営業利益を改善する方法|利益が残らない原因と売上・コストの見直し方
最終更新日:2026年10月14日
売上が伸びても、利益が同じように増えるとは限りません。値引きが増えた、材料費や外注費が上がった、受注を増やすための広告・営業費用が膨らんだ。売上の数字だけでは、こうした変化を見落としてしまいます。
営業利益は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた利益です。改善するには、売上を増やす方法と、その売上をつくるために増える費用を一緒に確認することが必要です。
現在の利益を計算したうえで、値引き、商品構成、原価、販管費、顧客ごとの対応負荷を見ていきましょう。どこで利益が減っているかを分けると、優先して取り組む改善策を選びやすくなります。
営業利益の改善に必要な計算式|粗利・営業利益率との違い

営業利益は、本業の営業活動から生じた利益を示します。売上高から、売上に対応する原価と、販売・管理にかかる費用を差し引いて求めます。
営業利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は「販管費」とも呼ばれます。営業利益の改善では、売上高、売上原価、販管費を同じ期間で確認します。
粗利は、販管費を引く前の利益
売上高から売上原価を引いたものが、売上総利益、いわゆる粗利です。営業利益は、その粗利から販管費を差し引いた金額になります。
商品が売れて粗利が出ていても、広告、営業、管理などの費用をまかなえなければ、営業利益は残りません。商品単体の粗利と、会社全体の営業利益を分けて確認しましょう。
営業利益率は、売上高に対して利益がどのくらい残るかを示す
営業利益率は、営業利益を売上高で割って求めます。
営業利益率=営業利益÷売上高×100
売上高1,000万円、営業利益50万円なら、営業利益率は5%です。営業利益の金額と利益率を併せて見ることで、売上の規模と利益の残り方を確認できます。売上高がゼロの場合は、この式で利益率を計算できません。
営業利益だけで、会社の状態をすべて判断しない
営業利益は、受取利息や支払利息などの営業外損益を加減した経常利益とは異なります。また、利益と現預金の増減も一致するとは限りません。
営業利益を改善するときも、売掛金の回収や仕入れ代金の支払いなど、資金の動きは別に確認します。利益の改善と資金繰りの管理を、同じ指標だけで判断しないことが大切です。
営業利益の改善は、売上・原価・販管費の変化を分けるところから
営業利益が下がったときは、まず前年同月や計画などと比較し、売上高、売上原価、販管費のどこが変化したかを確認します。季節性や一時的な費用がある場合は、その影響も分けて見ます。
| 現在の状況 | 考えられる要因 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 売上は増えたが、粗利が増えない | 値引き、原価上昇、粗利の低い商品・案件への偏り | 販売単価、原価率、商品・案件ごとの売上構成 |
| 粗利は増えたが、営業利益が減った | 広告、営業、人員、設備・システムなどの費用増加 | 増えた販管費の内訳と、発生した目的 |
| 受注は増えたが、対応に追われている | 追加対応、手戻り、外注、納品・保守の負担増加 | 見積もり時の想定と、実際の作業・費用の差 |
| 集客費用が増えても、受注が増えない | 対象顧客との不一致、提案の停滞、検討期間の長さ | 問い合わせ内容、商談・受注の結果、案件の進捗 |
| 売上が落ち、費用をまかなえない | 販売量の減少、顧客の離脱、固定的な費用の負担 | 減った商品・顧客・経路と、維持している費用 |
売上原価と販管費を、変動費と固定費に置き換えない
売上原価・販管費は、費用の性質や役割による会計上の区分です。変動費・固定費は、販売量などの変化に対して費用がどう動くかを見る分析上の区分です。
売上原価にも固定的な費用が含まれる場合があり、販管費にも販売量に応じて増える費用があります。「原価はすべて変動費」「販管費はすべて固定費」と扱わず、自社の内訳を確認します。
減益の理由を、営業担当者の問題だけにしない
営業利益は、販売価格、仕入れ・製造、提供体制、集客、管理などの影響を受けます。値引きが増えていても、顧客との比較条件や、提供内容の説明が合っていない可能性があります。
どの数字が変わり、その背景に何があったかを分けて確認することが、改善策を決める出発点です。
営業利益を改善する方法①値引き・価格・商品構成を見直す

売上を増やす施策として、販売量の拡大だけでなく、価格と販売する商品の組み合わせも確認します。売上が大きい商品・案件が、十分な利益を生んでいるとは限りません。
値引きの理由と、値引き後に残る粗利を確認する
値引き額、対象顧客、受注・失注の結果を整理します。競合価格に合わせたのか、提供内容の違いが伝わっていなかったのか、条件調整のためだったのかを確認してください。
同じ売上原価で値引きをすれば、その分だけ粗利は減ります。販売量が増える場合も、値引きによる粗利の減少と、追加の対応費用を含めて判断します。
営業担当者ごとに対応が違う場合は、価格を変更できる条件と承認方法を揃えます。無償の追加対応も、実質的な値引きとして負担を確認しましょう。
