技術戦略とは?立て方や戦略事例、フレームワークを紹介

技術戦略とは?立て方や戦略事例、フレームワークを紹介
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技術戦略とは何か、立て方や事例を含めて解説しています。技術戦略のフレームワークや事例が知りたい方はこちらをご覧ください。

技術戦略とは何か、立て方の基本や戦略事例をチェック

技術戦略とは何か、立て方の基本や戦略事例をチェック

製造業の企業がマーケティングする際、技術戦略の立て方がうまくわからないという方もいるでしょう。

技術戦略の基本や立て方、具体的な事例なども挙げていますので、売上増加を狙う方、売上が低下して悩んでいる製造業の担当者の方は参考にしてください。

技術戦略とは何か?

技術戦略とは何か?

技術戦略とは目標を達成するため下記のような方向性を決定する戦略で、技術経営や技術開発戦略とも呼ばれます。

  • 企業がもつ技術の活用
  • 企業がもつ技術の組み合わせや応用
  • 今後開発する技術
  • 広告手法
  • 予算
  • 特許
  • 他企業との提携

現在ある技術の営業方法だけではなく、さらに新しく技術を開発するにあたり必要な資金の調達や特許を取るべきかどうかなども考えられます。自社だけではなく、他企業と共同して製品や技術開発を進めていくこともあるでしょう。

技術戦略は定期的に見直しをしよう

市場調査や顧客ニーズは定期的に見直し、会社の経営方向が間違っていないかをチェックしている会社も多いと思います。

その際に技術戦略も見直す必要があります。製造工程や開発の流れがニーズにそっていれば、下記が安定します。

  • 受注
  • 製造
  • 販売

反対に技術戦略が市場のニーズに合っていないと流れがスムーズにならずに製造数分の販売ができないなど、赤字につながります。

定期的に見直しをしていないと、昔に定めた戦略が数年経つとニーズにそわなくなるケースに対応できません。

技術戦略の立て方を把握しておくメリット

技術戦略を立てておくと、製造業にとっては多くのメリットがあります。

  • 技術のプラットフォームを用意できる
  • 潜在ニーズを捉えて将来の人気商品を先取りできる

技術のプラットフォームを用意できる

ニーズにそった技術戦略を立てておくと下記の技術を用意可能です。

  • 新製品開発に役立つ重要な技術
  • 他社と差別化できる技術

上記は製造会社の基礎ともなり、技術プラットフォームやテクノロジープラットフォームなどと呼ばれます。

安定した商品開発につながるだけではなく、他社が提供できない特徴をもつ製品で大きな売上増加を狙えるのです。

潜在ニーズを捉えて将来の人気商品を先取りできる

きちんと立てられた技術戦略は技術マーケティングへと発展可能です。自社技術を活用した新製品の開発などで将来的に増えてくるだろうニーズを捉えられるようになります。

つまり、他社がまだ開発していない新たな人気商品を生み出す可能性があるのです。

技術戦略の立て方

技術戦略の立て方

続いて技術戦略の立て方について、順を追って解説します。

  1. 技術戦略の価値を伝える
  2. 自社の技術を棚卸し
  3. 顧客のニーズ、トレンドの把握
  4. ライバル企業の比較
  5. 技術戦略の決定

技術戦略の価値を伝える

まずは技術戦略の策定に携わる人員に、技術戦略を立てる意味やメリットを伝えます。必要な理由が分からないと、レポート作成をゴールとして考えてしまいがちです。

技術戦略を立てる上で新たなアイディアの発見や思考力、組織力を高めることが必要と意識して進めなければいけません。

自社の技術を棚卸し

技術戦略を立てるにあたり、自社がもっている技術内容の把握は欠かせません。価値を理解したら技術の棚卸しから始めます。

棚卸方法はいくつかありますが、よく使われる技術の整理事例をふたつ挙げてみます。

項目に分けて整理する

大中小の項目に分けるのがまず行なう整理手順です。製造ジャンルを大項目とした場合の例は下記です。

食料品製造の項目事例

大分類 中分類 小分類
加工食品 ソーセージ ウィンナー
フランクフルト
ドライソーセージ
ハム ロースハム
ボンレスハム
骨付きハム

電子部品製造の項目事例

大分類 中分類 小分類
半導体製造 フラッシュメモリ USBメモリ
SDカード
液晶パネル等製造 テレビ液晶 ADS方式
TN方式

企業によってはさらに多くの大分類を製造しているケースもあります。上記の事例にとらわれず、製造種別を大項目に設定したりより細かく分類したりなど自社にそった分類で考えるのが大切です。

