エネルギー管理システムを比較!おすすめシステムの費用・料金や口コミ評判、導入事例を紹介
最終更新日:2024年04月26日
エネルギー管理で抱える課題を解決するシステムをまとめてチェック!
「電気料金が高騰して赤字になった」「省エネ活動が浸透しない」「省エネ活動の効果が分かりにくい」など、エネルギー関連の悩みを抱えているなら、エネルギー管理システムの導入がおすすめです。
この記事では、省エネ活動ができる「エネルギー管理システム」の種類と導入効果を紹介します。実際に活用できるシステムも取り上げているので、導入時にお役立ててください。
エネルギー管理システムサービス一覧
エネルギー管理システム導入をご検討中の方のために、導入可能なサービスをはじめに紹介します。エネルギー管理システムといっても、それぞれ特徴が異なりますので、各システムの特徴を参考にしながら、自社に合ったシステム選びにご活用ください。
システム名 | システムの特徴 |
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EMクラウド |
・複数店舗のエネルギーデータを一元管理!面倒な集計工数を削減 | Enability EMS | ・BEMS/MEMS/HEMSの機能を提供 |
Facility Assist(ファシリティアシスト) | ・パッケージ化された設備管理システム |
地域エネルギーマネジメントシステム | ・CEMSで地域の電力需要・供給を管理 |
電力マネージャーW | ・最大23系統まで電気使用量を可視化 |
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」 | ・工場の生産設備・原動設備を制御 |
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ」 | ・AIが省エネ行動を提案できる |
他にもある!ムダな電力を抑えるエネルギー管理システム
EMクラウド
EMクラウドの特徴
複数店舗展開する企業向けの電力エネルギー一元管理システム
EMクラウドは、エネルギーの無駄を見える化し、効率的な省エネを実現するエネルギー最適化プラットフォームです。ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料高の影響で電力価格が高騰。大手電力会社は、特別高圧・高圧の法人向け電力プランの新規契約を一時停止する動きがあります。
また、新電力会社の事業撤退や、値上げに踏み切る電力会社も増えましたが、EMクラウドは、こうした事態を解消するために開発されました。
空調設備の省エネがエネルギーコスト削減の「最短ルート」と考え、空調を制御する仕組みを構築。IoTで空調制御を行い、PCやスマートフォンなどでエネルギーの使用状況を見える化しコストの削減を実現。特に効果が出やすいものとして、以下の業種があります。
EMクラウドの概要
運営会社 | 株式会社ムダカラ |
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会社所在地 | 東京都港区虎ノ門3-4-10 虎ノ門35森ビル7階 |
会社設立 | 2012年4月 |
公式HP | https://em-cloud.com/ |
主な機能 | 利用データをリアルタイムで自動集計・管理 IoTで空調機を自動制御 |
料金目安 | 初期費用0円 月額利用料:空調の制御台数により変動 |
Enability EMS(エナビリティー・イーエムエス)
Enability EMSの特徴
- 用途に応じてエネルギー管理システムを提供
- BEMS・MEMS・HEMSの機能を提供できる
- 高圧需要家向けリソース制御サービスなどもあり
用途に応じてエネルギー管理システムを提供
Enability EMSは、BEMS・MEMS・HEMSなど、用途に応じてエネルギー管理システムを提供するクラウドサービスです。MDMSではスマートメーターから得たメーターデータと、エネルギー関連のデバイスから収集したエネルギーデータを一元管理できます。
BEMSでは、ビルの電力を見える化させ、遠隔システムを利用して空調や照明の制御が可能です。複数拠点のデータを一括で管理ができ、デマンド値を算出して設定値を超えた場合に電力消費量を抑制させます。
高圧需要家向けにリソース制御サービスも提供
そのほか、高圧需要家向けにリソース制御サービスなども提供しており、太陽光発電・蓄電池を含めたエネルギーリソースのデータ収集や遠隔制御を行えます。
