データセンター空調は、一般空調とは異なり、IT機器の顕熱を24時間処理しながら、故障や保守時にも冷却を継続できる設計が必要です。
データセンター空調メーカー、海外ブランド、設備設計施工会社、国内取扱会社18社の対応領域を整理し、精密空調・冷水式・直膨式・外気冷却を発注条件に合わせて選ぶ方法を解説します。
データセンター空調メーカー・設備会社18社の比較表
空調機を製造する会社だけでなく、熱源・制御機器メーカー、海外ブランド、国内取扱・保守会社、設備設計施工会社を含みます。主な空調方式・製品、対象規模・設置方式、設計・制御・保守範囲を共通軸にして、会社の役割を分けて比較してください。
| 会社名 | サービスの特徴 | 主な空調方式・製品 | 対象規模・設置方式 | 設計・制御・保守範囲 |
|---|---|---|---|---|
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日立グローバルライフソリューションズ株式会社 |
情報通信向け空調機とメーカー設計・施工を組み合わせる |
フリーアクセスフロア対応型、局所空調型、電算機専用型空調
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電算室から高密度データセンター、床下・局所冷却
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空調機供給、シミュレーション、システム計画、設計・施工
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クボタ空調株式会社 |
壁吹き・床吹きの冷水空調機をカスタマイズ |
冷水式データセンター空調機、壁吹出し型、床吹出し型、ECファン
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中・大規模データセンター、床下送風、壁吹き・大風量用途
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機器製造、カスタマイズ、BACnet・Modbus、FAT・FWT、全国保守
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新晃工業株式会社 |
大規模向けサーバーエアハンを製造・性能検証 |
サーバーエアハン、冷水コイル、ECファン、大風量AHU
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大規模データセンター、機械室・壁吹き構成、大風量用途
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機器設計・製造、能力試験、付属品・オプション、保守情報
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三菱電機株式会社 |
電算室用直膨空調と二重化制御を組み合わせる |
電算室用パッケージエアコン、直膨式、下吹き、空調・熱源制御
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小・中規模電算室、既設配管更新、チラープラント制御
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機器供給、停電復帰、BACnet・Modbus、SCADA・制御二重化
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ダイキン工業株式会社 |
空調・熱源・液体冷却設備の統合制御を検証 |
空調・熱源設備、空調制御AI、液体冷却設備との統合制御
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AIデータセンター、中・大規模施設、空冷・液冷併用環境
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空調・熱源技術、負荷予測制御、共同検証。製品・保守範囲は個別確認
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三菱重工業株式会社 |
電源・冷却・デジタル管理を設備全体で統合 |
ターボ冷凍機、空調・冷熱、液冷、電源・発電、運用最適化
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中・大規模データセンター、キャンパス型、電源・冷却一体計画
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機器供給、システム統合、冷熱エンジニアリング、運用最適化
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パナソニック株式会社 |
欧州でCCU・CDU・フリークーリングチラーを展開 |
CCU、CDU、フリークーリングチラー、空冷・液冷併用
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欧州の生成AIデータセンター、中・小規模から大規模施設
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機器開発・供給。日本国内の販売・設計・保守範囲は個別確認
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Trane |
大型チラーと制御・改修・保守を熱源側から提案 |
水冷・空冷ターボ冷凍機、スクリュー・スクロールチラー、制御
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中・大規模データセンター、チラープラント、新設・改修
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熱源機器、工場性能試験、制御、レトロフィット、遠隔・現地保守
