リブランディングの成功事例3選と共通点・進め方を解説

リブランディングの成功事例3選と共通点・進め方を解説

リブランディングとは、ブランドを再生させることを意味します。時代の変化と共に、一度作り上げたブランドも見直すことが余儀なくされます。

しかし、一体どのような方法で再構築すれば良いのでしょうか。この記事では、リブランディングを進める上での考え方や成功事例、ブランド戦略の立て直しで留意すべきポイントについて探ります。

その他、120業種・8,000件以上のメディア運用ノウハウを活かしたブランドを浸透させるメディアの紹介や事例も紹介します。今後のリブランディングを成功させるための参考にしてください。こちら(記事の後半へジャンプ)から詳しくご覧いただけます。

また、下記のページにはブランド戦略やブランディングの基礎情報をまとめている資料も用意しております。この記事と合わせて、ぜひこちらもぜひお役立てください。

ブランディングガイドブック
をダウンロード

リブランディングの事例を見るときは、ロゴや広告の変化だけでなく、「誰に、どの価値を届けるか」をどう見直し、商品や顧客接点にどう反映したかに注目しましょう。資生堂のシーブリーズ、キリンの淡麗グリーンラベル、ショウワノートのジャポニカ学習帳には、それぞれターゲットの再設定、顧客が感じる価値の再提示、既存資産を生かしたブランドの更新という学びがあります。

ただし、事例の施策をそのまままねれば同じ成果が出るわけではありません。市場・顧客・商品が異なれば、選ばれる理由も変わります。成功例の背景と変更点を分けて読み、自社で確かめるべき問いに置き換えることが大切です。

本記事では、まず3つの事例を紹介し、その共通点、リブランディングが必要かを判断する基準、進め方と効果測定まで順に解説します。

リブランディングの成功事例3選

事例の対象は、化粧品・飲料・文具と異なります。共通するのは、表面のデザイン変更だけではなく、顧客や市場の変化を捉えてブランドの届け方を組み直している点です。一方、公表資料で確認できる成果の範囲は各社で異なるため、確認できない売上効果まで断定せずに見ていきます。

事例 主な見直し 自社で考えたいこと
シーブリーズ 主なターゲットと、使われる場面・伝え方 現在の顧客像と、獲得したい顧客像にずれはないか
淡麗グリーンラベル 糖質オフとおいしさの両立を伝える商品・パッケージ 顧客が感じる不安や誤解を、価値提案と接点で解消できているか
ジャポニカ学習帳 長く認知されたブランド資産を残しながら、表現や対象を拡張 残すべき認知と、変えるべき接点を分けているか

「成功事例」という見出しだけで、施策と業績の因果関係まで証明されたと考えないことが大切です。企業の発表や取材記事から確認できるのは、変更の背景、施策、調査結果の一部です。売上や利益への寄与が公表されていない場合は、成功を数値で断定せず、意思決定や実行方法から学べる点を取り出します。

シーブリーズ:使う人と利用場面を見直す

シーブリーズを利用する高校生のイメージ画像

シーブリーズは、もともとマリンスポーツを楽しむ若い男性を主な顧客としていたブランドです。ブランドの売上が低迷するなか、資生堂はターゲットを高校生、とりわけ女子高校生へと見直し、海やアウトドア中心の利用場面から、学校生活や部活動など日常の場面へ訴求を移しました。顧客を変えるだけでなく、その顧客が商品を使う状況や、共感する表現まで組み替えた事例です。

法政大学の研究室が紹介する記事では、ターゲット変更後の施策として、女子高校生の生活やインサイトを捉えたコンセプト開発が取り上げられています。また、調査資料では、デオ&ウォーターの10代における使用経験が2007年から2010年にかけて高まったことが報告されています。これらは紹介元が示す時点・調査に基づく情報であり、現在の市場で同じ結果が再現されるという意味ではありません。