価格は、原価・提供価値・顧客の判断を合わせて見直す
原材料や外注費などが上がった場合は、現在の価格で提供を続けられるかを確認します。価格の見直しは、品質向上があった場合だけでなく、提供に必要な費用や条件の変化も踏まえて検討します。
顧客には、対応範囲、品質、納期、支援内容など、価格に含まれる価値を説明します。価格変更後は、購入・受注の減少や、顧客の反応も併せて確認してください。
粗利率と粗利額を見て、重点商品を選ぶ
粗利率が高くても販売量が少なければ、会社全体に残る粗利額は小さい場合があります。一方、売上が大きくても粗利率が低く、対応負荷が高い商品もあります。
商品・サービスごとの粗利率、粗利額、販売量、対応に必要な作業を確認します。顧客のニーズと提供体制が合う範囲で、利益への貢献が見込める商品の提案を増やします。
何をどれだけ売るかに加え、どの価格・提供条件で売るかを見直すことが、営業利益の改善につながります。
営業利益を改善する方法②売上拡大にかかる追加費用を計算する
新規顧客やリピート購入を増やす施策では、増える売上と、その売上に対応する原価・販管費を一緒に見積もります。集客件数や受注件数だけでは、営業利益への効果を判断できません。
売上が増えても、営業利益が減る場合がある
以下は、同じ期間の売上高・売上原価・販管費を比較する仮の計算例です。実際の企業の実績や、施策の効果を示すものではありません。金額の単位は万円です。
| 条件 | 売上高 | 売上原価 | 販管費 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|
| 現状 | 1,000 | 650 | 300 | 50 |
| 売上が増加し、原価率・販管費は同じ | 1,100 | 715 | 300 | 85 |
| 売上増加に加え、広告費などが50増加 | 1,100 | 715 | 350 | 35 |
| 売上・販管費は同じで、原価率が低下 | 1,000 | 620 | 300 | 80 |
この例では、売上が100万円増え、原価率が65%のままなら、粗利は35万円増えます。しかし、そのために販管費が50万円増えると、営業利益は現状の50万円から35万円へ減ります。
施策で増えた粗利が、追加で発生した費用を上回るかを確認することが重要です。
追加の受注に必要な費用を、社内の対応まで含めて見る
広告・紹介などの費用に加え、商談、見積もり、納品、サポートで増える作業を確認します。現在の体制で対応できるか、残業や外注、新たな採用が必要かも見積もりに含めます。
既存顧客への追加提案やリピート施策も、対応する費用がゼロになるわけではありません。販売条件と提供負担を確認したうえで、増やす対象を選びましょう。
固定的な費用をまかなえる売上を確認する
販売量と費用の関係を整理する際は、損益分岐点を使う方法があります。営業活動にかかる費用を変動費と固定費に分け、利益がゼロになる売上高を確認します。
売上高から変動費を引いたものを限界利益といい、売上高に占める割合が限界利益率です。限界利益率が正の場合、損益分岐点売上高は「固定費÷限界利益率」で求められます。計算では、35%なら0.35として使います。
この分析は、費用の分類と、販売量に応じて費用がどう変わるかの前提が必要です。実際の費用が前提から変わる場合は、計算を見直してください。
営業利益を改善する方法③原価・販管費の無駄を減らす
費用を見直す際は、支払額の大きさに加え、何のための費用か、減らした場合にどこへ影響するかを確認します。品質や対応力が下がり、売上や受注を失う場合もあるためです。
原価は、仕入れ条件と作業の両方を見直す
仕入れ先や外注先の条件を比較する場合は、価格だけでなく、品質、納期、物流、継続して供給できる体制を確認します。価格が下がっても、検品や手直しの負担が増える場合があります。
社内では、材料の無駄、廃棄、やり直し、工程の重複、必要以上の個別対応などを確認します。サービス業でも、作業手順や見積もりの精度を見直すことで、想定外の工数を減らせる場合があります。
まとめて仕入れる方法は、単価だけでなく、在庫、保管、廃棄、支払いへの影響も含めて判断してください。
販管費は、利用状況と目的を確認する
契約しているサービスやシステム、外部への委託、事務・営業の作業について、使っているか、業務に必要か、重複していないかを確認します。
業務を効率化して時間が減っても、人件費などの支払額がすぐ減るとは限りません。減った時間を何に使えたか、残業や外注などの費用が実際に変わったかを分けて評価します。
広告・展示会・Web施策を、同じ成果の定義で比べる
オフラインからWebへ切り替えるだけで、費用が下がるとは限りません。制作、運用、広告、営業対応などを含め、対象顧客との接点と受注の結果を確認します。
媒体や施策を比べる際は、問い合わせ、商談、受注の定義と対象期間を揃えます。受注まで時間がかかる商材では、進行中の案件も確認し、短期間の結果だけで判断しないようにします。
減らした費用と、その結果変わった品質・売上・対応負担を一緒に確認することが、費用削減を利益改善へつなげるポイントです。
