金型メーカーのマーケティング|得意な金型の引き合いを増やす集客・営業の進め方
最終更新日:2026年10月02日
新製品の金型を設計から相談する場合と、既存の金型の修理を依頼する場合では、発注先に確かめたいことが違います。同じ「金型メーカー」を探していても、必要な型種や技術、任せたい工程はさまざまです。
自社が対応できることを幅広く紹介するだけでは、どの案件で力を発揮できるかが伝わりにくくなります。金型メーカーのマーケティングでは、得意な型種・用途・製作範囲を、発注者が相談できるか判断できる形で示すことが大切です。
ホームページや展示会から、自社に合う引き合いを増やすには何を整えればよいのか。集客方法の選び方に加え、技術情報の見せ方、問い合わせ後の対応、既存企業の取り組みから考えていきます。
金型メーカーのマーケティングは、型種と発注条件から組み立てる

金型メーカーのマーケティングとは、自社の技術や対応範囲を必要とする発注者を見つけ、相談・見積もり・受注につながる接点と情報を整える取り組みです。
最初に整理したいのは、「どんな金型の、どの工程を任せてもらいたいか」です。新規製作、設計支援、改修、修理では、発注者の探し方も確認事項も変わります。
| 型種の例 | 集客・営業で具体化したい情報 |
|---|---|
| プラスチック用金型 | 対応する成形方法、成形する樹脂、製品の大きさ、要求精度・外観品質、トライ対応の範囲 |
| プレス用金型 | 加工する材料・板厚、製品形状、加工方式、対応サイズ、試作・量産に向けた確認範囲 |
| ダイカスト用金型 | 対象となる合金、製品・金型の大きさ、使用する設備の条件、品質要求、評価への対応範囲 |
| ゴム用金型 | 対象となる材料、成形方法、製品形状、用途、必要な精度や品質の確認方法 |
同じ型種でも、金型を納めるところまでなのか、トライや修正まで対応するのか、成形品の生産も引き受けるのかで、顧客が任せられる仕事は異なります。製品メーカー、成形・プレス加工会社、他の金型メーカーなど、取引する相手によっても説明すべき内容が変わります。
型種だけでなく、発注者の用途と任せたい工程まで合わせて考えると、営業先とWebで伝える情報を絞りやすくなります。
対応できない案件への見積もりが多い場合は、この範囲が十分に伝わっているかを確認しましょう。逆に、得意な案件でも相談が少ないなら、顧客との接点や、その用途に関する情報が不足している可能性があります。
金型メーカーのマーケティングで「得意な金型」をどう伝えるか
「高精度」「短納期」「一貫対応」は、金型メーカーの強みとして使われる言葉です。ただ、その言葉だけでは、発注者が自分の案件に当てはめて判断しにくいこともあります。
強みを整理するときは、過去に受注した案件と、対応が難しかった案件を振り返ります。どの条件で評価されたのか、どこまで対応すると採算や納期に無理が生じるのかを、営業と設計・製造の担当者で確認してください。
STP分析を、案件の条件を整理するために使う
STP分析では、市場を分け、狙う対象を選び、その対象に対して自社をどう位置づけるかを考えます。金型メーカーでは、型種、用途、製品の大きさ、要求精度、製作範囲などを切り口にすると整理しやすくなります。
たとえば「射出成形金型に対応する」という説明から、得意な成形材料や製品形状、設計・トライへの対応範囲まで具体化します。その条件を必要とする顧客に向けて、実績や技術情報を揃えていきます。
新規顧客に伝える重点領域を決めても、既存の受注範囲をすべて狭める必要はありません。設備、人員、採算、顧客からの需要を確かめながら、発信する内容の優先順位を決めましょう。
技術と、発注者が解決したいことを結びつける
バリュープロポジションキャンバスは、顧客の課題と自社の提供価値を照らし合わせるために使えます。バリュープロポジションを考える際は、保有設備や技術から、顧客のどの困りごとに応えられるかまで確認します。
