クボタのマーケティング戦略・経営戦略を分析

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クボタのマーケティング戦略のポイント

クボタキャプチャ画像
引用元:株式会社クボタ公式サイト(https://www.kubota.co.jp/)

農業機械・建設機械などの産業機械メーカーの「株式会社クボタ」は、国内での農機具のトップシェアを誇っています。

2015年12月末にはグローバルサイトのリニューアルを終え、海外シェアの拡大も強化。グローバル化が加速するなかでブランド方針の一本化を進めています。

対面からWebマーケティングへの切り替え

クボタは、お客様との対話のなかから多数の製品が生まれてきたという歴史を持っていることから、「お客様との対面販売と足で稼ぐ営業」に重きがおかれてきた企業です。

そのため、クボタのWebサイトは利用者視点でつくられておらず、競合に大きく差をつけられていました。

グローバルサイトのリニューアルは、各事業部にヒアリングするところから開始。クボタの技術力・総合力を伝えること、ビジュアルを活用すること、関連製品・サービスをまとめて一覧できることの3つをポイントに実施しました。

こうして、対面からWebマーケティングへの転換を図っています。

自社の強みや価値をアピール

自社の強みであるものの、第三者に伝えきれていなかった「技術力」と「総合力」を見直しました。

経営におけるブランディング戦略を立てるにあたっては、「ブランドアイデンティティの構築」「ブランドマネジメントの強化」「国内ブランド強化プロジェクトの継続」「周年事業によるコーポレートブランディング」の4つを重要推進課題に設定。

こうした課題を解決するための施策の一つであるグローバルサイトのリニューアルでは、「農機の総合力」や「水関連事業の総合力」を訴求するページや「研究開発にかける人の想い」を記載することで「技術力」を伝えるコンテンツを制作しました。

クボタの経営戦略とは

SDGsにかなうソリューションを提供

クボタが担う事業の一つが、水道インフラの整備です。貯水ダムから排水まで水道インフラ全体を管理し、世界70ヵ国以上に水道管を供給しています。

水道インフラの老朽化や管理コストの増加という課題を解決できるよう、2017年にKSIS(Kubota Smart Infrastructure System)をリリースしました。

KSISは、 IoTを活用して水道管の設備を遠隔で監視・診断したり、故障を検知したりできるシステムです。水道管に設置したセンサーが常時設備の状態をチェックすることで、故障する前にメンテナンスを実施することが可能になっています。

生活に不可欠なプラットフォームを、持続可能な形で提供する」ことをミッションに掲げ、SDGsにもかなうソリューションを自社の提供価値として位置づけています。

グローバル市場への参入

技術力と総合力が伝わるようにグローバルサイトをリニューアルし、Webマーケティングを強化したのは、グローバル市場への参入にさらに力を入れていくことを示しています。

グローバルの方針に一貫性を持たせるため、法務・知財・品質保証・デザインなどの複数の部門と連携しながら、ブランドビジョンの策定を開始。Webを活用しながらも、海外においてもお客様の対話から製品開発するユーザーニーズを取り入れる「マーケットイン」のスタンスを大切にしています。

文化や事情が異なる海外市場に参入するため、数百のユーザーにヒアリングし、現地特有の使い方やニーズを徹底的に調査して複数の観点から分析。

ユーザーニーズと自社の高い技術力をあわせることで、確実に需要のある市場で選ばれる商品づくりができ、着実にシェアを広げることにつながります。

この記事のまとめ

クボタは農機具国内シェアの第1位で、品質の高さから海外でも人気ですが、自社の強みである「技術力」と「総合力」が伝わるような情報提供をしていませんでした。

まず自社の強みを明確化することで、「何を伝えるのか」「何でユーザーは自社を選ぶのか」をはっきりさせることが、マーケティング戦略の第一歩です。クボタはそれを「技術力」と「総合力」と決めて、それを伝えることを主眼にマーケティング戦略を練り直しました。

その武器を持ってグローバル市場へと繰り出していきます。

またもともと持っていた顧客との対話からの商品開発、つまりユーザーニーズを起点とした商品づくりは、顧客のイメージが明確でコンセプトがブレません。

自社のマーケティング戦略を考える上でも、まずは自社のいる市場にはどんなユーザーがいて、どんな悩みや課題に対して自社商品やサービスが役立つのかを整理してみてください。

競合に対する優位性や差別化ポイントも意識しながら、自社の強みを伝えることができれば、ユーザーが自然と自社を選んでくれる戦略を実現できます。

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