建設業DXとは?課題・メリット・事例・進め方をわかりやすく解説

建設業DXとは?課題・メリット・事例・進め方をわかりやすく解説

建設業のDXで活用できるサービスをまとめてチェック
コロナ禍から回復傾向にある中、建設業界においては、今後需要が増加すると予測される一方、労働生産性の低さ働き手の不足が問題視されています。

その解決策として、昨今注目を集めているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)。導入する企業が徐々に増加しているものの、全体的にはDX化が遅れている状況です。

この記事では、建設業界が直面している課題建設DX導入のメリット導入事例を解説しながら、実際に活用できるサービス事例を紹介します。さらに、

  • 工事台帳機能を活用し、赤字だった工事が把握でき、利益率が向上した
  • 顧客管理機能を使って、リピート顧客からの受注率UPに成功した

など、予算や顧客管理をはじめ、業務のほとんどを一括で管理でき、且つ、自社業務にも合わせて無料でカスタマイズもできる「建設業界専用」のDX化システムについても紹介します。

建設業DXは、紙の帳票を電子化したり、個別のアプリを導入したりするだけの取り組みではありません。現場、設計、積算、原価、請求、営業で分断されている情報をつなぎ、少ない人数でも安全性と施工品質を保ちながら事業を運営できる状態へ変えていく取り組みです。

建設業では、技能者の高齢化や人材不足に加え、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。DXを進める際は、流行している技術から選ぶのではなく、二重入力、写真整理、図面共有、工程調整、原価把握など、自社で時間や手間がかかっている業務から優先順位を決めることが重要です。

ここでは、建設業DXの基礎から国の施策、活用技術、導入手順、事例までを整理します。具体的な製品を探す段階では、課題別の比較記事もあわせて確認できます。

建設業DXとは

建設業のDXイメージ画像

建設業DXとは、デジタル技術とデータを活用し、建設事業の業務プロセス、働き方、意思決定、顧客への価値提供を変革することです。対象は施工現場だけではありません。調査・測量、設計、積算、施工、検査、引き渡し、維持管理に加え、営業、契約、原価管理、請求、労務管理まで含まれます。

たとえば、現場写真をクラウドへ保存するだけなら「デジタル化」です。撮影した写真を工種や場所にひも付け、台帳作成、進捗確認、発注者との共有まで一連の流れとして効率化できれば「業務のデジタル化」が進みます。さらに、写真、工程、原価、図面などのデータを横断して活用し、工期遅延や採算悪化を早期に把握できる経営へ変えることが、建設業DXの目指す姿です。

デジタル化とDXの違い

段階 建設業での例 目的
アナログ情報のデジタル化 紙の日報を入力フォームにする、図面をPDFで保存する 検索や保管をしやすくする
業務プロセスのデジタル化 写真整理から台帳作成までを連携する、工程変更を関係者へ即時共有する 手戻りや二重入力を減らす
DX 施工・原価・顧客情報を横断し、受注判断や人員配置、利益管理を変える 組織と事業の仕組みを変える

建設業でDXが必要とされる背景

デジタルトランスフォーメーションイメージ画像

担い手不足と技能者の高齢化

国土交通省の2025年版国土交通白書によると、2024年の建設業就業者は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%です。経験豊富な技能者の退職が進むなかで、施工品質を保ち、若手へ技能を継承するには、写真、動画、図面、作業手順、検査記録などを個人の記憶だけに依存させない仕組みが必要です。

DXは単純な人員削減のためではなく、限られた人員を判断や調整など付加価値の高い業務へ振り向ける手段です。現場で取得した情報を自動で記録し、遠隔から確認できるようにすることで、移動や転記にかかる時間も減らせます。

参照元:国土交通省「国土交通白書 2025 直面する課題」(https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/n1111000.html

時間外労働の上限規制と適正な工期管理

2024年4月から、建設業にも罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されました。時間外労働は原則として月45時間、年360時間が上限です。長時間労働を前提に工程を組むのではなく、適正な工期を設定したうえで、日報作成、写真整理、会議、移動、集計といった間接業務を減らす必要があります。

工程や人員、機械の稼働状況を可視化すると、遅延の兆候を早くつかみ、応援手配や作業順序の変更を判断しやすくなります。単に勤怠を記録するだけでなく、残業が生じる業務構造そのものを見直すことが重要です。