たとえば、設計段階の相談に対応できるなら、確認できる内容や必要なデータを示します。トライ後の修正に対応するなら、評価方法や修正範囲を説明します。実際に提供できる内容を、相談する理由として伝えることが大切です。
強みと一緒に、その根拠・対応条件を示す
加工精度を紹介する場合は、金型部品の加工精度と、成形品に求められる精度を混同しないようにします。対象、測定方法、確認した条件を明確にし、実績の数値をあらゆる案件に適用できる保証として見せないようにしてください。
「短納期」についても、仕様が確定してからの期間なのか、設計やトライを含むのかを示します。納期を確定するために必要な情報や、設備の稼働状況による条件も確認します。
得意な案件と、その案件を任せられる根拠を一緒に示す。この情報が、ホームページ、展示会、営業資料で共通して伝える内容になります。
金型メーカーのマーケティング施策は、足りない接点と情報から選ぶ

集客方法を増やす前に、顧客と接点を持てていないのか、接点はあっても相談する判断材料が足りないのかを確認します。まず相談を受けるための情報を整え、そのうえで必要な集客施策を選びましょう。
| 施策 | 主な役割 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| ホームページ | 対応範囲と相談先を示す | 型種・製作範囲・実績・問い合わせ方法が分かるか |
| 技術記事・事例記事 | 用途や課題に沿って技術を説明する | 公開できる根拠と、対応条件があるか |
| SEO | 金型や技術を探す人と接点を持つ | 検索内容とページの対応範囲が合っているか |
| 検索広告 | 対象となる検索へ広告を出す | 対象外の検索や案件への費用を抑えられているか |
| 展示会・商談会 | 実物や説明を通じて技術相談の接点をつくる | 来場者と得意分野が合うか。会期後の対応が決まっているか |
| マッチング・資料請求サイト | 外部媒体から案件や関心を持つ企業と接点を持つ | 対象業界、案件条件、料金、情報の共有範囲が合うか |
| メール・技術資料 | 検討中の顧客へ必要な情報を届ける | 相談内容に合う情報と配信方法になっているか |
| ポジショニングメディア | 用途や条件に応じて各社の違いを伝える | 比較する市場・条件と、自社の強みが合っているか |
ホームページ:どこまで任せられるかを明確にする
対応する型種、成形材料、サイズ、製作工程、設備、検査体制、事例を整理します。設計からの相談、新規製作、改修・修理など、問い合わせの種類が分かる構成にすると、発注者が相談先を判断しやすくなります。
製作事例には、公開可能な範囲で用途、要求された条件、対応した工程を添えます。顧客名や図面、製品写真の掲載許可を確認し、公開できない情報がある場合は、匿名化や説明方法を検討してください。
技術記事・事例記事:設備名を、発注者の疑問につなげる
技術記事では、材質や形状による確認事項、トライの進め方、修理を相談する際に必要な情報など、自社が説明できる内容を扱います。一般的な技術情報と、自社が対応できる範囲を分け、相談先へのリンクも設けましょう。
技術情報を読む人には、発注検討者だけでなく学習目的の人も含まれます。アクセス数に加え、案件相談につながった記事と、その相談内容を確認します。
SEO:対応できる型種・用途と検索語を合わせる
対策する検索語は、型種、用途、製作・修理などの依頼内容から検討します。商圏がある場合は、現地対応や金型の輸送が可能な地域も考慮してください。
専門的な検索語でも、検索需要や競合ページの内容は異なります。「ニッチだから短期間で上位表示できる」と判断せず、検索結果と検索データを確認し、発注者が必要な情報に答えるページを整えます。
検索広告:相談につながった案件の条件まで確認する
