シーブリーズの広告戦略・マーケティング戦略|ターゲット変更とブランド再生の要点
最終更新日:2026年05月05日
シーブリーズの広告戦略・マーケティング戦略の核心は、商品そのものを大きく変えるのではなく、ターゲットと利用シーンを変えた点にあります。海やマリンスポーツのブランドから、学校生活や部活後の日常で使うブランドへリポジショニングしたことで、低迷期比で売上8倍とされる回復につながりました。
既存商品の売上が伸び悩む企業にとって、この事例は「新商品開発」だけが打ち手ではないことを示しています。長年のブランド資産の核を残しながら、誰に、どの場面で、どのように選ばれるかを再定義することで、既存事業の再成長余地を見つけられます。
なお、キャククル(shopowner-support.net)はZenken株式会社が運営する成約特化型の比較メディアです。この記事では、シーブリーズの事例をBtoB企業のターゲット変更・ポジショニング見直しに転用できる形で整理します。
シーブリーズのターゲット変更と売上8倍の軌跡
シーブリーズは、従来の「海で使う男性向けブランド」から「学校生活で汗をケアする中高生向けブランド」へとターゲット変更しました。利用シーンを海から日常シーンへ移したことで、制汗剤としてのニーズとブランドイメージが再び結びつきました。
海から学校・日常シーンへのポジショニング転換
シーブリーズは1902年に米国で誕生した化粧品ブランドで、日本では1960年代から展開されてきた長寿ブランドです。かつては白と青を基調にしたパッケージ、帆のシンボル、マリンスポーツの世界観によって「夏」「海」「爽快感」を想起させる商品として支持されていました。
しかし、若者の海離れやマリンスポーツの生活接点低下が進むと、ブランドの強みだった海のイメージが利用機会を狭める要因になりました。そこでシーブリーズは、ブランドの核となる爽快感は残しつつ、利用シーンを「海のあと」から「学校・部活・通学の日常」へ移しました。
徹底した市場調査による女子高生のインサイト発掘と選定理由
ターゲット変更の起点は、制汗剤を必要としている層を改めて見直したことです。調査の結果、汗のケアに敏感で、学校生活の中で使用機会が多い中高生、とくに女子高生のインサイトが浮かび上がりました。
重要なのは、単に若い層へ寄せたことではありません。「部活後、好きな人に会う前に汗をケアしたい」という感情まで踏み込んだため、商品機能の訴求が恋愛や青春の文脈に変換されました。ターゲット見直しの考え方は、コアターゲット設定の考え方も参考になります。
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既存のブランド資産を活かしたリポジショニング戦略
シーブリーズのリポジショニングは、ブランド資産をすべて捨てる施策ではありません。爽快感、清潔感、アクティブな印象という不変価値を残し、古く見える要素だけを切り替えた点に再生のポイントがあります。
長寿ブランドの不変価値と捨てるべき要素の切り分け
長寿ブランドの刷新で失敗しやすいのは、古い印象を消すために、顧客が評価していた価値まで変えてしまうことです。シーブリーズは、清涼感や爽やかさというブランド資産を残しながら、海・男性・サーファーといった限定的な連想を弱めました。
この切り分けにより、既存顧客が感じていた商品の安心感を保ったまま、新しい顧客にとっての意味を作り直せました。BtoBでも、既存サービスの技術力や導入実績は残し、訴求対象や課題設定だけを変えることで、リスクを抑えたリポジショニングが可能です。
競合対抗を見据えた部活・青春シーンの独占
制汗剤市場には、スプレー、シート、ロールオンなど複数の競合カテゴリーがあります。その中でシーブリーズは、部活後や学校生活という日常シーンを強く押さえることで、単なる機能比較から距離を置きました。
「汗を抑える」だけなら競合比較になりますが、「青春の前に使う」「好きな人に会う前に整える」という意味を持たせると、選ばれる理由が感情面まで広がります。市場内で自社の立ち位置を定める方法は、ポジショニング戦略の簡単事例集でも解説しています。
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広告戦略と連動した商品パッケージの刷新
ターゲット変更を成果につなげるには、広告だけでなく商品パッケージや店頭での見え方まで連動させる必要があります。シーブリーズはカラフルな容器、香り、CM、雑誌サンプリングを一体化し、女子高生が日常で持ち歩きたくなるブランドへ変えました。
恋の気分を刺激するカラフルなパッケージ展開
