au(KDDI)の差別化・マーケティング戦略のポイントとは

au(KDDI)の差別化・マーケティング戦略のポイントとは
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この記事では、携帯電話・移動体データ通信サービスのブランド「au(KDDI)」の差別化戦略について解説しています。貴社の今後の企業戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

また、貴社が市場でどんな立ち位置でマーケティング戦略を策定すべきかが分かる「市場分析シート」を無料でご提供しています。自社の強みを活かしたマーケティング戦略を立てたい方は、今後の戦略策定にご活用ください。

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auの差別化戦略・マーケティング戦略

auでは、「顧客の豊かな生活をサポート」を目指しています。自社のサービスを深く利用してもらうことで顧客体験を向上させて満足度を高め、かつ自社の収益にもなるWin-Win関係を築こうとしているのです。

満足度を追求する顧客体験を活用した戦略

auキャプチャ画像
引用元:au公式サイト(https://www.au.com/)

競合との価格競争だけではなく、顧客の満足度を高めて継続利用に繋げようと2015年に発足したのが「お客様体験価値向上プロジェクト」です。

顧客体験を重視することで自社の価値を高めるという取り組みで、顧客とのタッチポイントとなる「au WALLET Market」もこのプロジェクトのひとつ。

ほかにも特定の機種ユーザーに向けたオーナーズイベント、シニア層の声を取り入れたスマホ開発など、これまでユーザ満足度を高める戦略を徹底してきました。

来店されたお客様一人ひとりのニーズに合わせて対応できるよう、「auノート」を全店舗に導入。
スタッフがタブレットを活用し、煩雑していた接客の効率化と、顧客情報+行動履歴のデータをもとに料金プランや使い方の提案などを行うことで、顧客満足度もスタッフ満足度も高めています。

スマートフォンの利用以外にauスマートパスやauでんきへの関心が高そうなユーザーに対しては提案表示が出る、接客方法の提示など、予測をもとにしたきめ細やかな接客を実現しているのです。

顧客の反応を軸に何度もアプローチを改善し、特定層認知を得た世界データ定額

auは公式サイトでのユーザーの行動や外部データを活用し、「世界データ定額サービス」に興味がありそうな層にのみに絞ってアプローチを開始しました。

世界データ定額とは、国内で使用しているスマートフォンをそのまま海外150カ国以上で24時間980円で利用できるサービス。空港でWi-Fiルーターをレンタルしたり、SIMを購入したりといったわずらわしさから解消されるだけでなく低コストで利便性も高いサービスなのですが、海外旅行に行く人にしか需要がないため不特定多数への広告展開では認知向上につながりませんでした。

そこで顧客の反応を軸に最も関心が高かったメッセージやサービスの特徴やメリットを書いた広告の最適化を繰り返し、低年齢層や性別に特化したアプローチを創り出して、短期海外旅行などを趣味とする特定層への認知に成功しています。

何度もアプローチを繰り返し万人向けの成功事例を作った上でバリエーション展開し、特定層向けのキャンペーンでの成果を得られました。

他社よりも先行しているグローバル事業

auはより消費者に寄り添った「au経済圏の最大化」事業展開の取り組みを行っています。1990年代よりミャンマー・モンゴル通信事業に参入し、世界12カ国と地域20都市、40拠点以上に拡大しているデータセンター「Telehouse」は世界規模でビジネス展開する企業のICTをサポートしています。

パートナー企業との協業

2018年5月に、auはNetflixコンテンツ利用料金をセットにしたプランを開始しました。「データMAX 5G Netflix パック」の提供を開始。他のコンテンツサービスとのセットプランで、通信とライフデザインの融合を実現しています。

auの経営戦略

5GとIoT化が進むにつれ、ますますデジタル化・ネットワーク化が拡大していくでしょう。これから迎える5G時代は、スマートフォンだけでなく、あらゆるものがつながり続ける時代であり、通信があらゆるモノやサービスに溶け込む時代になると言えるでしょう。

企業と顧客とのつながり方は大きく変化し、顧客と長期的で深い関係をどう築いていくかが事業基盤の強化を図る鍵となります。そのためには、顧客一人ひとりを知り顧客視点に立ち、新たな価値を創造し続ける取り組みが求められます。

スマホ金融

スマホ金融とは、スマートフォン一つで資金計画を立て「貯める・支払う・増やす・借りる・備える・計画する」を完結できるサービスです。幅広い層への浸透を目指し、アプリ間での連携強化も進めています。

たとえば、auじぶん銀行の口座を持つ顧客はau WALLETに口座情報を連携することで、auじぶん銀行のアプリを立ち上げなくても外資預金や円預金の残高を確認できます。au WALLETは会員数2,000万人を超え、ポイントとチャージ金額を合わせて約1,000億円相当の残高を持つほどに。

