調剤薬局の集客はエリアマーケティングと差別化観点での宣伝・広告がポイント
最終更新日:2022年11月08日

調剤薬局の経営を左右するのは何といっても「調剤数」、つまり取り扱い処方箋の枚数を増やすことに尽きます。より多くの患者さんを集めるために必要なことは、他の調剤薬局やドラッグストアとの差別化です。
エリアにおける競合となる他の調剤薬局やドラッグストアを知り、その上で自分の調剤薬局だけの強みをつくり、それを外部に伝えていくこと。その視点が調剤薬局の集客戦略には欠かせません。
調剤薬局の強みをつくるマーケティング
国による医薬分業の方針が打ち出されたのは、もう30年近く前になります。現在では病院やクリニックにいわゆる「門前薬局」がセットになっているのが当たり前になりました。
患者さんは病院の近くの薬局を選ぶ傾向が強いので、黙って待っていれば患者さんが処方箋を持ってきてくれた時代もありました。しかし、今は違います。ひとつの病院に門前薬局が何軒もある場合もありますし、地方では人口減少の影響を受けて患者さんの数が極端に減り、それが調剤薬局の経営を直撃しているケースもあります。
これからは、マーケティングの視点を持たない調剤薬局は経営が非常に厳しくなると考えられます。とりわけ、薬局の周辺地域に特化したエリアマーケティングが重要だといえるでしょう。
エリアマーケティングとは
調剤薬局の管理薬剤師さんにとっては、マーケティングという言葉はなじみが薄いかもしれません。ここで取り上げるエリアマーケティングとは、自分の調剤薬局に来てくれる患者さんがいる地域、つまり「商圏」において、競合先となる薬局やドラッグストア、住民層などを調査・分析することです。
マーケティングにはさまざまなツールやソフトが販売されており、マーケティングを請け負ってくれる企業も数多くありますが、まずは自身の足で地域の競合先を見てみることをお勧めします。競合先はどのようなコンセプトで経営しているのか、どんなイベントを行っているのかを知るだけでも、きっと見えてくるものがあるはずです。
ウォルマートの創始者であるサム・ウォルトン氏は、自分の店にいるよりもライバル店にいる時間のほうが長かったといわれるほど研究熱心だったそうです。このようなエピソードを聞くだけでも、競合先を知ることがマーケティングの第一歩だと考えられますね。
自分の調剤薬局だけの強みをつくり差別化
競合先の状況を把握できたら、次は自分の調剤薬局の強み、つまり差別化できるポイントを考えなければなりません。
皆さんにもご納得いただけると思いますが、調剤薬局はどこも同じような店構えとレイアウトだと思いませんか?
近接医療機関が小児科ならばキッズルームがあったりしますが、そういった部分のほかには大きな違いを見つけることは難しいでしょう。つまり、ハード面でいえば患者さんにとってはどこの調剤薬局も同じで、選択の条件にはならないということです。
となると、注目すべきはソフト面です。
ご存知のとおり、厚生労働省は「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」機能の充実を保険調剤薬局に期待しています。
「かかりつけ薬剤師」とは、医薬品はもちろん、健康や介護に関する知識と経験を持ち、ニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のことです。地域住民がひとつの「かかりつけ薬局」と選択し、医薬品のみならずセルフメディケーションの管理も期待されています。
この流れに沿った強みを確立し、胸を張って堂々と集患したいですね。
地域密着ビジネスならではの強みを出す
調剤薬局にはエリアマーケティングの観点が重要だということは前述のとおりです。その中では患者さんだけにフォーカスをあてるのではなく、将来の集患につなげるため、病院やクリニックと同じように地域連携の視点を持つことも非常に大切です。
調剤薬局は地域密着ビジネスだということを忘れないようにしましょう。
町内会に溶け込む
オフィス街など特殊な立地条件でなければ、調剤薬局はどこかの町内会のエリアに属していることになるでしょう。調剤薬局の薬剤師さんが町内会長をはじめとする地域住民と近しくなっておくことは、見込み患者さんの獲得に大いに役立ちます。
例えば町内会のイベントで健康教室を開催し、薬の相談会などを開いてみてはいかがでしょうか。顔と名前を売っておけば、その参加者が病院を受診したときにあなたの調剤薬局を選んでくれる確率はぐんと上がるはずです。
介護保険事業所と連携する
高齢化が進むにつれて介護保険事業所の利用者さんも右肩上がりに増えています。利用者さんは病院にかかって薬を服用している方がほとんどですから、これを見逃すわけにはいきません。
ここはひとつ、地域の状況に精通した地域包括支援センターを定期的に訪問してはどうでしょうか。