様々なエネルギー事業者のビジネス形態に対応できるプラットフォームのため、多様なジャンルの事業を展開する企業にも導入しやすいのがメリットです。
Enability EMSの概要
運営会社 | BIPROGY株式会社 |
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会社所在地 | 東京都江東区豊洲1-1-1 |
会社設立 | 1958年3月29日 |
公式HP | https://pr.biprogy.com/solution/lob/energy/ems/ |
主な機能 | HEMS MEMS BEMS |
料金目安 | 公式サイトに記載ありませんでした |
Facility Assist(ファシリティアシスト)
Facility Assist(ファシリティアシスト)の特徴
- パッケージ化された設備管理システム
- パッケージ×クラウドで導入期間を短縮
- 設備の故障を予知して通知
パッケージ化された設備管理システム
Facility Assist(ファシリティアシスト)は、設備監視システムです。設備・機器の安定的な稼働と状態の可視化により、経費削減を図ります。パッケージ化してクラウド対応しており、遠隔保守にも対応できます。
パッケージ化することで導入までの期間を短縮させ、設備の情報をスピーディーに把握できるように後押し。Webカメラの環境構築を行えば、現地状況もあわせて確認できます。
設備の故障を予知
Facility Assist(ファシリティアシスト)は、設備の故障を予知する機能が搭載されており、通報メールで場所や内容を確認できます。故障を早期に予知することで、リカバリ時間の短縮に繋げます。
要員不足で現地にスタッフを配置できなくとも、遠隔で保守管理が行えるので人件費の見直しにも活用が可能。パッケージ化された製品ですが、要望に応じて柔軟にカスタイマイズしてくれるので、安心して相談ができます。
Facility Assist(ファシリティアシスト)の概要
運営会社 | 株式会社iND |
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会社所在地 | 東京都中央区日本橋茅場町2-13-13 JRE茅場町二丁目ビル7F |
会社設立 | 2007年10月 |
公式HP | https://www.i-netd.co.jp/special/ |
主な機能 | データ収集 蓄積 分析 活用 SaaS提供(各種クラウドサービスと連携) クラウド・オンプレ対応(各社MQTTブロカー対応) |
料金目安 | 公式サイトに記載ありませんでした |
地域エネルギーマネジメントシステム
地域エネルギーマネジメントシステムの特徴
- CEMSで地域全体の電力需要・供給の総合管理が行える
- 発電量や建物の消費量をリアルタイムで可視化させる
- 関連性の高いシステムで地域のエネルギー効率の最適化を図る
地域全体の電力の需要・供給を総合的に管理
地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)は、地域全体の電力の需要・供給を総合的に管理できるシステムです。火力発電や風力発電、太陽光発電の量や、各住宅・ビルの消費量をリアルタイムでスマートメーターにより把握して、需要・供給のバランスの最適化を図ります。
CEMSに関連性の高いシステムを合わせて提供
地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)は、関連性の高いシステムをあわせて提供しており、ユビキタスモニタリングシステム(FEMS)で工場監視制御を行い、ユビキタスモニタリングシステムforBA(BEMS)で複合施設の制御を行えます。
また、一般家庭はHEMS、省エネルギー監視システム(EMS)により全体の使用電力の抑制が行えるようになります。発電量や状態監視には風力発電監視システム「WiMS」、メガソーラー監視システム「MeMS」な度も活用できます。
これらを複数組み合わせて地域に最適なエネルギーマネジメントを取り入れることが可能です。
地域エネルギーマネジメントシステムの概要
運営会社 | 株式会社ユニティクス |
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会社所在地 | 福岡県福岡市中央区春吉3-21-18-1002号室 |
会社設立 | 2005年1月 |
公式HP | https://unitics.jp/ |
