THE MODEL(ザ・モデル)とは?営業プロセス・KPI・導入手順
最終更新日:2026年10月15日
THE MODEL(ザ・モデル)は、見込み顧客の獲得から商談、受注、契約後の活用支援までを役割に分け、顧客情報と数値を共有して営業活動を改善する仕組みです。
営業担当者が新規開拓から既存顧客のフォローまで抱えている企業では、役割の整理が負担の見直しにつながります。一方、すでに分業していても、「資料請求は増えたが商談にならない」「商談を引き継いでも受注につながらない」という状況は起こり得ます。
導入・改善で確認したいのは、どの顧客を対象にし、どの状態で次の担当へ引き継ぎ、その後どうなったかを共有するかです。THE MODELの基本と4つの役割を押さえたうえで、自社の体制に合わせた導入手順、KPI、成果が出ない場合の確認方法を解説します。
THE MODEL(ザ・モデル)とは?営業を共通の情報でつなぐ仕組み

THE MODELは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの役割を整理し、各工程の情報や数値を共有して改善する営業プロセスモデルです。Salesforceで実践されてきた考え方で、福田康隆氏の著書『THE MODEL』でも紹介されています。
たとえば、Webサイトで獲得した問い合わせをインサイドセールスが確認し、具体的な提案を希望する顧客を営業へ引き継ぐ。契約後は、導入の目的や営業時に確認した条件をカスタマーサクセスへ伝え、活用を支援します。
この流れで共有するのは、連絡先だけではありません。顧客が解決したい課題、検討状況、説明した内容、次に必要な対応も含まれます。
従来の一貫担当型営業との違い
一貫担当型では、一人の営業担当者が新規開拓、商談、契約後の対応までを担います。顧客との関係を継続しやすい一方、担当者が不在になると進捗が分からない、商談が忙しくなると新規開拓が止まるといった課題が生じることがあります。
THE MODELでは工程ごとの役割を整理し、専門性を活かしながら情報をつなぎます。ただし、担当を分けるほど引き継ぎが必要になるため、次の担当者が、顧客の状況を理解して対応できる情報を残すことが欠かせません。
契約後の活用まで営業活動とつなげる
SaaSなどの継続契約型サービスでは、契約を獲得しても、顧客が活用できなければ継続につながりません。契約前に期待されたことと、導入後に実現することをそろえる必要があります。
このため、THE MODELを考える際は、受注までの効率に加え、契約後の顧客の状況も営業・マーケティングへ共有する仕組みを設計します。
THE MODELの4つの役割と、顧客情報の流れ

THE MODELの基本となる4つの役割は、次のとおりです。担当する業務の境界は、自社の商材や顧客の検討方法に合わせて決めます。
| 役割 | 主に担うこと | 次の対応につなげる情報 |
|---|---|---|
| マーケティング | 対象顧客への情報発信、見込み顧客の獲得、検討を進める情報の提供 | 流入元、関心を持ったテーマ、問い合わせ・資料請求の内容 |
| インサイドセールス | 顧客の状況確認、継続的な情報提供、提案機会の発見 | 課題、検討時期、関係者、確認済みの条件、次に希望する対応 |
| フィールドセールス | 課題に合う提案、条件調整、意思決定の支援、契約 | 導入目的、合意した範囲、期待される成果、開始時に必要な対応 |
| カスタマーサクセス | 導入・活用の支援、利用上の課題の確認、継続利用への対応 | 活用状況、実現できたこと、未解決の課題、追加の支援が必要な点 |
マーケティング:顧客が検討するための情報を届ける
広告、検索、展示会、セミナーなどを通じて、見込み顧客との接点をつくります。連絡先を獲得するだけでなく、顧客が自社のサービスを理解し、検討を進められる情報も用意します。
どの施策から、どのような相談が生まれたかを記録すると、後の商談状況と照合できます。
インサイドセールス:検討状況に合わせて次の対応を決める
電話、メール、オンライン面談などで顧客の状況を確認します。すぐに提案が必要な場合は営業へ引き継ぎ、検討時期が先であれば、必要な情報を提供して次の連絡時期を決めます。
アポイントの日程だけでなく、相手が何を相談したいのかまで把握することが、商談への引き継ぎに役立ちます。
フィールドセールス:顧客の課題と提供条件をすり合わせる
訪問やオンラインで商談し、顧客の課題に対して何を提供できるかを提案します。導入の効果だけでなく、対応範囲、費用、進め方、顧客側で必要な準備も確認します。
受注・失注の理由を前の工程へ共有すると、営業対象や事前説明を見直す材料になります。
カスタマーサクセス:顧客が導入目的を達成できるよう支援する
導入後の利用状況を確認し、顧客が製品・サービスを活用できるよう働きかけます。問い合わせへの回答に加え、活用が進まない理由や、成果を妨げている課題を確認します。
営業時の約束と導入後の支援をつなげることで、顧客が契約前に期待したことと、実際に受ける支援のずれを確認しやすくなります。
実際の営業では、商談を保留してインサイドセールスのフォローへ戻したり、既存顧客の課題を営業へ共有したりすることもあります。顧客の状況に合わせて、担当間を行き来できる運用にしましょう。
THE MODELのメリットは、営業の負担と停滞を見えるようにすること