保健師さんやケアマネジャーの皆さんに顔や名前を覚えていただき、少しずつ利用者さんの相談などをもらえるようになれば、訪問薬剤指導などの仕事にもつながります。もちろん調剤薬局の集患にも影響するでしょう。
患者さんの不満にはしっかり対応
あらゆる業界にいえることですが、顧客のクレームに真摯に対応できるかどうかは集客の大きなカギになります。
調剤薬局に多い患者さんの不満は何といっても待ち時間の問題。現在ではファックスやスマホの写真で処方箋の情報をあらかじめ調剤薬局に送ったり、頻繁に処方される散剤や軟膏の合剤などは予製薬を準備したりするなど、待ち時間の短縮に工夫を凝らしている薬局も多くあります。
また、待ち時間の不満には「どのくらい待つのかわからない」という側面もあります。電光掲示板や番号札を用意するのもいいですが、おおよその待ち時間の目安をお伝えしたいところです。
その長さによっては患者さんがその間に別の用事を済ませに行ったり、日を改めて薬を取りに来たりするなど選択肢が広がります。
言うまでもありませんが、待ち時間を伝える際に重要なのは「伝え方」です。長く待っていただくのですから、お詫びの気持ちを込めて丁寧にお伝えしましょう。
経営方針にふさわしい人材獲得の仕組みを作る
クレーム対応や気配りの利いた対応。これらを始めとしたコミュニケーションスキルはその薬剤師の潜在的なものも多くあります。
また、経営方針に則した薬剤師を獲得を出来ていなければ、その薬剤師を活かしきれず、そしてその薬剤師は自分を活かしきれず、最悪の場合は退職率悪化を招くこともあります。
将来の事業拡大を円滑に繋げるためにも、自社の魅力が最も伝わる採用メディアを選定・構築をして、数よりも質を重視した採用活動を行うことも念頭に入れておきましょう。
ファンをつくり地域の「かかりつけ薬局」になる
自分の調剤薬局だけの強みは見えてきましたか?
競合先にはないその強みを前面に打ち出し、患者さんがファンになって繰り返し来てくれる、いわゆるリピーターをつくっていくことが調剤薬局の生き残りのための経営基盤になります。
さて、患者さんがファンになってくれるために必要なことは何でしょうか。すぐに思いつくこととして、
- 待ち時間を取らせないスピーディな調剤
- 待合ロビーの居心地の改善
- 保険調剤以外にもさまざまな商品を取り扱う
こういったあたりが挙げられるかもしれません。
確かに大切なことではありますが、こういった部分は言ってしまえば付随サービスの範疇。調剤薬局も小売業ですから「やって当たり前」なのです。これだけでは競合先との差別化を図ることはできません。
大切なのはコミュニケーション
やはり大切なのは患者さんとのやり取り、つまりコミュニケーションです。
病院の口コミサイトなどをご覧いただければわかるように、患者さんは治療の内容と同じくらい医師の雰囲気や優しさ、話しやすさに注目しています。これは調剤薬局でも同じことです。
薬剤師は薬の専門家として「治療の理解」「薬の内容や副作用の可能性」などを患者さんに説明することになりますが、その際は理路整然とお話しをすることに加えて、何より患者さんに安心してもらえるような雰囲気づくりを心がけましょう。
そうして患者さんが次回も来てくれたら、前回の話を振り返ることで「忘れていません」感を出し、患者さんとの距離を縮めていきます。
調剤薬局は、このように患者さんとのやり取りを通じて継続的な管理ができるので、物販だけのドラッグストアよりも「ファンをつくる」という意味では本来有利なはずなのです。
「かかりつけ薬局」を持つメリットを伝える
いくら「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」を厚生労働省が推進しているといっても、その言葉自体が患者さんに浸透しているとはまだ言えないのが現状ではないでしょうか。
逆に考えると、そういった状況はチャンスかもしれません。「かかりつけ薬局」を持つことのメリットを調剤薬局の強みと併せて患者さんに積極的にアピールできれば、ファンを増やすことができます。
また、患者さんが複数の病院に受診することは珍しくありませんが、それぞれ違う薬局で処方を受けているケースは依然として多いようです。かかりつけ薬局として患者さんに選んでもらえれば、患者さんにとっても薬を受け取るのが一度に済むので便利ですし、薬局にとっても売上アップにつながります。
かかりつけ薬局でできること
患者さんに伝えたい「かかりつけ薬局のメリット」には、以下のようなものが考えられます。
- 薬の効果を継続して確認し、副作用がないかチェックできる
- 複数の病院から同じような薬が出ていないかチェックできる
- 薬の形状や飲みやすさ、生活に合わせた服用のタイミングなどを調整できる