参照元:国土交通省「建設企業のみなさまへ 2024年4月1日から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました」(https://www.hrr.mlit.go.jp/kensei/sangyo/kensetsu/kensetukigyou202504.pdf

現場ごとに情報が分散しやすい業務構造

建設工事は現場ごとに場所、関係会社、工種、工程、使用資材が変わります。電話、メール、チャット、紙、表計算ソフトに情報が分かれると、どの図面が更新後の版か分からない、工程変更が協力会社へ伝わらない、写真の撮り直しが発生する、完工後まで正確な利益が見えないといった問題につながります。

元請、下請、協力会社、設計者、発注者が同じ情報を扱うためには、社内だけで完結する仕組みでは不十分です。現場で迷わず使える操作性、権限設定、スマートフォン対応、通信環境が不安定な場所での利用方法まで含めて設計する必要があります。

i-Construction 2.0で進む建設現場の省人化

国土交通省は2024年4月に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上させる目標を掲げています。柱は「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つです。

2026年4月に公表された2025年度の成果では、自動施工9件、遠隔施工41件、ICT施工Stage IIの取り組み111件が示されました。2026年度は、AI活用、企業規模や工事規模を問わない普及、試行から本格運用への移行が重点とされています。建設業DXは大手企業だけの実証段階から、より広い企業と現場で実装する段階へ移っています。

参照元:国土交通省「i-Construction 2.0の2年目(2025年度)の取組成果をまとめました」(https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001324.html

建設業DXの対象となる4つの領域

現場施工と施工管理

工程、写真、図面、検査、安全、作業員、機械の情報を現場で取得し、関係者へ共有する領域です。施工管理者が事務所へ戻って転記する作業を減らし、進捗や是正事項をその場で記録できる状態を目指します。

複数機能をまとめて管理したい場合は施工管理システムの比較記事、スマートフォンやタブレットでの現場利用を重視する場合は施工管理アプリの比較記事から候補を絞れます。

設計・積算とBIM/CIM

2次元図面だけでなく3次元モデルへ属性情報を持たせ、調査、設計、施工、維持管理でデータを引き継ぐ領域です。設計段階で干渉を確認したり、完成イメージを関係者間で共有したりすることで、施工段階の手戻りを減らします。

すべての工事をいきなり3次元化する必要はありません。干渉が起きやすい部分、施工手順の説明が難しい部分、維持管理へ情報を残したい設備など、活用効果が高い対象から始めます。

工程・原価・請求などの経営管理

工事台帳、実行予算、発注、原価、請求、入金、勤怠などを連携する領域です。現場ごとの採算を月末や完工後ではなく、進行中に把握できるようにします。現場の入力負担を増やさず、原価情報が経営判断へ反映される仕組みが必要です。

会計や販売管理まで含めて基幹業務をつなぎたい場合は、建設業向けERPの比較記事で対応範囲を確認できます。

営業・顧客・アフター管理

問い合わせ、商談、見積もり、契約、施工、引き渡し、点検まで顧客情報をつなぐ領域です。担当者の個人管理から脱し、失注理由、受注率、紹介経路、点検時期を可視化すると、営業活動と施工後の関係維持を改善できます。

住宅会社や工務店で追客漏れを減らしたい場合は、工務店向けSFAの比較記事が候補整理に役立ちます。

建設業DXで活用される主な技術

BIM/CIM

BIM/CIMは、建設事業で扱う情報をデジタル化し、調査・測量・設計・施工・維持管理の各段階で3次元モデルと情報を共有する取り組みです。形状だけでなく、部材、工程、品質、維持管理に必要な情報を関連付けることで、関係者の合意形成や施工計画を支援します。

ICT施工と3次元計測

ドローン、3Dレーザースキャナー、GNSS・RTK測位、ICT建設機械などを組み合わせ、測量、設計、施工、出来形管理を3次元データでつなぎます。測量や丁張りなどの省力化に加え、建設機械の位置・稼働状況・施工履歴をリアルタイムに把握する活用も進んでいます。

クラウド型の施工管理システム

工程、写真、図面、日報、検査、チャットなどをクラウド上で共有します。現場と事務所、元請と協力会社が同じ情報を確認できることが利点です。一方、機能数だけで選ぶと入力が定着しないため、実際に利用する担当者、端末、現場の通信環境を踏まえて選定します。

