、できるかぎり競合の少ない市場機会を見つけ出して、その領域の中で自社のブランドを確立していくことが大切です。

さらに認知度、価格で勝負することが難しい中小メーカーは、大手以上にブランディング戦略が必要となります。これからブランディングを行いたい食品メーカーの担当者は、まずは自社が位置する市場の分析から始めてみましょう。

食品のブランディング戦略にお困りなら

食品ジャンルでは、自社のポジショニングが非常に重要となります。ポジショニングとは、他社との差別化を図りながら、自社の強み・魅力を消費者に認知してもらうマーケティング手法のひとつです。

ただし、ブランディングをする場合は何千万単位の制作費や広告費、そして時間を掛ける必要があります。
しかもブランディングに失敗してしまえば、効果が出ず莫大な費用を失うだけでなく、間違った印象がついてしまう可能性も。

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