建設業のポジショニングマップ作り方と軸の決め方・工務店事例を解説
最終更新日:2026年05月03日
ここでは、建設業のポジショニングマップ事例を紹介しています。貴社のマーケティング戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
なお、自社が市場において取るべきをポジションを見つけるには、自社の強みと顧客のニーズに加え、競合との違いの洗い出しが必須です。この記事では自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。ポジショニングマップに加えてぜひ活用してみてください。
建設業でポジショニングマップを作る目的は、価格や知名度に頼らず施主が選ぶ理由を設計することです。KBF(購買決定要因)を整理して軸を決め、競合との立ち位置の差を可視化することで、Webサイトの訴求や営業トークに転換できます。本記事では、工務店・住宅会社向けに、軸の決め方から作成手順、事例、集客への活かし方まで実務手順を解説します。
建設業でポジショニングマップを作る目的
建設業のポジショニングマップは、施主が選ぶ理由を価格以外で設計し、差別化の立ち位置を明確にするためのツールです。
価格競争から抜け出すための立ち位置整理
施主が複数社を比較するとき、訴求の差が見えなければ最安値の会社が選ばれてしまいます。縦軸と横軸に施主が重視する要素を設定し、競合と自社をマップ上に配置することで、自社が競合と異なる領域に立てているかどうかを視覚的に確認できます。
Web集客と営業メッセージに使える差別化材料
ポジショニングマップで見つけた立ち位置は、Webサイトや営業資料の差別化訴求に直接転換できます。「価格帯は中価格帯だが設計の自由度が非常に高い」という立ち位置が明確になれば、トップページのキャッチコピー、施工事例ページの切り口、比較ページの訴求軸をそこに揃えることができます。
建設業のポジショニングマップで使う購買決定要因
軸を決める前に、施主がどのような基準で会社を比較・選択するかというKBF(購買決定要因)を整理することが先決です。
住宅・建設業では、施主の比較基準が価格帯・性能・デザイン・保証・対応品質など複数の要素に分散しており、価格帯だけでは差別化の余地が見えにくい市場です。ハウスメーカー・工務店のポジショニングマップ事例と軸の決め方も参考にしてください。
総額の納得感と価格帯
施主が価格を比較するとき、総額だけでなく「追加費用が発生しにくいか」「コストパフォーマンスの妥当性」を含めて判断します。総額の透明性と費用の納得感を軸として整理することが、単純な低価格訴求との差別化につながります。
デザイン性と設計自由度
施主が住まいの理想を実現できるかどうかを判断する軸として、デザイン性と設計自由度は重要なKBFです。自由設計を強みとする工務店は施主の要望への反映度を訴求でき、規格住宅はデザインの統一感や分かりやすいラインナップを強みにできます。
住宅性能と施工品質
断熱性能・耐震性・施工管理体制など専門性を見える化しやすい軸です。断熱等級・ZEH対応・長期優良住宅といった認定・基準を訴求できる会社は、品質軸でのポジショニングを取りやすくなります。
保証・アフターサービス・担当者対応
引き渡し後の安心感は、地域密着型の工務店が強みを発揮しやすいKBFです。大手ハウスメーカーに比べ、地元の工務店は担当者との距離が近く、アフターサービスの対応速度や柔軟性で差別化できます。STP分析でターゲットを絞り込み、自社が最も強みを発揮できる軸を2つ選定することが次のステップです。
建設業のポジショニングマップの作り方
建設業のポジショニングマップは、「KBFとターゲットの整理→競合のリストアップ→2軸の選定とマッピング→空白ポジションの発見・訴求化」という4ステップで作成します。
KBFとターゲットの整理
「誰に選ばれたいか」を先に決めることで、そのターゲットが重視するKBFが絞り込めます。「予算重視層」「デザイン重視層」「性能重視層」などターゲット別にKBFが異なるため、施主像(年齢・世帯構成・予算・建築タイプ)を先に定めることが軸選定の精度を高める前提です。
競合企業のリストアップ
地域内で検索上位に表示されるハウスメーカー・地域工務店・リフォーム会社を市場調査で洗い出し、各社の価格帯・強み・訴求軸を調べます。「建設業全体の競合」ではなく「同じターゲットから比較される競合」に絞り込み、5〜8社を対象にするとマップの精度が上がります。
2軸の選定とマッピング
KBFのリストから、相関が低く購買決定に影響する2軸を選定します。「デザイン性×価格帯」「自由設計×総額透明性」など視点が異なる2軸を選ぶことで差別化の余地を発見しやすくなります。軸が決まったら、自社と競合を各軸のどの位置に当てはまるかプロットします。