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Schneider Electric |
UniflairのIn-Row・チラーとコンテインメントを展開 |
Uniflair直膨・冷水In-Row、空冷・水冷チラー、コンテインメント
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配線室、小・中規模サーバールーム、大規模・高密度データセンター
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機器・ラック・配管、内蔵監視・冗長制御、設計・運用支援
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Vertiv |
Liebert精密空調と高密度向け液冷を組み合わせる |
Liebert精密空調、ルーム・列冷却、フリークーリング、CDU・液冷
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エッジ・電算室からコロケーション、AI・HPC高密度ラック
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機器供給、熱管理設計、制御・監視、試運転・保守サービス
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Rittal |
ラック近接型LCPとリアドア・CDUを展開 |
LCP Rack・Inline、冷水リアドア熱交換器、In-Row CDU
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単一ラック、ラック列、高密度IT、ホワイト・グレースペース
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ラック・冷却機器供給、センサー・プロトコル、後付け・保守性設計
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STULZ |
CyberAirをNTTファシリティーズが国内販売・保守 |
CyberAir水冷空調機、下吹き・壁吹き、ECファン、自立制御
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日本の中・大規模データセンター、床下・壁吹き、高発熱用途
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STULZ製造、NTTファシリティーズによる日本市場向け販売・保守
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Munters |
NTTファシリティーズがDCiEを日本向けに提供 |
DCiE間接蒸発冷却、ドライ・ウェット・補助熱源モード
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中・大規模データセンター、外気冷却適地、都市型施設
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Munters製品をNTTファシリティーズが日本向け提案・カスタマイズ
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Airedale by Modine |
グローバルでCRAH・チラーとプラント制御を統合 |
CRAH、フリークーリングチラー、冷水プラント制御
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海外の大規模・コロケーションデータセンター、冷水式設備
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グローバル製品・設計支援。日本国内の販売・保守は要確認
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株式会社NTTファシリティーズ |
機器選定から設計・構築・保守まで国内で統合 |
CyberAir、Munters DCiE、空調・電源・監視、データセンター設備
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都市型・中大規模データセンター、新設・更新・高発熱対応
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機器取扱、設備設計・構築、カスタマイズ、運用・保守
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株式会社朝日工業社 |
外気冷房・フリークーリングを設備設計施工で実装 |
直接・間接外気冷房、発展型フリークーリング、精密空調
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新設・改修データセンター、外気条件を活用できる立地
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空調設備の設計・施工、省エネ技術、気流・運用条件の検討
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ニッセツ株式会社 |
ITファシリティの空調機取扱・設計・更改を支援 |
直膨・冷水・In-Row・蒸発冷却、Citec製品、Schneider InRow
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小・中・大規模データセンター、既設設備更改、コンテナ型
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製品取扱、空調設計、設備配置、施工、更改、保守サービス
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株式会社鎌倉製作所 |