研究開発ポートフォリオを作成する

分類できたら技術の特性が分かる研究開発ポートフォリオも活用しましょう。

研究開発ポートフォリオとはふたつの軸を使ってマトリックスを作成する技術の整理です。軸の設定はさまざまですが、一例として下記があります。

  • 開発成功率
  • 開発期間
  • 必要コスト
  • 収益性
  • 量産性
  • 競合優位性
  • 人員リソース
  • 技術への精通度合い

例として、茶碗を製造している会社が機械製の量産体制を用意しつつも職人による手作りのこだわり茶碗や機械を活用したキャラクター入茶碗を製造していたとします。

割合を0から100段階で設定した場合下記のようになりました。

商品 収益性 競合優位性
手作りのこだわり茶碗 90 90
機械製の量産茶碗 60 10
キャラ入機械製の茶碗 30 60

上記のうち製造コストと競合優位性だけで考えれば、マトリックスは下記となります。

研究開発ポートフォリオ

手作りにはコストがかかりアニメキャラクター入は版権の費用がかかりますが、同業他社からの優位性は高くなることが分かるのです。

ただし手作りの茶碗は製造に時間がかかるため、量産性など別の観点から考えるとまたマトリックスの表は変わります。

顧客のニーズ、トレンドの把握

自社の技術を把握できたら次に行なうのは主に下記の市場調査です。

  • 時代におけるトレンドの把握
  • 事業の顧客がもつニーズ

時代におけるトレンドの把握

まずは社会全体においてのトレンドを把握します。

  • 現代求められているものは?
  • 自社産業ジャンルのポジションは?
  • 将来求められるだろう技術や製品とは?

事業の顧客がもつニーズ

社会全体でのトレンドを把握できると自社事業で求められる内容が見えやすくなるのです。将来性なども踏まえて下記を明確にしておきます。

  • 該当製造ジャンル全体における今後の変化
  • 生き残るために必要な技術
  • ターゲットとなりえる人物がもつニーズ
  • 新たに誕生する製造ジャンルはあるか

ライバル企業の比較

ライバル会社がもつ技術を把握しておくことも重要です。ただしライバル会社といっても同じジャンルの製造業とは限りません。

製造する製品が違っていても同じ顧客を取り合う可能性もありますし、製造業とは異なるジャンルの企業と競うことになる可能性もあります。

技術戦略の決定

材料がそろったら具体的に会社全体、もしくはプロジェクトチーム全体的で開発する製品の方向性を定めます。基本的にはターゲットが解決できていないニーズに向け、下記対応を目的と定めるのが一般的です。

  • 自社技術をもちいた新製品の提供
  • 技術の強みを高め製品レベルを上げる
  • 新たな技術開発
  • 技術分野で不足している専門家の補充
  • 製造工程の人員リソースの増加