営業利益の改善は、商品・顧客・集客経路ごとに確かめる

会社全体の営業利益を確認した後は、商品、案件、顧客、集客経路などに分けて、どこで粗利と費用が生じているかを見ます。売上の多い対象だけを重点化せず、提供に必要な負担も確認します。
商品・案件は、想定と実際の原価を比べる
見積もり時の原価と、仕入れ、外注、作業などに実際にかかった費用を比較します。追加対応や手戻りが多い場合は、見積もりの前提、仕様の確認、提供範囲を見直します。
商品ごとの粗利率だけでなく、粗利額と販売量も確認します。低粗利の商品が他の商品への接点になっている場合などは、取引全体の役割も考えて判断してください。
顧客ごとの追加対応と取引条件を確認する
同じ金額の受注でも、個別の資料作成、納品条件、問い合わせ対応、追加の調整などで負担は異なります。値引きや無償対応と併せて、実際にどこへ時間・費用がかかっているかを記録します。
負担が大きい場合は、顧客への提供範囲、料金、作業方法を見直します。売上額や一つの指標だけで、取引の継続・終了を決めないようにしましょう。
集客経路は、受注後に残る粗利まで確認する
経路ごとに、集客費用、商談・受注の結果、受注案件の粗利と対応負担を確認します。問い合わせ単価が低くても、対象外の相談が多い場合や、値引きが大きい案件に偏る場合があります。
同じ顧客が複数の広告やメディアを見ている場合は、一つの経路だけに成果を帰属させにくくなります。共通費用の配分も含め、経路別の数字は管理上の分析として、前提を揃えて使います。
集客した顧客が、どの商品を、どの価格・条件で購入し、どの負担が発生したかまで見ると、増やしたい顧客像を具体化できます。
その顧客像に合わせて、商品・サービスの選び方や自社の強みをWebで伝える方法もあります。キャククルを運営するZenkenのポジショニングメディア資料では、施策の特徴と業界別の導入事例を確認できます。
営業利益の改善を進める4ステップと効果の確認
原因と改善の候補が見えたら、実行する範囲、担当者、必要な費用、確認する時期を決めます。複数の施策を同時に変えすぎると、何が結果に影響したかを判断しにくくなります。
1.現在の数字と、利益が減っている箇所を記録する
売上高、売上原価、粗利、販管費、営業利益、営業利益率を同じ期間で確認します。必要に応じて、商品・案件・顧客・集客経路へ分け、原因を調べる対象を絞ります。
2.改善によって変わる売上と費用を見積もる
価格変更、販売量の拡大、原価・販管費の削減について、増減する金額を見積もります。実行に必要な費用や、売上・品質への影響も含めて考えます。
効果の大きさ、実行できる時期、必要な体制、影響の範囲を見て、優先順位を決めてください。
3.対象を絞って実行し、途中の変化を確認する
商品、顧客群、部署、集客経路など、結果を確認できる範囲で始めます。価格変更なら購入・受注の反応、原価改善なら品質や手戻り、集客なら相談内容と案件の進捗も確認します。
4.営業利益と、継続するための条件を評価する
施策前後の数字を比較し、計画した効果と差がある場合は、その理由を調べます。季節性、販売構成、一時的な費用などの違いも確認してください。
| 改善する対象 | 確認する数字 | 併せて見ること |
|---|---|---|
| 価格・値引き | 販売単価、値引き額、粗利額・粗利率 | 販売量、受注・失注、顧客の反応 |
| 商品・顧客構成 | 対象別の売上・粗利、取引件数 | 提供に必要な体制、追加対応、継続取引 |
| 原価 | 原価額・原価率、廃棄・手戻りなどの費用 | 品質、納期、供給、在庫 |
| 販管費・集客 | 費用の内訳、商談・受注、実際に減った支払額 | 問い合わせの内容、営業負担、将来の案件 |
| 全体の結果 | 営業利益、営業利益率 | 一時的な要因、継続できる体制、資金の動き |
売上や費用の一項目だけで成功と判断せず、営業利益と継続性を確認することで、次の改善につなげられます。
営業利益の改善に向け、価格以外で選ばれる理由を伝える

営業利益の改善では、売上・原価・販管費の変化を分け、価格、商品構成、追加費用、提供負担を確認します。自社の数字から原因を絞り、施策によって何が変わったかを確かめることが基本です。
その中で、値引きが多い、強みが伝わらず価格だけで比較される、対応条件の合わない相談が多い場合は、集客する相手と伝える情報も見直しましょう。
品質、対応範囲、納期、専門性、導入・運用支援など、顧客が評価した点を確認します。その価値を必要とする顧客へ、どの課題に役立ち、価格に何が含まれるかを説明します。
自社の価格に見合う価値を判断できる情報を、必要とする顧客へ届けることが、値引きだけに頼らない集客・営業を考える手がかりになります。
キャククルを運営するZenkenでは、顧客・競合・自社の強みと、業界・検索市場を調査し、対象顧客に合わせたWeb集客を設計します。製品・サービスの選び方と違いを伝えるポジショニングメディアなど、課題に合う施策を検討できます。
価格競争や集客対象のずれを見直したい場合は、狙う市場、自社が選ばれる理由、Webで伝える情報からご相談ください。施策の評価では、集客費用だけでなく、受注案件の粗利と営業・提供の負担も確認することが大切です。