THE MODELを取り入れると、誰がどの業務を担い、どこで対応が止まっているかを整理しやすくなります。効率化、専門性、属人化の見直しも、役割と情報共有が実際に機能することが前提です。
業務の偏りを確認し、担当を見直せる
商談担当者がリスト作成や問い合わせ対応にも追われている場合、業務を分けて記録すると、何に時間を使っているかが分かります。件数と所要時間を確認し、専任化する業務、兼任で続ける業務、手順をそろえる業務を検討できます。
分業しても、確認や引き継ぎの負担が増える場合があります。担当者の負担が減ったか、顧客への対応が遅くなっていないかを合わせて確認してください。
成果が止まっている工程を探せる
問い合わせが少ないのか、問い合わせ後に連絡が取れないのか、商談しても提案条件が合わないのか。受注件数だけを見ていては、これらを区別できません。
工程ごとの進捗を記録すれば、追加の集客が必要なのか、初回対応を見直すのか、提案内容を改善するのかを判断する材料になります。
担当者が変わっても、経緯を共有しやすくなる
顧客情報と対応履歴が残っていれば、新しい担当者は過去の説明や合意事項を確認できます。引き継ぎのたびに顧客へ同じ質問をすることや、未対応の約束が見落とされることを減らすために役立ちます。
改善につながるのは、役割を分けたうえで、情報を残し、次の対応に使う運用が続いている場合です。部署の新設やツールの導入だけで、営業上の課題が解消されるとは限りません。
THE MODELの導入手順|顧客像と引き継ぎ条件から整える

