製造業・メーカーのマーケティング事例と集客成功の秘訣を紹介
最終更新日:2022年05月20日

製造業の集客は、これまで展示会など、人と人が直接会う「対面型」が主流でした。しかし、コロナ感染の影響によって、Webを活用したマーケティング活動がBtoC、BtoBを問わず急速に進んでおり、製造業界でも待ったなしです。とはいえ、Webマーケティングの実行がなかなか進まない課題も抱えています。この記事では、
- 製造業が抱えている課題
- 課題を解決するための戦略作り
- 課題を解決の具体的手法
- 製造業におけるWebマーケティング導入事例
などを紹介します。今後のWebマーケティング戦略策定や、成約アップに繋げる方法を紹介したお役立ち資料もご用意しましたので、ご興味のある方はぜひご活用下さい。
製造業のWebマーケティングが直面する課題
新規見込み客の減少
これまで製造業では、新規見込み客を開拓する場合、イベント会場で開催される「対面型の展示会」などに出展し、来場者に自社製品を案内するやり方が主流でした。
関心を持った方には、名刺や製品カタログを渡して、その後の商談を進めていましたが、コロナの影響で展示会の中止や延期を余儀なくされ、新規営業の機会が損失。見込み客の獲得数も減少しています。
リードは獲れても検討の度合いが低い
この状況を打開すべく、Web上で製品PRや商談を行う「オンライン展示会」も登場するようになりました。物理的な場所に縛られず、ブース設営費、交通費、宿泊費もなく、比較的低予算での出展できるため多数の企業が出展。多くのリードを獲得しています。
しかし、展示会によっては、参加者全員に出展企業の資料が提供されるケースもあり、リードは獲れても自社製品について認知していない方も多く、追客しても成約はおろか、商談にすら繋がらずに徒労に終わるケースも少なくありません。
製品に関する検索回数が少ない
対面型の展示会が減少する中、以前の開催状況に戻るまで、待ってばかりはいられません。オンライン展示会への出展も一つですが、その他にも多くの企業がWebを活用したマーケティング活動に注力しています。
自社サイトの制作やリニューアル、製品の性能を動画で紹介するコンテンツ制作など、あらゆる手法を使ってWebマーケティング活動を展開しています。
しかし、製造業の場合、扱う製品そのものがニッチなため、検索される回数が少ない現状にあります。せっかく見やすい自社サイトを制作してもユーザーに閲覧されていないケースも少なくありません。
社内のサイト運用体制が乏しい
Webマーケティングの重要性を理解しつつも、Webサイトを運用する人材やノウハウ不足など、社内体制が整っていない現状があります。
製造業では、自社サイトの運用は、専任スタッフが行うというより、通常業務と兼任する“二足のわらじ”で運用されるケースが多い傾向にあります。
Webサイトは完成がゴールではなく、多くのユーザーを集めるための「運用」こそが大切です。有益なコンテンツを継続的に配信する「更新性」が非常に重要で、
「このサイトは、ユーザーに有益な情報を提供し続ける価値がある」
とGoogleなどの検索エンジンから高い評価が受けられます。上位表示も可能となり、サイトに訪問するユーザーも増加します。有益なコンテンツを作るには、
- 伝えたいテーマの決定
- 読者ターゲットの絞り込み
- SEOキーワードの選定
- コンテンツの構成設計
- ライティング
- 公正・修正・公開
といった計画的なプロセスが必要です。内製あるいは外製するにせよ、このような制作スキルやチェック体制が求められます、しかし現実は、通常業務との兼務のため手が回らず、サイトも公開したままで更新性も低い状況です。
製造業のWebマーケティングの課題を解決するには
Webマーケティング戦略を策定する
これらの課題を解決するには、まず、Webマーケティング戦略を策定することが重要です。
「誰に対して何の製品をどのように販売するのか」
その計画と行動を決めることですが、その際に必ず押さえておくべきポイントが3つあります。それが、
- セグメンテーション(Segmentation)…市場の細分化
- ターゲティング(Targeting)…狙うべき市場
- ポジショニング(Positioning)…市場における自社の立ち位置
の3つです。そして、この3つを明確するため有効的な手段が「STP分析」というフレームワークです。