基盤になるのは、約4000万の顧客を持つ携帯電話サービスです。au WALLETがグループすべての決済・金融サービスの入り口として利用できるようになれば、au経済圏がさらに拡大するでしょう。

キャリアフリー化

auのネットサービスを利用する場合、基本的にau契約者にのみ発行される「au ID」というIDが必要だったのですが、2019年の夏にauサービス用の「ID」「決済」「ポイント」をキャリアフリー化を行いました。

au以外の携帯電話・固定回線を利用しているユーザーもauサービスを利用でき、「au PAY」を始めとする決済サービスや「WALLETポイント」を他キャリアユーザーでも利用可能になったのです。

auは顧客基盤の強みがありますが、キャリアフリー化においては、他のキャリアに比べるとサービス内容の魅力が弱く、出遅れている感が否めないかもしれません。どう弱点を短期間で強化するのかが今後の成長を握る鍵となるでしょう。

3M戦略

3M戦略は「色々なコンテンツやサービス」を「いつでもどこでも最適なネットワーク」で「複数のデバイスから好きなもので利用」できることを目指す戦略のことです。

以下の3つを3M戦略として推奨しています。

  • マルチネットワーク固定ブロードバンドと携帯電話のセットによる割引サービス「au スマートバリュー」を導入
  • マルチデバイススマートフォンとタブレットのセット販売に力を入れる
  • マルチユースau利用者に対して独自のサービス「au WALLET」「au スマートパス」などを提供

auは3M戦略のもと顧客を増やし、独自のサービスを推進し利用を促すことで、で売り上げを伸ばしていきました。

強みを活かした経営戦略

auの強みは何と言っても根強い顧客基盤でしょう。

タッチポイント

auは二つのタッチポイントを持っています。

  • オンライン

    スマートフォンのアプリなど(au スマートパス(会員数1,542万人)、au PAY(会員数2,200万人))
  • オフライン

    auショップなどの実店舗(全国で約2,300店)

2019年2月、ローソンと提携しPontaポイントとのポイント統合を行い、オンラインではポイント・決済サービス会員基板が1億を超え、オフラインでは全国約14,600あるローソンのリアル店舗まで接点が広がりました。

オンライン、オフライン、共に多数の接点を保有しているのは、auの強みと言えるでしょう。

先進性ある料金プランを展開

今では珍しくないパケット定額制を導入したのはauです。2003年に導入した後はモバイル通信と固定通信をセットにした「au スマートバリュー」、データ通信の利用に合わせた「au ピタットプラン」「au フラットプラン」を展開してきました。

その後は「au フラットプラン 25Netflix パック」というNetflixを付けたプランや、「au データ MAX プラン」といったデータ容量無制限プランなど、お客様のニーズに合い、高速大容量の5G時代を見据えた先進的料金プランを展開し続けています。

オンライン専用新料金ブランド「povo」

2021年3月に、オンライン専用の新料金「povo」を開始。月間データ容量20GBを月額2,480円で利用できるだけではなく、オンラインで自由にトッピングを追加できます。

一時的に大容量データが必要になる利用ニーズにも対応できるよう「データ使い放題24時間」も提供。追加料金200円で、文字通りデータ通信が24時間使い放題です。

ほかにも月額500円で5分まで国内通話が無料の「5分以内通話かけ放題」など、顧客ニーズに応じて追加トッピングは順次拡充していく予定です。

auの差別化戦略まとめ

5Gに伴い、これから私達のライフスタイルはより変化していくと想定されます。au WALLETやじぶん銀行など、事業間のシナジー効果により金融だけでなく、auサービスはますます進化していくでしょう。

auの差別化戦略において大事なのは、顧客と長期的で深い関係を構築することを重視し、行動データなどの数値・情報の活用や接客対応の満足度を上げる取り組みをしている点です。

顧客の体験価値を向上させてauの根強いファンを作り、進化し続けるサービスを利用し続けてもらうことでau経済圏が発展していき、お互いWin-Win関係になれるからです。

顧客一人ひとりの視点に立つことが継続的な利益や事業基盤の強化のカギとなり、おのずと戦略が見えてくるでしょう。

関連記事:「競合他社に勝つ差別化方法・対策のポイント!マーケティング戦略成功の鍵とは」を読む

マーケティング戦略策定後には施策に落とし込もう

マーケティング分析をした上で大切なのは、その分析結果をもとに行うマーケティング戦略の施策と戦術の実行です。しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、

  • そもそも適切な分析ができていない
  • 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
  • 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連動していない

という問題の発生が多くあります。そのため、多忙な中、分析や戦略策定をしたのにもかかわらず、成果に繋がらなければ、あなたの貴重な時間もお金も無駄にし、また練り直さなければなりません。

時間がさらにかかれば、状況も変わり市場からさらに置いてかれること可能性もあります。

下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる差別化戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の差別化戦略策定におけるヒントが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。

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