コンテナ型向けAirXを開発中 |
AirXコンセプト、地下水利用、空冷・水冷ハイブリッド空調
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高発熱GPUを収容するコンテナ型データセンター構想
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2026年7月13日時点で開発中。製品仕様・販売・保守は未確定
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データセンター空調メーカー・設備会社18社の特徴
データセンター空調メーカー・設備会社の選び方
最初に「製品を買う相手」と「設備全体を設計・施工する相手」を分けます。CRACやCRAHを製造する会社でも、熱源、配管、電源、BMS、現地工事を一括で請け負うとは限りません。一方、設備会社は複数メーカーの機器を選定できますが、製品保証や部品供給はメーカー・国内代理店に依存します。
候補各社へ同じ要求仕様表を渡し、機器能力、年間電力・水使用量、冗長構成、工事中の継続運転、FAT・SAT、保守範囲を同じ条件で回答してもらうと比較しやすくなります。製品名から先に決めるのではなく、発熱密度と施設条件から方式を絞ることが重要です。
データセンター空調と一般空調の違い
一般空調は、人の快適性を目的として温度だけでなく除湿・加湿などの潜熱処理を行い、在室時間に合わせて運転する設計が中心です。データセンターではIT機器の発熱の大半が顕熱で、年間を通じて連続的に発生します。顕熱比、送風量、吸込温度、IT負荷追従、停電復帰、冗長化が選定の中心になります。
同じ冷却能力でも、冷気がラック前面へ届かず、排気が吸気側へ回り込めばホットスポットが発生します。そのため、空調機だけでなく、ホットアイル・コールドアイル、コンテインメント、ブランクパネル、床下静圧、ケーブル開口、天井還気を含めて気流を設計します。
| 比較項目 | 一般空調 | データセンター空調 |
|---|---|---|
| 主な負荷 | 人、外気、照明、日射、潜熱を含む | IT機器の顕熱が中心で24時間変動 |
| 運転 | 営業時間・在室状況に応じた運転 | 連続運転、停電復帰、保守時継続が前提 |
| 気流 | 室内の快適性と温度分布を重視 | ラック吸排気の分離とホットスポット防止を重視 |
| 信頼性 | 用途に応じて予備機を設定 | N+1、N+2、二系統など障害・保守を想定 |
| 監視 | BMSで室温・運転状態を監視 | BMS・DCIMでラック温度、負荷、空調・熱源を連携 |
CRAC・CRAH・In-Row・AHUと送風方式の違い
| 方式・機器 | 役割 | 主な設置 | 選定時の注意 |
|---|---|---|---|
| CRAC | 圧縮機を持つ直膨式の精密空調機として室内空気を冷却 | 電算室内、周囲、床下吹き | 室外機、冷媒配管長、回路分割、低外気温運転、停電復帰 |
| CRAH | 施設側から供給される冷水で空気を冷却 | データホール周囲、機械室、床下・壁吹き | チラー、ポンプ、冷水温度差、配管冗長、弁制御 |
| In-Row | ラック列の間で吸排気し、熱源近傍で冷却 | 高密度ラック列、既設増強区画 | ラック寸法、冷媒・冷水経路、保守幅、コンテインメント |
| AHU | 大風量の空気をコイルとファンで処理する空調機 | 機械室、外周部、壁越し送風 | 搬入、壁開口、コイル列数、ファン冗長、側面保守 |
| 床下吹き | フリーアクセス床下を給気プレナムとして冷気を供給 | 従来型データホール | 床下障害物、漏気、静圧、開口率、床高さ |
| 壁吹き | 機械室側から壁開口を通して大量の冷気を供給 | 大規模・高密度データホール | 壁面配置、吹出距離、還気経路、運転中の保守動線 |
| 外気冷却 | 低温外気を直接または熱交換器経由で利用 | 気象条件・空気質が適合する立地 | 湿度、塵埃、腐食性ガス、煙害、結露、補助冷却 |
| 間接蒸発冷却 | 外気側へ散水し、気化熱と熱交換器で還気を冷却 | 中・大規模施設、外気利用設備 | WUE、水質、水処理、凍結、補助熱源、保守清掃 |
空冷・冷水式・直膨式と液冷併用の考え方
直膨式は小・中規模や分散増設に合わせやすい
直膨式は、CRAC内部の蒸発器で冷媒を直接膨張させ、室外機で熱を屋外へ排出します。熱源プラントを新設せず独立系統を追加しやすいため、小・中規模電算室や段階増設に向きます。冷媒配管長、高低差、室外機置場、低外気温時の運転、冷媒回路の単一障害点を確認します。
冷水式は大容量・集中熱源の効率と拡張性を評価する
冷水式は、チラーで作った冷水をCRAHやAHUへ送り、空気と熱交換します。大規模化しやすく、チラー・ポンプの台数制御や外気冷熱を活用できますが、配管、バルブ、冷却塔、補給水、水処理を含む設備全体の設計が必要です。定格効率より、年間の部分負荷と冷水温度差で比較します。
空冷は冷媒式と屋外熱交換器の意味を分ける
「空冷」は、室内を空気で冷やす方式と、冷凍機の凝縮熱を屋外空気へ捨てる方式の両方で使われます。見積書では、IT側の熱伝達、室内空調、熱源の放熱方式を分けて記載します。水冷チラーを使う場合は冷却塔の水使用量、空冷チラーを使う場合は夏季外気温とファン電力を比較します。
液冷を併用しても空気側冷却は残る
コールドプレートや液浸でCPU・GPUの熱を液体へ移しても、メモリ、電源、ストレージ、ネットワーク機器など空気側へ残る熱があります。液冷比率を定義し、CDU、施設水、残留空気負荷、結露防止を一つの熱収支にします。液冷・液浸・CDUの候補は、既存記事でサーバー冷却装置メーカーを比較すると整理できます。
データセンター空調メーカー・設備会社18社の比較表
| メーカー・設備会社 | 主な空調方式・製品 | 対象規模・設置方式 | 設計・制御・保守範囲 |
|---|---|---|---|
| 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | フリーアクセスフロア対応型、局所空調型、電算機専用型空調 | 電算室から高密度データセンター、床下・局所冷却 | 空調機供給、シミュレーション、システム計画、設計・施工 |
