日本は超高齢社会を迎え、在宅介護のニーズは今後さらに高まると予測されています。そんな中、初期投資を抑えつつ社会貢献性も高い「訪問介護フランチャイズ」への注目が集まっています。
本記事では、運営スタイル別のおすすめモデルから費用、サポート体制、特長までを徹底解説。未経験の方でも安心して比較検討できる内容をまとめました。
訪問介護フランチャイズ3選
高単価で安定重視の
堅実型
拠点を増やして売却を狙う
戦略型
初期負担の少ない
スモールスタート型
樹楽・にじむすび

強み
にじむすびによる重度訪問介護と、樹楽による24時間宿泊対応型デイサービスを提供。両制度を活用できるハイブリッド型モデルで、高単価かつ安定収益が期待できるのが強みです。行政申請・保険請求・営業支援・研修を本部が支援し、未経験者でも開業しやすく、安心のフォロー体制が整っています。
アイネットアイ

強み
地域包括ケア対応の全国展開型FCモデル。弁護士・税理士等とのネットワークと行政連携を活かし、経理・人事・財務まで幅広く支援。複数の拠点展開と事業承継支援により、M&Aや売却戦略を視野に入れたスケール型のモデルです。
ヘルパーステーション

強み
最短3.5ヶ月で開業ノウハウを習得でき、物件選定から許認可・採用・収益支援まで開業前後に本部が伴走する全国展開型FCモデル。定員制限なしで拠点数・利用者数を拡大でき、利益が出る店舗モデルが確立されています。将来のM&A・売却を見据えた戦略的な事業展開が可能です。
訪問介護本舗

強み
初期費用約300万円で開業可能な低投資型FC。オーナーは現場に入らず、マネジメントに専念できるのが特長です。商圏調査・許認可・採用・営業同行まで、本部が手厚く支援。飲食・小売など異業種からの参入実績も多く、未経験でも無理なくスタートできる訪問介護フランチャイズです。
あいわ介護グループ

強み
自宅開業や副業参入も可能なスモールスタート型訪問介護FC。居宅介護支援と訪問介護を併設し、自社ケアマネによる紹介ルートを内製化して安定した集客を実現。未経験OKで本部による開業準備や事業計画作成、許認可手続き、採用・研修、請求代行などサポートが手厚く、低リスクで始められます。
さくら・介護ステーション