STP分析では、セグメンテーションで市場の全体像を把握し、ターゲティングで狙うべき市場を決定。最後にポジショニングで、競合他社と自社と位置関係を明確化し、自社の「強み」を打ち出します。自社の「強み」を明確にすることで、「強み」を必要とする市場と顧客にアプローチする戦略です。
Webマーケティング戦略の立て方がよく分からない…という方へ
Webマーケティング戦略の立て方やSTP分析について調べているけれどよく分からないとお悩みではありませんか?そのような方々に、BtoBビジネス向けの
リードを獲得し受注まで育成するための「BtoBマーケティングガイド」
を差し上げております。マーケティング戦略を立てる上で必要な、
- BtoBマーケティングの基本
- BtoBマーケティングファネル
- ファネルの各段階に合ったWeb施策
などついて詳しく解説しています。ぜひ、貴社のWebマーケティング戦略策定にもご活用下さい。
製造業のWebマーケティングの課題解決の具体的な手法
自社サイトの改修
自社サイトで取り扱っているコンテンツを分かりやすく発信することで集客の改善を図ることもできます。ここでの課題は、ブログやホームページで商品の紹介後、問い合わせはもらうものの、実際の購入に繋がらなかったこと。
その原因をコンテンツにあるとし、内容を自社の技術力の高さを伝わるようにするため、動画や写真を使って一般の人にもわかりやすくなるように工夫するという対策を行っています。
その結果、新規顧客から上場企業まで広く注文が増えました。この事例のポイントは製造業者としては当たり前と感じていた技術が、コンテンツとして採用できるほど、優れているのがわかったことです。
SEO対策
SEO対策とは、「Search Engine Optimization(サーチ・エンジン・オプティマイゼ―ション)」の略で、GoogleやYahoo!等の検索エンジンで、自社サイトを上位表示させる対策のことを指します。主に、次の3つの対策を講じます。
- 内部施策…サイト内の仕組みの改善(HTML構造など)
- 外部施策…質の高いWebサイトからの被リンク獲得など
- コンテンツ施策…サイトに掲載する良質なコンテンツの作成など
メールマーケティング
獲得したリードに対してアプローチする手法の一つがメールマーケティング。中でもよく活用されるのが「メルマガ配信」です。見込み客一人ひとりと最初から接点を持つのは時間的にも難しいですが、メールの一斉配信機能を使えば、1通のメールで全ての見込み客と接点が持てます。
しかし、その殆どがまだ貴社にそれほど関心を持っていません。そこで、定期的に配信するメルマガに登録してもらい、見込み客に役立つ情報を配信し続け、見込み客から顕在顧客へ育成していきます。
では、メルマガでどのような情報を配信すれば良いのでしょうか。主に次のような内容が考えられます。
- コラム
- 製品の機能紹介
- 製品の使い方の案内
- 製品の導入事例の紹介
- ウェビナー(オンラインセミナー)の案内 など
Web広告出稿
自社製品やサービス情報を届けたいターゲットへ比較的少ない費用から配信できるのがWeb広告です。Web広告と一口にいっても様々な種類が存在していますが、代表的なものには、以下のような広告があります。
- リスティング広告…検索結果の上部に表示される広告
- ディスプレイ広告…Webサイトの「広告枠」に表示される画像や動画、テキスト広告
- ビジネスマッチングサイト広告…製品を提供する企業と必要とする企業をWebサイト上で仲介するサイトへの広告出稿
オウンドメディア
自社サイトのSEO対策以外でも、近年、注目を集めているのがオウンドメディアです。「自社が保有するメディア」を指し、自社の公式サイトも含まれます。しかし、公式サイト以外でも、ユーザーが求めるコンテンツを提供する独自サイトを開設する企業が増えています。
その背景には、従来の製品PRを目的とした広告効果の低下があり、
「ユーザーは自分に必要な製品やサービス情報を自ら収集し選択する」
傾向が強まっているためです。そこで企業側もユーザーが求める製品に特化した「専門メディア」を開設し、業界や市場における自社の魅力を伝え、その魅力を必要とする導入意欲が高いユーザーだけを集客。その8割が商談となりコロナ禍でも成約率アップに成功しています。
製造業でも導入が進んでいるのですが、次項では、この製品に特化した専門メディア施策について詳しく紹介します。