検索広告は、対応する型種や依頼内容に合わせて出稿します。広告から案内するページにも同じ対応範囲を示し、情報だけを探している検索や、対応外の金型に関する検索が多い場合は設定を見直します。
広告費はクリックや問い合わせの件数だけで評価せず、対応可能な相談、見積もり、受注まで追って確認します。
展示会・商談会:会期後の技術確認まで計画する
金型関連の展示会には、INTERMOLDなどがあります。出展先は来場者の業種・役割と、自社の得意分野が合うかを確認して選びましょう。
加工サンプルや成形品を見せる際は、材質、対応条件、確認した品質なども説明します。名刺情報と一緒に関心を持った型種・用途・相談内容を記録し、会期後に誰がどの情報を送り、何を確認するかまで決めておきます。
マッチング・資料請求サイト:案件条件と費用を比較する
金型や製造業を扱う外部サイトでは、自社だけでは接点を持ちにくい企業へ情報を届けられる場合があります。掲載先の対象業界、依頼内容、料金、見込み顧客情報の取得条件を確認してください。
相見積もりになる場合もあるため、案件を獲得できる保証はありません。掲載する対応範囲を具体化し、受けられる案件と見積もり対応の負担を合わせて評価します。
メール・技術資料:検討内容に合う情報を届ける
展示会で接点を持った企業や、具体的な相談を受けた企業には、関心のある型種や課題に合う情報を届けます。設計段階の検討と、製作先を選ぶ段階では必要な資料が異なります。
ホワイトペーパーなどの資料も選択肢ですが、まず既存の技術資料や事例を活用できます。資料をダウンロードしたことだけで発注意向があるとは判断せず、顧客の状況を確認して対応します。
ポジショニングメディア:得意な条件を比較の中で伝える
ポジショニングメディアは、特定の市場や用途で企業ごとの特徴を伝える集客手段です。金型メーカーであれば、型種、用途、製作範囲など、発注先を選ぶ条件に沿って違いを説明する考え方になります。
活用を検討する際は、自社の強みを必要とする顧客が、何を比較して発注先を決めるのかを先に整理します。問い合わせ件数に加え、得意な案件の相談につながっているかを確認しましょう。
金型メーカーのマーケティング事例から、技術の見せ方を考える

既存企業の取り組みを見る際は、成果の数字だけでなく、誰のどんな相談に応える構成になっているかに注目してください。型種や商流、提供する仕事の範囲が異なるため、同じ施策で同じ成果が得られるとは限りません。
チバダイス:プラスチック歯車の課題から相談先を示す
チバダイスの「ギヤプラス」は、プラスチック歯車の研究開発、設計、試作、金型、量産、試験を扱うサイトです。騒音、耐久性、精度などの課題から、関連するサービスや技術情報へ進める構成になっています。
参考にしたいのは、金型製作の説明に加えて、顧客の用途と困りごとを入口にしている点です。自社の設備や加工方法を、顧客が解決したい問題に結びつける見せ方として応用できます。
参照元:ギヤプラス公式サイト
御津電子:Webで対応内容を伝え、問い合わせから商談へつなげる
御津電子の代表者への取材を掲載した「中小企業デジタル化推進事例集」では、Webマーケティングに取り組み、金型などに関する検索からの集客を進めたことが紹介されています。
事例集掲載時点の成果として、ホームページの累計アクセス50万件、問い合わせ1,000件超、約100社との商談、13社との新規契約が報告されています。金型の受注だけを集計した数字ではなく、同社のWeb活用全体についての事例です。
アクセス、問い合わせ、商談、契約を分けて確認する点が参考になります。また、既存顧客がWebで別の対応分野を知り、追加の受注につながったことも紹介されています。
ニットー:金型と周辺工程の対応範囲を伝える
ニットーの公式サイトでは、プレス金型、プレス・板金加工、機械加工、治工具・設備などの対応分野を示し、設計、試作、量産まで相談できることを伝えています。発注から納品までの流れや、技術的な課題への対応事例も掲載しています。