強み
全国展開の老舗本部が提供する訪問介護FC。少額投資で自宅開業も可能。介護報酬請求や電話対応などのバックオフィス業務を本部が代行し、オーナーは人材管理・営業に専念できます。研修やSV支援も充実し、未経験者の参入にも適しています。
| 会社名 | サービスの特徴 | 加盟金 | ロイヤリティ |
|---|---|---|---|
ユースタイルラボラトリー |
高単価サービスを軸に少人数でも安定した運営を実現できる
|
120万円
※税不明
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公式サイトに記載なし
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訪問介護本舗 |
未経験でも低コストで開業 マネジメントに専念できるフルサポート型 |
198万円
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月商の5%(100万円迄は5.5万円)
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ヘルパーステーション |
最短3.5ヶ月でノウハウ習得、手厚い伴走支援付き |
公式サイトに記載なし
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公式サイトに記載なし
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アイネットアイ |
士業・行政と連携した経営支援が強み |
公式サイトに記載なし
|
公式サイトに記載なし
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まごのてグループ |
現場経験者限定、理念重視のFC |
0円
|
売上の5.0%(毎年0.5%減額し9年目以降1%)
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あいわ介護グループ |
自宅開業・副業も可、紹介ルート内製で安定集客 |
110万円
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初年度 5.5万円 / 月、2年目以降 売上の5%(最低5.5万円 / 月)
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さくら・介護ステーション |
請求業務などバックオフィス代行で負担軽減 |
220万円
|
売上の5%~1%(月売上高に応じた段階制)
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樹楽・にじむすび |
重度訪問介護・宿泊対応型デイなど高付加価値サービスに特化 |
公式サイトに記載なし
|
公式サイトに記載なし
|
ずっといえ |
要介護度の高い層に特化 採用保証付きで運営を支援 |
300万円
※税不明
|
売上の15%
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訪問介護フランチャイズの初期費用はどのくらい?
訪問介護のフランチャイズは、大規模な施設型介護と比べて初期費用を大きく抑えられることが特長です。高額な設備投資や物件取得といった負担を避けつつ、社会的に意義のある事業を始められるため、介護業界が未経験の方でもチャレンジしやすい分野といえます。
開業資金の相場と内訳
開業にかかる費用は、物件の種類や開業規模によって差はありますが、一般的な相場は以下のとおりです。
居抜き物件を活用し、最低限の備品だけをそろえる場合は、おおよそ300万円〜600万円前後がひとつの目安です。一方で、新たに物件を借りて内装を整えたり、訪問に使う車両も新規で用意するケースでも、1,000万円程度で開業できることが多くなっています。
| 項目分類 | 具体的な内容 | 費用目安(円) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 法人設立関連費用 | 登録免許税・定款認証料など | 10万~30万 | 会社形態による |
| 物件関連費用 | 敷金・礼金・仲介手数料など | 30万~100万 | 立地や規模で異なる |
| 設備・備品費 | 事務机・PC・書庫など | 20万~50万 | 個人情報管理に書庫必須 |
| 車両費 | 中古軽自動車、自転車など | 2万~200万 | 必要台数による |
| 人材関連費用 | 求人広告費・開業前研修中の給与など | 20万~50万 | 人員計画に基づく |
| フランチャイズ関連 | 加盟金・研修費など | 120万~220万 | 0円プランも存在 |
| 運転資金(3ヶ月分) | 家賃・人件費・光熱費・消耗品 | 180万~240万 | 介護報酬の入金まで必要 |
| 合計 | ― | 約400万~700万円 | あくまで一例 |
※費用相場、目安はキャククル編集チーム調べです。
資金調達の方法と活用できる制度
開業にあたっては、自己資金だけでなく、さまざまな資金調達の手段を活用することが可能です。無理のないスタートを切るためにも、以下のような制度や支援策を検討してみるとよいでしょう。
- 日本政策金融公庫の新創業融資制度:担保や保証人なしで、最大3,000万円まで融資が受けられます。実績がない初めての方にも利用しやすい制度です。
- 地域金融機関の介護・福祉向けローン:地方銀行や信用金庫など、地域経済の活性化を目的とした融資商品があります。
- フランチャイズ本部による分割払いや売上保証プラン:加盟金の分割払いや、開業後に一定の売上が得られなかった場合に本部が補填してくれる仕組みもあります。
これらの制度をうまく活用することで、初期資金に対する不安を大きく減らし、よりスムーズなスタートが目指せます。準備段階で情報収集をしっかり行い、ご自身に合った方法を選んでいきましょう。
資格がなくても始められる!未経験者を支えるサポート体制