実現したい理想を考えた際、通常なら理想を叶えられない課題がでてくるはずです。浮き彫りになった課題を元に今後進めるべき施策、つまり技術戦略を考えます。

フレームワークを使った技術戦略の立て方におけるポイント

技術戦略を立てる際にはMFTフレームワークが役立ちます。

より詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

MFTフレームワークを使った事例と
マーケティングの考え方

MFTは下記3種類の段階を踏んで市場を探すフレームワークです。

  • 技術:technology
  • 機能:function
  • 市場:market

ポイントとしては、技術と市場だけで考えるのではなく機能をしっかりと捉える点にあります。特に新技術の開発や新たな分野の製品に取り組む際に重要です。

自社の技術が役に立つ商品分野が見当たらない際、機能から考えていくと活用できる製品が見つかりやすくなります。

また、下記より製造業におけるマーケティング戦略立案の考え方やポジショニングメディアについて紹介しています。よろしければダウンロードをしてみてください。

技術戦略の立て方が失敗している例

技術戦略の立て方が失敗している例

過去に技術戦略を立てたけれど、うまくいかなかった経験をもつ方もいるでしょう。失敗する事例としてありがちなケースもご紹介します。

手順が間違っている

まず、よくあるのが予算ありきになって戦略を立てている状態です。「今年の予算は何円で、超えない範囲内で何を開発するかを決めていく」ケースは多くあります。

しかし予算が先に決まっていると開発内容に制限がかかり、下記で他社に差をつけるのが難しくなってしまいます。

  • 新しい技術を開発する
  • 技術を応用して新しいサービス

事前調査が不十分

技術戦略として準備の手順はしっかりできているけれど、顧客の要望や競合などの調査が不十分な事例です。

調査が甘いと下記のような状況となります。

  • ニーズの本質を捉えられていない
  • 競合の何が脅威なのか認識できていない
  • 法律的な知識が不足している

結果として他社と差別化するべき部分が弱くなり、価格競争におちいり利益を大きくあげられなくなってしまいます。

戦略テーマが厳しすぎる

しっかりと準備しておくことは大切ですが、あまりにもテーマが厳しくなってしまうのも避けなければいけません。

厳しいあまりに社員が提案した戦略がすべて却下されてしまうと、仕事に対してのモチベーション低下につながるためです。

技術戦略テーマの一貫性がない

よいテーマが複数設定できていても、各々が関連性のないバラバラの状態となることも避けなければいけません。

特に上記で挙げた、準備段階が甘いと起こりやすくなります。

他社と差別化するポイントや応えたいニーズを定めて、核となる大きなテーマを設定するのが大切です。

標準化戦略がまったくされていない

製造ジャンルによっては標準化戦略も意識しなければいけません。特に複数の製品を組み合わせて利用する電気機器では重要となってきます。

独自技術だけではなく標準で使われている仕様にプラスして利便性を高めるのが標準化戦略ですが、新技術を開発する際に失敗しがちです。

例えば標準化戦略を活用した事例として、商品としての開発と考えた場合に下記があります。

任天堂Switchの標準化戦略例

パソコンではない小型端末の画面を映す際の主な目的はスマートフォンやタブレットの動画が一般的でしたが、任天堂Switchではゲーム機タブレットをテレビ画面に映し出す方法を採用しました。

ゲーム機は多機能さを売りにしているものばかりだったのですが、家庭で遊んでいるゲームを外でも続けてプレイしたいというニーズを捉えたものです。HDMIでの出力自体は珍しい技術ではなく、当時発売されているテレビには一般的に搭載されています。

結果として発売から4年経つ2021年時点でも、売り切れが続いているほど人気の状況です。

技術戦略の事例

具体的に製造分野で技術戦略が成功している会社の事例をご紹介します。

技術戦略事例1:東海バネ工業株式会社(バネ製造)

東海バネ工業株式会社

画像引用元:東海バネ工業株式会社公式サイト(https://www.tokaibane.com/)

会社名

東海バネ工業株式会社

東海バネ工業株式会社の技術戦略ポイント

バネに限らず製造業は大量生産で安く提供するのが一般的です。しかし東海バネ工業は国内で3000件近くもあるバネメーカーの後発綺企業として、価格競争とならないよう下記を重視しています。

  • 少ない量だけど手間のかかるバネを製造
  • 自社が提示した価格で販売する
  • 平均受注個数は5個
  • 数百個などの注文は断る

また特徴を活かすために下記を用意しました。

  • 過去の受注をスピーディーにチェック可な能製造履歴管理システムを構築
  • 2003年からネット注文に対応

結果としてオーダーメイドのバネ企業として大きな地位を獲得し、小惑星探査機の新たな東京の名物スポットである東京スカイツリーなどにもバネが使われました。

さらに会社設立から75年以上赤字がない状態が続いています。

技術戦略事例2:富士通株式会社(製品多様化)