これらに加えて、薬をもらうときに限らずいつでも薬剤師に相談できたり、市販薬を選ぶ際のアドバイスを受けたりできるのも患者さんにとっては嬉しいメリットです。
特にサプリメントが流行りの昨今、そうした相談にも乗ってくれる調剤薬局というのはひとつの強みになるでしょう。
薬局DXを積極的に進めていく
薬局市場で他社と差別化を図るポイントは、オペレーションの改善になります。
オペレーションの改善は業務効率化を目的に置かれがちですがオペレーションが改善され顧客満足度が上がることで、来店率を高めることにもつながります。
薬局のDX推進についてはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:薬局DXとはなにか?導入メリットとDX事例を紹介
では特に集客分野で使える薬局DX手法を1つ紹介します。
リファラルマーケティング 「知人の紹介」という強力な集客施策
あるサービスや商品について、ネットで何度もバナーや紹介記事を目にしていても(テレビで宣伝していても)まったく興味を持たなかったのに、知人・友人や家族から紹介されたら、急に試してみたくなった、欲しくなったという経験は誰にでもあると思います。
この強力な訴求力と信頼力をもつ「紹介」を促進するレコメンド手法がリファラルマーケティングです。
リファラルマーケティングでは、まだ数は少ないのですがSNSなどを利用した紹介促進ツールもでてきています。まだ数が少ない理由としては、LINEのような電話やメールを超えるコミュニケーション基盤が整備されてきたおかげで、やっと実現できるようになったという背景があります。
紹介促進システム・リファラルマーケティングツールについての詳細はコチラ↓↓
「リファラルマーケティング」自体の解説や展開のコツについてはコチラ↓↓
上手くリファラルマーケティングで成果を上げていくための方法を解説。
バリュープロポジションを確立して売上アップ
調剤薬局の業界では「バリュープロポジション」という言葉はあまり聞かないかもしれません。
バリュープロポジションとは、ひと言でいえば「提供価値」。この場合は「自分の調剤薬局だからこそ患者さんに提供できる価値」と言えるでしょう。
患者さんからみれば、「あなたの調剤薬局を選ぶ理由」となります。前述のようなエリアマーケティングを経て、自分の調剤薬局だけの価値というぶれない軸を一本立ち上げることで、集患のための広告戦略やPRの方法なども考えやすくなります。
何より大切なのは、そのバリュープロポジションが患者さんに伝わるかどうかです。それを文章にする際には、
- 読んですぐ理解でき、患者さんが得られるメリットが明確である
- あいまいな表現や専門用語を避ける
- 自分の調剤薬局だけが実現できる強みを書く
こういったポイントを欠かさないことが重要です。
バリュープロポジションの確立で自分の調剤薬局の強みを魅力に感じてくれるファンを増やし、それに基づいた広告戦略やPRで売上アップを実現しましょう。
広告規制に対応した集客戦略はプロに相談
広告戦略の確立にあたり、注意しなければならないのは広告規制の存在です。病院やクリニックといった医療機関に「医療広告ガイドライン」があるように、調剤薬局にも薬事法に基づく広告規制があります。
よく知られているのは「虚偽・誇大広告等の禁止」ですね。
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- 虚偽、誇大広告等の禁止(薬事法第66条)
医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関する虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止。
サプリメントなどのテレビCMで「個人の感想です」などとテロップが出ているのは、この広告規制の対策です。
このほかにも多数の規制項目が定められており、厚生労働省は広告監視として違反がないか、新聞や雑誌、パンフレット、インターネット等の広告をチェックしています。これにはホームページの内容も含まれます。
上記のような広告規制をクリアしながら集患戦略を立案するのは、専門的な知識が必要なことに加えて非常に手間もかかるため、日々の薬局業務の合間に行なうのはなかなか難しいでしょう。そこで、集客ノウハウを持ったプロに相談するのも一手です。
積み上げた実績とノウハウで最適な集客戦略を提案
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エリアマーケティングを経た上でバリュープロポジションによる差別化戦略を行ないたい場合は、全研本社に是非とも一度ご相談ください。
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