| クボタ空調株式会社 | 冷水式データセンター空調機、壁吹出し型、床吹出し型、ECファン | 中・大規模データセンター、床下送風、壁吹き・大風量用途 | 機器製造、カスタマイズ、BACnet・Modbus、FAT・FWT、全国保守 |
| 新晃工業株式会社 | サーバーエアハン、冷水コイル、ECファン、大風量AHU | 大規模データセンター、機械室・壁吹き構成、大風量用途 | 機器設計・製造、能力試験、付属品・オプション、保守情報 |
| 三菱電機株式会社 | 電算室用パッケージエアコン、直膨式、下吹き、空調・熱源制御 | 小・中規模電算室、既設配管更新、チラープラント制御 | 機器供給、停電復帰、BACnet・Modbus、SCADA・制御二重化 |
| ダイキン工業株式会社 | 空調・熱源設備、空調制御AI、液体冷却設備との統合制御 | AIデータセンター、中・大規模施設、空冷・液冷併用環境 | 空調・熱源技術、負荷予測制御、共同検証。製品・保守範囲は個別確認 |
| 三菱重工業株式会社 | ターボ冷凍機、空調・冷熱、液冷、電源・発電、運用最適化 | 中・大規模データセンター、キャンパス型、電源・冷却一体計画 | 機器供給、システム統合、冷熱エンジニアリング、運用最適化 |
| パナソニック株式会社 | CCU、CDU、フリークーリングチラー、空冷・液冷併用 | 欧州の生成AIデータセンター、中・小規模から大規模施設 | 機器開発・供給。日本国内の販売・設計・保守範囲は個別確認 |
| Trane | 水冷・空冷ターボ冷凍機、スクリュー・スクロールチラー、制御 | 中・大規模データセンター、チラープラント、新設・改修 | 熱源機器、工場性能試験、制御、レトロフィット、遠隔・現地保守 |
| Schneider Electric | Uniflair直膨・冷水In-Row、空冷・水冷チラー、コンテインメント | 配線室、小・中規模サーバールーム、大規模・高密度データセンター | 機器・ラック・配管、内蔵監視・冗長制御、設計・運用支援 |
| Vertiv | Liebert精密空調、ルーム・列冷却、フリークーリング、CDU・液冷 | エッジ・電算室からコロケーション、AI・HPC高密度ラック | 機器供給、熱管理設計、制御・監視、試運転・保守サービス |
| Rittal | LCP Rack・Inline、冷水リアドア熱交換器、In-Row CDU | 単一ラック、ラック列、高密度IT、ホワイト・グレースペース | ラック・冷却機器供給、センサー・プロトコル、後付け・保守性設計 |
| STULZ | CyberAir水冷空調機、下吹き・壁吹き、ECファン、自立制御 | 日本の中・大規模データセンター、床下・壁吹き、高発熱用途 | STULZ製造、NTTファシリティーズによる日本市場向け販売・保守 |
| Munters | DCiE間接蒸発冷却、ドライ・ウェット・補助熱源モード | 中・大規模データセンター、外気冷却適地、都市型施設 | Munters製品をNTTファシリティーズが日本向け提案・カスタマイズ |
| Airedale by Modine | CRAH、フリークーリングチラー、冷水プラント制御 | 海外の大規模・コロケーションデータセンター、冷水式設備 | グローバル製品・設計支援。日本国内の販売・保守は要確認 |
| 株式会社NTTファシリティーズ | CyberAir、Munters DCiE、空調・電源・監視、データセンター設備 | 都市型・中大規模データセンター、新設・更新・高発熱対応 | 機器取扱、設備設計・構築、カスタマイズ、運用・保守 |
| 株式会社朝日工業社 | 直接・間接外気冷房、発展型フリークーリング、精密空調 | 新設・改修データセンター、外気条件を活用できる立地 | 空調設備の設計・施工、省エネ技術、気流・運用条件の検討 |
| ニッセツ株式会社 | 直膨・冷水・In-Row・蒸発冷却、Citec製品、Schneider InRow | 小・中・大規模データセンター、既設設備更改、コンテナ型 | 製品取扱、空調設計、設備配置、施工、更改、保守サービス |
| 株式会社鎌倉製作所 | AirXコンセプト、地下水利用、空冷・水冷ハイブリッド空調 | 高発熱GPUを収容するコンテナ型データセンター構想 | 2026年7月13日時点で開発中。製品仕様・販売・保守は未確定 |
データセンター空調メーカー・設備会社18社の特徴
日立グローバルライフソリューションズ株式会社
日立グローバルライフソリューションズ株式会社は、空調製品のメーカーであり、一般空調とデータセンター向けのエンジニアリングを扱っています。情報通信機器の高い発熱密度に対応するフリーアクセスフロア型、局所空調型などの情報通信向け空調機を選択肢にできます。
製品供給だけでなく、空調システムの計画をメーカー設計・施工で支援する位置づけです。新設・更新時に、機器能力と気流シミュレーション、設置方式を同じ窓口で詰めたい場合に候補になります。保守範囲やBMS・DCIMとの接続仕様は案件ごとに確認が必要です。
クボタ空調株式会社
クボタ空調株式会社は、ユニット型空調機を製造し、データセンター向けに冷水式の壁吹出し型・床吹出し型を展開しています。ECファン、冷水弁、センサー、コントローラーを組み込み、給気温度・還気温度・静圧などから制御方式を選べます。
BACnet IPまたはModbusによる外部通信、A系・B系電源の切替、漏水警報、熱量監視などを構成でき、FAT・FWTでは風量、静圧、消費電力、冷却能力、ATS切替、BMS連携などを確認できます。大風量機の個別設計と、納入後のサービス網まで一体で比較したい案件に向いています。
新晃工業株式会社
新晃工業株式会社は、空調機・AHUのメーカーで、データセンター向けにサーバーエアハンシリーズを展開しています。大規模施設の大風量処理を想定した製品群で、冷水コイル、ECファン、フィルター、制御部品などを設備条件に合わせて構成します。