学べるのは、対象顧客の変更を広告表現だけにとどめず、使う場面や商品の伝え方までそろえたことです。自社で応用する場合は「新しい層を狙う」と決める前に、その層が何を解決したいのか、既存顧客との関係や販売方法にどんな影響があるかを確認しましょう。

参考:法政大学 西川英彦研究室「シーブリーズ―ターゲット変え成功」/TBR調査資料

淡麗グリーンラベル:顧客の不安を商品価値の伝え方に反映

淡麗グリーンラベルのブランドイメージ

キリンは2022年のリニューアル発表で、糖質オフ・ゼロ系ビール類を試したことがない人には、味への不満や先入観が購入を妨げている可能性があると説明しました。そこで淡麗グリーンラベルでは、中味の飲みごたえを見直すとともに、パッケージ上で品質感やおいしさへの期待が伝わるようデザインを変更しています。

この事例は、ブランドの約束を「糖質オフ」だけに狭めず、「おいしさ」と合わせて伝え直す取り組みとして読めます。ただし、発表資料が示しているのは調査と変更内容です。リニューアル後の売上増加など、資料にない結果を成功要因として付け加えることはできません。キリンはその後も味やパッケージを改良しており、ブランド価値を保ちながら顧客の期待に合わせて更新する動きが続いています。

顧客が感じる障壁を調べ、商品そのものと伝え方の両方を見直した点が参考になります。自社の商品でも、問い合わせや失注の理由を「認知不足」と決めつけず、品質、価格、導入不安、既存イメージなどに分けて確かめる必要があります。

参考:キリンビール「淡麗グリーンラベル」リニューアル発表

ジャポニカ学習帳:認知資産を保ちながら対象と表現を広げる

ジャポニカ学習帳を使う小学生のイメージ画像

ショウワノートは2018年に「大人のジャポニカ学習帳」を発売しました。子ども向け学習帳として広く知られたブランドの名称やノートらしさを生かしつつ、大人が仕事や日常で使う場面を想定した商品を展開しています。ここでのポイントは、既存のブランドを捨てて別の名前にするのではなく、すでにある認知や親しみを新しい利用場面に結び付けたことです。

同社は近年、ジャポニカ学習帳の表紙を、長年使ってきた自然写真から「共生」をテーマとするイラストへ変更するリニューアルを発表しました。会社は、子どもを取り巻く環境や学びの変化に合わせた進化と説明しています。長く親しまれてきたブランドの核を保ちつつ、表現を更新する例として参考になります。なお、発表資料には変更後の販売成果は示されていないため、ここでは成果が証明された事例ではなく、既存資産の活用と表現更新の事例として扱います。

ブランド名や蓄積した認知を残す選択と、顧客に合わせて変える表現を分けて考えた事例です。変更する場合も、既存顧客が支持している要素を調べずに一掃すると、築いてきた信頼を損なう可能性があります。

参考:ITmedia「大人のジャポニカ学習帳」とターゲット拡張/ショウワノート「ジャポニカ学習帳(共生編)」リニューアル発表

3事例に共通するリブランディングの考え方

事例を表面的に見ると、広告、パッケージ、商品ラインと変更箇所はばらばらです。共通点は、変更の前に「誰に、どんな価値を届けるのか」を問い直し、その答えを商品や顧客接点へ落とし込んでいることです。リブランディングはデザインの刷新だけを指す言葉ではありません。

顧客と市場の変化を、具体的な事実から捉える

シーブリーズでは利用者と利用場面、淡麗グリーンラベルでは味に対する先入観、ジャポニカ学習帳では新たな利用者と学びを取り巻く環境が、見直しのきっかけになりました。いずれも「若者に売りたい」「新しく見せたい」という社内の希望だけを出発点にしたわけではありません。

自社でも、問い合わせの理由、商談で比較される条件、既存顧客が評価する点、離反・失注の背景、営業現場で繰り返し説明している内容などを集めます。アクセス数や社内アンケートだけでは見えない選定理由は、顧客インタビューや営業記録の確認で補いましょう。