AI・IoT・ウェアラブル端末

AIは、画像からの安全確認、図面や書類の検索、需要・工期・原価の予測などに活用されます。IoTセンサーやウェアラブル端末は、機械の稼働、温湿度、作業者の位置や体調に関する情報を取得し、安全管理や保全へつなげます。取得できるデータと、現場で実際に判断へ使うデータを分けて設計することが重要です。

建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴などを登録・蓄積し、技能や経験の客観的な評価につなげる仕組みです。入退場管理など周辺システムとの連携も含め、現場管理や技能者処遇の基盤として活用されます。

建設業DXを進めるメリット

メリット 改善する業務 確認する指標の例
間接業務の削減 写真整理、日報作成、転記、会議資料作成 作成時間、転記回数、残業時間
手戻りの削減 図面共有、指示伝達、検査、是正管理 再施工件数、撮り直し件数、確認待ち時間
原価と進捗の早期把握 実行予算、発注、出来高、請求 予実差異、粗利率、未請求額、工期遅延日数
安全性の向上 危険箇所の共有、巡視、機械・作業者の状態把握 是正完了時間、ヒヤリハット件数、巡視記録率
技能継承 作業手順、検査基準、過去工事の記録 教育時間、問い合わせ件数、標準手順の利用率
顧客対応の向上 進捗報告、変更履歴、引き渡し、点検 回答時間、報告漏れ、点検実施率

効果は「システムを導入したか」では測れません。導入前の作業時間やミス件数を記録し、導入後に同じ条件で比較します。削減した時間をどの業務へ再配分したかまで確認すると、DXが経営成果につながっているか判断しやすくなります。

建設業DXが進まない主な理由

目的よりもツール選びが先行している

「DXを進める」という目標だけでは、現場が何を変えればよいか分かりません。写真台帳の作成時間を半減する、日報の翌日提出をなくす、工事別原価を週次で確認するなど、対象業務と改善後の状態を具体化する必要があります。

現場の入力負担を考慮していない

管理者が欲しいデータを増やすほど、現場の入力負担は大きくなります。入力項目を必要なものに絞り、選択式、自動入力、写真や位置情報との連携を活用します。パソコン操作を前提にせず、手袋を着けた状態や屋外でも使えるかを試すことも欠かせません。

システムごとにデータが分断されている

勤怠、工程、写真、原価、会計を個別に導入しても、工事番号や取引先名が統一されていなければ二重入力が残ります。APIやCSV連携の有無だけでなく、どのシステムを基準データとするか、工事・顧客・協力会社のコードをどう統一するかを決めます。

導入後の責任者と運用ルールが曖昧

初期設定だけでなく、アカウント発行、権限変更、マスタ更新、問い合わせ対応、利用状況の確認を担う責任者が必要です。現場ごとに運用が変わりすぎるとデータを集計できないため、全社共通のルールと現場裁量の範囲を分けます。

情報セキュリティと協力会社への配慮が不足している

図面、顧客情報、施設情報をクラウドで扱う際は、閲覧・編集権限、端末紛失時の対応、退職者のアカウント停止、ログ管理、バックアップを確認します。協力会社にアプリ導入を求める場合は、費用負担、利用端末、教育、工事終了後のデータアクセスも事前に定めます。

建設業DXの進め方

1.経営課題と現場課題を一つの指標につなげる

売上や利益だけでなく、その手前にある現場指標を設定します。たとえば、粗利率を改善したい場合は、原価入力までの日数、追加工事の未請求件数、予算との差異を把握できた時点などを追います。

2.現行業務と情報の流れを可視化する

誰が、どの場面で、何を見て、どこへ入力し、誰へ渡しているかを整理します。紙をそのまま画面へ置き換えるのではなく、承認や転記そのものを減らせないか検討します。

3.頻度と損失の大きい業務から優先する

全社の業務を同時に変える必要はありません。「毎日発生する」「複数人が同じ情報を入力する」「ミスが工期や利益へ直結する」業務を優先します。写真整理、日報、図面共有、工程調整、原価集計は効果を測りやすい領域です。

4.現場を含めて要件を決める

経営者や管理部門だけで選ばず、現場監督、職長、事務担当、必要に応じて協力会社も選定に参加させます。必要な機能に加え、入力回数、画面の見やすさ、オフライン利用、サポート、既存システムとの連携を確認します。