総合実験棟の能力試験設備を用いて、風量や冷房能力などを出荷前に検証できる点が比較材料になります。建築側の機械室寸法、搬入経路、壁開口、冷水条件、ファン冗長、側面保守の可否を提示し、AHU本体と現地設備工事の責任分界を明確にして見積もる必要があります。
三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は、電算室・サーバールームの顕熱負荷処理に特化したパッケージエアコンを製造しています。直膨式のDXシリーズ、下吹き構成、1冷媒回路・2冷媒回路、停電自動復帰、既設冷媒配管を活用するリプレース向け製品を比較できます。
空調機本体に加え、MELSEC、SCADA、BACnet、Modbusを使ったチラー・ポンプ・ファンの監視制御や制御系二重化も対象です。小規模電算室の機器更新と、大規模設備の統合制御では担当部門・施工会社が異なるため、機器、制御盤、BMS接続、現地調整、保守の契約範囲を分けて確認します。
ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社は空調メーカーで、データセンター分野では空調・熱源設備の制御技術を基盤に、液体冷却設備まで含む統合制御の開発を進めています。2026年6月の発表では、NTTデータとサーバーの熱状態を予測し、空調・熱源・液体冷却を連携させる共同検証を開始しました。
公表内容には2026年7月から2027年3月の検証計画が含まれるため、完成済みの標準製品・効果保証として扱わず、導入時点の提供範囲を確認する必要があります。熱源機器、室内空調、液冷側設備、AI制御の責任分界と、既設BMS・DCIMから取得するデータを整理して相談する候補です。
三菱重工業株式会社
三菱重工業株式会社は、データセンター向けに電源・冷却・デジタル管理を統合するワンストップソリューションを展開しています。冷却側ではターボ冷凍機などの熱源、空調、液冷技術を組み合わせ、発電・電源設備も含めた施設インフラとして検討できます。
室内空調機だけを調達する案件より、キャンパス全体の電力・冷水供給、将来増設、脱炭素化、運用最適化をまとめる案件に適します。グループ各社や施工会社を含む提供体制になる場合があるため、基本設計、機器供給、配管・電気工事、試運転、長期保守の契約主体を確認してください。
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社は、空質空調事業の一環として、欧州市場でデータセンター向け冷却システムを展開しています。2026年3月から欧州でCDUとフリークーリングチラーの受注を開始し、買収したTecnairのCCUを含め、部屋の空冷とサーバー側の液冷を組み合わせる構成です。
公式発表の対象市場は欧州であり、日本国内で同じ機種・容量の販売、施工、保守が受けられると断定はできません。グローバル案件や欧州拠点では候補になりますが、国内計画では供給地域、認証、冷媒・電源仕様、部品在庫、サービス窓口を導入前に確認してください。
Trane
Traneは、データセンター向けの熱源機器メーカーとして、水冷・空冷ターボ冷凍機、スクリューチラー、スクロールチラーなどを扱っています。室内側のCRAHやAHUへ冷水を供給するチラープラントを新設・更新する際に、容量、冷媒、部分負荷効率、台数制御を比較できます。
日本ではトレイン・ジャパンが、制御・管理、省エネ、遠隔サービス、既存設備の改修、冷媒転換などを提供します。冷凍機本体の定格効率だけでなく、年間負荷プロファイル、冷却水・冷水温度、ポンプ・冷却塔、予備機運用を含むプラント効率で提案を評価する案件に向いています。
Schneider Electric
Schneider Electricは、Uniflairブランドで直膨式・冷水式のIn-Row空調、空冷・水冷・フリークーリングチラーを展開しています。NetShelterのホットアイル・コールドアイルコンテインメントや冷気分配を組み合わせ、ラック列に近い位置で熱を処理できます。
空調専業メーカーというより、ラック、電源、冷却、監視を含むデータセンターインフラの供給会社です。既存室へIn-Rowを追加する場合は、室内機の能力だけでなく、冷水・冷媒経路、ラック列の寸法、コンテインメント、火災設備、BMS・DCIM連携、国内サービス体制をまとめて確認します。
Vertiv
Vertivは、Liebertブランドを中心に精密空調、ルーム・列冷却、フリークーリングなどの熱管理製品を展開するデータセンターインフラメーカーです。高密度用途ではCDU、コールドプレート、リアドア熱交換器などの液体冷却も組み合わせます。
空冷から液冷へ段階移行する場合、残る空気側熱負荷をどの装置で処理し、施設水とIT側冷却液をどこで分離するかが重要です。ラックkW、液冷比率、供給水温、結露条件、制御、保守時のバイパスを示し、国内で調達できる製品、部品、サービス範囲を確認してください。
Rittal
Rittalは、ITラックと組み合わせるLiquid Cooling Package、冷水式リアドア熱交換器、In-Row型CDUを展開しています。部屋全体の空調能力を一律に増やすのではなく、高発熱ラックやラック列の近傍で熱を回収する構成を検討できます。
リアドア型は既存ラックへの後付け可否、ドア荷重、開閉・保守、冷水配管が選定条件です。CDUはホワイトスペースまたはグレースペースへの設置、ポンプ冗長、制御、一次側・二次側水質を確認します。国内法人のリタール株式会社へ、対応ラックと施工・保守の分担を確認してください。
STULZ
STULZは、データセンター向け精密空調CyberAirを製造するドイツの空調メーカーです。日本市場では、NTTファシリティーズが水冷式CyberAirの販売・保守を担い、下吹き型、壁吹き型などを中・大規模データセンター向けに提供しています。
海外メーカーへ直接設備設計・施工を依頼する形ではなく、国内窓口を通じて機器選定と保守体制を組む点を理解して比較します。冷却能力、ECファンの部分負荷、床下静圧、自立制御、予備品、緊急対応地域に加え、NTTファシリティーズと施工会社の責任分界を確認してください。
Munters
