特許調査は、自社の知的財産を守るために欠かせない業務です。近年はAIや人工知能の技術が急速に発達したことによって、特許調査においてもAIを活用したシステムを導入している企業が増えてきています。
ここでは、AIを搭載した特許調査システムについて紹介しています。キャククル編集部が厳選したおすすめの特許調査システムの特徴や費用、口コミ情報などをまとめているのでご活用ください。
特許調査システム一覧表
AIを搭載している特許調査システムを一覧表にして紹介しています。システムによってサービス内容が異なるため、特許調査システムを導入する際は自社に適した特許調査システムを選ぶことが大切です。各システムの主な特徴と費用をまとめているので、ご参考にしてください。
会社名 | サービスの特徴 |
---|---|
THE調査力AI |
ノイズ除去機能搭載!精度の高い特許調査で工数を大幅削減
|
PatentSQUARE |
調査ノウハウなしでも現場の専門的な特許調査を効率化 |
SRPARTNER |
世界98の国々と地域の特許情報を素早く抽出 |
AI Samurai ONE |
最短3日で出願前の調査や特許文書を作成 |
JP-NET |
特・実・意・商の四法を取り入れたワンストップサービス |
patentfield |
生成AIで特許文献の調査と分析を効率化 |
Shareresearch |
作業を自動化させ特許調査のプロセスを削減 |
特許調査システムとは
特許調査システムは、特許情報を検索・分析するためのソフトウェアツールです。このシステムは、特許出願の先行技術調査や競合分析、新技術開発のリサーチに役立ちます。
主な機能として、特許データベースの検索、特許マップの作成、特許分析レポートの生成、AIを活用した自動分類や高度な検索アルゴリズムの利用などがあります。
特許調査システムの主な機能
- 検索機能:キーワード検索、布告番号検索、引用関係検索など多様な検索方法を提供し、特許情報を迅速に見つけ出す。
- 特許マップ作成:特許情報を視覚的に表示し、技術分野や出願人の関係を分析。
- レポート生成:検索結果や分析結果をレポートとして出力し、共有可能。
- AIによる自動分類:AI技術を活用し、特許文書の自動分類や関連特許の推奨を行う。
- データ可視化:特許データをグラフやチャートで表示し、視覚的に分析を支援。
- 多言語対応:国際特許データベースと連携し、複数言語での検索・分析が可能。
特許調査システムの導入のメリット
- 効率性の向上:特許調査の時間を大幅に短縮し、迅速な意思決定を支援します。
- 精度の向上:高度な検索アルゴリズムとAI技術により、精度の高い検索結果を提供します。
- コスト削減:外部リサーチの依頼を減らし、自社で効率的に調査を行うことでコストを削減します。
- 競争力強化:競合他社の技術動向を迅速に把握し、戦略的な技術開発を支援します。
特許調査システムの選び方
特許調査システムを選ぶ前に、最低限チェックしておきたいポイントをまとめました。 導入後に「思っていた機能がなかった」と後悔しないためにも、下記の項目を事前に確認してみてください。
- 自社の目的(調査、分析、共有など)が明確か
- 海外特許・翻訳対応が必要か
- AIによる自動検索や要約機能の必要性
- チームでの情報共有やプロジェクト管理のしやすさ
- 費用・料金体系が予算に合っているか
- サポート体制やFAQが充実しているか
- セキュリティ対策が十分か
自社の目的(調査、分析、共有など)が明確か
特許調査システムを選ぶ際に、まず最優先すべきなのが「自社が本当に求めていることは何か」を明確にすることです。
たとえば、新規事業の技術動向調査、競合他社の特許分析、社内ナレッジの共有まで、目的によって最適なシステムや必要な機能が大きく異なります。
たとえばTHE調査力AIは既存検索システムから出力したデータを取り込み、マトリクス表示で社内共有をスムーズにするワークフロー特化型の設計思想をとっています。国内外の特許情報を集約し日本語化、ノイズ除去まで一気通貫で行える点は「分析+共有」を同時に叶えたい企業と好相性です。
逆にPatentfieldはビッグデータ可視化やAI調査機能を前面に押し出したプラットフォームで、技術動向の俯瞰やホワイトスペース分析に強みがあります。目的が「戦略的分析」に寄るほど、こうしたデータビジュアライズ力は欠かせません。
海外特許・翻訳対応が必要か
化粧品や医療機器など国外勢と競り合う業界では、各国特許公報をストレスなく検索・翻訳できるかが死活問題になります。PatentSQUAREは約100カ国の特許文献を「串刺し検索」でき、同義語辞書や単語英訳辞書を組み合わせた高精度検索を提供しています。
さらに、Shareresearchは世界98の国・地域の高精度データをカバーしており、研究開発部門が日常的に海外論文と特許を横断参照したいケースで威力を発揮します。JP-NETはアメリカやヨーロッパ、国際特許(WO)を含む主要国の公報を歴史的に網羅し、英語全文データの蓄積も豊富です。翻訳精度・対応国数・課金方式(従量課金か定額か)を総合的に見て、将来の市場展開計画と齟齬がないか検証しましょう。
AIによる自動検索や要約機能の必要性
近年、特許調査業務におけるAI活用が急速に進んでいます。 「THE調査力AI」や「AI Samurai ONE」は、AIが膨大な特許データから類似文献を自動で抽出したり、調査結果を要約する機能が強みです。また、「patentfield」も自然言語処理技術を応用し、キーワードだけでなく文章や課題を入力することで、該当特許の網羅的な抽出・自動分類ができます。