空白ポジションの発見と訴求化
マップ上で競合が少なく自社の強みが生きる領域が空白ポジションです。そのポジションに立てると判断できれば、Webサイトのキャッチコピー・施工事例の切り口・営業トークをその軸を中心にした訴求に統一します。BtoB・法人のポジショニングマップの作り方と同様に、訴求軸の組織内統一が差別化を機能させる条件です。
建設業のポジショニングマップで使いやすい軸の例
建設業のポジショニングマップでは、施主の購買決定要因に合わせた2軸の組み合わせが重要です。工務店・住宅会社で活用しやすい軸の例を4つ紹介します。
自由設計と規格住宅
「設計の自由度(低い〜高い)」を縦軸に、「価格帯(低い〜高い)」を横軸に設定する組み合わせです。自由設計を強みとする工務店は高価格・高自由度の領域に、規格住宅中心のビルダーは低〜中価格帯で設計自由度が限られる領域に集中します。
高性能住宅と総額透明性
「住宅性能の高さ(標準〜高性能)」と「費用の透明性・わかりやすさ(複雑〜明示的)」を組み合わせた軸です。性能を訴求しながら総額の明確さという安心感を合わせることで、高単価でも納得感を持って選ばれるポジションを設計できます。
自然素材と保証・アフターサービス
「素材のこだわり(標準〜自然素材)」と「保証・アフターサービスの充実度(最小限〜手厚い)」を組み合わせることで、品質重視層への訴求軸が整理できます。大手ハウスメーカーとの直接比較ではなく、専門性とアフターケアという独自の価値で選ばれる立ち位置を設計するときに有効な軸です。
地域密着と対応速度
「地域密着度(広域〜地域特化)」と「相談・対応の速さ(時間がかかる〜即対応)」を組み合わせた軸です。地元エリアに特化した工務店は「対応の速さ」「地元の気候・土地に精通した提案力」を強みにでき、価格帯ではなくサービスの質と地域対応力で選ばれるポジションを作れます。
建設業のポジショニングマップ事例と読み取り方
ポジショニングマップは、自社の立ち位置確認・空白市場の発見・本当の競合の特定という3つの読み取りに使うことが重要です。
(下記事例はポジショニングマップ作成の参考用です。取り上げている企業・サービスについて、事実や厳密な調査に即した内容ではなく、当社の主張や意図があるわけでもありません。)
不動産のポジショニングマップ事例と軸の決め方と比較することで、業種別の軸選定の違いも理解しやすくなります。
自社の立ち位置を確認するマップ
ポジショニング軸1を「価格」、軸2を「デザイン性」に設定したマップです。

(参考サイト:家づくり教室公式サイト https://makiharateruhisa.com/archives/687/)
このマップでは工務店各社の大まかな立ち位置を把握できます。価格が安くデザイン性が高い領域が空白になっており、潜在市場の存在を示しています。自社のプロットが競合と近い位置にある場合は、訴求軸を変えるかターゲット層を絞り込む判断の材料にできます。
クラスターと潜在市場を確認するマップ
ポジショニング軸1を「洗練性・個別性」、軸2を「芸術性・事業性」に設定したマップです。

(参考サイト:note「建築設計業界のポジショニング分析」 https://makiharateruhisa.com/archives/687/)
青い矢印は各クラスターの方向性を表しています。右下の「事業性が高く個別性がある領域」が空白市場であるブルーオーシャンです。競合が集中しているクラスターから外れた領域に自社の強みが当てはまる場合、そこが差別化ポジションの候補になります。
本当の競合を見極めるマップ
ポジショニング軸1を「こだわり」、軸2を「価格」に設定したマップです。

(参考サイト:ハイアス・ビュー・ネット公式サイト https://view.hyas.co.jp/view/hyasview54-4.html/2)
このマップでは自社の近くに一条工務店とパワービルダーが位置しており、この2社が最も意識すべき競合だと読み取れます。設計事務所やゼロキューブビーノは離れた領域に位置するため、ターゲットが重ならない競合として整理でき、「建設業全体」ではなく「同じターゲット施主から比較される競合」を特定する視点が分かります。
ポジショニングマップを建設業の集客戦略に活かす方法
ポジショニングマップで見つけた立ち位置を、Webサイト・営業資料・比較メディアの3チャネルに落とし込むことで集客戦略として機能します。
Webサイトの訴求軸への反映
トップページのキャッチコピーでは差別化軸をひと言で表現し、施工事例ページではターゲット施主のKBFに沿った切り口で事例を分類します。比較ページでは競合と自社の違いを示す比較表を設けることで、施主が比較検討しやすい情報を提供できます。