訪問介護フランチャイズでは、介護福祉士などの専門資格がなくてもオーナーになれます。オーナーの役割は事業の運営とマネジメントが中心で、直接サービスを行う必要はありません。
ただし、利用者40人につき1人以上のサービス提供責任者(有資格者)を配置することが義務づけられています。 サービスの実施に必要な体制を整えるため、介護福祉士や実務者研修修了者といった資格保有者を一定数確保することも必要です。
経営・介護の基礎を学べる本部研修
多くのフランチャイズ本部では、介護業界が初めての方や異業種から参入する方に向けて、研修制度を充実させています。
たとえば、介護保険制度や報酬請求のしくみを基礎から学べる集中講座などが用意されており、制度の理解やミスのない運営に必要な知識をしっかりと身につけることができます。
さらに、現場スタッフと一緒に利用者宅を訪問する「同行訪問」も実施されることが多く、実際の現場を体験しながら、サービス提供の流れや利用者のニーズを肌で感じられる機会となっています。
人材採用と定着フォロー
訪問介護事業を安定的に運営していくうえで最も大切なのは、信頼できるヘルパーを確保し、長く働いてもらう環境を整えることです。
フランチャイズ本部では、主に次のような形で開業者を支援しています。
- 有資格ヘルパーの紹介など、採用面でのサポートが受けられる
- 求人広告費の一部を負担してくれる場合もある
- 定期的なスタッフ向けカウンセリングや相談窓口の提供により、定着率を高める支援がある
また、開業後もスーパーバイザーが電話やオンラインで定期的にフォローを行い、人材マネジメントや現場での課題にきめ細かく対応してくれます。このような継続的な支援が、未経験からでも安心して事業を継続できる大きな後押しとなるでしょう。
訪問介護フランチャイズの収益の仕組みは?
訪問介護事業の収益は、大きく分けて介護保険収入と自費サービス収入の2つから成り立っています。これらをバランスよく組み合わせることで、安定した売上と高い収益性が実現できます。
介護保険収入のストック
訪問介護事業の中心となるのは、介護保険制度を活用したサービス提供です。利用者が負担するのは全体費用の1〜3割で、残りは市区町村などの公的機関から支払われます。
主なサービスは身体介護(食事・入浴・排泄の介助など)と生活援助(掃除・洗濯・調理・買い物代行など)で、多くの利用者が毎月継続的に利用するため、ストック型の収益モデルとなっています。
利用者数が増え、サービス提供が安定すれば、月ごとの売上も予測しやすくなり、事業運営の見通しが立てやすくなるのが特徴です。
単価アップに効果的な自費オプション
介護保険だけでは応えきれない要望に応えるのが自費サービスです。散歩や趣味の付き添い、家族向けの家事代行、介護リフォームの相談、ペットの世話、旅行の付き添いなど多彩なメニューが考えられます。これらは利用者の満足度を高めるだけでなく、1人あたりの単価アップにもつながります。
- 散歩・趣味活動の付き添い
- 庭の手入れや大掃除などの家事支援
- 家族向けの食事準備
- リフォームや旅行の同行などの専門サポート
訪問介護フランチャイズの失敗を防ぐ3つのポイントはここ!
未経験からでも成功できる訪問介護フランチャイズですが、事業を軌道に乗せるためには3つのポイントを意識しましょう。
ブランド知名度
介護分野では、利用者やケアマネジャー、地域包括支援センターからの信頼がとても大切です。
有名なフランチャイズブランドであれば、開業当初から一定の信頼を得やすく、営業活動や顧客獲得もスムーズです。検討時は「地域でどのくらいブランド認知があるか」も必ずチェックしてください。
エリア調査
成功のカギを握るのが、事業を展開する地域選びです。高齢者人口と競合事業所数のバランスを確認し、高齢者が多く競合が少ないエリアを選ぶことで、安定した成長が見込めます。
フランチャイズ本部によっては、商圏分析やエリア調査もサポートしてくれるので、必ず相談しましょう。
運営システム
スタッフの勤怠や介護記録、請求作業まで手作業で管理するのは効率が悪く、ミスの原因にもなります。クラウド型の運営システムを使うことで、事務負担を軽減し、人材定着にもつなげることができます。代表的なシステムには「カイポケ」などがあります。
訪問介護フランチャイズ比較時に確認したい5項目
数ある訪問介護フランチャイズの中からパートナーを選ぶには、下記の5つの指標を比較しましょう。契約前のチェックリストとしてご活用ください。
コスト構造
- 加盟金:初期費用として支払う一時金。金額の幅が大きいので事前に確認を。
- 保証金:契約終了時に返還されることが多いですが、発生しない場合もあります。
- ロイヤリティ:毎月本部へ支払う手数料。固定か歩合制かで負担感が異なります。
売上保証と補填
開業初期に売上が伸び悩んだ場合でも安心できる売上保証制度の有無を必ず確認しましょう。適用期間や補填内容もチェックしておくと安心です。
研修内容
- 初期研修の期間や形式
- 現場体験の有無
- 開業後のフォローアップ体制
契約期間と解約条項
- 契約年数や更新料の有無