調査では「当社をどう思いますか」と抽象的に聞くより、直近の選定場面を具体的に尋ねます。候補を知ったきっかけ、比較した会社や方法、社内で説明に使った資料、最終的に決めた理由、導入前に不安だった点を順に聞くと、ブランド認識と実際の購買行動の差が見えやすくなります。聞き取り対象は既存顧客だけに偏らせず、失注・離反した顧客や、狙いたいが取引のない企業も含めると、都合のよい解釈を避けられます。

顧客のブランド認識を見直すイメージ

社内の理想像と、顧客が実際に覚えているブランド像を分けて把握しましょう。顧客が自社名ではなく製品名や技術名で認識しているなら、そのブランド資産を伸ばす方が自然な場合もあります。

変える対象と、残す価値を分ける

リブランディングの解説イラスト

ブランドを見直す際は、社名、ロゴ、商品、ターゲット、ポジショニング、メッセージ、顧客接点のすべてを一度に変える必要はありません。顧客から評価されている強みや品質は維持し、誤解されているイメージや届いていない価値を優先して見直す方法もあります。

変更範囲を決める前に、顧客の認識と自社が伝えたい価値を照合します。すでに選ばれている理由があるなら、それを別の顧客層にも理解される形に翻訳できるかを検討します。既存顧客がブランドをどう紹介するかは、残す価値を探る手掛かりになります。

リポジショニングとパーセプションチェンジの解説画像

「何を変えるか」と同じくらい、「顧客との約束として何を残すか」を先に決めることが重要です。ロゴやサイトの変更は、その判断を社内外に伝えるための実装手段として位置付けます。

施策を顧客接点まで一貫させ、変更後も検証する

ブランドメッセージを決めても、Webサイト、営業資料、商品説明、採用情報、問い合わせ後の対応がばらばらでは、顧客が受け取る印象は統一されません。新しい訴求を実際の体験に反映し、顧客や社員が同じ価値を理解できる状態をつくる必要があります。

また、公開や発表をゴールにせず、認知・比較・問い合わせ・商談・継続など、目的に応じた指標を追います。短期的な反応だけでブランド全体の成否を決めず、商品、価格、販売網、営業体制などの影響も切り分けて見ましょう。

リブランディングのメリットとデメリットのイメージ画像

リブランディングと関連施策の違い

課題に対して必要な変更範囲を見極めるには、リブランディングとブランドリニューアル、リポジショニングを分けて考えると整理しやすくなります。これらの言葉は企業や支援会社によって使い方に幅がありますが、実務では「何を変えるか」「顧客にどのような変化を起こしたいか」を明らかにすることが重要です。

施策 主に見直すもの 適用を検討する状況
ブランドリニューアル ロゴ、色、パッケージ、Webなどの視覚表現 顧客や提供価値は変わらず、表現の古さ・分かりにくさが課題
リポジショニング 市場での立ち位置、対象顧客、競合との違い 強みは活かせるが、現在の訴求や比較軸では伝わりにくい
リブランディング ブランドの価値、約束、対象、接点、必要に応じてブランド体系 事業や市場の変化により、ブランドの根幹から再設計が必要

たとえば、既存顧客から高く評価されている製品を、別の顧客層にも理解される表現に変えるだけで十分なら、全面的な刷新は不要かもしれません。一方、新しい事業が加わって既存ブランドとの関係が曖昧になったり、従来の対象市場から大きく移行したりする場合は、ブランド構造や約束を含めて見直す必要があります。

名前やデザインを変えること自体をゴールにせず、課題に対して最小限で有効な変更範囲を選びます。判断材料が不足しているときは、全面刷新の決定より先に顧客調査や小規模な検証を行う方法もあります。