営業資料と商談トークへの反映
競合比較で聞かれやすい「ハウスメーカーとの違い」「他の工務店との違い」といった質問に対して、ポジショニング軸に沿った回答を用意することで価値で選ばれる商談ができます。差別化が明確であれば、営業担当者ごとの説明のばらつきも減り、組織全体の訴求品質が均一化されます。
比較メディアやLPでの差別化訴求
施主が比較検討する段階では、比較メディアやランディングページ(LP)での訴求が直接的な成約につながります。キャククル(shopowner-support.net)はZenken株式会社が運営する成約特化型の比較メディアで、建設業・工務店・住宅会社がポジショニングマップで整理した差別化軸を反映しやすいメディア構造を持っています。
ポジショニングマップの軸決めで避けたい失敗
よくある軸決めの失敗は、相関が高い軸の組み合わせ・自社都合だけの軸設定・競合の範囲が広すぎる比較の3つです。
相関が高い軸の組み合わせ
「価格と品質」のように一方が高いと他方も高くなる傾向がある軸を組み合わせると、企業が斜め一線に並ぶだけのマップになります。「価格帯×デザイン性」「自由設計×総額透明性」のように独立した評価方向を持つ2軸を選ぶことで、空白ポジションを発見しやすくなります。
自社都合だけで決めた軸
自社が自慢したい技術や特徴を軸に設定すると、施主のKBFと合わない訴求になりがちです。「耐震等級3取得」という自社視点の軸よりも「施主が安心感として判断する住宅性能」という顧客視点の軸の方が、差別化として機能します。
競合の範囲が広すぎる比較
全国大手ハウスメーカー、地域工務店、リフォーム会社を一律に同じマップに並べると、比較軸が分散してマップの精度が下がります。同じターゲット施主から検討される競合に絞り込むことで、より鮮明な差別化軸と空白ポジションを発見できます。
建設業のポジショニングマップ作成前チェックリスト
ポジショニングマップを作成する前に確認すべき項目をターゲット・競合・軸・訴求の4観点で整理しました。
ターゲットと競合の確認項目
- 選ばれたいターゲット施主像(年齢・世帯構成・予算・建築タイプ)を決めているか
- そのターゲットが重視するKBFを少なくとも5つ以上挙げられるか
- 同じターゲットから比較される競合を5〜8社リストアップできるか
- 競合各社の価格帯・強み・Webでの訴求軸を把握しているか
軸と訴求への転換項目
- 選んだ2軸はターゲット施主の購買決定要因に基づいているか(自社都合の軸になっていないか)
- 2軸の相関が低く、独立した評価軸になっているか
- 自社が空白ポジションまたは競合と十分な距離を取れる位置にあるか
- 見つけたポジションをWebサイト・営業資料・LPの訴求文に転換できるか
建設業のポジショニングマップに関するFAQ
Q. 建設業のポジショニングマップではどの軸が使いやすいですか?
A. ターゲット施主のKBFに合わせて選ぶことが重要です。建設業でよく使われる軸として、価格帯、設計の自由度、住宅性能(断熱・耐震)、保証・アフターサービスの充実度、地域密着度、提案力の高さなどがあります。相関が低い2軸を組み合わせると空白ポジションを発見しやすくなります。
Q. 工務店とハウスメーカーを同じマップに入れてもよいですか?
A. 同じターゲット施主から比較・検討される場合は同じマップに入れて差し支えありません。ただし、ターゲット層が明確に異なる場合や比較軸が多岐にわたる場合は、検討層ごとにマップを分けるとより精度の高い分析ができます。
Q. ポジショニングマップを作った後に何をすべきですか?
A. 空白ポジションを見つけたら、Webサイトのキャッチコピー・施工事例の切り口・営業資料・比較メディアへの出稿内容に、そのポジションの訴求軸を統一することが次のステップです。差別化軸を全社で共有し、集客施策と営業活動を一致させることが重要です。
建設業の差別化を集客につなげるまとめ
建設業のポジショニングマップは、競合を整理する図を作ることが目的ではありません。施主が選ぶ理由を価格以外で設計し、その立ち位置をWebサイト・営業・比較メディアに一貫して反映することで、集客力のある差別化戦略として機能します。
KBFの整理から軸の選定・マップ作成・訴求への転換という一連のプロセスを踏むことで、地域の工務店や住宅会社でも価格競争から抜け出せるポジションを設計できます。マップ作成後は「どのチャネルで・どのような言葉で・誰に向けて訴求するか」を具体的に決め、施策実行に移すことが差別化戦略を機能させる条件です。Zenken株式会社では、建設業の差別化戦略とWeb集客支援をお手伝いしています。ポジショニングマップの活用からお気軽にご相談ください。