Muntersは、間接蒸発冷却を含む気候制御機器のメーカーです。日本のデータセンター向けには、NTTファシリティーズがMunters DCiEを扱い、外気と還気の間接熱交換、水噴霧による気化冷却、補助熱源を外気条件に応じて切り替えます。
外気をサーバー室へ直接入れない構成でも、水質、水処理、年間使用量、凍結、白煙、腐食、補助冷却の設計が必要です。標準輸入品をそのまま置くのではなく、日本の都市型データセンターや地震条件に合わせた提案として、NTTファシリティーズの設計・保守範囲を確認します。
Airedale by Modine
Airedale by Modineは、データセンター向けのCRAH、チラー、冷水プラント制御を扱うグローバルブランドです。Modineの公式事例では、大規模データセンターでCRAHの流量要求、外気温、部分負荷を使い、チラー台数とフリークーリングを最適化する構成が示されています。
これは海外事例とグローバル製品の情報であり、日本国内で同じ製品の販売、設計、試運転、部品供給、24時間保守を受けられるかは2026年7月13日時点で確認が必要です。海外標準を採用する計画では、日本の電源・法規・水質・気象条件への適合と国内サービス窓口を先に確定してください。
株式会社NTTファシリティーズ
株式会社NTTファシリティーズは、データセンターの建築・電源・空調・監視を扱う設備設計・エンジニアリング会社です。空調機を自社で一貫製造するメーカーとしてではなく、STULZのCyberAirやMunters DCiEなどを日本市場へ導入し、施設条件に合わせてシステム化する候補です。
機器単体の比較に加え、冷却負荷計算、気流、冗長構成、電源、BMS、試運転、運用保守までまとめたい案件に適します。STULZ・Muntersの各ブランド欄と役割が重なりますが、本欄では複数機器を統合する設備パートナーとして評価し、メーカー保証と同社保守の境界を確認します。
株式会社朝日工業社
株式会社朝日工業社は、空調設備工事を主業とする設計・施工会社です。データセンター向けには、外気を直接または間接的に利用する冷房や、フリークーリングなどの省エネ技術を設備システムとして検討できます。
外気冷却は機器カタログだけで採否を決められず、地域の温湿度、塵埃・腐食性ガス、煙害、結露、フィルター、バックアップ冷却を年間時系列で評価する必要があります。空調機メーカーというより、建物・熱源・ダクト・制御を統合して施工するパートナーとして比較します。
ニッセツ株式会社
ニッセツ株式会社は、ITファシリティの設計・構築・更改・保守を扱う会社で、空調設備では直膨式、冷水式、空冷、蒸発冷却、ハイブリッド方式を整理し、Citecの精密空調やSchneiderのIn-Row製品を取り扱っています。
掲載製品をすべて自社製造する空調機メーカーではなく、設備機器の開発・製造・販売機能も持つITファシリティインテグレーターとして比較します。既設設備を止めずに更新したい場合は、仮設冷却、切替手順、搬入、停電・断水時対応、保守契約まで含む施工計画を確認してください。
株式会社鎌倉製作所
株式会社鎌倉製作所は、産業用換気・送風・気化式涼風機器を製造する会社です。データセンター分野では、コンテナ型データセンター向けハイブリッド空調機AirXのコンセプトを発表し、地下水を活用して高発熱GPUの熱を処理する技術を検討しています。
AirXは2026年7月13日時点で開発中であり、展示情報も実機ではなく模型・動画によるコンセプト紹介です。販売中の完成品、確定した冷却能力、納期、効果、保守網があると誤認せず、実証条件、地下水の水質・揚水規制、補助冷却、量産・販売開始時期を確認する将来候補として扱います。
規模・改修条件別に空調方式を選ぶ
小規模電算室は独立性と更新性を優先する
数ラックから始める電算室では、直膨式CRACを複数台に分ける構成が取りやすく、中央熱源を新設せずに増設できます。必要能力を1台へ集約せず、1台停止時の残存能力、冷媒回路、室外機電源、停電復帰順序を確認します。通常の業務用エアコンを使う場合も、顕熱能力、低外気温冷房、連続運転、メーカー保守条件を満たすかを確認してください。
中規模データセンターはCRACとCRAHをライフサイクルで比較する
中規模では、直膨式の分散性と冷水式の効率・拡張性を、初期設備だけでなく年間運転で比較します。負荷が低い初期段階で大型熱源を低効率運転しないか、増床時に冷水主管や電源盤を拡張できるか、保守要員が複数方式を管理できるかが判断材料です。
大規模新設はAHU・CRAHと熱源プラントを一体設計する
大規模施設では、壁吹きAHUや大容量CRAH、チラー、ポンプ、冷却塔・ドライクーラー、蓄熱・フリークーリングを全体で設計します。空調機の台数だけでN+1を満たしても、共通ヘッダー、ポンプ、制御盤、補給水が単一障害点なら冷却系全体は冗長になりません。
既存改修は停止可能時間と仮設冷却から逆算する
既設機の置換では、能力と寸法が合っても、搬入経路、床荷重、既設配管洗浄、冷媒転換、ダクト接続、制御切替が必要です。運転を止められない場合は、仮設空調、仮設電源、区画ごとの切替、夜間作業、復旧条件を施工計画に入れます。新旧機を並行運転できるスペースがあるかも早期に確認します。
高密度AI・HPCは空冷限界ではなく熱収支で液冷比率を決める
ラックkWが上がるほどIn-Row、リアドア、コールドプレート、液浸などの近接・液体冷却が候補になります。ただし、特定のラックkWを一律の境界にせず、サーバーの液冷対応、残留空気負荷、給気温度、風量、騒音、床面積から判断します。液冷ラックと従来ラックが混在する期間の制御も設計対象です。
発熱密度・顕熱・気流を要求仕様へ落とす
空調能力は「室面積あたり」ではなく、IT機器の電力と同時使用率から算定します。ラックごとの定格電力だけでなく、実測電力、将来搭載、UPS損失、照明、人員、外皮・外気負荷を分けます。液冷を採用する場合は、IT発熱のうち液体へ移る割合と空気側へ残る割合を明記します。
| 項目 | 要求仕様に入れる内容 | 確認目的 |
|---|---|---|
| ラックkW | 平均・ピーク・将来値、ラック別分布、同時使用率 | 平均値に隠れる高密度ラックを把握 |