リブランディングが必要かを判断する基準

問い合わせが減った、採用が難しい、競合との違いを説明しにくいといった問題があっても、原因がブランドにあるとは限りません。商品力、価格、販路、サービス品質、営業の人員やプロセスなど、ほかの要因が影響している場合もあります。全面的なリブランディングを始める前に、変化の兆候と原因を確認しましょう。

見えている兆候 確認したいこと 検討する見直し
問い合わせはあるが、対象外の相談や価格だけの比較が多い 誰に何を提供する会社として認識されているか、営業説明とWebの訴求は一致しているか ターゲット、提供価値、訴求メッセージの修正
新商品・新事業が既存顧客に理解されにくい 既存ブランドのイメージが新しい提供価値と矛盾していないか ブランド体系や事業ごとの見せ方の整理
ロゴやWebサイトが古く感じられる 見た目以外に、顧客の選定基準や競争環境も変化しているか 視覚表現だけの更新で十分か、戦略まで見直すかを判定
受注率、継続率、採用応募の質が変化した どの顧客層・商品・接点で変化が起きたか。市場や提供体制に別の原因がないか データと顧客の声を照合して対象範囲を決定

ロゴやデザインを中心に印象を整えるだけなら、ブランドリニューアルで足りることがあります。ターゲットや競争上の立ち位置を調整するならポジショニングの見直しが中心です。ブランドの約束や価値、事業との結び付きまで変える必要がある場合に、リブランディングとして広く設計します。

不調の原因が確かめられていない段階で、ブランド刷新を万能策として扱わないようにします。症状、原因の仮説、確かめるデータ、変える範囲を一枚にまとめると、経営判断や社内合意を進めやすくなります。

関連情報:ブランディングの意味・戦略策定の基本

中小BtoB企業が事例を自社に応用する視点

消費者向けブランドの事例を、BtoB企業がそのまま再現することはできません。法人取引では、現場担当者、技術部門、購買、経営層など、複数の関係者が異なる基準で評価することがあります。見た目や広告表現だけでなく、製品仕様、導入後の支援、実績、調達条件、社内稟議で必要な根拠まで含めて、選ばれる理由を設計する必要があります。

たとえば、技術力の高い製造企業でも、顧客が比較しているのが加工精度だけとは限りません。納期の安定性、小ロット対応、品質保証、既存設備との適合、技術相談への対応などが選定基準になっているかもしれません。社内で「強み」と考えていることが、顧客の発注判断にどう結び付くかを確認しましょう。

ブランドを変える前に、次の問いを顧客・営業・経営のそれぞれに投げかけます。

  • 既存顧客は、比較検討の際に何を評価して当社を選んだのか
  • 失注した案件では、競合や代替手段と比べて何が不足していたのか
  • 狙いたい顧客は、どの課題を解決するために情報収集を始めるのか
  • 技術・実績・対応力のうち、顧客が価値を理解できる証拠は何か
  • Webサイト、営業資料、展示会、提案、導入後の体験で説明が食い違っていないか

会社案内を整えるだけでなく、ターゲットが課題を調べる段階から比較検討、問い合わせまで、各接点で同じ価値を理解できるようにします。ブランドの考え方をWebコンテンツで説明し、顧客の選定基準に沿った情報を届ける方法もあります。

ブランドの価値を伝えるメディア設計の事例
▲ブランドの価値を伝えるメディア設計の事例

上記はコンテナハウスの暮らし方・楽しみ方・事業活用など、商品情報だけでなく利用場面を伝えるメディアの例です。コンテンツを作れば必ずブランドが変わるという意味ではありません。顧客が知りたいことと、自社が伝えるべき価値が重なるテーマを選べているかが前提です。

技術力や専門性を顧客に伝える視点は、技術ブランディングの進め方も参考になります。

BtoBでは、顧客の選定基準に合った根拠を用意し、認知から商談までの説明をつなぐことが、ブランドの信頼を形にします。消費者向け事例の表現をまねるのではなく、顧客理解と価値の伝達方法を参考にしてください。