富士通株式会社

画像引用元:富士通株式会社公式サイト(https://www.fujitsu.com/jp/)

会社名

富士通株式会社

富士通株式会社の技術戦略ポイント

製造のジャンルが多岐にわたる企業のプラットフォームの導入事例。富士通株式会社では製造の現場の課題として下記がありました。

  • 製品が複雑化多様化している
  • 製品のカスタマイズが求められている
  • 技術開発の人的リソースの不足
  • 別事業部間での連携ルールがなかった

開発を人に依存せずデジタルへ対応することを目的として、設計開発プラットフォームを構築しています。結果として下記の成果がありました。

  • 開発プロセス、負荷の減少
  • 設計時にて不具合を発見でき品質が向上
  • 納期の短縮

また、今後は他社との連携も踏まえて標準化戦略を課題として盛り込んでいます。

技術戦略事例3:江崎グリコ株式会社(食品製造)

江崎グリコ株式会社

画像引用元:江崎グリコ株式会社公式サイト(https://www.glico.com/jp/)

会社名

江崎グリコ株式会社

江崎グリコ株式会社の技術戦略ポイント

江崎グリコと聞くと、昔からある大手というイメージをもつ方もいるかもしれませんが、常に時代の流れに対応した戦略を立てている企業です。創業した時期は他の会社にはない商品を販売していれば大きく売れる時代でしたが、多くの食品が販売されている現在では顧客のニーズを捉えた差別化が必要と考え、下記を大切に考えています。

  • 価値のある差別化商品を開発
  • 製造スタッフも顧客の気持ちが分かる人に育てる
  • 安心してリピートしてもらえる商品を開発

常に健康や手軽さを意識している江崎グリコは、日本で液体ミルクの販売が解禁された際にもいち早く販売に参入しました。販売開始から4ヶ月で予想の3倍以上の売上となっていますが、常に自社製品のノウハウや得意分野を認識しているからこそ、すぐに取り組めた製品です。

技術戦略事例4:TOTO株式会社(住宅設備製造)

TOTO株式会社

画像引用元:TOTO株式会社公式サイト(https://jp.toto.com/)

会社名

TOTO株式会社

TOTO株式会社の技術戦略ポイント

東陶機器としてスタートしたTOTO株式会社は、現在では名前を聞いたことがない人のほうが少ないであろう便器など衛生陶器や水栓金具製品を中心に開発する企業。ウォシュレットは温水洗浄便座の代表ともいえる大ヒット製品です。

TOTO株式会社は技術戦略で重要な部分である顧客のニーズをつかむのを得意としており、下記のシステムを構築しています。

  • お客様センターに届いた声は社内で公開
  • 修理の依頼内容が集約され製品開発に役立つ
  • アンケート数のアドバイザーを表彰し回収数を増加

顧客の声を集めるシステムの構築に加え、毎日の朝礼では経営理念を浸透させて従業員全体のゴールがずれないようにしています。

技術戦略の立て方に悩んだら全研本社へご相談を

技術戦略の立て方に悩んだら全研本社へご相談を

技術戦略の立て方や目的がなかなかマーケティング担当の従業員に浸透しない、フレームワークにうまく当てはめられないというケースも珍しくありません。

技術戦略は棚卸しからターゲットのニーズや市場の分析など、うまく進めているつもりでも本質を捉えられていないケースも多くあります。

自社が素晴らしい技術をもっているのに差別化した商品を生み出せず、利益をあげられないのはもったいない状況です。

全研本社ではクライアント独自の強みの分析や、その強みを活かすマーケテイング戦略の提案を得意としています。

どういった技術が市場内で希少性があるか、その強みをどういったユーザーに伝えるべきかを考え、最適な戦略のご提案・制作・運用などまでワンストップで対応しています。

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