| 顕熱負荷 | IT、UPS・配電、照明、人、外皮、空気侵入を分離 | 空調機の顕熱能力と必要風量を算定 |
| 温度条件 | ラック吸気、空調給気・還気、アラーム、停止条件 | 単一の室温平均で判断しない |
| 気流 | サーバー必要風量、床下静圧、開口率、還気経路 | 再循環とバイパスを抑制 |
| アイル | ホット・コールドアイル、コンテインメント、扉・天井 | 吸気と排気を物理的に分離 |
| 過渡応答 | 負荷急増、停電復帰、予備機起動、熱慣性 | 定常能力だけでなく温度上昇を評価 |
CFDは候補比較に有効ですが、入力条件が誤っていれば結果もずれます。ラック実装、ブランクパネル、ケーブル開口、床下障害物、ファン曲線を現地と合わせ、完成後の温度・差圧・風量測定でモデルを補正します。
N+1・N+2・二系統と保守しながら運転する設計
N+1は必要台数Nに予備1台、N+2は予備2台を加える考え方です。ただし、設計負荷時に予備機を除いたN台で必要能力を満たすこと、設計上限の外気・水条件でも能力が維持されることが前提です。実際の故障単位に合わせ、ファン、圧縮機、冷媒回路、空調機、ポンプ、チラー、制御盤を階層ごとに確認します。
二系統はA・Bの冷却経路を分ける構成ですが、共通配管、共通電源、共通BMS、同じ機械室への浸水・火災リスクが残る場合があります。配管はリング、デュアルヘッダー、区画弁、クロスコネクトのどこまで分離するかをP&IDで確認し、誤操作で両系統を止めないロックと手順を設けます。
保守しながら運転するには、コイル・ファン・フィルター・弁・センサーへ運転区画からアクセスできるか、機器を隔離しても残りの系統で負荷を処理できるかが重要です。前面・側面引き抜き寸法、吊り上げ、排水、バイパス、制御の保守モードまで設計図に入れます。
PUEだけでなく部分負荷・年間電力・WUEで比較する
PUEは施設全体のエネルギー効率を示す指標ですが、空調機単体の性能や水使用量を直接示すものではありません。同じPUEでも、IT負荷率、計測境界、気象年、冗長機の待機運転が異なれば比較できません。見積もりでは、月別または時刻別負荷と外気条件を使った年間シミュレーションを求めます。
- 25%・50%・75%・100%負荷時の空調機、チラー、ポンプ、ファン効率
- 初期IT負荷と将来ピーク負荷における年間消費電力量
- 待機機の通水・送風、最低流量、短時間発停による損失
- 外気冷却・フリークーリングが利用できる時間と切替条件
- WUE、水源、補給水、水処理、ブロー、蒸発・飛散を含む年間水使用量
- 渇水、凍結、猛暑、煙害・粉じんなど設計外気条件での代替運転
水を使って電力を下げる方式では、PUE改善だけで採用せず、WUEと地域の水ストレスを併記します。空冷チラーは水使用を抑えやすい一方、夏季高温時の能力・電力が増えるため、立地条件に応じたトレードオフを評価します。
BACnet・Modbus・BMS・DCIMと遠隔監視
BMSは建物設備の運転・警報・エネルギーを管理し、DCIMはIT機器、ラック、電源、スペース、温度などデータセンター運用情報を扱います。空調機・熱源はBACnet/IP、BACnet MS/TP、Modbus TCP、Modbus RTUなどで接続できますが、「通信対応」だけでは必要な点数を取得できるとは限りません。
| 確認項目 | 具体的な仕様 |
|---|---|
| 監視点 | 給気・還気温度、湿度、差圧、風量、弁開度、ファン回転、冷却能力、消費電力 |
| 警報 | 高温、漏水、フィルター差圧、ファン・圧縮機・ポンプ故障、通信断、センサー異常 |
| 制御権限 | 発停、設定値、台数制御を機側・BMS・上位最適化のどこが持つか |
| 冗長性 | コントローラー、ネットワーク、サーバー、電源、時刻同期、フェイルセーフ |
| 遠隔保守 | 接続経路、認証、暗号化、操作記録、ベンダーアクセス承認、切断手順 |
| データ利用 | 保存周期、保持期間、API・CSV出力、DCIM連携、性能劣化分析 |
制御最適化では、複数空調機が互いに加湿・除湿や冷却・再熱を打ち消さないよう、共通のセンサーと台数制御ロジックを決めます。通信断時は機器が自立運転を続け、上位システムの障害が冷却停止へ波及しない設計にします。
見積もり前に作る要求仕様表
| 分類 | 提示する情報 | メーカー・設備会社から受け取る回答 |
|---|---|---|
| 施設条件 | 所在地、標高、外気温湿度、塩害・粉じん、地震、給水条件 | 設計外気条件、能力補正、防食・凍結・水処理仕様 |
| IT負荷 | 現在・初期・最終のIT kW、ラック数、ラックkW分布、液冷比率 | 機器台数、風量、冷却能力、増設単位、残存余力 |
| 温湿度 | 吸気・給気・還気の通常、警報、停止値 | 制御方式、センサー位置、過渡応答、保証条件 |
| 設置 | 床下高さ、壁開口、機械室、搬入、床荷重、保守スペース | 外形・重量、分割搬入、保守引抜寸法、基礎・防振 |
| 熱源・配管 | 冷水温度、温度差、圧力、水質、冷媒配管、系統分離 | 流量、圧損、弁、最低流量、配管冗長、漏水検知 |
| 電源 | 電圧、周波数、A・B系、非常電源、復電シーケンス | ピーク・部分負荷電力、起動電流、ATS・UPS範囲 |
| 制御 | BMS・DCIM、プロトコル、点数表、時刻同期、遠隔接続規則 | 通信仕様、制御権限、フェイルセーフ、サイバー対策 |
| 信頼性 | N+1・N+2・二系統、想定故障、保守中の必要能力 | 故障単位、切替時間、共通単一障害点、復旧手順 |
| 試験 | FAT・SAT・IST、試験負荷、計測器、合否基準 | 試験項目、設備、立会条件、是正・再試験方法 |
| 保守 | 点検時間、緊急対応、予備品、部品供給期間、教育 | 保守範囲、SLA、除外条件、推奨予備品、更新計画 |
要求仕様には「同等品可」だけでなく、必須、希望、提案可の区分を付けます。各社が前提条件を変えて省エネ値や能力を算出しないよう、外気条件、負荷率、給水・冷水条件、冗長機の運転状態を固定してください。
FAT・SAT・性能検証とコミッショニング
FATで機器単体の能力と故障動作を確認する