主な機能 | 予測 解析 計画 実績収集 指令 各種記録 |
料金目安 | 公式サイトに記載ありませんでした |
エネルギーマネジメントシステム「電力マネジャーW」
エネルギーマネジメントシステム「電力マネジャーW」の特徴
- 最大23系統までの電気使用量を監視できる
- 目標デマンド値を超過する際は制御で抑制
- 5分送風25分運転サイクル制御あり
最大23系統までの電気使用量を監視
エネルギーマネジメントシステム「電力マネジャーW」は、事業所の電気の使い方を可視化させるEMSです。一台で23系統までの電気使用量をリアルタイムで確認でき、最大需要電力目標デマンド値を監視し、超過を予想して自動制御を行い抑制します。
自動デマンド監視機能と、5分送風25分運転サイクル制御が備わっているので、無駄なエネルギー消費を避けられます。
標準は全大量+4系統計測
エネルギーマネジメントシステム「電力マネジャーW」は、1台の電力マネジャーで最大23系統まで計測ができますが、標準の全大量+4系統計測で収まる場合は導入コストを削減することが可能です。導入コストに加え、毎月サーバー利用料と通信料が発生します。
エネルギーマネジメントシステム「電力マネジャーW」の概要
運営会社 | 未来工業株式会社 |
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会社所在地 | 岐阜県安八郡輪之内町楡俣 1695-1 |
会社設立 | 1965年8月 |
問合せ | https://evort.jp/store/mirai/product/emw |
公式HP | https://evort.jp/store/mirai/product/emw |
主な機能 | 23系統までの電気使用量をリアルタイムで確認できる 最大需要電力目標デマンド値を監視 デマンド値超過時はエアコン出外機のコンプレッサーを制御 |
料金目安 | 電力マネージャー:標準として全体量+4系統系計測で60万円程 取付工事費:10~100万円程 キュービクル一台:通信料2,090円(税込)、サーバー利用料3,300円(税込) |
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」の特徴
- 工場の生産設備・原動設備の監視・制御を行う
- 創エネ・蓄電まで管理し必要に応じて放出を行う
- デマンドオーバーを予防し基本料金の引き下げに役立てる
生産設備・原動設備の制御を行うシステム
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」は、生産設備・原動設備の制御を行えるシステムです。省エネ活動の実施を促すだけでなく、創エネ・蓄電までを管理することが可能です。
必要な電力を必要なタイミングで使用する省エネ活動の実現に向けて、最大電力量を監視して蓄電池の放出を行い、デマンド値を超過しないよう制御します。デマンドオーバーを事前に防止して、電気料金の基本料金を抑えるのに貢献します。
消費需要を予測して再エネ発電量を監視
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」は、系統・創エネ自動切換え機能を搭載したシステムです。消費需要を予測し、再エネ発電量を監視してデマンド超過を防ぎます。夜間電力で蓄電池の充電制御も行い、夜間に蓄電池の充電を貯められるようにコントロールします。
工場エネルギーマネジメントシステム「FEMS」の概要
運営会社 | ダイワエレクス株式会社 |
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会社所在地 | 滋賀県栗東市林570-3 |
会社設立 | 1991年4月17日 |
公式HP | https://www.daiwa-elecs.co.jp/products/fems/ |
主な機能 | ピーク時に蓄電池の放出を行いコントロール デマンド値超過時はプログラムされた機器の電力をカット・停止 計画的な負担の運転を実施 電力ピークを避けた効率の良い負荷運転 |
料金目安 | 公式サイトに記載ありませんでした |
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ(R)」
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ(R)」の特徴
- AI予測で省エネ行動を提案するシステム
- ビッグデータ×6,000店舗以上のノウハウをもとにアドバイス