自社の強みや訴求の整理について相談する

リブランディングを支援会社に相談するときの確認点

社内だけで顧客調査、ブランド方針、社内浸透、各種制作を進めるのが難しい場合は、外部の支援会社に相談する選択肢があります。依頼先を選ぶ際は、制作物の種類だけでなく、どの工程を担い、社内で判断するための材料をどのように作るかを確認します。

提案や見積もりでは、次の点を具体的に質問すると、支援範囲を比較しやすくなります。

  • 顧客・競合・社員の認識調査を、どの方法で行い、どの成果物にまとめるか
  • 調査結果をターゲット、ポジショニング、メッセージへどうつなぐか
  • ロゴやWebサイトなどの制作に加え、営業資料や採用・顧客対応まで扱うか
  • 誰が社内の意思決定を支援し、関係部署の合意形成をどう進めるか
  • 公開後の効果測定、運用体制づくり、改善提案は契約範囲に含まれるか

支援会社の事例を見るときは、受賞歴やデザインだけで判断せず、自社と近い課題や顧客構造を扱った経験があるか、その課題にどのような調査・戦略・実装を行ったかを確認します。支援会社ごとに「ブランディング」の範囲は異なります。戦略設計まで依頼したいのか、方針は決まっていて制作を頼みたいのかを明確にし、成果物、担当範囲、検証方法を契約前にすり合わせましょう。

ブランド作りのイメージ画像

「何を納品するか」だけでなく、顧客の理解や社内の実行力がどう高まるかを確認して依頼先を選びます。経営・現場の双方に問いを投げ、具体的な選択肢を示してくれるかも判断材料になります。

社内浸透と顧客への移行を設計する

新しいブランド方針を決めた後は、対外発信の前に、変更の背景と顧客への約束を社内で共有します。経営層だけが理解していて、営業やサポートが変更理由を説明できない状態では、顧客接点ごとに異なる説明が生まれます。ブランドガイドラインを作るだけでなく、実際に使う資料や会話に落とし込むことが欠かせません。

営業部門には、誰にどの価値を提案するのか、旧来の説明と何が変わるのか、顧客から受けそうな質問と答えを共有します。採用担当には、事業の方向や組織の価値観を求人情報・面接で一貫して伝えられるようにします。カスタマーサポートには、名称・仕様・窓口・契約条件など既存顧客に影響する変更と案内方法を伝えます。

顧客への告知は、対象者や変更内容に応じて順番と手段を決めます。社名・サービス名や契約内容が変わる場合は、既存顧客や取引先への個別説明を先に行う必要があります。デザインだけが変わる場合でも、Webサイト、提案資料、製品表示、請求書、採用情報など、旧表現が残る場所を一覧化し、混在期間や切り替え責任者を明らかにしましょう。

社内浸透は社内向けの告知で終わらず、社員が新しい約束を理解し、顧客体験で実行できる状態をつくることです。変更後に現場から出た質問や例外対応も記録し、ブランド方針や案内資料の改善に戻します。

