ZMOT(ジーモット)とは?Google提唱のマーケティング理論を徹底解説!

ZMOT(ジーモット)とは?Google提唱のマーケティング理論を徹底解説!
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Webマーケティングに携わる方なら、ZMOT(ジーモット)という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。

でもほかのマーケティング理論と比べると、まだまだ理解度が低いのも事実。ZMOTがBtoCにしか関係ないと思っているかたも少なくないはずです。

そこでこのページでは、Googleが提唱するZMOTの基礎知識を解説しながら、BtoBマーケティングとZMOTの関係性やZMOTに必要な施策・手段を紹介していきます。

「ZMOT」とは一体なんなのか

Googleの「ZMOT」理論ロゴ
画像引用元:Google社 Think with Google「Winning the Zero Moment of Truth eBook (2011)」(https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-strategies/automation/2011-winning-zmot-ebook/)

ZMOT(Zero Moment of Truth)とは、簡潔に言うと「顧客が何を買うかは、来店前にすでに決まっている」というマーケティング理論です。

この「ZMOT」(ジーモット)は、スカンジナビア航空の再建を果たした元CEOヤン・カールソン氏が提唱した「Moment of Truth(MOT)」から派生した考え方です。

「MOT」は、カールソン氏が著書『真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか)』のなかで述べた「最前線の従業員の15秒の接客態度が、その企業の成功を左右する。その15秒の瞬間を“Moment of Truth”という」が起源です。

真実の瞬間、つまり顧客と企業が接触するたった15秒で、購入の決定やブランドイメージが決定するということを、世の中に知らしめました。

この提唱により、マーケティング自体が製品主導から顧客主導へと変わっていったという経緯があります。

Googleはなぜ「ZMOT」を提唱したのか

Google検索のイメージ画像
MOTから派生した「ZMOT」というマーケティング理論は、2011年にGoogleが提唱したものです。ZMOTの「Z」はZERO、すなわち購買行動が起こる前のゼロの段階で、顧客の意思決定は行なわれている、という主張です。

インターネットを利用する現在ではMOT(顧客の意思決定の瞬間)が、来店などのアクションを起こす前の「ゼロ」の段階で起きているという考え方です。

Googleがアメリカで行った消費者の行動調査で、以下のような結果が出されました。

  • アメリカの消費者の約70%が、商品を購入する前にネットのクチコミやレビューをチェックしている
  • 買い物の際、約79%がネット購入や情報収集など、スマートフォンで何らかの行動をしている
  • 母親の約83%が、テレビCMで興味を持った商品についてネットで調べている

モバイルが情報収集のメインデバイスになった昨今、改めて注目したいマーケティング理論であり、ZMOTを意識した情報発信を行わなければ競合他社に大きく差をつけられてしまうと言われています。

これはBtoCに限らず、BtoB商材にも実際起こっていることなのですし、DtoCでも同じです。したがってZMOTは重要な考え方であると言っていいと思います。

さらにGoogleの調査では、消費者が購入意思を決定するためにチェックした情報の平均数が、2010年には5.3個だったのが2011年には10.4個に増加していました。現在はもっと増えているはずです。

また、購入の決定要因として「店頭で商品パッケージを見た」と答えた消費者が77%だったのに対し、オンラインで何らかの情報を得て購入した消費者は84%と、「来店前には既に購入する商品を決めていた人」が多くいた結果となっています。

これらの結果から、消費者の購買プロセスは、Google社が唱えた「消費者の購買意思決定の瞬間は店頭に行く前のネット上にある」という理に適っていることがわかるのです。

参照元:Google社CPG Blog「The Zero Moment of Truth/ March 29, 2010」(http://google-cpg.blogspot.jp/2010/03/zero-moment-of-truth.html)
SMM Lab「『ZMOT』とは?絶対知っておきたい注目のマーケティング用語!」(https://smmlab.jp/article/what-is-zmot/)

ZMOTの実践には「FMOT」理論の理解が必要

ZMOT理論のベースになっているのが、世界最大の日用消費財メーカーとして知られるアメリカのP&G社が唱えた「FMOT(First Moment of Truth)」理論です。

FMOTは「最初の正念場」と訳されます。

P&G社は、2004年の独自リサーチで「来店時の顧客は、商品棚を見てから最初の3~7秒でどの商品を買うかを決めている」という傾向を発見しました。これが最初の正念場、です。

この結果から、テレビCMをはじめとした大規模なプロモーションをするよりも、店舗の陳列棚で目立ち、競争に勝つ施策を打ち出したほうが売上アップに繋がると気づいたのです。

この発見によって、P&G社はパッケージ改善やディスプレイの工夫といった対策を行い、売上を大きく伸ばしています。それ以降、消費者の店舗内でのこのような購買行動モデルを「FMOT」と呼ぶようになりました。

FMOTを含む購買の意思決定モデルは、以下のように整理されています。

Googlezmot-購買心理の図
画像引用元:Google社Think with Google「Winning the Zero Moment of Truth – A New Mental Model」
(https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-strategies/search/winning-the-zero-moment-of-truth-a-new-mental-model/)