- 機能拡張で空調自動制御「エナッジAiR」を搭載できる
AI予測で省エネ行動を提案できるシステム
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ(R)」は、AI予測で省エネ行動を提案できるシステムです。電力ビッグデータをもとにAIが電力使用量を予測して、各事業所に合わせたアドバイスを実施します。全事業所の一元管理が行えて、省エネ行動の定着を図ります。
6,000店舗以上の省エネノウハウをもとにアクションを提案しているので、企業に合わせた対策を講じられるのが魅力です。自発的な行動に繋げやすいUIデザインを採用しており、全社一丸となって省エネ行動に取り組めます。
機能拡張で空調自動制御「エナッジAiR」を搭載できる
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ(R)」は、機能拡張で空調自動制御「エナッジAiR」を搭載できます。AIがデマンドピーク予測を行い、快適性を損ねることなく空調をコントロール。
現場で働く社員への業務負担を軽減させながらも、デマンド抑制により空調負荷を軽減の両立ができるので便利です。
リモートによる管理にも対応しているため、人不足で管理まで手が行き届かない企業に向いています。マニュアル不要で取り組める省エネ行動を提案するので、無理なく省エネ行動を続けやすいでしょう。
エネルギーマネジメントシステム「エナッジ(R)」の概要
運営会社 | 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ |
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会社所在地 | 東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル3F |
会社設立 | 2004年2月 |
公式HP | https://enudge.igrid.co.jp/ |
主な機能 | アクション項目詳細画面 デマンド対策アクション画面 AIデマンド予告機能 AI予測ロードカーブ 省エネ行動を見える化 未活動アラート機能 省エネアクションカスタマイズ機能等 |
料金目安 | 初期費用:0円 月額利用料:プランにより異なります |
エネルギー管理システムとは
エネルギー管理システムとは、エネルギーの使用状況に合わせて管理し、設備の稼働を制御して運用を最適化するシステムのことです。エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)とも呼ばれ、EMSと略称で表記されているケースもあります。
エネルギー管理システムはエネルギーの効率的な運用をして、省エネ化やコストダウンを図ります。ITやセンサーなど、複数の機器やシステムと連携して設備の制御を行い、エネルギーの無駄をカット。
エネルギーの全体の消費量を可視化せることで、設備やエネルギーの無駄を把握でき、改善に繋げることが可能になります。また、制御する対象によってエネルギーシステムの名称が変わるのも特徴で、
- BEMS(ベムス)
- HEMS(ヘムス)
- FEMS(フェムス)
- MEMS(メムス)
- CEMS(セムス)
などに分類されます。種類の詳細については、下記の「エネルギー管理システムの種類」にて解説しているので、導入前にぜひご確認ください。
エネルギー管理システムで出来ること
企業で使用しているエネルギーを見える化でき、エネルギー効率の分析や改善に向けた議論が行えるようになります。よりエネルギー効率を良くするために、施策の実行と改善を繰り返し行える体制が整います。
エネルギーは電気以外に水道・ガスなども管理対象に含まれるので、幅広いエネルギーを管理できるシステムがあると便利です。
実際には、エネルギー管理システムを取り入れなくとも管理は行えます。ですが、人の手でエネルギーを見える化するにはタイムラグの発生が懸念されるほか、膨大な手間がかかるもの。
リアルタイムの状況を把握し、いち早く施策を実行することにおいて、エネルギー管理システムの力は心強い味方となるツールです。自動で監視・管理が行える状況を構築することで、PDCAサイクルを高速化させられます。
遠隔監視機能や他システムとの連携が図れる
エネルギー管理システムの対象となる設備は、空調・照明・生産機器などです。遠隔監視機能を搭載、あるいは遠隔管理システムと連携が図れるエネルギー管理システムであれば、遠方からでもエネルギー効率の最適化が図れるようになります。
