機電系の学生が採用できない理由を分解する採用戦略設計と実践ポイント
最終更新日:2026年04月22日
「機電」とは機械工学・電気工学/電子工学の総称で、機電系の学部・学科に所属している学生の採用は売り手市場となっており、企業側の採用成功のハードルは年々高くなっています。
この記事では、機電系学生の採用が難しい理由と、採用活動を成功させるための考え方や戦略などを解説していきます。なお、差別化を行いながら自社に相性の良い人材のみ集める施策として、ポジショニングメディアも紹介いたします。機電系の採用にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
機電系の学生を採用できない状況が続いていませんか。求人を出しても応募が集まらない、面談設定までつながらない、内定を出しても辞退される――こうした問題は、製造業・機電系企業が共通して抱えています。
その原因は「予算が少ない」「知名度がない」という話にとどまらず、市場の需給構造、学生の進路多様化、自社の訴求設計の3層にまたがっています。どこに問題があるかを整理せずに施策を積み上げても、コストばかりかかって成果につながりません。
本記事では、機電系採用ができない理由を3層で分解したうえで、KBF(Key Buying Factors:購買決定要因)起点のポジショニング戦略、専攻別の採用メッセージ設計、チャネル選定の比較、KPI管理まで一気通貫で解説します。大手と同じ土俵で競合せず、自社が選ばれる軸を確立するための実務的な設計方針をお伝えします。採用担当者が「何から変えるべきか」を即座に判断できるよう、改善できる論点を絞り込んで解説します。
機電系の学生が採用できない背景を市場構造から整理する

採用施策を設計する前に、機電系採用が難しい構造的な背景を理解しておく必要があります。個社の努力だけでは変えられない要因と、自社でコントロールできる要因を切り分けることが、戦略立案の出発点になります。
機電系人材の需給ギャップと企業間競争の実態
機電系学生の採用が難しい根本的な理由は、工学部・理工学部の卒業生に対して採用ニーズを持つ企業数が圧倒的に多い点にあります。機械・電気電子・情報系の専門知識を持つ人材は、製造業に限らず、建設・エネルギー・インフラ・情報通信・自動車産業など産業の垣根を越えて争奪されています。
経済産業省が公表した理工系人材に関する調査では、企業が5年後に最も不足すると予想する職種として機械工学系が上位に挙げられており、「他社が採用数を増やしている」「業界全体の人手不足」が不足の主因として示されています。これは特定の企業だけが採用に失敗しているのではなく、市場全体で需要が供給を上回っている構造問題です。
参考:経済産業省産業技術環境局「理工系人材需給状況に関する調査結果概要」(https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180420005/20180420005-1.pdf)
中小・中堅企業にとって厳しいのは、採用競争の相手が同業他社だけでなく、認知度の高い大手メーカーや大手IT企業、さらには大学院・研究職という進路選択肢まで含まれている点です。給与水準・ブランド・研究環境のどれをとっても大手が優位に見えやすいため、中小企業は入口の土俵でどうしても不利になります。
ただし、大手との比較で負けるのは「大手が有利な軸で競争しているから」であり、比較軸を変えれば中小企業でも選ばれる余地が十分にあります。研究室との密な連携、研究テーマと業務の接続、意思決定の速さ、若手への裁量付与といった点では、中小企業が有利になることも少なくありません。自社の強みを言語化し、それが刺さる学生層を特定することが、この構造を突破する出発点になります。
学生の進路多様化と早期接触の重要性
機電系の学生は、就職以外の進路として大学院への進学を選ぶ割合が高い傾向にあります。特に旧帝大や上位国立大学では機械・電気電子系の学部生の多くが修士課程に進学しており、学部卒採用を主軸にしている企業は実質的に対象母集団が限定されます。採用戦略として学部卒と院卒のどちらを軸にするかを明確にしておくことが重要です。
就職を選ぶ学生の中でも、就職活動の開始時期は早く、解禁前からインターンシップや研究室訪問を通じて志望先を絞り込んでいることが多いです。文系学生と同じタイミングで広報活動を始めても、すでに候補企業リストが固まっていて選考対象に入れない、という状況が起きやすくなっています。
