PEST分析でわかる食品業界に影響を与える外部要因とは

PEST分析でわかる食品業界に影響を与える外部要因とは
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この記事では、食品業界におけるPEST分析の仕方について解説しています。どうぞ貴社の戦略策定にお役立てできれば幸いです。

なお、PEST分析を早速自分でやってみたい方のためには、下記のページにて無料でダウンロードできるPEST分析記入テンプレートを用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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PEST分析/食品業界編

PEST分析とは、マクロ環境要因を分析するマーケティングフレームワークのことです。食品業界はとくにこれらの外部要因の影響を受けるため、都度PEST分析などを活用した市場分析に迫られます。

一つ一つの要因について、正しく分析することにより自社のビジネスを大きく成長させることも可能です。

ただし2020年からは特に、新型コロナウイルスの影響であらゆる業種が多大な影響を受けました。食品によっては飲食店の休業で卸先がなくなるなど、いまでもその影響が続いています。

感染症の流行以外にも、AIといった技術の進歩や少子高齢化による人口割合の推移など、環境要因の変化によってビジネスが右肩上がりに伸びることもあれば、ビジネスチャンスが狭まる可能性もあります。

PEST分析はこのような外的要因の影響を予測して事業運営を滞りなく進めるために、あらゆる業界で採用されています。競合ひしめく食品業界においては特に重要な分析手法です。

ここで食品業界のPEST分析に関して説明していく前に、少しだけPEST分析そのものについておさらいしておきましょう。

そもそも、PEST分析とは?

そもそも、PEST分析とは?
PEST分析は、マクロ環境要因に着目して分析を行うフレームワークのことで、政治的(Politics)、経済的(Economy)、社会的(Society)、技術的(Technology)、これら4つの頭文字をとってPEST分析と呼ばれています。

なぜ、マーケティングにおいてPEST分析は重要なのでしょうか?その答えは、自社にとってのビジネスチャンスとリスクにいち早く気づくためです。

突然法律が変わり、昨日まで販売できていた商品・サービスが販売できなくなったり、流行の変化によってユーザーが他社の商品・サービスに乗り換えてしまったりと、環境要因の変化は自社にとってチャンスになることもあればリスクになることもあります。

早い段階からPEST分析を行っておくことで、これらの環境要因の変化に気づくことができるのです。長期的にビジネスを安定させるために、PEST分析は欠かせないマーケティング分析手法の一つであり、分析結果に基づいて営業戦略や経営戦略にも役立つフレームワークです。

PEST分析 4つの環境要因

ここからは食品業界のPEST分析は、どのような点に留意しながら分析すればよいのか説明していきます。

Politics(政治的要因)

食品を販売する際には食品衛生法や機能性表示食品など法律が関係してきます。これらの法律の内容が変更されれば、自社商品の内容物やパッケージ表記を変える必要があります。

Economy(経済的要因)

食品を取り扱う場合、原材料費や流通費などが発生します。天候や災害によって、原材料の収穫量は日々変動するため、食品の仕入れ業界は常時農作物の生産状況を把握しておく必要があります。また、原材料を海外から輸入する場合は、現地の人件費や為替の変化にも注意が必要です。

Society(社会的要因)

2020年から新型コロナウイルスの影響により、外食を控え自宅で食事をする方が増えています。個食や小分け食といった新たな食のスタイルが受け入れられるようになるといった変化も見られています。

さらにスーパーなどの食品デリバリービジネスの状況や産直ECサイトの売上なども調査して、俊敏な対応が求められることもあります。

Technology(技術的要因)

食品業界を取り巻く技術は日々進歩しています。その中でも特に注目されているのがAgTech(アグテック)技術です。

AgTechとは農業(Agriculture)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。AIやロボットなどの先端技術を農業に活用することで、より効率的な農業を実現させる取り組みです。

このような新しい技術の登場は、市場においても大きな変化をもたらすため、常に最新情報の確認が必要です。

PEST変化の蓋然性も検討

PEST分析は過去の情報を分析するのではなく、将来起こりうることを予測するためのものです。しかし、確実に将来起こる変化を予測するということは不可能な作業です。

将来確実に起こることを予測することはできませんが、PEST分析を活用して蓋然性の高さを予測することは可能です。PEST分析において、蓋然性の高さを予測するためには以下のような2つの観点から判断が必要となります。