STIMULUS【きっかけ】

消費者(ユーザー)が商品・サービスの存在を認知するきっかけです。

ネット広告やSNSのプロモーション、テレビCM、友人や家族からのクチコミなど、さまざまな情報がきっかけとなります。

ZMOT【情報収集】

認知した商品・サービスについて、詳しく知るために情報収集をする段階です。

主にGoogleやYahoo!などの検索エンジンを用います。SNSの台頭によって、若い世代にはSNS内でのハッシュタグ検索も行われるようになりました。

現在ではネットの普及により、ユーザーは店に行く前から簡単に情報を入手できるようになっています。検索やクチコミ、SNSでつながっている人からのおすすめなどで購入する商品を決めるようになりました。

その影響により店舗を訪れる前、つまり「FMOT前」に購買意思決定の瞬間ができるようになったと考えられます。

FMOT【購入】

消費者が実際の店舗に足を運び、陳列棚の前で購入商品を決める段階です。

目立つディスプレイやキレイなパッケージ、売り場でのPR動画放映によって、瞬間的に印象づける対策がとられます。

SMOT【購入後の体験】

SMOTは「Second Moment of Truth」の略で、「第二の正念場」という意味で使われます。

購入した商品を消費者が持ち帰り、実際の使い心地や品質を体感する段階です。リピート購入に繋がるか否かが決まる瞬間です。

この段階で成功すると再購入に繋がり、顧客をリピーター化できるようになるというわけです。

ZMOT段階でユーザー(顧客)が調べることとは

ZMOT段階では、ユーザーは以下のような情報を収集しています。

  • 購入するメリット・ベネフィット
  • どのメーカーの商品がおすすめか
  • 競合他社の商品との違い
  • ユーザーの口コミ・評判

この段階で自社の商品・サービスの情報がユーザーに候補として絞り込まれたリストに入っているかどうかが肝心なのです。

参照元:SMM Lab「『ZMOT』とは?絶対知っておきたい注目のマーケティング用語!」(https://smmlab.jp/article/what-is-zmot/)

ZMOT以前の購買行動との違い

ZMOT理論は、購入の意思決定モデルにも変化が起きていることを証明したものであり、FMOTの前段階にZEROという新しい段階が加わるようになりました。

ZMOT登場以前に比べて消費者(ユーザー)は、インターネットによる情報収集というプロセスを重要視する傾向にあります。

これまでは、顧客の購入意思を決定するのはFMOTでしたから、店頭でのPRが売上効果を生み出していました。

しかし、ZMOTでは購入前に検索によって情報を収集しているのですから、店頭に来た時点ではすでに購入する商品が決まっていることになります。よって、FMOT段階での対策だけではあまり効果を得られません。

ZMOT段階で購買候補のリストに残っていないと、消費者が来店したとしても自社の商品やサービスは選ばれない、または来店すらしてもらえず、競合商品をオンラインで購入されてしまうことになるのです。

ネットによる情報収集が浸透した現在では、ZMOT段階でいかに消費者(ユーザー)に選ばれる施策を打てているかが重要とわかります。

BtoBマーケティングとZMOTの関係性

企業間取引(BtoB)商談イメージ画像
ZMOTは、企業の大小や業種・業態、取り扱う商品・サービスを問わず意識すべきマーケティング理論です。

「顧客が店頭に来る前に購入商品を決めている」と聞くと、BtoC商材に特化したマーケティング理論のようですが、必ずしもそうではありません。

むしろBtoB企業こそ、ZMOTを意識してマーケティングを実施すべきなのです。

企業担当者の大半が事前に情報を収集する

従来は、BtoBの営業というと、担当者が直接訪問してアピールする、展示会などでPRするというのが顧客との主なタッチポイント(顧客接点)でした。

しかし、今では顧客企業側の担当者もネットで情報収集を行うようになっています。

まずはネットで情報を集めて、購入・導入したい商品にある程度の目星をつけてから該当企業に問い合わせます。

ところが、検索された時点で情報が上がってこなければ顧客との接点が作れません。自社商材にニーズがあるにもかかわらず比較検討の土俵にすら上がれなくなってしまうことになるのです。

顧客の検索心理への理解が重要

顧客が検索しているタイミングで適切なコンテンツが提供できれば、そこに自社と顧客との接点が生まれてZMOT段階に入ることができます。

そのため、自社の潜在顧客・または見込み顧客が、情報収集時にどんなキーワードで検索するのか、どんな悩み・課題を持っていて、どんなことに関心を持っているかの顧客の心理を理解することが大切です。

顧客の購買までの検索行動を読み解き、ニーズに応えるコンテンツなどで、見つけてもらう土台を整える必要があります。

ZMOT段階で顧客から選ばれるためには、さまざまなシーンで顧客と出会える場をインターネット上に確保しておくことが賢明です。

ZMOTに必要な施策と手段

BtoBの情報リサーチイメージ画像
顧客の情報収集で参考にされるコンテンツを想定して、さまざまな角度から施策を講じておくと自社を見つけてもらいやすくなるものです。