研究室活動との両立で時間が限られるため、学生は情報収集の効率化を強く意識しています。ウェブサイト・採用媒体・SNSによる能動的な情報収集に加え、教授や先輩からの紹介・研究室訪問という半パッシブな情報ルートも重要な接点になっています。このルートに接触できない企業は、そもそも候補に入りにくい構造があります。
こうした特性を踏まえると、機電系採用では早期の接点設計と複数チャネルの組み合わせが不可欠です。就活解禁後に動き始めるだけでなく、インターンシップ・研究室連携・採用サイトの充実など、選考前の接触面を広げることが母集団形成の前提になります。
採用できない原因を「市場・学生・企業」の3層で分解する
採用できない状態が続くと、施策を増やしても何が原因で何から変えるべきかが分からなくなります。「市場・学生・企業」の3層に分けて問題を整理すると、自社でコントロールできる論点が明確になり、打ち手の優先順位を立てやすくなります。
市場要因:競争激化と知名度格差
まず「市場要因」として認識すべきは、機電系学生の絶対数に対して採用ニーズを持つ企業数が多く、競争強度が構造的に高いという事実です。機械系・電気電子系の専攻は製造業に限らず、エネルギー・建設・情報通信・自動車サプライヤーなど多業種から引き合いが続いており、この競争環境はすぐには変わりません。
知名度格差も市場要因の一つです。大手上場企業は採用広告に多額を投じており、就活情報サイトでの露出・イベント出展・OB/OGネットワークの厚みが中小企業とは大きく異なります。学生が知らない企業に応募するハードルは高く、認知度を上げるコストが中小企業には重くのしかかります。
ただし、市場要因はコントロールできない面が多い反面、「どの市場で戦うか」の選択には余地があります。全専攻・全大学に向けて広く採用活動をするより、特定の研究領域・特定の学校群に絞ってポジショニングを取る方が、限られたリソースを活かしやすくなります。大手が拾いきれないニッチな接点に絞り込み、そこでの接触密度を高めることが、市場要因の制約を乗り越える基本的な考え方になります。
企業要因:訴求不足・導線不全・選考遅延
市場要因とは別に、企業側にも改善できる要因が多数あります。代表的なのが「訴求不足」「導線不全」「選考遅延」の3つです。自社の採用フローをこの3軸で点検するだけで、改善すべき論点が明確になります。
訴求不足は、求人票や採用サイトの情報が学生の関心に合っていない状態です。「大手より幅広く活躍できます」「アットホームな職場です」という定型表現は、機電系学生には刺さりません。「どの研究テーマと仕事が接続するか」「どんな技術環境で何を開発できるか」という具体的な情報が伝わって初めて、学生の選択肢に入ります。
導線不全は、学生が興味を持っても次のアクションに進めない状態です。採用サイトの更新が止まっている、エントリーフォームがわかりにくい、説明会の日程が少ないといった状態は、興味が離脱に変わる主な原因になります。学生は複数企業を並行して検討しているため、ストレスのある導線は簡単に離脱を招きます。
選考遅延は、選考期間が長引くことで辞退が起きやすくなる問題です。機電系の学生は複数社の選考を並行して進めているケースが多く、内定通知が遅れるほど他社に先手を取られるリスクが高まります。面談調整から合否連絡までのリードタイムが長い場合、選考スピードの改善だけで内定承諾率が変わることもあります。
これら3つの企業要因は、市場要因と違って今すぐ着手できるものが多いです。採用担当者の工数を集中させる優先順位として、まず企業要因の改善から手をつけることが、最短で成果を出す道筋になります。
KBF起点で設計する機電系採用のポジショニング戦略
採用戦略を設計するうえで重要なのが、KBF(Key Buying Factors:購買決定要因)の視点です。KBFとはもともとマーケティングで使われる概念ですが、採用においても「学生が企業を選ぶ際に重視する基準」として活用できます。KBFを整理することで、自社がどの軸で戦い、何を差別化の武器にするかが明確になります。
機電系採用で重視されるKBF5要素
採用チャネルや施策を選ぶ際に担当者が判断に使うKBFは複数存在します。機電系採用の実務では、特に以下の5要素が意思決定に影響します。
到達力は、採用したい学生層にどれだけリーチできるかを示します。媒体の登録数だけでなく、自社が採用したい専攻・大学との相性が問われます。大手就活サイトはリーチ量は大きいものの、機電系に特化した訴求には不向きな場合があります。