  • 証拠(エビデンスやデータ)が多いか
  • 人間の根源的性質に即しているか

蓋然性は、予測した事態が起こる確実性、なるべくしてそうなる度合という意味ですので、国内外の社会情勢や天候不順など蓋然性を裏付ける要素がある場合は、ビジネスモデルの変更も視野に、対応策を練る必要があります。

PEST分析だけでなくほかのフレームワークと併用

PEST分析だけでなくほかのフレームワークと併用
ここまでPEST分析について説明してきましたが、PEST分析は他のフレームワークと併用することでより効果的に活用ができます。

3C分析

3C分析とは、市場・競合・自社の観点からそれぞれ情報収集を行うフレームワークです。市場では市場規模やニーズを、競合では自社と競合する会社と商品の情報を、自社では自社の強みや経営理念を洗い出します。

3C分析の事例

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強み・弱みといった内部環境と機会・脅威といった外部環境の観点から情報を洗い出すフレームワークです。内部環境と外部環境のプラス面マイナス面を明確にすることでマーケティングに活用できます。

これらの3C分析とPEST分析によって、自社の置かれている環境について情報をとりまとめて、SWOT分析で洗い出された項目を深堀りすることで、より効率的で詳細なビジネスプランの構築が可能です。

SWOT分析の事例

食品業界のPEST分析事例

少し古い資料になりますが、みずほ銀行の調査によると、食品市場の市場規模は2014年の68.3兆円(推計)から、2025年には65.6兆円となり、3兆円程縮小すると予測されています。

また、人口減少による食品産業全体の市場規模縮小は避けられませんが、食料支出額の高い単身世帯や高齢者世代の増加により、市場の縮小スピードが緩和されると推測されています。

これらの調査からもわかる通り、食品業界全体の規模縮小は避けられないものとなるでしょう。だからこそ、今後もビジネスを続けていくためにはPEST分析をはじめとするフレームワークを活用しながら、つねに最新の業界動向や社会情勢の注視が必須となります。

※参照元:みずほ銀行「食品業界が注目すべき外部環境の変化-外部環境の変化を踏まえ食品メーカーがとるべき戦略とは何か-」(https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1052_20.pdf

ここからは、食品業界のPEST分析事例をいくつかご紹介します。

機能性表示食品

機能性表示食品とは健康に役立つことやその機能をパッケージに表示した食品のことです。2015年にスタートしましたが、当初はいわゆる健康食品に類する商品がメインでした。

原材料に科学的根拠がある場合に法令で定めた文言で効果効能が記載できますが、商品そのものが厚労省の認可を受けるトクホとは異なり、機能性成分として「届け出が受理された」というお墨付きを得ている食品である、というのが機能性表示食品の定義です。

ますます健康志向が高まる中で、健康食品は薬機法の縛りがあって効果効能に触れられないため、機能性表示食品へのシフトが進みました。

現在では野菜や小魚、マヨネーズや油まで、さまざまな機能性表示食品が登場しています。食品の未来を予測するうえで、こうした社会の潮流や市場の拡大などもPEST分析で予見できる可能性があります。

コカ・コーラ「い・ろ・は・す」

これまでミネラルウォーターの購買の決め手は、国産・外国産に関わらず産地を見て購買を決定することがほとんどでした。日本コカ・コーラはそんなミネラルウォーターの購買決定基準の見直しを行い、産地から「エコ」という基準に着目しました。

プラゴミ削減や脱炭素といった国際社会のムーブメントがまだ日本に浸透していなかった2009年当時に、エコに着目した点は特筆すべきことです。

地球温暖化の影響もあり、消費者の関心が「エコ」に向きつつあることから、「環境に優しい商品を購入したい」という消費者の潜在意識にフォーカスを当てることで、環境に優しいミネラルウォーターとしてポジショニングに成功した事例です。

食品業界の PEST分析まとめ

食品業界の PEST分析まとめ
ここまで食品業界のPEST分析について説明してきました。PEST分析の4つの外部要因は、どれも自社に直結する環境要因のため、常に最新の情報にアップデートすることが重要です。

また、PEST分析は単独ではなく、3C分析やSWOT分析など、ほかのフレームワークと併用することで、より蓋然性の高い分析を行うことができます。

あくまでも予測ではありますが、マクロの外的要因とビジネスとの関係性を把握する際に役立つものです。

ただしPEST分析を行ったところで、その結果を反映するためすぐに事業の方針転換を行う、というのは現実的ではありません。このような場合は。まず自社の置かれた現状を把握するところからはじめて、費用をかけすぎないスモール施策から着手してみましょう。

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