リブランディングの進め方

実施範囲が決まったら、ロゴ制作やサイト改修を発注する前に、現状把握と戦略の合意を行います。次の手順に沿って、調査から運用までを一続きの計画にします。

  1. 変化の兆候と事業目的を確認する。売上、商談、受注、継続、採用など、何を改善したいのかを明確にします。複数の目的を掲げる場合は優先順位も決めます。
  2. 顧客・競合・社内の認識を調べる。顧客インタビュー、失注理由、営業記録、検索や問い合わせの内容を照合し、自社の想定と市場の認識にずれがないかを確かめます。
  3. ターゲットと選ばれる理由を定義する。誰のどんな課題に対し、競合や代替手段と比べて何を提供するのかを言語化します。自社の技術や理念から出発するだけでなく、顧客が価値を認める条件と結び付けます。
  4. 変える要素と維持する要素を決める。ブランド名、商品構成、メッセージ、デザイン、Webサイト、営業資料などを整理し、変更の理由と影響を確認します。
  5. 社内と顧客接点に実装する。経営、営業、マーケティング、採用、顧客対応など関係部門の役割を定め、Webや広告だけでなく、説明資料や現場の対応にも反映します。
  6. 指標を設定し、定期的に検証する。認知、比較検討、問い合わせの質、商談化、受注、継続など、目的に合った指標を見ます。ブランド施策以外の影響も含めて結果を解釈します。

現状分析では、顧客、競合、社員の声を別々にまとめて終わらせず、どこに認識の差があるかを比較します。顧客は納期を高く評価しているのに、Webサイトは設備の新しさばかりを訴求している、といったずれが見つかれば、ブランドメッセージと接点の双方を見直す根拠になります。

新しい方針を発表する前に、既存顧客にどう説明するか、営業が何を答えるか、問い合わせ後の案内が変わるかも決めます。社内が変更の理由と新しい約束を理解していなければ、外部の発信だけが先行し、実際の体験と食い違うためです。

調査、方針決定、顧客接点への展開、検証の順番を守ると、デザイン先行や社内の認識違いを抑えやすくなります。各段階で意思決定者と確認期限を決め、変更が必要な場合に戻れるよう、承認した内容も記録しておきましょう。

リブランディングの進め方を相談する

失敗を避けるために押さえたい注意点

リブランディングでは、刷新の規模が大きいほど成功するわけではありません。新しい見た目が話題になっても、顧客の選定基準や商品体験が変わらなければ、事業上の課題は解決しないことがあります。次の点を事前に確認しましょう。

ロゴやWebサイトの制作から始めない

目に見えるデザインは議論しやすいため、戦略が固まる前に制作へ進みがちです。しかし、誰にどの価値を届けるかが決まっていなければ、完成したデザインを評価する基準もありません。まず顧客の認識、競合との差、自社の提供価値を整理し、その後に必要な表現を選びます。

経営層だけで決めず、顧客と現場の声を反映する

ブランドは経営の意図だけでなく、顧客が実際に受け取る体験によって形づくられます。顧客の声を聞かずに「このイメージに変えたい」と決めると、既存顧客が評価している要素を失ったり、狙う顧客に響かない表現になったりする可能性があります。営業やサポートなど顧客接点の社員にも、問い合わせや失注の実態を聞きます。

短期間の数値だけで成否を決めない

認知調査、指名検索、Webの問い合わせ、商談化率などは、それぞれ異なる段階を示す指標です。広告の出稿量や季節要因、商品改良、価格改定なども数字に影響します。開始前の基準値、対象市場、計測期間、他施策の状況を記録し、単一の指標だけでブランド施策の効果を断定しないようにします。

刷新後の運用担当と意思決定方法を決める

メッセージやデザインを公開した後も、商品や市場の変化に合わせて説明や顧客接点を更新する必要があります。誰が情報を管理し、どの会議で指標を確認し、どの条件で改善するのかを事前に決めておくと、施策が一度きりの発表で終わりにくくなります。

変更後の顧客体験と運用体制まで設計することが、ブランドを一時的な話題で終わらせないための条件です。刷新範囲が広いときは、影響を受ける顧客、社員、取引先を洗い出し、段階的な告知や切替も検討してください。

リブランディングの効果を測る指標

効果測定は、リブランディングの目的から逆算して設計します。「ブランドを強くする」といった抽象的な目標だけでは、何が変化したか判断できません。認知を広げたいのか、比較検討で候補に残りたいのか、適合度の高い問い合わせを増やしたいのかを分けます。