シーブリーズは、白や青を中心にした従来の印象から、ピンク、オレンジ、グリーンなどのカラフルなパッケージ展開へ移行しました。これは見た目の変更ではなく、かばんに入れて見せたくなる、友人と香りを選びたくなるという行動を生むための設計です。
パッケージは広告の受け皿です。CMで青春や恋の気分を訴求しても、店頭の商品が古い印象のままでは購買直前で違和感が生まれます。広告、商品名、色、香りをそろえることで、ターゲットが受け取るメッセージを一貫させました。
CMや雑誌サンプリングを通じたZ世代への浸透施策
プロモーションでは、部活や学校生活を想起させるCM、ティーン向け雑誌との連動、サンプリングなどが組み合わされました。Z世代に近い若年層へ浸透させるには、認知広告だけでなく、友人間で話題化しやすい接点を複数持つことが重要です。
以下は、シーブリーズのリポジショニングをBtoBの施策設計に置き換えた比較です。
| 比較軸 | 変更前 | 変更後 | BtoBでの転用ポイント |
|---|---|---|---|
| 主なターゲット | 20〜30代男性 | 10代中高生 | 既存顧客層とは別の1セグメントを定義する |
| 利用シーン | 年1回程度の海・マリンスポーツ | 週5日発生する学校・部活後 | 低頻度用途から高頻度業務へ訴求を移す |
| 訴求軸 | 爽快感・夏の定番 | 汗ケア・恋・青春 | 機能価値に感情価値を重ねる |
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若年層から親世代への波及効果とロングセラーの確立
シーブリーズは若年層に絞ったことで、むしろブランド接点を広げました。中高生が使い、家庭内で共有され、親世代が再認識する流れが生まれることで、ロングセラーとしての価値が強化されました。
購買チャネルの拡大と家族間でのブランド共有
中高生向けに設計された商品でも、購買は本人だけで完結するとは限りません。ドラッグストア、GMS、スーパーなど日常の購買チャネルで販売されることで、本人の利用から家族の認知へ広がります。
親世代にとってシーブリーズは、かつて夏や海で使った記憶のあるブランドです。子どもが学校生活で使うことで、過去のブランド記憶と現在の利用シーンがつながり、世代を超えた共有が起こりやすくなります。
世代を超えて愛され続けるためのコミュニケーション設計
ロングセラーを維持するには、同じメッセージを繰り返すだけでは不十分です。シーブリーズは、爽快感という核を守りながら、街、学校、部活、日焼け止め、ボディシートなど、生活接点に合わせて表現を広げています。
これはBtoBの既存事業にも当てはまります。導入実績や品質保証といった信頼資産を残しつつ、新しい部門、新しい用途、新しい購買担当者に合わせた言葉へ変えることで、古いサービスではなく「今の課題に合う選択肢」として再認識されます。
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シーブリーズ事例から学ぶ自社マーケティングへの転用ポイント
シーブリーズの事例から学べるのは、既存事業の再成長には「誰に売るか」と「どの利用シーンで選ばれるか」の再定義が必要ということです。商品価値を変える前に、顧客、競合、接点、訴求のズレを見直すことが重要です。
既存事業の再成長に向けたターゲット再定義の手法
自社に転用する場合は、まず既存顧客だけを見て判断しないことです。現在の売上を支える顧客、伸び悩みの原因になっている顧客、まだ十分に訴求できていない顧客を分けて整理します。
次に、利用頻度が高まる場面を探します。シーブリーズは海という低頻度の場面から、学校生活という高頻度の場面へ移りました。BtoBでも、年1回の設備更新ではなく、日々の業務課題や月次の改善テーマに結びつけると、市場開拓の余地が見えやすくなります。
成果を最大化する一貫したプロモーションとポジショニングの重要性
ターゲットを変えても、広告、営業資料、Webサイト、パッケージ、導入事例のメッセージがばらばらでは成果は出ません。シーブリーズは、ターゲット変更、カラフルな商品設計、青春を描くCM、店頭接点を一貫させたことで、ポジショニングを短期間で伝えました。
自社のマーケティングでも、強みを誰に届けるかを定め、競合と比較されたときに選ばれる理由を明文化する必要があります。競合との差別化を整理する際は、ブランドによる差別化戦略の考え方も参考になります。
シーブリーズの成功は、大胆な変更に見えて、実際には「残す価値」と「変える見せ方」を丁寧に分けた結果です。既存商品の売上が頭打ちになっているなら、まずは新商品を作る前に、ターゲット、利用シーン、競合内ポジションを見直すことから始めてください。
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