工数は、施策の運用に必要な人的コストです。研究室連携やダイレクトリクルーティングは効果が高い反面、担当者の稼働が多く必要になります。少人数の人事チームでは工数が採用チャネル選定の重要な判断基準になります。
マッチ度は、応募してきた学生が実際の業務や社風に合っているかの精度です。採用媒体によって集まる学生の質や志向に差があるため、内定辞退率や早期離職率への影響を加味する必要があります。
費用対効果は、1名採用するまでの総コストです。媒体掲載料・代理店手数料・社員の稼働コストをすべて含めて比較することで、施策の優劣が判断できます。
立ち上がり速度は、施策を始めてから成果が出るまでの期間です。採用オウンドメディアは中長期的に効果を発揮しますが、当期の採用には間に合わない場合があります。施策の時間軸を把握することで、短期施策と中長期資産の組み合わせ設計ができます。
自社の勝ち筋を見つけるポジショニング設計
KBFを整理したうえで次に行うのが、自社がどのポジションを取るかの設計です。ポジショニングとは、競合他社との比較軸を自社に有利な方向に設定し、「◯◯ならこの企業」という認識を学生に持ってもらうための設計です。
大手企業が主戦場にしている「総合力・ブランド・給与」の軸で戦っても、中小・中堅企業は勝ち目がありません。ポジショニング設計の核心は、大手が取っていないポジションを特定し、そこで圧倒的に価値を提供することです。
具体的な方向性としては、以下のような軸が考えられます。
- 研究テーマ接続型:学生の研究テーマや専攻知識が直接活かせる業務を前面に出し、「研究の延長線上に仕事がある」ことを訴求する
- 早期裁量型:入社後の担当業務の自由度を具体的に示し、大企業では得にくい「若手のうちから主担当を持てる環境」をアピールする
- 技術特化型:ニッチな技術分野での高い専門性を持ち、「この分野で深く仕事をしたいなら」という明確なターゲット設定で訴求する
- 地域密着型:地元就職を志向する学生に対して、特定地域での安定した業務基盤と生活環境を訴求する
重要なのは、複数の方向性を一度に打ち出さないことです。「何でも揃っています」という訴求は、結果的に何も刺さらなくなります。自社の強みを1〜2軸に絞り込み、その軸で明確に優位を取るポジションを設計することが、機電系採用で成果を出す戦略の核心になります。

キャククルを運営するZenken株式会社では、このポジショニング設計を軸にした採用マーケティング支援を提供しています。自社の強みを分析したうえで「誰に何で選ばれるか」を言語化し、120業種以上のクライアント採用支援で培った知見をもとに戦略設計が可能です。
専攻別・学位別に刺さる採用メッセージを設計する
採用広報でよくある失敗は、すべての機電系学生に対して同じメッセージを発信することです。機電系といっても機械系・電気電子系・制御/情報系では研究内容も就職志向も異なります。対象ごとにメッセージを分けるだけで、応募動機の質と量が変わってきます。
専攻別(機械・電気電子・制御/情報)の訴求テンプレ
機械系専攻の学生は、設計・解析・加工・試作といった「モノを形にするプロセス」への関心が高い傾向があります。訴求では「どんな製品の設計に関わるか」「3DCADやCAE等のツール環境」「試作から量産までの工程に関わる機会」を具体的に示すことが有効です。機電一体型製品や複合系開発を担当する場合は、その点も明記すると幅広い関心に対応できます。
電気電子系専攻の学生は、回路設計・電気設計・電子制御への関心が高く、最先端デバイスや高効率電源、センサー技術に興味を持つ学生が多い傾向があります。訴求では「使用している設計ツール(OrCAD、KiCad等)」「扱う電圧・電流レンジ」「量産設計と研究開発の比率」などを具体的に示すと、学生が自分との適合を判断しやすくなります。
制御/情報系専攻の学生は、組み込みソフトウェア開発・制御アルゴリズム・AIへの関心が強い傾向があります。IT企業への就職も選択肢に入るため、「ハードウェアと連携した組み込み開発の具体像」「使用言語(C/C++、Python等)」「IoTやFA系の開発に関わる機会」を明示することで、「モノと結びついたソフト開発」の魅力を訴求できます。
学部生と院生で変えるコミュニケーション設計
同じ専攻でも、学部卒と院卒では就活の意思決定プロセスと重視するポイントが異なります。この違いに対応したコミュニケーション設計が、応募後の歩留まりと承諾率の改善につながります。