目的 指標の例 確認時の注意
認知・想起 指名検索、認知調査、ブランド名の想起 検索需要や広告出稿などの変化も確認する
比較検討 指名流入後の閲覧、サービス資料の閲覧、比較相談の内容 流入数だけでなく、比較時の理解や候補入りを調べる
リードの適合度 対象顧客からの問い合わせ率、問い合わせ内容、商談化率 件数とともに、案件の条件や質を確認する
営業・顧客関係 受注率、継続率、紹介、顧客満足度 価格、商品、営業体制など他の影響を切り分ける
採用 応募者の適合度、選考辞退、内定承諾など 求人条件や採用市場の影響も考慮する

施策前の数値や顧客の認識を記録しておけば、変更後に何が動いたかを比較できます。認知が高まっても商談が増えない場合は、訴求と対象顧客の一致、問い合わせ導線、商品条件など次に調べる課題を特定します。すべての指標が同時に改善するとは限らないため、短期の反応と中長期の事業指標を分けて確認しましょう。

指標は実施後に都合よく選ぶのではなく、目的と仮説に合わせて開始前に決めます。ブランド施策だけで成果が生まれたと断定せず、実施内容と市場環境を記録して評価します。

リブランディングに関するよくある質問

リブランディングとブランドリニューアルの違いは何ですか?

ブランドリニューアルは、ロゴ、色、パッケージ、Webサイトなど表現の刷新を中心に行う場合に使われます。リブランディングでは、必要に応じてターゲット、提供価値、ポジショニング、ブランドメッセージまで見直します。ただし、用語の境界は企業や支援会社によって異なるため、呼び方よりも「何を調べ、何を変えるのか」を確認してください。

中小企業でもリブランディングは必要ですか?

企業規模だけで必要性は決まりません。顧客や市場の変化によって、現在の提供価値が理解されにくい、狙う顧客と実際の認識がずれているなどの課題が確認された場合に、必要な範囲を見直します。ロゴ刷新だけで解決できる課題なのか、事業の見せ方まで変える必要があるのかを先に判断しましょう。

成功事例の施策をそのまま自社に取り入れてもよいですか?

事例の施策をそのまま移すのではなく、顧客理解の方法や変更の順序を参考にしてください。シーブリーズのターゲットやジャポニカ学習帳の表現を再現しても、自社の顧客や市場に合うとは限りません。自社の顧客が重視する条件と、既存ブランドへの認識を調べたうえで、施策を組み立てます。

リブランディングの効果はどのように確認すればよいですか?

認知、比較検討、問い合わせ、商談、受注、継続など、設定した目的ごとに指標を分けます。実施前の基準値と比較し、広告、商品、価格、営業活動など同時期の変化も考慮してください。単一の検索数や問い合わせ数だけでブランド全体の成否を判断しないことが大切です。

まとめ

リブランディングの成功事例から学べるのは、ロゴや広告の見た目ではなく、顧客・市場の変化を捉え、誰にどの価値を届けるかを見直して商品や接点へ反映する考え方です。シーブリーズはターゲットと利用場面、淡麗グリーンラベルは商品の価値と顧客の不安、ジャポニカ学習帳は既存の認知資産と表現の更新が主な見どころです。

  • 事例は変更した箇所と公開情報で確認できる成果を分けて読む
  • 自社では顧客が選ぶ条件、失注理由、既存ブランドの認識から課題を確かめる
  • すべてを変えるのではなく、残す価値と見直す接点を決める
  • Web、営業、商品、採用などの顧客接点に方針を一貫して反映する
  • 目的に応じた指標を開始前に設定し、他の要因も踏まえて継続的に検証する

自社のブランドをどこまで見直すべきか判断しにくい場合は、顧客・競合・自社の提供価値を照らし合わせ、問題の原因と変更範囲を整理するところから始めましょう。BtoB企業では、顧客の選定基準に合う根拠を用意し、認知から商談まで一貫して伝えることが重要です。

自社のブランド戦略についてZenkenに相談する

参考情報

ページトップへ