ここからは、ZMOTに必要な施策と手段を解説しながら、どうすれば購入に直結しやすいか、どのような工夫が必要かをそれぞれ考えていきます。

ホームページ

企業のホームページは、必ずと言って良いほど顧客が閲覧する情報です。

どのような事業を行っている企業かといった基本情報をはじめ、製品のラインナップや問い合わせ先、取引先として信頼できそうかをチェックされています。

ホームページで企業理念や会社概要など、基本的な情報の記載にとどめている企業が多いですが、それでは電話帳やパンフレットと同じです。

ZMOTで見つけてもらいやすくするためには、コンテンツページを設ける、自社メディアと連携するなど、多くのユーザーが訪問しやすい施策が求められます。

ランディングページ

検索を経由してたどり着いたユーザーに商品・サービスの紹介を行うWebページで、1ページ内に必要な情報を盛り込んだページを指します。

BtoC商材では直接購入ページへと繋げるのが一般的ですが、BtoBでは資料請求や問い合わせフォームなどへと導くのが一般的です。

最終的な成果であるコンバージョン(CV)を強く意識して作られるため、商品・サービスの導入メリットやベネフィットがわかりやすく、目立つデザインに工夫されているのが特徴。

SEO対策も施されており、ユーザーの検索心理にマッチすれば見つけてもらいやすくなります。

SNS・動画

SNSや動画による検索が進む現在では、FacebookやTwitter、LINEといったSNSの投稿もZMOTで検討される情報源の要素です。とくに動画は一度話題になれば、驚異的な再生回数をたたき出すこともあります。

SNSで多くの人にフォローされているその企業にユーザーは信頼性を感じやすいですし、ほかのコンテンツへの流入を促すこともできます。

また、SNSと資料請求・問い合わせページの連携によって、リード獲得も狙えます。

Webメディア

BtoB企業のマッチングサイトや案件比較サイトなど、他社運営のWebメディアに自社情報を掲載するという手段もあります。

「比較」「マッチング」などのキーワードで上位表示されやすく、上位表示されているポータルサイトも多数存在します。

ただしサイトの規模などによって効果が異なるほか、資料請求をはじめとしたユーザーのアクションごとに費用が発生するものもあるので、事前にしっかり確認するようにしてください。

さらに掲載期間が限られているものや、サイト内に有料広告を掲載しないと自社の情報が埋もれてしまうケースもあるので、注意しましょう。

独自メディア(オウンドメディア)

ホームページやSNSなどの運用とは別に独自のメディア、いわゆるオウンドメディアでターゲットユーザーを集める方法があります。

特定のキーワードやユーザーの課題に関するメディアで親和性の高いユーザーを集め、専門性の高い情報を発信して認知度や商材への理解を深めるものです。

たとえばZenkenでは、自社独自の価値を明確に訴求する「ポジショニングメディア」や、市場での立ち位置から独自のブランド価値を示す「ブランディングメディア」という手法を推奨しています。

業種・業界を問わずサイトが構築でき、ZMOT段階で選ばれるために必要な要素を網羅するなどして、直接的な反響が獲得できる施策です。

この「ポジショニングメディア」と「ブランディングメディア」は実際にご覧いただくのがいちばんわかりやすいので、下記ボタンより制作事例をまとめたページをご覧いただければと思います。

ZenkenのWebメディア
制作事例を見てみる

採用オウンドメディア

採用オウンドメディアは、採用に特化した独自メディアで、特にBtoBにおける人材不足の課題解決に大いに貢献するメディア戦略です。

自社が求める人物像の応募が集まらない、ミスマッチが多く退職率が高いといった問題の解消を目指せます。

情報収集を行っている求職者に対し、自社を認知してもらい、応募を決めるきっかけを提供するメディアであり、ZMOT段階で意思決定に関与できる施策です。

Zenkenの採用オウンドメディア
導入事例はこちら

SEO

顧客や見込み客が企業の情報を収集するにあたり、最も多く利用される検索手段は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンです。

自社の情報が検索エンジンの上位に表示されないことには、顧客に見てもらう機会すら得られません。購買行動前のリサーチ段階で「候補に選んでもらう」ためには、まず顧客の目に触れることが最優先です。

SEO施策が重要であることはわかっているとは思いますが、ZMOT理論では「リサーチ段階で自社情報を見てもらう」ことが前提ですから、狙ったキーワードで上位表示されていなければチャンスを逃してしまうのです。

ZMOTのマーケティング理論まとめ

スマホで情報リサーチするイメージ画像
ZMOTは、ネット社会の現代においてとくに重要なマーケティング理論であることが、おわかりいただけましたでしょうか。顧客の検索行動の段階で、自社を見つけてもらい、認知され、そして自社商材への関心を高めることができるかどうかが重要なのです。

これまでインターネット上での「営業機会」を意識してこなかったという中小企業は、この機会にマーケティングをゼロから見直す必要があるかもしれません。

ZMOTに必要な施策を講じていない、ほとんどホームページの情報発信しか行っていないという方は、顧客の購買意思決定の要素となるマーケティング施策を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、BtoBマーケティング戦略に関してキャククルでは無償で資料をご提供しています。BtoBの集客施策や成約率を上げる施策を探しているかたは、下記よりダウンロードしてご活用ください。

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