トヨタのプロモーション戦略について調査

トヨタのプロモーション戦略について調査
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日本の自動車業界を牽引する存在として大きな成長を遂げてきたトヨタ。世界規模で見ても長らくトップクラスを独走してきましたが、2015年頃に販売台数が伸び悩んでいた時期もありました。(※1)

自動車業界でトップクラスに君臨するトヨタは、どの様な戦略をもって状況を立て直したのでしょう。

本記事では逆風にさらされるトヨタが業績アップのために実施してきたプロモーション戦略について紹介します。

(※1)トヨタが5年ぶり販売世界一…中国市場が好調、下げ幅抑える : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210128-OYT1T50233/)

トヨタのプロモーション戦略のポイント

自動車業界のトップクラスを維持し続けてきたトヨタですが、国内市場の不振により2015年頃、販売台数に伸び悩んでいた過去があります。

トヨタの苦境には2008年のリーマンショックや2010年の品質問題、2011年の東日本大震災による製造ストップなどが挙げられます。大きな影響を受ける中、トヨタが業績を巻き返すべく打ち出したプロモーション戦略は大きく分けて次の3つです。

  • 若者の車離れを食い止める
  • 「認知」「商品理解」向上のためにデジタル広告を導入
  • 五輪スポンサーに大きなプロモーション効果を期待

上記に挙げたそれぞれの戦略について詳しく見ていきましょう。

戦略の核はいかにして「若者離れを食い止めるのか」

各自動車メーカーの課題は「若者の車離れ」を止めることです。ですが、トヨタだけでなくさまざま企業が施策を打ち出していますが、販売台数は全盛期に比べると減少傾向にみられている状況です。

特に煽りを受けたのは、スポーツカーです。バブル景気と呼ばれていた80~90年代にはスポーツカーは飛ぶように売れていましたが、時代の流れとともに、若者に人気だったスポーツカーは衰退してしまいました。現在では使い勝手が良い小回りの利くミニバンやコンパクトカーをメインに製造しています。

そんな状況の中、再び注目を浴びたスポーツカーがあります。トヨタのスポーツカーの救世主となったのが「RAV4」です。人気車種でしたが、消費者のニーズに合わず2016年に販売休止。2019年再販したところSUVブームを追い風に販売数が好調になりました。

RAV4には以下の特徴があります。

  • ワイルドで武骨なデザイン
  • 4WDシステムによる走行性
  • エコロジー性の高いハイブリッド車も選択可能
  • 265万6500円から購入できるコストパフォーマンスの高さ

シンプルでわかりやすい良さが詰まっていることで、30代の若い世代から人気を集めています。

※参照元:トヨタのマーケティング、その大半は「若者離れをどう食い止めるか」をやっている |ビジネス+IT(https://www.sbbit.jp/article/cont1/30030)
※参照元:復活&首位奪還したRAV4の勝因と競合相手に足りないもの   – 自動車情報誌「ベストカー」(https://bestcarWeb.jp/news/121836)

デジタル広告の導入で「認知」「商品理解」を向上

2019年4月にフルモデルチェンジを果たし、5代目モデルとして登場したRAV4は当初の予定を大幅に超えて販売台数を伸ばしました。

トヨタではRAV4ブランドの認知と商品理解を促進するために、国内自動車業界で初めて「3D Cube広告」を導入しました。

  • inRead 3D Cubeフォーマット
  • inRead Skin&Flowフォーマット

上記の2つはTeadsのinReadクリエイティブ広告で、ユーザーのアクションによって広告自体が変化するためユーザーの目に留まりやすいのが特徴です。このようにユーザーが感性で楽しめるデジタル広告を導入したことで、「認知」「商品理解」の向上に成功しています。

※参照元:トヨタRAV4は若年層になぜ売れた?デジタル広告で「認知」「商品理解」を狙うクリエイティブの真髄 (1/3):MarkeZine(マーケジン)(https://markezine.jp/article/detail/32361)

五輪スポンサーにかけるプロモーション

トヨタは東京オリンピック・パラリンピックにスポンサーとして参入しています。世界最大のスポーツイベントということもあり、企業のプロモーションに大きなメリットがあるからです。

オリパラのスポンサーになることで次のようなメリットがあります。

  • 世界中から訪れる観客への訴求
  • 世界中への放送
  • さまざまなメディアへの露出
  • 支援企業のイメージアップ
  • 商標権の活用

トヨタはオリパラスポンサーの中でも最上級のワールドワイドオリンピックパートナーになっています。10年の契約期間中は五輪マークを商標目的で使用でき、通常のプロモーション以上の効果を期待できるのが魅力です。

参照元:トヨタ、五輪スポンサーに執念 プロモーション投資戦略|日経BizGate
(https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO5755615002042020000000)

トヨタのプロモーション戦略まとめ

トヨタは苦境から脱却するために以下の戦略を軸としました。

  • 車の若者離れを食い止める
  • 「認知」「商品理解」向上のためにデジタル広告を導入
  • 五輪スポンサーに大きなプロモーション効果を期待

シンプルでわかりやすいモデルを登場させたことで、30代以下の若い世代にブランドの良さを上手く訴求できています。また自動車業界初のデジタル広告導入により、従来のマス広告では届けられなかった世代の認知度向上にも成功しました。

企業が抱える問題の本質を分析し、ターゲットとなる世代に上手く訴求するマーケティング戦略を模索することも必要な手段であるといえるでしょう。
プロモーション戦略の立て方とは?
事例も交えて解説

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