また、他社の管理システムと連携が行えるシステムなら、費用の無駄をなくしつつも、システムの共存ができるので利便性が向上します。
エネルギー情報×生産情報の見える化で最適化を図る
エネルギー管理システムのなかには、エネルギー原単位で管理できる機能や、機器の運転時間やメンテナンス情報といった管理が行える保全記録表示機能を備えているものもあります。
エネルギー情報や生産情報を見える化することで、工場内・自社内のエネルギーの最適化を図れるようになります。生産計画管理機能や帳票機能なども搭載しているシステムがあるので、自社経営に必要な管理機能が搭載しているエネルギー管理システムを選びましょう。
エネルギー管理システムが注目される理由
エネルギー管理システムが注目される背景には、電気料金の高騰やエネルギー自給率の低さが関係しています。2022年は国内の小売電気事業者が相次いで電気料金を値上げし、大きな話題を呼びました。
電気料金が高騰している主な理由としては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、新型コロナウイルス、原子力発電所の停止、火力発電所の休廃止の影響が挙げられます。
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続いているため、欧州がロシア産天然ガスからの脱却を試みたことが市場に影響を及ぼし、液化天然ガスの価格が高騰しました。
ロシア産天然ガスへの依存から脱却するべく、ヨーロッパでは輸入に力を入れており、液化天然ガスの輸入量が65%増加。液化天然ガスのスポット価格を押し上げる結果に繋がりました。
日本ではもともとカタールと長期契約を結び、液化天然ガスを安定供給していましたが、脱炭素社会の実現に向けて2021年に長期契約の延長を行いませんでした。
長期契約を維持しなかったことが弊害となり、液化天然ガスのスポット価格の高騰の影響を受ける形となっています。
特に新型コロナウイルスの影響で、液化天然ガスの需要が高まっていたこともあり、世界各国で液化天然ガスの争奪戦が起こりました。結果、安定供給が崩壊し、電気料金に大きな影響を与えています。
参照元:激化するLNG争奪戦 崩壊した天然ガスの安定供給 NHK解説委員室(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/476942.html)
日本は火力発電への依存度が高く
火力発電に使われる液化天然ガスも輸入に依存している
液化天然ガスはCO2排出量が少ないため、火力発電原料として扱われています。実は、東日本大震災以来、国内では電力のおよそ40%を天然ガス火力で賄っています。
東日本大震災が起こる前は天然ガス火力発電と原子力発電でバランスを保っていましたが、今はバランスが大きく崩れ天然ガス火力が4割と大きく占める結果に。天然ガス火力に頼わざるを得ない状態が続いています。
とはいえ、国内では火力発電所の老朽化が著しく、火力発電所の休廃止が行われている状態です。再生可能エネルギーが重視されていることもあり、火力発電所の休廃止が相次いで行われています。
そこに、追い打ちをかけるように原子力発電所の休止や、燃料費の上昇が続いているため、電力の供給が追い付かない状態に陥っているのです。
参照元:激化するLNG争奪戦 崩壊した天然ガスの安定供給 NHK解説委員室(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/476942.html)
日本はエネルギー自給率が著しく低い国
日本は世界で5番目にエネルギーを消費している国でありながら、自給率が著しく低く、自国で賄えるエネルギーの割合は12%ほどだと言われています。
今後も新型コロナウイルスやウクライナ侵攻による液化天然ガスの高騰は続くと見られており、燃料価格高騰は避けられない状態となっています。
今冬でもすでに燃料価格高騰の影響を多くの企業が受けていて(2022年12月時点)、エネルギー管理が急務に。限られた電気や天然ガスを効率良く使うことが、今後の企業の課題となります。
参照元:電気は足りているのになぜ原子力発電は必要なの? – 浜岡原子力発電所|中部電力(https://www.chuden.co.jp/energy/nuclear/nuc_qa/qa01.html)
エネルギー管理システムの導入メリット
早速ですが、エネルギー管理システムの導入メリットを3つ挙げていきます。ぜひ、社内のエネルギーの効率的な運用を実現させましょう。