学部生は業務内容への理解が浅い段階で選考に入ることが多く、企業の雰囲気・先輩社員の姿・成長できる環境への関心が高い傾向があります。社員インタビューや職場見学を通じて「入社後のリアルなイメージ」を伝えることが、安心感と志望度の向上につながります。具体的な業務イメージが持てる見学機会の設定が有効です。
院生は研究経験があるぶん、技術的な深さや研究との接点に敏感です。「自分の研究が業務でどう活かせるか」「技術的な成長機会が本当にあるか」を詳細に確認しようとします。技術面接や現場エンジニアとの対話機会を設けることで信頼感が高まり、志望度の維持につながりやすくなります。また、修士論文提出時期と選考スケジュールの重なりを考慮し、院生に配慮したスケジューリングが辞退防止にも有効です。
採用チャネルを費用・工数・速度・マッチ度で比較して選ぶ

採用チャネルは多様化しており、どこに投資するかの判断が採用成果を左右します。「予算があるから大手就活サイトに出す」という発想ではなく、費用・工数・速度・マッチ度の4軸で比較したうえで、自社の状況に合ったチャネルを選択することが重要です。
研究室連携・ダイレクトリクルーティング・媒体活用の使い分け
主要な採用チャネルを4軸で整理すると、下表のようになります。
| チャネル | 到達力 | 工数 | マッチ度 | 費用対効果 | 速度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大手就活サイト(リクナビ・マイナビ等) | 高 | 低〜中 | 低〜中 | 中 | 中 |
| 理系・機電系特化媒体 | 中 | 低〜中 | 中〜高 | 中〜高 | 中 |
| ダイレクトリクルーティング(OfferBox等) | 中 | 高 | 高 | 高 | 中〜低 |
| 研究室連携 | 低〜中 | 高 | 高 | 高 | 低 |
| 合同説明会・就活イベント | 中〜高 | 中 | 低〜中 | 中 | 高 |
| 採用オウンドメディア・採用サイト | 中〜高(長期) | 高(初期) | 高 | 高(長期) | 低(初期) |
大手就活サイトはリーチ量が大きく即効性がありますが、掲載料が高く機電系に特化した訴求が難しい面があります。知名度のある企業ほど効果が出やすい構造のため、中小企業が単体で使うと費用対効果が落ちやすくなります。他のチャネルと組み合わせて補完的に活用する位置づけが現実的です。
理系・機電系特化媒体(メーカーナビ、アカリク等)は対象を絞ることで、機電系学生との接触効率が上がります。掲載費用は大手サイトより低いケースが多く、中小企業でも一定のリーチが見込めます。専攻に応じた媒体選定が重要で、自社が採用したい専攻の登録者数を確認してから選ぶことをおすすめします。
ダイレクトリクルーティングは、企業側から学生にアプローチする手法です。OfferBoxやiroots等のサービスでは学生のプロフィールを検索し、マッチする人材に直接スカウトを送ることができます。高い工数が必要ですが、マッチ度と費用対効果は高くなりやすく、認知度の低い中小企業でも「知らなかったが良さそう」という接触が生まれやすいのが特徴です。スカウト文面のパーソナライズ度が開封率と返信率に直結するため、定型文ではなく学生のプロフィールに応じた文面設計が必要です。
研究室連携は、担当教授を通じて研究室の学生に自社の情報を届ける手法です。教授の推薦を経由するため信頼性が高く、マッチ度も高くなりやすいです。ただし関係構築に時間がかかるため、当期の採用には間に合わない場合があります。産学連携・講師派遣・研究支援などを通じて長期的に関係を築くことが、安定的な母集団形成の柱になります。
合同説明会・就活イベントは、学生と直接対面できる貴重な機会です。開放的なブースで興味関心を引く出展を行い、パンフレットや冊子も事業内容と将来性が把握しやすいように工夫することで、その後のエントリーにつながりやすくなります。機電系に特化した合同説明会は、一般向けより参加学生の専攻適合度が高くなるため、可能であれば専門系イベントへの出展を優先することをおすすめします。
オウンドメディア/採用サイトを軸にした母集団形成
短期施策(媒体・イベント)に頼り続ける採用は、毎年一定のコストがかかり続けます。これに対してオウンドメディア・採用サイトを活用した中長期型の母集団形成は、一度仕組みを作れば蓄積型の資産として機能し、継続的な採用コスト削減につながります。
