リクシル(LIXIL)の経営戦略から学ぶ差別化・マーケティング思考

リクシル(LIXIL)の経営戦略から学ぶ差別化・マーケティング思考
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この記事では、住宅用設備機器の最大手メーカー「リクシル」の差別化戦略について解説しています。貴社の今後の企業戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

また、貴社が市場でどんな立ち位置でマーケティング戦略を策定すべきかが分かる「市場分析シート」を無料でご提供しています。自社の強みを活かしたマーケティング戦略を立てたい方は、今後の戦略策定にご活用ください。

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リクシルの差別化・マーケティング戦略のポイント

引用元:リクシル公式サイト(https://www.lixil.co.jp/)

リクシルといえば、国内の住宅設備機器の高いシェア率を誇るメーカーです。海外事業も展開し、幅広いジャンルの住宅設備機器を販売して売上を伸ばしているため、勢いのある住宅設備メーカーだといえます。

そんな勢いのあるリクシルですが、新型コロナウイルス感染拡大の中で海外各国からも注目が集まっています。

特に、米国では新型コロナウイルスの影響により、リクシルの温水洗浄便座が飛ぶように売れています。2020年4月から5月にかけては、前年と比べて60%も販売数が増加。

従来は温水洗浄便座の利便性があまり注目されていませんでしたが、トイレットペーパーの買い占めが起こったことで紙が要らない温水洗浄便座を試す人が増えたのです。

今後、ますます需要は高まっていくとみられるため、リクシルでは海外事業に力を入れて取り組んでいます。

競合であるTOTOよりも業績が好調なのは、海外事業に取り組んでいることも背景にあります。

商品の差別化で海外進出を図る

リクシルでは競合他社と差別化を図るために、他にはない商品で勝負をしています。他にはない商品を作ることが、先進国や開発途上国での成功に繋がると考えているためです。

同社では、短期成長と長期成長の両方の側面から成功を収めようとしており、短期的な成長を見込んで日本・欧州・米国市場に力を入れています。

一方で、長期的に成長するための戦略として、中国・インド・アフリカ市場も重視しています。

海外市場に力を入れるための取り組みとしては、2013年に先進国の米国市場で衛生陶器トップブランドであった“アメリカスタンダード”を買収。続く2014年には、デザイン力で有名なドイツのブランドである“グローエ”の買収に着手しました。

海外の力のあるブランドを取り入れることで海外でも幅広い客層に訴求でき、現在150カ国以上の国々に事業を展開するグローバルな企業へと成長しています。

デザイン力の高い企業に変革する

リクシルでは、洗練されたデザインの製品が作れるように、デザイン力の高い企業を目指しています。

デザインを他社と差別化できれば商品に対して高い価格設定ができるようになり、売上が伸びれば企業としてより成長も見込めます。

デザイン性の高い企業を目指し始めてからは、デザインに対する社内の意識を変えることにも成功しています。

ニューノーマルに迅速に対応する

リクシルでは、新型コロナウイルスの影響により社会が混乱する前から、さまざまな変化に適応できる戦略を立てていました。

早い段階から商品の差別化を図っていたことで、一つひとつの商品の魅力が増し、自宅で過ごす時間が増えたときにリクシルの製品の強みを実感してもらえるようになったのです。

そのため、ニューノーマル時代で暮らしのあり方が変わっても、迅速に対応することができています。

例えば従業員が機動的に働けるようにITインフラを整えていたため、コロナ禍でテレワークに移行する際も円滑に進めることができています。

従業員の満足度を高めることで顧客満足度の向上を目指す

リクシルでは、社内コミュニケーションの活性化に力を入れています。というのも、顧客と従業員の満足度は比例していると考えているためです。

従業員と会社が良好な関係を構築できれば、従業員はより働きやすくなり生産性を高めることに繋がります。

顧客とやり取りを行うのは従業員なので、従業員の満足度を上げるのは結果的に顧客の満足度を向上させるのにも役立つのです。

リクシルは2020年1月時点で、全社規模の在宅勤務が起こることを想定し対策を練っていました。具体的にはコミュニケーションツールの整備や、在宅勤務に関わる手当の支給方法を検討していたのです。

調査により、新型コロナウイルスによる影響が出る前から、従業員の満足度は下降気味になっていました。

そのためリクシルは危機感を持って課題解決に取り組み、在宅勤務に移行した後も従業員の満足度が向上する結果が得られています。

従業員の満足度を図るアンケート調査から結果の分析まで、自社で完結できるようにした

リクシルでは2年ごとに従業員の満足度を調査していましたが、2年ごとの調査では施策を打つまでの長期間空いてしまうという問題がありました。

そこで、自社でアンケートの設問設定から配布、検査結果の分析まで完結させるようにし、調査の期間を大幅に短縮させることにしたのです。調査時間を短縮した結果、会社の問題点を直ぐに確認して対策を講じられるように変わっています。

リクシルの差別化・マーケティング戦略まとめ

リクシルは競合他社にはないポジションを確立、臨機応変に対応できるように早い段階からマーケティング戦略を立てていたことが、売上拡大につながりました。一方で、従業員の労働環境を整備したりいち早いリモートワークへの対応など、トラブルに強い企業であることがうかがえます。

関連記事:「【差別化戦略】競合他社と差別化を図るための要因分析と戦略立案のやり方」を読む

マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう

マーケティング分析をした上で大切なのは、その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、

  • そもそも適切な分析ができていない
  • 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
  • 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない

という問題の発生が多くあります。そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。

時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。

下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる差別化戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の差別化戦略策定におけるヒントが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。

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