商談率が8割アップした「製品特化型の専門メディア」施策
今やどの業界においても、ユーザーは商品・サービスを購入する前に、必ずといってよいほどWebサイトを閲覧して情報を集め、競合他社と比較した上で購入します。
しかし、似た商品・サービスが多いため、「結局、どれが当社にとって相応しい商品・サービスなのか分からない…」と判断に困っている購入担当者も少なくありません。
そこで、市場における企業の「強み」を引き出し、競合他社との「違い」を明確化することで、企業の「強み」を必要とする見込み客だけを集めるWebメディアがあります。それが「ポジショニングメディア」です。
ポジショニングメディアとは
ユーザーが求める製品特化型Webメディア
ポジショニングメディアとは、「貴社の製品を購入したい」という意欲が高いユーザーだけを集客する、ユーザーが求める製品に特化したWebメディアです。
現状、製造業のWeb集客方法の一つとしてポータルサイトを活用するケースがあります。アクセス数が多いため、自社の存在をPRするには効果的な方法です。
しかし、だからといって、今すぐメーカーへ購入の問い合わせをするわけではなく、あくまでも、購入前の「情報集め」の手段として利用するユーザーが多くいるのも事実です。
ユーザーは「どの製品を導入すべきか」が分かる
ポジショニングメディアは、例えば、「3Dプリンター」「レーザー加工機」「ロボットアーム」など、ユーザー(企業)が求めている「製品」をテーマにしたWebメディアを独自に開設し、その製品に興味があるユーザーだけを集客します。
たとえ、製品知識があまりないユーザーでも、適切な製品、製造するメーカーを簡単に探し、どの製品を導入すべきか判断することができます。
また、掲載する企業にとっても、自社製品の「特徴」や「強み」をしっかりと理解してもらいながら、認知度向上や資料請求をはじめ、成約率の高いリード獲得が可能です。
ポジショニングメディア導入前と後の違い
ポジショニングメディアからの問い合わせは、よくある競合他社と比較される「とりあえず資料請求」のような温度感ではなく、「貴社の製品導入を検討しているので詳しく教えて欲しい」という導入への温度感が高いリード獲得が可能です。
導入意欲が高いリードが獲得できることで、競合他社との価格競争に巻き込まれることなく、成約率や受注単価の高い成約が実現できます。
ポジショニングメディア導入事例
現場も発注者もよろこぶ設計に。有孔鋼板を知ろう
「現場も発注者もよろこぶ設計に。有孔鋼板を知ろう」は、工場や倉庫の床、天井の目隠し材に使われる「有孔鋼板」をBtoB用に紹介。「有孔鋼板」のキーワードでSEO対策を行い、現在1位を獲得しているメディアです。(2022年1月現在)全14種類ある有孔鋼板を「歩きやすく安全性の高い床」「通気性・採光性のある床」「デザイン性のある外壁」など、発注者の用途に合わせて紹介。有孔鋼板を探しているユーザーがどの製品を購入すべきか、一目瞭然で分かりやすいサイト内容とコンテンツで構成されています。
戦略的「データインテグリティ対応」の処⽅箋
画像引用元:戦略的「データインテグリティ対応」の処⽅箋(https://www.di-pharmaceutical.com/)
データインテグリティとは、情報処理などの分野で使われる用語で、「データ完全性」とも呼ばれています。つまり、完全で一貫性のあるデータの「正確さ」を表すものですが、医薬品製造の分野でも、確かな品質で生産力のある製造システム強化を図る目的で、データインテグリティの確保が求められています。『戦略的「データインテグリティ対応」の処方箋』は、この医薬品製造におけるデータインテグリティの重要性を啓蒙しつつ、データインテグリティに対応できるソリューションを提供する企業も紹介する「データインテグリティ」専門メディアです。
SCADA MAGAZINE(スキャダマガジン)
画像引用元:SCADA MAGAZINE(スキャダマガジン)(https://www.scada-magazine.com/)
監視制御(SCADA)システムに特化したポジショニングメディアで、市場に出ているソフトのそれぞれの機能やコスパを始めに、SCADAシステムの今後の動向やその他の情報を網羅しています。新システムを導入する際に重要視されがちな料金以外にも商品選定の役に立つ情報が豊富で、SCADAシステムを検討する企業ならワンストップで導入判断が下せる構造になっています。