金型だけでなく周辺工程にも対応する企業は、担当する仕事の範囲を明確にすると、発注者が相談の仕方を考えやすくなります。一貫対応を訴求する際は、実際に任せられる工程と、個別確認が必要な事項を分けて説明しましょう。
参照元:株式会社ニットー公式サイト
金型メーカーのマーケティングを、見積もり・受注につなげる対応
問い合わせを増やしても、案件の条件が分からず、確認と見積もりの負担ばかりが増えることがあります。Webと営業の双方で、相談を受けてから技術確認へ進む流れを整えましょう。
相談時に必要な情報と、その後の流れを示す
問い合わせページでは、型種、用途、成形材料、製品の大きさ、依頼したい工程、希望時期など、初期確認に必要な情報を案内します。条件が決まっていない段階の相談を受けるかどうかも明確にします。
図面や製品データが必要な場合は、秘密保持の条件や受け渡し方法を確認してください。最初からすべての情報を求めるのではなく、初期相談と詳細な技術確認で必要な情報を分ける方法もあります。
受け付けた後は、営業が依頼内容を整理し、設計・製造の担当者が対応可否を確認します。回答の担当者と時期を決め、条件が未確定の事項を曖昧なまま約束しないことが大切です。
製作費だけでなく、見積もりに含まれる範囲を説明する
金型の見積もりでは、設計、製作、トライ、修正、検査、輸送など、含まれる仕事の範囲を明確にします。どの工程まで比較しているかが分からなければ、価格差の理由も伝わりにくくなります。
トライや修正を伴う場合は、使用する設備・材料、確認する項目、合否の基準、追加対応の扱いを顧客と確認します。納品後の修理や保守についても、提供できる内容と条件を説明しましょう。
問い合わせ件数と、得意な案件の割合を合わせて見る
施策を評価するときは、問い合わせ、対応可能な案件、見積もり、受注を分けて記録します。型種、用途、依頼工程、流入経路を合わせて確認すると、どの情報や施策が自社に合う相談につながったかを考えやすくなります。
| 起きていること | 見直す対象 |
|---|---|
| 問い合わせが少ない | 対象顧客との接点、検索内容、掲載先、ページで伝えている情報 |
| 対象外の案件が多い | 型種、製作範囲、対応サイズ、用途などの説明 |
| 技術確認に時間がかかる | 必要情報の案内、社内の確認担当、回答手順 |
| 見積もり後に失注する | 価格・納期・対応範囲の条件差、発注者の評価基準、回答までの時間 |
受注後は、売上に加えて、修正や個別対応を含む採算も確認します。新規顧客を獲得できても、想定以上の負担が続く場合は、集客する案件の条件や見積もりの前提を見直す必要があります。
どんな問い合わせが来たかを、次の発信内容へ戻す。得意な案件でよく聞かれる質問をWebへ追加し、対象外の相談が多い条件を明確にすると、集客と営業をつなげて改善できます。
金型メーカーのマーケティングは、得意な型を任せたい顧客へ届ける

金型メーカーの集客では、自社の対応する型種、用途、製作範囲を具体化し、発注者が相談できるか判断するための情報を揃えます。そのうえで、ホームページ、検索、展示会、外部サイトなど、必要な接点を選んでいきます。
「見積もり依頼はあるが、得意な金型の案件が少ない」「対応できる技術を紹介しても、どの顧客へ発信すべきか分からない」という場合は、自社の技術と顧客の用途を結びつけて考える余地があります。
キャククルを運営するZenkenでは、顧客・競合・自社の強みを整理し、強みが評価される市場に向けたWeb集客を支援しています。金型メーカーでも、どの用途や発注条件で自社の対応力が役立つのかを整理し、その違いが伝わる発信を考えることが出発点になります。
ポジショニングメディアは、その方針を実行する手段の一つです。特定の市場で各社の特徴を伝え、発注先を探す人が、用途や条件に合う企業を判断できる情報を届けます。

得意な型種や対応範囲に合う集客を検討する際は、Zenkenにご相談ください。











