3c分析でスターバックスの経営戦略を紐解く

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この記事では、スターバックスを3C分析の観点から解説しています。どうぞ貴社の現状分析や戦略立案にお役立てください。

なお、この記事に合わせて自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。シートに記入するだけで3C分析が進められる内容になっていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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そもそも3C分析とは?

3C分析は、マーケティング戦略の基本的な枠組みです。市場環境、競合他社、自社の3つに対して分析を行い、自社の立ち位置と事業の方向性を明らかにするために用いられます。

3Cとは?

3つの用語の頭文字を取ったフレームワークが3Cです。その用語とは、市場・顧客を意味する「Cunstomer」のC、競合を意味する「Competitor」のC、自社を意味する「Company」です。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

市場・顧客、競合(他社)、自社は、いずれも市場における主要なファクターです。3者の関係性を明らかにし整理することによって、ビジネスのKSF(Key Success Factors:成功要因)を導き出すことができます。3C分析の枠組みは、経営コンサルタントとして名高い、大前研一氏によって提唱されました。

3C分析の目的とは?

3C分析の目的は、マーケティングにおける効果的な施策を見出すことです。マーケティングの本質は、効率的かつ持続的なビジネスモデルを構築することですが、それを達成するための施策を見出すには、市場の環境と主要な参加者、すなわち、Customer(顧客)・Competitor(競合他社)・Company(自社)の3社の関係性を明示化しなければなりません。その明示化のために行われるのが3C分析です。

マーケティングは多方面にわたる検討やアプローチが可能ですが、分析するポイントを絞ることで、経営資源投下の無駄や方向性がぶれるのを防げます。

以下では「スターバックス」を事例として取り上げ、3C分析を行ないました。

スターバックス公式サイト画像
引用元:スターバックス「https://www.starbucks.co.jp/reserve/roastery/」

スターバックスにおける「Customer」

スターバックスを取り巻く市場とは?

スターバックスは、1971年にアメリカのシアトルで開業したコーヒーチェーン店です。当店がビジネスを展開している市場はもちろんコーヒーチェーン業界、あるいはカフェ業界でしょう。

日本国内でのコーヒー消費量は、1998年に36.4万トンでしたが、2018年には47.0万トンになり、20年間で30%増加しています。カフェ業界の最近の水位は2014年から19年にかけて緩やかな増加傾向にあり、スターバックスは好業績に合わせて店舗数を一気に拡大させました。外食産業全体が苦戦を強いられる中、コーヒーチェーン業界はよく健闘しています。

一方、国内のコーヒー消費量は2019年に45万トンでしたが、前年(2018年)と比べて3.7%の減少となり、頭打ち感も出てきました。加えて、安価で本格的なコーヒーが楽しめる「コンビニコーヒー」の台頭により、コーヒー・カフェ市場はプレーヤーの数が増え競争が激化しています。

スターバックスを取り巻く顧客とは?

一口にコーヒー市場といっても、ターゲットになる顧客やニーズはさまざま。単においしいコーヒーが飲みたい人もいれば、居心地のいい場所を探している人、高級感を求めている人など、顧客の特徴は多岐にわたります。

こうした中、スターバックスは新たな市場機会を発見しました。前述のニーズ全てに応えるサービスを提供することで、独自の顧客基盤の構築に成功したのです。

スターバックスでは「おいしいコーヒー」を飲めるのはもちろんのこと、加えて「居心地のよさ」「高級感」という付加価値も提供しています。この3つの要素を同時に求める顧客ニーズを探り当てたことが、スターバックスの今日の成功につながっているでしょう。

スターバックスにおける「Competitor」とは?

スターバックスにとってメインの競合(他社)は、やはりコーヒーチェーン店です。「ドトール」「タリーズ」「エクセルシオール カフェ」などの店名を挙げられますが、スターバックスにとっての直接的競合となります。

カフェ市場のシェア争いを見ると、2019年度の国内店舗数と事業会社の売上高で1位はスターバックス、2位にドトール、3位にコメダ、4位がタリーズ。現状は店舗数・売上高、共にスターバックスが独走状態ですが、ドトール以下の各店もスターバックスを追い上げるべく、様々な施策を打ち出しています。

一方、間接的競合として、ファミリーレストランやファーストフード店、コンビニコーヒーの存在も語らないわけにはいきません。とりわけ近年、台頭著しいコンビニコーヒーは、本格的な味を安価に楽しめるのが魅力であり、コーヒー専門店を脅かす存在として成長しつつあります。

スターバックスにおける「Company」

スターバックスは、国内カフェ市場において高く評価されています。店舗数も売上高も文句なしの1位であり、店舗網はさらなる拡大を続けて量的、質的に他社を引き離して寄せ付けない勢いです。

スターバックスは国内の店舗数が1400店に達しています。1000店舗を展開しているのは、スターバックスとドトールコーヒーの2社だけです。

スターバックスの強みは、店舗や内装が「おしゃれ」なこと、「高級感がある」こと、「コーヒーがおいしい」こと、「サービスの質が高い」こと、「居心地がいい」ことなどが挙げられます。

一方、弱みは、値段的にも雰囲気的にも「庶民的ではない」こと、屋内の客席は全店禁煙であり「煙草を吸いながらコーヒーを飲みたい」顧客ニーズを満たせないことなどがあります。

今後の課題としては、さらなる成長を続けるために、業界全体のパイを広げていくための施策が必要なこと、近年は克服されてきたとはいえ、まだまだ閉鎖的といわれるコーヒー業界において、積極的な情報公開に乗り出していくことも必要でしょう。

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