1.エネルギー消費を把握できる
エネルギー管理システムを取り入れると、全社のエネルギー消費量を把握できます。電気・ガスといったエネルギーの消費状況を可視化でき、省エネ対策を取り入れやすくなります。
施策から改善までのスパンが短縮され、経費の削減や環境負荷の軽減が図れるようになるのがメリットです。
特に、「エネルギー管理システムが注目される理由」に記載したように、現在国内ではウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの影響で電気代が高騰しています。燃料の高騰が続き、小中規模の企業では廃業を避けられないケースも増えてきました。
少しでも無駄をなくすために大切なのは、エネルギー消費の可視化です。ただやみくもに冷暖房のストップなどでエネルギー消費を削減しては作業効率が落ち、労働環境の悪化で法令違反に当たる恐れがあります。
加えて、ネット環境が充実して誰もが声を上げられるようになった現代では、労働環境の悪化による炎上リスクも付きまといます。
エネルギーの削減で利益が増大するどころか、かえってブランドイメージの低下を招きかねません。無理のない範囲で対策を講じるならば、エネルギー消費の効率が悪い設備を徹底的に洗い出し、削減に努める必要があります。
2.エネルギー効率が悪い設備・機器の特定ができる
全社に省エネルギーな設備・機器を導入できればエネルギー効率を高められますが、現実には費用面で全てを取り換えられないという企業は少なくありません。
そこで、エネルギーの無駄を省くには、効率が悪い設備・機器を断定し、該当設備・機器のみを交換する必要が出てきます。
いくら導入当時に省エネルギーな機器を導入しても、老朽化に伴い、エネルギー効率の低下は避けられないものです。リアルタイムのエネルギー消費量のデータを取得することで、機器が老朽化して効率が落ちた時点ですぐに気が付けるようになります。
また、老朽化によりエネルギー効率が低下していなくとも、新たに導入した機器と比べるとエネルギー効率が劣っているというケースも。たとえば、10年前に導入されたエアコンと、10年後の現在導入するエアコンでは電気代に大きな差があります。
導入費用と年間の光熱費をよく検討したうえで、必要に応じて機器を切り替えることをおすすめします。
3.補助金制度を活用すれば安く導入できる
エネルギー管理システムのメリットは、補助金制度を活用できる可能性がある点です。補助金制度を活用できれば、通常よりも導入費用を抑えるながらエネルギーの最適化を図れます。
令和4年度は「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金)」の公募が行われていました(すでに募集終了)。省エネルギー性能の高い設備・システムの導入等に要する経費の一部を補助する取り組みです。
「エネマネ事業」では、EMS機器(SIIが対象として公表したエネルギーマネジメントシステム)を導入した中小企業に対して補助率2分の1以内、大企業に対して3分の1以内の補助金を交付しています。
年度で上限額が1億円、下限額が事業全体で100万円となっており、対象経費として設計費・設備費・工事費が該当します。
大企業として該当するのは、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でS・Aクラスに当たり、かつ中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」で2030年度の見込みが目標値を達成する事業者です。
※公募要領や募集締め切り日時は年度によって異なるため、北海道経済産業局などの公表を確認し、期日までに申込してください。
参照元:令和4年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金)の公募を開始しました|経済産業省北海道経済産業局(https://www.hkd.meti.go.jp/hokne/20220614/index.htm)
エネルギー管理システムの種類
ここからは、エネルギー管理システムの種類を5つ解説していきます。BEMS(ベムス)・HEMS(ヘムス)・FEMS(フェムス)・MEMS(メムス)・CEMS(セムス)の違いを押さえて、導入すべきシステムを選定しましょう。
BEMS(ベムス)
BEMS(ベムス)とは、Building and Energy Management System(ビルディングアンドエネルギーマネジメントシステム)の略称であり、ビル・エネルギー管理システムのことです。
