ハーゲンダッツの広告戦略・マーケティング戦略

ハーゲンダッツの広告戦略・マーケティング戦略
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高級アイスクリームの王道として知られるハーゲンダッツは、1961年にアメリカで誕生したアイスクリーム専門のブランド。今では50か国以上で販売されており、世界中のアイスクリームファンを魅了し続けています。

国内で5000億円ともいわれるアイスクリーム市場において、2016年度にはシリーズ全体の売り上げ高502億円という過去最高を記録しました。

日本法人が設立されてから30年以上、プレミアムアイス市場の中で不動の地位を築きながら、次々とヒット商品を出し続けている理由はどこにあるのでしょうか。ここでは、ハーゲンダッツの広告戦略・マーケティング戦略について紹介しています。

また、事業計画の見直しや新商品・サービスの販売に向けてマーケティング戦略を検討される方へ、自社がどんな立ち位置でマーケティング戦略を立てるべきかが分かる「市場分析シート」も無料でご提供しています。ご興味のある方はこちらからダウンロードしてください。

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ハーゲンダッツの広告戦略・マーケティング戦略のポイント

ハーゲンダッツの日本上陸当初、アイスクリーム市場には、まだ「プレミアムアイス」という概念がありませんでした。そこに着目し、高級路線でブランディングを行ったのがハーゲンダッツです。

高級アイスクリームのパイオニア

ハーゲンダッツの上陸当時、一般のアイスクリームの価格帯はさまざまで、原材料地もバラバラ。どこからどこまでが「高級」か、という位置づけがあいまいでした。

そこでハーゲンダッツは、「完璧なおいしさを届ける」というスローガンを掲げ、究極のアイスクリームをつくるために行っていることを消費者に伝えます。

  • 厳選された国産のミルクのみを使用する
  • ミルクをつくる乳牛が食べる飼料や牧草、土にまでこだわる
  • フルーツやナッツ、チョコなどの副材料選びにも徹底的にこだわる
  • アイスクリームの空気が含まれる比率を徹底管理し、濃厚な味わいを保つ

本物のおいしさを追求しているから高級素材や品質管理にこだわり抜く。「だから一般的なアイスよりも値段が高い」と消費者に納得させた上で購入してもらいます。テレビCMでも、高級感のあるイメージを全面に打ち出してアピールしました。

その結果、価格帯が高めの「贅沢なアイスクリーム」と認知してもらうことに成功。この広告戦略によって国内のアイスクリーム市場において「プレミアムアイスクリーム」というジャンルを切り開いたのです。

手軽な「プチ贅沢」を叶える

ハーゲンダッツが売り上げを成長させてきた理由のひとつに、小売店販売に特化した商品開発があります。当初、ハーゲンダッツの小売り用には、大きめのパイントサイズしかありませんでした。

そこで小さめのカップサイズを展開。カップアイス以外にもバータイプのアイスやクリスピーサンドといった、ひとりで楽しめる商品を開発しました。会社帰りにコンビニやスーパーに立ち寄って、手軽に買えるようにしたのです。

全国でコンビニエンスストアが拡大した時期と相まって、ハーゲンダッツは「コンビニで買える高級アイス」という地位を確立します。洋菓子店でお祝いの日に買う特別なスイーツではないけれど、プチ贅沢な気分を味わえるスイーツとして女性を中心に注目され、爆発的にヒットしていきました。

「今日は頑張ったから、ちょっと良いものを食べたい」という消費者の「求めていること」を掴んだことが、市場でのポジショニングにつながりました。

顧客自身がプロモーションしてくれる

ハーゲンダッツのメインターゲットは、20代後半から30代前半の「アラサー女性」です。今の20~30代は、とくに「大きな贅沢をしたい」という気持ちが少ない世代といわれています。海外旅行や高級ブランドの商品を買うよりも、日常生活の中で「自分へのご褒美に美味しいものを食べたい」と感じている方が多いのです。

そんな女性ターゲット層に向けて、ハーゲンダッツはアラサー世代になじみのあるSNSプロモーションに注力しています。

Facebookではオフィシャルなニュース、Twitterは予告や告知をメインに配信、Instagramでは商品を持つ手のネイルや背景、カラーリングにこだわるなど、女性の目を惹く「映え」を意識した写真を投稿。それぞれのSNSが持つ特性に合わせた広告を展開し、ファンを増やし続けています。

SNS広告に力を入れることによって、ハーゲンダッツは「顧客自身がSNSを使って商品の良さを伝えてくれる」という相乗効果も得ました。

「仕事帰りに買ってお家で食べたアイスが美味しかったから、インスタやTwitterにアップする」という顧客の行動が、口コミ効果にもつながっているのです。
季節限定や期間限定の商品が続々とヒットするのも、「この味を食べてみた」「おいしかった」と紹介してくれるファンが多くいるから、といえるでしょう。

ハーゲンダッツの広告・マーケティング戦略まとめ

「プチハレの日に食べるアイス」という広告戦略を展開してポジショニングを確立したハーゲンダッツ。SNSを活用したプロモーションを通して、日常の中にある身近な存在としてターゲット層に受け入れられました。市場において独自のポジションを築き、「ファン」を獲得することで成長につながった代表的な事例といえます。

ハーゲンダッツのように、競合他社と戦うには「自社が提供できる価値」を見つけ、差別化を図ることが重要です。消費者のニーズ「心の中で求めていること」を的確にとらえ、自社にしかない強みを見出すことからはじめてみましょう。

下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる広告戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の広告戦略策定におけるアイディアが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。

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