このように製造業でも導入済で、ポジショニングメディアを導入したことで、「自社製品の良さを理解した上で問い合わせるユーザーが増えた。ほぼ商談化に移行し受注にも繋がった」というお声を頂いております。
ポジショニングメディアについて、より詳しく知りたい方は、詳細をまとめた資料がこちらからダウンロードできます。
製造業のWebマーケティング導入事例
最後に、製造業において実際に取り組んだWebマーケティング事例を紹介します。
金属メーカーの場合
自社サイトを上位検索されるよう改修
ある金属メーカーが、医療機器メーカーをターゲットにしたWebマーケティング事例です。この金属メーカーが行った基本戦略は、医療業界の機材によく使われる素材名や部材名、技術者が抱えている技術的な課題にフォーカスしてホームページを構成するというものでした。
サイト内にはキーワードとして狙った素材名や部材名を意識して文章の中に盛り込みます。その業界で使われる素材、部材名でのキーワード検索にて、上位検索できるようにしてアクセスを獲得。コンテンツの中には、ユーザーに役に立つ技術ノウハウを紹介するなど、サイトを訪問した担当者にとって有益な情報も扱うように意識しました。
自社の専門性の高さをサイトで表現
また、業界への専門性が高いことや技術力が高いことをトップページでしっかりとアピールし、自社をブランディングすることで、専門性の高さによって信頼を高めることに狙いを定めました。問い合わせ後の対応についても、業界の特性に合わせた対応をすることに注力。
その結果、値引きよりも品質への安心感を与えることで、ユーザーから信頼を得て自社を選んでもらうことに成功しています。
皮革クリーニングの場合
狙うべきターゲットを明確化
皮革クリーニング業界のマーケティング事例です。この企業が抱えていた課題は、クリーニング市場が年々減少し、価格競争に巻き込まれる厳しい市場になっていったことでした。市場の分析を行った結果、多くのユーザーが低価格な業者を探している傾向にあることがわかりました。
しかし、この結果だけでは、的確な対策を練ることは難しく、この状況下においても高い利益率が確保できる方法がないかを探りました。慎重に分析を行った結果、ブランド皮革製品の分野においては、価格よりも品質やサービスの高さを求めている傾向があるということがわかりました。これによって、自社の強みとも整合性が高いこともあり狙うべきターゲットが決まります。
ターゲットが決まったら、とるべき行動は、ブランド名キーワードでアクセス対策<を行うことです。調査の結果、抽象度の高いものよりも、財布・バッグなどのキーワードによる検索需要が高く具体性が求められます。
狙ったターゲットからの集客に成功
その対策として、人気の高いブランド順にブランドページを作成し、ブランド名を意識したクリーニング事例を増産し、多数のキーワードによるアクセスを獲得していきました。しかし検索にてユーザー流入があるも、実際の問い合わせへと中々繋がらないという問題が発生します。
そこから具体的な仮説を立て、信用力を高め、競合よりも任せられる業者だということをアピール。「完全自社施工であること」を前面に出し、金額ではなく品質を大事にしていることを伝え、信頼を得ることを狙いました。
その結果、ブランド品のクリーニング依頼が増えます。さらに実績をあげるために、ラグジュアリーブランドに特化することで高級ブランド品を任せられる業者であることを訴求します。
サイトは高所得者層のユーザーが訪問しても、競合に引けをとらないような高級感のあるデザインに変えていっているのも特徴的です。
製造業のWebマーケティング戦略策定でお困りの方へ
製造業で集客を成功させ、ユーザーに選んでもらうためには、他社と何が違うのかを明らかにし、自社の「強み」を打ち出したWeb集客戦略が必要です。これまでに、ネット広告をいろいろ試したものの、
- 何の反響もなく次の打開策が見えない
- 問い合わせがあっても他社と比べられるばかり
- 自社の強みって何?競合との違いが分からない
なら、全研本社にお任せください。業界における貴社の「強み」を打ち出し、「強み」を必要とするユーザーを繋げる「ポジショニングメディア」をはじめとしたWeb集客戦略づくりを得意としています。
今後どのような戦略で事業を進めたら良いのかお困りの方は、貴社が抱える課題をお伺いし、伴走しながらご提案させて頂きますのでお気軽にご相談下さい。