エネルギー情報システム・エネルギー制御システム・エネルギー管理共通基盤の3つのサブシステムで構成されます。
建物を対象としたシステムであり、建物内の空調・照明といったエネルギーの使用状況をセンサーや監視装置などで可視化させます。また、制御装置でエネルギーを自動で制御できるので、エネルギーの無駄な消費を削減することが可能です。
たとえば、建物内の電力消費量が契約量を超過しそうになった際に、警告音で知らせるなど、社員の意識改革にも役立ちます。余分な残業を減らすきっかけにも繋がるので、ベムスを導入するのも一つの手です。
HEMS(ヘムス)
HEMS(ヘムス)は一般家庭にもよく導入されているシステムで、「Home Energy Management Service」ホームエネルギーマネジメントサービスの略称です。
家庭内で使用される機器の電力使用量・稼働状況を可視化させ、電力使用量を最適化するために取り入られています。太陽光発電システムの発電量なども可視化できるので、太陽光発電システムを取り入れている家庭に導入されるケースが多いと言えます。
導入するにはエネルギー計測ユニット・情報収集ユニット・モニター・対応家電が必要です。あくまでも家庭向けのシステムのため、商業施設やビルなどの建物にはBEMS(ベムス)の導入が必要となるのでご注意ください。
FEMS(フェムス)
FEMS(フェムス)とは、「Factory Energy Management System」ファクトリーエネルギーマネジメントシステムの略称で、工場を対象とした管理システムです。
工場内の空調・照明・生産機器のエネルギー消費量を管理しながら、制御が行えるため、経費削減に繋がります。受配電設備・生産設備の使用状況の可視化ができます。
工場内でエネルギー消費量が多い機器を特定したり、不必要な稼働を制御したりと、エネルギーの無駄を省くことが可能です。工場のエネルギー管理を行いたいなら、フェムスの導入を検討してみましょう。
MEMS(メムス)
MEMS(メムス)は、「Micro Electro Mechanical Systems」マイクロエレクトロメカニカルシステムの略称であり、微小電気機械システムのことです。様々な分野で使用されているエネルギー管理システムで、携帯電話の加速度センサーやプリンターヘッドなどの技術に用いられています。
つまり、メムスとは全長がmm単位の極小な特性を活かし、製品の小型化を図ったり、消費電力を抑えたりする目的で使用されるエネルギー管理システムです。
半導体素子の微細加工を応用させた、シリコン基板上に回路や可動機構などともにセンサを一体化できる技術であり、様々なシーンでの活用が期待されています。建物や工場のエネルギー効率を高めるよりも、どちらかと言えば製品に利用される技術です。
CEMS(セムス)
CEMS(セムス)とは、「Community Energy Management System」コミュニティ エネルギーマネジメントシステムの略称です。地域・コミュニティーのエネルギーを管理するシステムを指します。
発電所での地域やコミュニティー内のエネルギーを管理する際に用いられます。太陽光発電や風力発電といった電力供給量が管理できるほか、地域内のビル・工場・家庭のエネルギー管理が行えるため、地域でのエネルギー消費量を見直すきっかけにも。
セムスは、上述したヘムス・メムス・フェムス・ベムスなどを全て含んだ地域全体の管理向けのシステムのため、スマートコミュニティの実現に向けて各地で導入が進められています。
エネルギー管理システムでよくある質問
Q1.エネルギー管理システムとは?
エネルギー管理システムとは、エネルギーの使用状況に合わせて管理し、設備の稼働を制御して運用を最適化するシステムのことです。エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)とも呼ばれ、EMSと略称で表記されているケースもあります。
Q2.導入すると何が変わりますか?
エネルギー管理システムを取り入れると、全社のエネルギー消費量を把握できます。電気・ガスといったエネルギーの消費状況を可視化でき、省エネ対策を取り入れやすくなります。施策から改善までのスパンが短縮され、経費の削減や環境負荷の軽減が図れるようになるのがメリットです。
※詳しくはエネルギー管理システムの導入メリットでご確認下さい。
まとめ
エネルギー管理システムと言っても、工場・複合施設・一般家庭向けなど種類は様々です。各システムの特徴を確認した上で、用途に合ったツールを選びましょう。