採用オウンドメディアの役割は、求人票では伝えにくい「企業の価値観・技術力・働く環境・キャリアパス」を詳細に発信することです。社員インタビュー・技術紹介記事・現場の業務レポートなどを積み上げることで、検索エンジン経由でも採用を志望する学生にリーチできるようになります。コンテンツの蓄積が、ポジショニング強化と流入増加の両方に機能します。
採用サイトのSEO設計も重要です。「機電系 中小企業 採用」「機械工学 設計職 就職」など学生が実際に検索するキーワードに対して、採用サイトが検索上位に表示されるよう最適化することで、継続的な流入を獲得できます。短期施策との組み合わせとして、短期は媒体・イベントで即時リーチを確保しつつ、中長期はオウンドメディアとSEOで母集団形成基盤を整備する設計が、コスト効率の高い採用体制につながります。
面談化率・承諾率を上げる選考体験の設計ポイント
応募が集まっても、面談設定や内定承諾につながらなければ採用成果は上がりません。選考体験の設計は、集めた母集団をいかに歩留まりよく承諾に導くかの問題です。応募後の離脱を防ぐための実務的なポイントを整理します。
初回接触から面談化までの導線最適化
応募後の最初のアクション――返信の速度と内容――が面談化率に大きく影響します。学生は複数社のエントリーを並行して管理しており、返信が遅い企業は優先順位が下がりやすくなります。エントリー後24時間以内に自動返信または担当者からの個別連絡を行うことが、面談化率維持の基本設定になります。
初回面談の設計も重要です。学生にとっての初回面談は「この会社を本当に受けるかどうか」を判断する場でもあります。一方的に企業説明をするだけでなく、学生の研究内容や関心テーマを聞き、業務との接続を具体的に示す構成にすることで、志望度が向上しやすくなります。担当者が技術的な話ができる状態で臨むことが、機電系学生との信頼関係を早期に築く鍵になります。
オンライン面談の活用も標準化が進んでいます。研究室の活動で移動が難しい機電系学生に対して、日程の柔軟性を確保することが面談設定率に直接影響します。対面面談を重視する場合でも、日程調整ツールを活用して候補日を複数提示し、学生側の調整負荷を下げる工夫が有効です。
内定辞退を防ぐコミュニケーション設計
内定を出した後も、承諾までの期間が辞退率を左右します。機電系の学生は研究・論文提出と就職活動が重なりやすく、選考が進んでも「まだ他社の結果を待ちたい」「研究が落ち着いてから判断したい」という状況が起きやすいです。
内定後のコミュニケーションでは、プレッシャーをかけるより関係を深める方向性が有効です。内定者と現場社員との懇親機会、業務内容についての質問セッション、入社後のキャリアイメージを具体化する個別面談などを設けることで、企業への信頼感と入社意欲が高まります。特に「実際にどんな技術を扱うか」「配属後の最初の業務は何か」といった具体的な疑問に答えることが、不安の解消につながります。
承諾期限の設定も重要です。期限が明示されていないと学生側も判断を先送りしやすく、結果として他社への承諾に流れることがあります。一方で期限が短すぎると学生の不満につながります。内定通知から2〜3週間を目安に承諾期限を明確に提示したうえで、その間も継続的なコミュニケーションを取り続けることが承諾率の維持につながります。
修士論文の提出スケジュール(通常1〜2月前後)と選考・内定時期の関係も考慮が必要です。研究ピーク時期に選考が重なると返信が遅れやすくなるため、この時期のフォローアップ頻度と内容を事前に計画しておくことが、辞退防止の観点から重要です。
施策を回し続けるためのKPI設計と運用体制
採用施策を「やりっぱなし」にしないためには、成果を計測する指標(KPI)と改善サイクルの設計が必要です。何を追うかを決めないまま施策を増やしても、どの施策が効いているかが分からず、予算と工数の浪費につながります。
採用ファネルで追うべき主要KPI
採用プロセスはファネル構造で考えると整理しやすくなります。母集団形成から入社までの各段階でKPIを設定し、段階ごとの歩留まりを把握することが改善の起点になります。
| 採用ファネル段階 | 主要KPI | 改善の着眼点 |
|---|---|---|
| 認知・流入 | 採用サイトPV、エントリー数 | チャネル別流入の偏り・媒体ごとのCPA |
| 書類・ES | 書類通過率 | 応募者の専攻・学年・大学の分布 |
| 面談設定 | 面談化率(エントリー比) | 返信速度・日程調整の容易さ |
| 選考通過 | 一次通過率、最終通過率 | 選考基準の適切さ・面接官の評価ばらつき |