こうしたAIサポート機能は、「調査スピード向上」「人的ミス削減」「ノウハウの平準化」につながりますが、逆にAIを活用しない運用方針の場合はシンプルなシステムの方が扱いやすいケースもあります。 自社におけるAI活用の目的やレベル感を明確にし、必要な自動化・効率化機能があるかを必ずチェックしてください。
チームでの情報共有やプロジェクト管理のしやすさ
特許調査や分析は、個人作業ではなく複数人・複数部門での連携が求められる場面が多い業務です。
「Shareresearch」は、調査結果の共有やディスカッション、タスク管理など、チームコラボレーション機能に優れています。また、「PatentSQUARE」もプロジェクト単位での進捗管理や情報共有がしやすい設計になっています。 一方で、こうした共有機能が弱いシステムだと、「調査内容の属人化」や「情報の分断」が生じやすく、業務効率を下げてしまいます。社内の利用体制や将来的な組織拡大も見据え、どこまでの共有・コラボレーションが求められるかを具体的に検討しましょう。
費用・料金体系が予算に合っているか
どれだけ優れたシステムでも、費用対効果を無視して導入するのはリスクが伴います。 特許調査システムは、クラウド型・オンプレミス型、ID課金・従量課金・固定月額など、提供形態や料金体系が多様です。「patentfield」や「SRPARTNER」はフリーミアムやスモールスタートに対応しやすく、「PatentSQUARE」は導入規模や運用方法に応じた柔軟なプランを用意しています。
加えて、初期費用の有無、アップグレード費用、オプション機能の料金なども、事前に詳細を確認しておくことが必要です。コストだけでなく、自社の運用・成長に合わせて無理なく使い続けられるかどうかを基準に検討しましょう。
サポート体制やFAQが充実しているか
導入時や運用中に「困った時にどれだけ素早く・的確にサポートが受けられるか」は、特許調査システムの“安心感”を大きく左右します。 「JP-NET」や「PatentSQUARE」は、専任担当者による初期導入支援や、FAQ・操作マニュアルの充実度で高評価を得ています。「SRPARTNER」「AI Samurai ONE」も、チャットサポートや定期的なオンライン講習など、利用者の疑問解決に積極的な体制が整っています。
社内でITや特許に精通した人材が少ない場合や、初めて特許調査を導入する場合ほど、サポート体制の質が業務のスムーズさを左右します。 実際の利用者の声やサポート事例も参考に、導入後のフォローアップ体制を比較しましょう。
セキュリティ対策が十分か
特許調査業務では、企業の戦略情報や機密情報を扱うケースが非常に多いため、システムのセキュリティレベルは最重要ポイントのひとつです。 「PatentSQUARE」や「Shareresearch」は、通信の暗号化・アクセス権限管理・監査ログ機能など、最新のセキュリティ対策を標準搭載しています。クラウド型サービスの場合、データセンターの安全性や認証取得状況(ISOなど)にも注目しましょう。
また、情報漏えいや外部攻撃リスクだけでなく、「退職者や部署異動時のアカウント管理」「第三者との情報共有」など、自社の運用フローに合わせた安全管理が可能かもチェックしておきたいポイントです。
最新動向:生成AI搭載モデルの伸びを解説
近年、AI技術の進歩によって特許調査システムも大きく進化しています。特に生成AI搭載モデルは、特許情報の収集や要約、比較、分析などを自動で行えるため、専門知識がない方でも簡単に使えるようになっています。
例えば「ChatTokkyo」や「PatentSQUARE」、「THE調査力AI」などのシステムでは、AIが関連特許を探し、内容の要点を自動でまとめてくれます。これにより、調査にかかる時間が大幅に短縮されるだけでなく、調査品質のバラつきも減らすことができます。また、AIが提案する応用例や改善案を活用することで、新たなビジネスチャンスや技術のヒントも得られるでしょう。
2024年から2025年にかけて、AI搭載システムはさらに使いやすく、高度になっています。 今後は非専門家でも使えるシステムが主流になり、知財の現場だけでなく経営層や営業担当も活用しやすくなるでしょう。 一方で、AIの精度や情報セキュリティなどには引き続き注意が必要です。新しい技術をうまく取り入れながら、実際の運用では必ず人による確認も行いましょう。
特許調査システムに関するよくある質問
Q1. AI搭載の特許調査システムを導入するメリットは?
AI搭載の特許調査システムを導入することで、膨大な特許データの処理が可能になり、従来の手作業より大幅に調査時間を短縮できます。AIは翻訳やノイズ除去などもサポートしてくれるため、海外特許も含めて効率よく網羅的な調査ができます。
Q2. 特許調査システムを選ぶときのポイントは?
選定時のポイントはまず、自社の目的に合った機能が搭載されているかどうか確認しましょう。海外特許や多言語対応の有無、AI自動検索・要約機能の充実度、チームでの情報共有やプロジェクト管理のしやすさ、導入サポートの充実度も比較ポイントです。
特許調査システムのまとめ
特許調査システムは、調査業務を円滑に行っていくことはもちろん、社内業務のDX化にも貢献してくれる頼もしいシステムです。特別な知識がなくても、特許調査を素早く行えるので利便性にも優れています。
特許調査システムにはさまざまなサービスがあるため、依頼先を検討する場合は各システムが対応している業務内容や料金について、よく確認をしながら比較することが大切です。気になるシステムがあった場合は、資料請求を活用することで自社に適したサービスを見つけやすくなるので、積極的に利用していくことをおすすめします。
- 免責事項
- 本記事は、2024年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。