5.対象現場を絞って試行する

工種、規模、担当者の異なる複数現場で試すと、特定の担当者だけが使える状態を避けられます。試行期間中は、作業時間、入力率、問い合わせ、手戻りを記録し、運用ルールと設定を調整します。

6.定着支援とデータ連携を段階的に進める

導入初期は機能を絞り、現場で定着した後に工程、原価、会計などへ連携範囲を広げます。操作研修だけでなく、なぜ入力するのか、入力したデータがどの判断に使われるのかを共有することが定着につながります。

建設業DXの導入事例から分かる活用方法

新丸山ダムでBIM/CIMの統合モデルを活用

国土交通省の水管理・国土保全局DXの事例では、新丸山ダムで地形、堤体、設備、地質の各モデルを重ねた統合モデルを作成し、設計、施工、管理の情報を一元化しています。発注者、設計者、施工者が同じモデルを参照することで、意思決定の迅速化や現場説明へのAR活用につなげています。

雲仙普賢岳で3次元データを掘削計画へ活用

長崎河川国道事務所の砂防管理では、工事完成後の3次元データと航空レーザー測量データでCIMを更新し、土砂の堆積状況を把握しています。除石後の地表面を直近のデータへ反映し、次期掘削計画の策定へ活用する事例です。

参照元:国土交通省 水管理・国土保全局DX「BIM/CIMの導入」(https://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/dx/example/bim_cim.html

自動施工・遠隔施工を実証から本格運用へ広げる

i-Construction 2.0では、自動施工や遠隔施工に加え、建設機械の位置、稼働状況、施工履歴を集約して工程を見直すICT施工Stage IIが進められています。重要なのは、機械を自動化することだけではありません。現場のデータをリアルタイムに把握し、待ち時間や作業順序を改善することで、現場全体の生産性を高める点にあります。

課題別に建設業向けシステム・アプリを探す

建設業DXに必要なシステムは、企業規模や工種だけでなく、解決したい業務によって異なります。最初に課題を一つ選び、必要な機能と運用条件を整理したうえで候補を比較してください。

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建設業DXに関するよくある質問

中小建設会社でもDXに取り組めますか?

取り組めます。大規模な基幹システムの刷新から始める必要はありません。写真整理、日報、図面共有など、対象業務と利用者を絞って始め、効果を確認してから連携範囲を広げる方が定着しやすくなります。

建設業DXにはどのくらいの費用がかかりますか?

費用は、利用人数、現場数、機能、データ移行、初期設定、端末、通信環境、既存システムとの連携によって変わります。月額料金だけでなく、導入支援、教育、追加アカウント、ストレージ、連携開発、解約時のデータ出力まで含めて総額を確認します。

BIM/CIMと施工管理システムは同じものですか?

役割が異なります。BIM/CIMは3次元モデルを中心に建設事業の情報をつなぐ考え方・仕組みです。施工管理システムは工程、写真、図面、検査、日報など日々の現場管理を支援します。両者を連携して使う場合もあります。

クラウドへ図面や写真を保存しても問題ありませんか?

発注者との契約や社内規程を確認したうえで、データの保管場所、暗号化、アクセス権限、操作ログ、バックアップ、端末紛失時の対策を確認します。機密性の高い施設情報を扱う場合は、工事ごと・会社ごとの権限分離も必要です。

補助金を前提に導入してもよいですか?

補助制度は費用負担を抑える選択肢ですが、対象経費、申請時期、採択要件は年度や制度によって変わります。補助金の有無だけで製品を決めず、自社の課題と運用に合うかを先に判断し、申請時点の公募要領を確認してください。

建設業DXは小さな業務改善から始めてデータをつなぐ

建設業DXで重要なのは、新しい技術を数多く導入することではありません。現場と経営の課題を結び付け、改善効果を測りながら、写真、図面、工程、日報、原価、顧客のデータを段階的につなぐことです。

まずは、頻度が高く、手戻りや長時間労働につながっている業務を一つ選びます。現場で使えることを確認したうえで、運用ルールと責任者を決め、効果が出た仕組みを他の現場や業務へ広げていくことが、建設業DXを定着させる現実的な進め方です。

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