THE MODELを導入する際は、現在の営業活動を確認し、顧客への対応が止まっている箇所から整えます。最初からすべての役割を専任部署にする必要はありません。
1.現在の営業活動と停滞している箇所を確認する
見込み顧客を獲得してから、初回対応、商談、契約、導入後の支援まで、担当者と記録方法を書き出します。対応されていない問い合わせ、日程が決まらない商談、引き継ぎ情報が不足している案件なども確認してください。
そのうえで、「問い合わせへの初回対応をそろえる」「営業へ渡す情報を決める」など、最初に改善する範囲を選びます。
2.対象顧客と、自社が役立つ課題をそろえる
業種や企業規模だけでなく、自社のサービスが役立つ業務、抱えている課題、利用条件を整理します。既存顧客の受注理由と、対象外だった相談の内容も材料になります。
たとえば、専門的な運用支援が強みのサービスなら、その支援を必要とする顧客を対象にします。価格の安さだけを求める企業も同じ優先度で営業へ渡すと、商談で条件が合わないことがあります。
3.次の担当へ引き継ぐ条件を決める
営業へ引き継ぐ条件を、「興味がありそう」といった印象だけで判断しないようにします。自社との適合、相談したい課題、次の打ち合わせの目的など、確認する項目を決めてください。
引き継ぎ時に残す情報の例は、次のとおりです。
- 顧客の業務と、解決したい課題
- 問い合わせや資料請求のきっかけ
- 検討時期、関係する担当者、分かっている条件
- すでに説明したことと、未確認の質問
- 次の打ち合わせの目的、担当者、予定日
まだ商談に進まない場合も、次に提供する情報、再連絡の時期、担当者を決めます。予算などが未確定という理由だけで、一律にフォローを終える運用にしないよう、自社の営業方法に合わせて条件を調整しましょう。
4.記録する項目と、見直す場を決める
顧客情報をどこに記録し、誰が更新するかをそろえます。最初は改善に必要な項目に絞り、入力の負担も確認します。
定例の確認では、件数に加えて、引き継ぎを受け入れられなかった理由、対応が止まった理由、受注・失注の理由を共有します。改善する内容と担当者を決め、次回に結果を確認してください。
5.一部の商材や顧客群で試し、運用を調整する
対象を絞って試すと、引き継ぎ条件が厳しすぎる、必要な情報が足りない、担当者の負担が増えたといった問題を確認しやすくなります。自社の商談期間に合わせて経過を追い、条件や担当範囲を見直します。
導入事例:業務設計を先に進めたGLナビゲーション
Salesforceが公開するGLナビゲーションの事例では、最初にTHE MODELを取り入れた営業組織・プロセス改革を行い、その後にSalesforceを導入しています。役割分担、情報共有、データに基づく判断の運用を先に整えた点が参考になります。
この事例から自社へ取り入れる際も、ツールの機能と、社内で決める担当範囲・判断基準を分けて整理しましょう。
共通の顧客像や自社の強みを整理したい場合は、キャククルで提供している3C・STP分析などのワークシートを活用できます。顧客・競合・自社の価値を考えるための資料です。
THE MODELのKPIは、次の工程につながったかまで見る
KPIは、目標を達成するための進捗を確認する指標です。THE MODELでは工程ごとの数字を確認しますが、リード数や商談数が増えたことだけで、全体が改善したとは判断できません。
以下は、工程ごとに確認する指標の例です。すべてを同じ重さの目標にせず、自社で改善したい箇所に合わせて重点指標を選びます。
| 工程 | 指標の例 | 数値と合わせて確認すること |
|---|---|---|
| マーケティング | 見込み顧客数、対象条件を満たす顧客数、獲得費用 | どの施策から、どのような課題を持つ顧客が集まったか |
| インサイドセールス | 初回対応までの時間、接触できた件数、商談化数・商談化率 | 商談へ進まない理由、引き継ぎ条件を満たしたか、継続フォローの状況 |
| フィールドセールス | 商談実施数、受注数・受注率、受注金額、商談期間 | 受注・失注の理由、対象や提案条件との適合、案件が止まった箇所 |
| カスタマーサクセス | 導入・活用の進捗、契約更新率、解約状況 | 導入目的を達成できているか、活用上の課題、契約前の期待とのずれ |
商談化率・受注率は、対象と数え方をそろえる
商談化率は、商談化した件数を対象となる見込み顧客数で割って求めます。受注率は、受注件数を対象となる商談件数で割って求めます。
ただし、商談を「日程が決まった時点」とするか、「実施して案件条件を確認した時点」とするかで数値は変わります。企業単位・担当者単位・案件単位のどれで数えるかも、関係者で統一してください。
計算例として、1社につき1案件で数え、同じ見込み顧客100社の経過を追った結果、20社が商談化し、5社が受注したとします。この場合、商談化率は20%、受注率は25%です。業界の目安ではなく、計算方法を示すための仮の数値です。
当月の獲得数と当月の受注数を、そのまま割らない
検討期間が長い商材では、今月獲得した問い合わせが今月中に受注するとは限りません。同じ獲得時期の顧客群を追跡するなど、獲得と受注を結び付けて確認します。
契約更新率も、更新時期を迎えた契約を対象にするなど、対象期間と分母を明確にしてください。
数字を比較する前に、対象・期間・段階の定義をそろえることが必要です。そのうえで、件数の変化と顧客の状況を照合し、改善する箇所を決めましょう。
THE MODELで成果が出ないときに確認したい4つのずれ

分業しているのに受注や継続につながらない場合は、どの工程に問題があるかを確認します。ある部門の数字が低いという理由だけで、その担当者の問題とは判断できません。
| 起きている状況 | 考えられるずれ | 確認すること |
|---|---|---|
| リードは増えたが、対象外の相談が多い | 集客する顧客と、営業が提案できる顧客の条件が違う | 流入元、発信内容、対象条件、対応できない相談の内訳 |
| アポイントは増えたが、提案に進まない | アポイント獲得の条件と、営業が必要とする商談条件が違う | 面談の目的、顧客の課題、参加者、引き継ぎ条件 |
| 顧客が同じ説明を繰り返している | 担当者間で、相談内容や過去の説明が共有されていない | 記録する項目、更新担当、次の担当が情報を確認できるか |
| 受注しても、導入や継続で問題が起きる | 契約前の説明と、実際の提供範囲・支援内容が違う | 導入目的、合意条件、顧客側の準備、活用状況、解約理由 |
部門の目標が、顧客への対応と合っているか
リード数だけを評価すると、対象条件に合わない顧客も集める運用になり得ます。アポイント数だけを評価すると、顧客が具体的な提案を求めていなくても商談へ進めようとすることがあります。
件数と合わせて、次の工程へ進めた割合や、引き継ぎを受け入れられなかった理由を確認しましょう。各部門の評価が、全体で目指す受注・継続とつながっているかも見直します。
情報不足と、サービスとの不適合を分ける
商談が進まない理由には、必要な説明が足りない場合と、そもそも顧客の課題に自社のサービスが合わない場合があります。価格、対応範囲、導入時期、競合との比較など、実際に確認した理由を残してください。
対応量を増やす前に、どのような顧客が、どの理由で止まっているかを確かめると、修正すべき営業対象や情報が見えてきます。
THE MODELは自社に合う?少人数・個別提案型での取り入れ方