| 内定・承諾 | 内定承諾率、辞退率 | 承諾期間中のフォロー内容・競合状況 |
| コスト | 1内定あたりコスト、1入社あたりコスト | チャネル別ROI比較 |
チャネル別にKPIを集計することで、どの媒体・手法が最も費用対効果よく内定承諾につながっているかが見えてきます。「エントリー数は多いが承諾率が低い」「エントリーは少ないがほぼ全員が内定受諾する」という差が出ることも多く、この差が予算配分の見直しに直結します。同じ採用コストでも、チャネルの選び方で内定承諾数が変わることを、数字で確認することが重要です。
少人数でも回る改善サイクルの作り方
採用担当が1〜2名しかいない中小・中堅企業では、精緻な分析よりも「週次で確認する最低限の指標と、月次の施策見直し」というシンプルな運用が現実的です。
週次で確認すべき指標は、エントリー数の推移と面談設定状況です。エントリーが前週比で大きく下がっている場合は、媒体の露出や採用サイトに何らかの問題が起きている可能性があります。面談設定率が下がっている場合は、返信速度や日程調整の対応に問題がある可能性があります。異常値に気づいたらすぐに原因を特定し、翌週には対処できる体制が理想です。
月次で行うべき施策レビューは、チャネル別のエントリー数・面談化数・承諾数を集計し、費用対効果の低いチャネルへの投資を見直すことです。採用シーズンのピーク前後(3月・6月・10月前後)に合わせてレビューのタイミングを設定しておくと、施策の切り替えが適切なタイミングで行えます。
改善サイクルで大切なのは、原因仮説を立ててから施策を変えることです。「エントリーが少ないから媒体を変える」という即断ではなく、「採用サイトのどのページで離脱しているか」「スカウトメールの開封率はどうか」という具体的な仮説を立て、一つずつ検証していく姿勢が、中長期的な採用力の向上につながります。
まとめ|機電系採用は「誰に何で選ばれるか」の設計が成否を分ける

機電系採用が難しい理由は、市場の需給ギャップという外部要因だけにあるわけではありません。訴求の設計・導線の整備・選考体験の改善・KPIの管理という企業側の要因に、改善の余地が多く残っています。
本記事の要点整理
本記事で解説した主要なポイントを以下に整理します。
- 機電系採用の難しさは、市場の需給ギャップ・学生の進路多様化・企業の訴求不足の3層から生じています
- 市場要因はコントロールできませんが、「どの市場で戦うか」の選択と、企業側の改善可能な要因への対処は今すぐ始められます
- KBF(到達力・工数・マッチ度・費用対効果・立ち上がり速度)を整理することで、自社がどのチャネルと訴求軸で勝てるかが明確になります
- 専攻別(機械・電気電子・制御/情報)のメッセージ設計と、学部生と院生で異なるコミュニケーション設計が、応募の質を高めます
- 採用チャネルは費用・工数・速度・マッチ度の4軸で比較し、短期施策と中長期資産の組み合わせを設計することが重要です
- 採用ファネルのKPIを設定し、週次・月次で改善サイクルを回すことで、施策の効果を継続的に向上できます
機電系採用は「チャネルを増やす競争」になりやすい一方で、実際の勝敗は「誰に何で選ばれるか」のポジション設計の精度で決まります。自社が強みを持てる軸を特定し、そこに一貫したメッセージと接触設計を組み合わせることが、採用成果を安定させる構造的な打ち手になります。
自社に合う採用戦略設計を外部支援と進める選択肢
採用戦略の設計には、自社の強みの言語化・競合ポジションの特定・メッセージ設計・チャネル選定・KPI設計と、多岐にわたる作業が必要です。人事チームが少人数の企業や、本業と並行して採用に取り組む企業では、戦略設計に割けるリソースに限りがあることも現実です。
外部の採用支援を活用する際に重要なのは、「施策の代行だけを依頼する」のではなく、「自社のポジショニング設計から一緒に考えてくれるパートナーを選ぶ」ことです。採用媒体への掲載代行だけでは、ポジショニング設計が不十分なままコストをかけ続けることになりかねません。
キャククルを運営するZenken株式会社は、クライアントの強みを起点としたポジショニングメディア戦略を中心に、120業種以上の採用・集客マーケティングを支援してきた実績があります。「自社に合った採用戦略を設計したい」「Webからの採用を本格化したい」というご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。