FATは工場出荷前試験です。風量、機外静圧、冷却能力、消費電力、騒音、漏れ、制御、警報、停電復帰、ファン故障、弁動作、通信点を確認します。大型AHUでは実際の設計風量・冷水条件を試験設備で再現できるか、試験できない項目を計算値で代替するかを事前に合意します。
SATで現地据付とシステム連携を確認する
SATは据付後の現地受入試験です。電源、回転方向、バルブ、配管洗浄、ドレン、漏水、センサー校正、BMS通信、非常停止、復電、予備機切替を確認します。機器単体が合格しても、ダクト抵抗や冷水流量が設計値と違えば能力は出ないため、現地の風量・流量・温度差を測定します。
負荷試験と統合システム試験で障害時を再現する
ロードバンクなどで段階的に熱負荷をかけ、ラック吸気温度、アイル差圧、空調機負荷、チラー台数、復帰時間を確認します。空調機1台停止、ポンプ・チラー停止、BMS通信断、商用停電、非常電源切替、断水、外気冷却から機械冷却への切替を想定し、手順と自動制御が一致するかを検証します。
コミッショニングは設計から運用引渡しまで続ける
コミッショニングでは、設計要件、設計レビュー、工場試験、施工品質、機能試験、統合試験、運用教育、竣工図、設定値台帳を追跡します。試験時だけ設定値を変えて合格させず、運用開始時のBMS設定、アラーム遅延、台数制御、保守モードまで記録し、変更管理へ引き継ぎます。
データセンター空調の費用構成
費用は空調機本体だけでなく、熱源、配管、電源、制御、建築、試験、保守で構成されます。具体額は能力、冗長性、工事条件、提供範囲で変わるため、同じ責任範囲の見積もりにそろえて比較します。
- CRAC、CRAH、AHU、In-Row、チラー、冷却塔、ドライクーラー、CDUなどの機器費
- 冷媒・冷水・冷却水配管、バルブ、ポンプ、水処理、保温、漏水検知
- 電源盤、A・B系配線、非常電源、ATS、制御用UPS、接地
- ダクト、床・壁開口、架台、基礎、防振、防音、搬入・揚重
- BMS・DCIM接続、センサー、ネットワーク、ソフトウェア、制御盤
- 設計、CFD、施工、既設撤去、仮設冷却、夜間切替、試運転
- FAT、SAT、負荷試験、統合システム試験、第三者コミッショニング
- 電力、水、薬品、フィルター、消耗品、冷媒管理、定期点検、緊急保守
初期費用を下げても、部分負荷効率が低い、保守時に全停止する、部品納期が長い構成では総費用が増えます。初期投資、年間運転費、定期更新、故障時の停止影響を評価期間ごとに分けて比較してください。
データセンター空調に関するよくある質問
CRACとCRAHはどちらを選ぶべきですか
熱源プラントを持たず小さく始めるなら直膨式CRAC、集中熱源で大容量・高効率・増設性を求めるなら冷水式CRAHが候補です。ただし規模だけで決めず、室外機置場、配管、保守要員、部分負荷、冗長構成、将来増床を含めたライフサイクルで比較します。
一般の業務用エアコンをデータセンターに使えますか
小規模電算室で採用される場合はありますが、顕熱能力、24時間運転、低外気温冷房、停電復帰、冗長性、保守条件を満たす必要があります。カタログの総冷房能力だけでなく、設計温湿度での顕熱能力と送風量を確認してください。
床下吹きと壁吹きはどちらが高密度向けですか
壁吹きは大風量を供給しやすい一方、部屋形状と還気経路の設計が必要です。床下吹きも床高さ、障害物、開口率、静圧を確保できれば有効です。方式名だけで優劣を決めず、ラックkW分布とCFD・現地測定でホットスポットを確認します。
外気冷却は日本の高温多湿な地域でも使えますか
年間を通じた単独運転が難しい地域でも、冬季・中間期に利用できる場合があります。直接外気、間接熱交換、蒸発冷却で適用範囲が異なり、温湿度、塵埃、腐食性ガス、煙害、水質、補助冷却を気象データで評価します。
N+1なら冷却停止を防げますか
N+1は空調機の予備台数を示すだけでは不十分です。チラー、ポンプ、配管、バルブ、電源、制御、補給水に共通単一障害点があれば停止します。保守中と一故障が重なる条件や、復電後の同時起動も含めてシステム全体を検証します。
BMSとDCIMは両方必要ですか
BMSは空調・電源など建物設備の制御、DCIMはIT資産・ラック・電力・温度・容量管理を中心に担います。役割は重なりますが同一ではありません。空調制御はBMS側で自立させ、DCIMからIT負荷やラック情報を参照するなど、障害時の責任を明確にします。
液冷を導入すればCRACやCRAHは不要になりますか
すべてのIT発熱を液体へ回収できるとは限らず、室内へ残る熱、湿度管理、保守作業時の環境維持が必要です。サーバーごとの液冷比率と残留空気負荷を集計し、空気側設備を縮小するのか、既設能力を予備へ回すのかを決めます。
メーカーへ見積もりを依頼する前に最低限何が必要ですか
現在・将来のIT負荷、ラック数とラックkW分布、設計温湿度、建物図、既設空調・熱源・電源、停止可能時間、冗長条件、BMS・DCIM、保守要件を用意します。情報が未確定なら、確定値・想定値・提案依頼を分けて要求仕様に記載します。
FATとSATの両方を行う必要がありますか
FATは機器単体の能力・制御を工場で確認し、SATは現地据付と設備連携を確認するため、目的が異なります。重要設備では両方を実施し、さらに負荷試験と統合システム試験で故障・停電・通信断を再現する方法が適します。
データセンター空調は機器と設備会社の役割を分けて比較する
データセンター空調メーカー・設備会社を比較するときは、空調機の冷却能力だけでなく、ラックkW、顕熱、気流、熱源、配管、電源、制御、保守を共通仕様にします。小規模では直膨式の独立性、大規模では冷水式とAHUの効率・拡張性、改修では運転継続と切替手順が重要です。
18社には、機器メーカー、海外ブランド、国内販売・保守会社、設備設計施工会社が含まれます。FAT・SAT・統合試験までの責任分界を明確にし、年間電力とWUE、保守時の残存能力、部品供給まで同じ条件で比較して発注先を決めましょう。
- 免責事項
掲載内容は2026年7月13日に各社の公式サイト・公式発表で確認した範囲です。製品仕様、販売地域、設計・施工・保守範囲、提供状況は変更される場合があります。導入時は共通の要求仕様を提示し、各社へ直接確認してください。