THE MODELをどう取り入れるかは、業種名だけでは決まりません。顧客数、商談の進め方、業務量、必要な専門性、契約後の支援を踏まえて、役割を分ける範囲を決めます。
少人数の組織では、兼任のまま役割と記録をそろえる
問い合わせや商談が少ない段階で専任担当者を配置すると、十分な業務量がない場合があります。兼任で対応しながら、工程ごとの担当、記録する内容、対応期限を決める方法もあります。
たとえば、初回問い合わせは共通の窓口で受け、提案が必要な案件を営業へ渡す。営業が契約後も担当する場合は、導入目的と活用状況を同じ記録で管理する、といった始め方です。
問い合わせへの対応遅れが増えた、商談担当者が事前確認に時間を取られているなど、業務上の変化を確認してから専任化を検討します。
個別提案型の商材では、専門担当者の参加条件を決める
受託開発、設備、コンサルティングなど、個別の確認や提案が必要な商材でも、問い合わせ受付、初期情報の整理、検討中のフォローを切り分ける余地があります。
ただし、技術要件や実現可能性の判断まで、専門性を持たない担当者だけで済ませると、説明や引き継ぎに無理が生じます。どの質問が出たら技術者や提案担当者に参加してもらうかを決めましょう。
担当が変わる場合も、顧客が相談の経緯を説明し直さずに済むよう、窓口と情報共有を整えます。
業務を分ける範囲は、顧客への対応が円滑になるかと、引き継ぎの負担の両方で判断します。一貫した担当者との関係が重要な案件では、顧客窓口を保ちながら社内の作業を分ける方法も検討してください。
THE MODELに関するよくある質問
THE MODELを導入するには、4つの部署をつくる必要がありますか?
必ずしも、最初から4つの専任部署をつくる必要はありません。自社の業務量と課題を確認し、兼任を含めて役割を整理します。誰がどの段階を担当し、どの情報を引き継ぐかを決め、対応の遅れや負担を見ながら体制を調整してください。
Salesforceを導入しないとTHE MODELは実践できませんか?
THE MODELの考え方と、顧客情報を管理する製品の導入は分けて検討できます。既存の管理方法で担当、進捗、顧客情報を共有するところから始めることも可能です。情報量や利用者が増え、更新・集計・権限管理が難しくなった場合は、CRMやSFAなどを検討しましょう。
THE MODELはSaaS以外の企業でも活用できますか?
見込み顧客の対応、商談への引き継ぎ、契約後の支援など、自社の営業に共通する部分を確認して活用を検討できます。個別提案や専門的な判断が多い商材では、担当を細かく分けすぎず、専門担当者が関わる条件を決めることが必要です。
THE MODELの導入で、最初に何を決めればよいですか?
まず、改善したい営業上の問題を具体化します。そのうえで対象顧客、担当範囲、次の担当へ引き継ぐ条件、記録する項目を決めます。リード数を増やすことが先なのか、すでにある問い合わせへの対応を整えることが先なのかを、現在の記録から判断してください。
THE MODELで商談を増やすなら、集める顧客と伝える強みをそろえる

THE MODELを取り入れる際は、役割分担に加え、共通の顧客像、引き継ぎ条件、情報の記録、工程をまたぐ評価を整えます。顧客の状況と数値を照合し、止まっている箇所を一つずつ改善しましょう。
そのうえで、リードは集まっているのに対象外の相談が多い場合は、営業へ渡す前の集客段階も確認したいところです。
営業が提案したい顧客に、Webの情報が届いているか
自社が得意な業務や対応条件がWebサイトに書かれていなければ、顧客はサービスが自社に合うか判断しにくくなります。幅広い企業へ同じ説明をしている場合も、営業担当者が商談のたびに適合条件を説明することになります。
既存顧客が自社を選んだ理由と、失注・対象外の理由を確認し、情報発信する相手と内容を見直してください。
たとえば、特定業務への専門性が評価されているなら、その業務で起こる課題と、対応できる範囲を具体的に示します。導入後の支援が選ばれているなら、どのような支援を受けられるかを、検討段階で分かるようにします。
顧客・競合・自社の強みから、集客する相手と訴求を考える
自社の強みを必要とする顧客へ、その強みが比較・選定の材料になる情報を届けることが、集客と営業の説明をそろえるために役立ちます。
キャククルを運営するZenkenでは、顧客・競合・自社の強みを踏まえたWebマーケティングを支援しています。営業が提案したい顧客像と、現在の流入・問い合わせ内容を確認し、伝える情報やWeb集客施策を検討します。
「資料請求はあるが自社に合う相談が少ない」「強みが伝わらず価格の比較に偏る」といった状況がある場合は、現在の集客方法と、営業で確認している受注・失注の理由をお聞かせください。











