【3分で理解】吉野家の経営・差別化戦略を分析

【3分で理解】吉野家の経営・差別化戦略を分析
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女性客の獲得に関する不適切発言で物議をかもした吉野家ですが、新発売した親子丼は開発までに10年かかったという力作だけあって、その味を絶賛する反響が多いとか。

吉野家と言えば牛丼なのに親子丼で話題を集めるあたりにも、差別化戦略が潜んでいそうです。ここではそんな吉野家の、これまでのマーケティング戦略について解説していきたいと思います。

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吉野家の差別化戦略のポイント

1899年の創業以来、2003年まで牛丼のみの単体販売を行ってきた大手外食チェーンの「吉野家」。

牛丼業界の王者として長年君臨し続けてきた吉野家ですが、2009年に牛丼御三家のひとつである「すき家」に店舗数で追い抜かれてしまいました。

その後は業界2位として、すき家を追いかける立場となってしまいます。業界2位に転落後は吉野家にとって苦しい状況が続きますが、これまでの牛丼380円から一気に280円まで値下げしたことで、牛丼業界にインパクトを与えました。

牛丼戦争と呼ばれる激しい競争を、吉野家はどのようにして戦ってきたのでしょうか。本記事では吉野家の差別化戦略・経営戦略について解説しています。

低価格よりも美味しさを追求している

吉野家は牛丼御三家の中で最も歴史が古く、固定ファンがついていたことから少々高めの価格設定でした。一時期は激しい価格競争に巻き込まれ、牛丼並盛380円から280円へと価格を下げたこともあります。

しかし、2022年現在は外食業界全体の値上げにともない3社の価格は以下に落ち着いています。※2022年4月調査時点

  • 吉野家:牛丼並盛426円
  • すき家:牛丼並盛400円
  • 松屋:牛めし並盛380円

近年は価格競争だけではなく、それぞれの強みを活かした戦略を実施しており、吉野家は価格よりも美味しさに力を入れているのが特徴です。原材料も国産にこだわり、美味しさを追求していることを公式ホームページにも明記しています。

女性客の獲得が大きな課題

吉野家では利用者の約80%が男性客です。Twitterを利用した創業120周年を記念したキャンペーン「#オレの吉野家」からも分かるように、男性をメインターゲットとしています。

しかし、業績を上げるには新規顧客の開拓が必要であり、女性客の獲得が大きな課題でした。そこで取り組んだのが、店内のイメージ自体を変えてしまうという思い切った戦略です。

「クッキング&コンフォート」と呼ばれるレイアウトを採用し、女性客でもゆっくりと過ごしやすい環境を整えました。さらには従来のメニューにはなかったコーヒーまで提供。

また女性の利用客が多かったテイクアウトにも力を入れ、テイクアウトの割引キャンペーンも実施し、女性の利用客を増やしています。

顧客のニーズを分析し満足度を向上させる

吉野家は2019年に創業120周年を迎え、その歴史の長さから考えても固定ファンの年齢層は確実に上がっています。

若い頃のように量は食べられなくなってしまったが、肉は食べたいという顧客のために、これまでは提供していなかった小盛の提供を開始しました。その結果サラダなどヘルシーなサイドメニューと組み合わせる注文が増え、以前よりも客単価が上がっています。

また反対にガッツリ食べたいというニーズを満たすことも忘れず、超特盛やW定食も展開しているのが近年の特徴です。

顧客のニーズを細かく分析し、満足度を向上させたことで売上アップにもつながっています。

高価格メニューで差別化を図る

吉野家では激しい価格競争の結果、牛丼並盛を280円まで下げた過去があります。しかし、値下げの効果は一時的であり、持続的な業績アップには貢献してくれません。

そこで新たに打った手が、高価格メニューによる差別化です。これまでの「うまい、やすい、はやい」のポリシーを逸脱した、ゆったりと食事をする「牛すき鍋膳」の提供を開始します。

牛好き鍋膳の価格は580円であり、牛丼並盛が当時380円であったことから考えても大胆な戦略と言えるでしょう。

しかし、この戦略が功を奏しライバル2社の業績が伸び悩む中、吉野家は王者として返り咲きを果たしました。

この記事のまとめ

一度は業界2位へと転落し、すき家を追いかける立場となった吉野家ですが、高価格メニューという大胆な戦略を取ったことで再び王者へと返り咲きました。

このように思い切った戦略を実施できたのは、細かな顧客ニーズを丁寧に分析したからでしょう。女性客を獲得するためにゆったりと過ごせる店内に変更したことも、牛好き鍋膳の成功を後押ししています。

吉野家のように競合他社との競争に巻き込まれると、価格競争だけでは差別化を図れません。顧客のニーズを分析して、自社の強みを活かした経営戦略を実施することが大切です。

自社ならではの差別化戦略を考える

自社の差別化ポイントを明確にするには、差別化する相手となる競合他社や市場環境の分析は必須です。

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競合他社と差別化を図る
差別化戦略立案の方法

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