- 中途解約時の違約金が高額にならないか
- 契約書は弁護士など第三者にも確認を
ICTツール
- 提供されるシステムの内容(請求代行や記録管理アプリなど)
- 利用料がロイヤリティに含まれるか別途か
開業スケジュールの目安は6か月!準備の流れを確認
訪問介護フランチャイズの開業準備は、一般的に6ヶ月ほどを見込んで計画を立てるのが現実的です。大まかな流れとポイントを紹介します。
開業までの全体スケジュール(目安)
| 時期 | 主なタスク |
|---|---|
| 開業6ヶ月前 | 情報収集・比較・説明会参加 |
| 開業5ヶ月前 | フランチャイズ本部決定・契約・法人設立手続き |
| 開業4ヶ月前 | 事業計画・資金調達・研修申込 |
| 開業3ヶ月前 | 物件選定・契約・研修受講 |
| 開業2ヶ月前 | 指定申請・スタッフ採用・備品手配 |
| 開業1ヶ月前 | 実地調査・挨拶回り・広報活動 |
| 開業 | 指定通知受領・事業開始 |
法人設立と指定申請
- 法人設立(定款認証・登記)
- 自治体が指定する「新規指定前研修」の受講
- 指定申請書類の準備と提出
物件準備と実地調査
- バリアフリーや相談室の確保など、法令基準を満たす事務所づくり
- 行政による現地調査で設備や書類の確認を受ける
開業直前の広報活動
- 地域のケアマネジャーへの挨拶訪問
- チラシ配布や掲示板への掲載など広報活動
- 説明会開催で地域にサービスをPR
市場は拡大中!今後ますます必要とされる訪問介護
日本は超高齢社会を迎え、在宅介護の需要は今後も拡大が続くと予測されています。厚生労働省の推計によれば、介護や支援を必要とする「要介護(要支援)認定者」は、2020年の約725万人から2040年には約988万人にまで増える見込みです。この20年間で、実に250万人以上の増加が見込まれており、それだけ在宅サービスの役割も重要になっていくと考えられます。
参照元:厚生労働省|介護人材確保の現状について(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001500514.pdf)市場規模予測
- 要介護・要支援認定者は2040年までに約988万人に増加(※)
- 「住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい」というニーズが増加
- 在宅サービスの需要が施設サービスより大きく伸びる傾向
競合状況
全国どこでも同じではなく、都市部と地方で競争環境が大きく異なります。地方都市や過疎地は事業所不足が目立ち、新規参入のチャンスが多い一方、人材確保が大きな課題です。都市部は事業所が多く競争が激しいため、専門特化や高品質な自費サービスでの差別化が必要です。
後悔しないためのフランチャイズ選びのステップ
訪問介護フランチャイズで成功するためには、最初のパートナー選びが非常に重要です。勢いで決めるのではなく、情報をしっかり集めて比較検討を行うことが、後悔しない選択につながります。
情報収集のコツ
まずは複数のフランチャイズ比較サイトやポータルサイトを活用し、加盟金やロイヤリティ、サポート内容などの基本情報を一覧で比較してみましょう。気になった本部があれば、5~10社程度を目安に資料を請求して、より詳しい内容を確認しておくと安心です。
説明会への参加
本部が開催する説明会には、オンライン・対面を問わず積極的に参加しましょう。特に意識したいのは、収益モデルの根拠や、実際に成功している加盟店の事例、開業後のフォロー体制についての確認です。
話を聞くだけでなく、疑問に感じた点をしっかり質問し、具体的な回答を引き出すことで、本部の対応力や信頼性も見えてきます。
シミュレーションで収益確認
本部から提示される収益シミュレーションをそのまま信じるのではなく、自分自身でもシミュレーションを行っておくことが大切です。高齢者人口や競合状況など地域の実情を踏まえながら、どの程度の利用者数が見込めるのか、スタッフの稼働率や平均単価がどれくらいになりそうかを想定し、黒字化までの道筋を明確にしておきましょう。
訪問介護フランチャイズのまとめ

訪問介護フランチャイズは、初期投資を抑えつつ社会的意義の高い事業に参入できるモデルです。資格がなくても開業可能で、本部の研修や採用支援により未経験でも運営を軌道に乗せやすいのが特長です。
また、介護保険収入を基盤とした安定的な収益構造に加え、自費サービスによる収益拡大も期待できます。今後ますます需要が高まる在宅介護分野において、新たな事業展開をお考えの方にとって、十分に検討に値する選択肢といえるでしょう。この記事の内容を参考に、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
- 免責事項
- 本記事は、2025年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。

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