多角化戦略のメリットとは?成功事例5選

多角化戦略のメリットとは?成功事例5選

多角化戦略とは?

business 新聞
多角化戦略は、企業が成長するために導入するものです。これまでとは違う事業分野に参入したり、既存の事業に関連する技術を多角化したりといった方法で、成長を目指していきます。技術関連多角化・市場関連多角化・非関連多角化に3つに分けることができます。

事業を多角化することによって、これまで使われていなかった余剰資源の有効活用ができるなどのメリットを享受できるのです。今まで以上にリスクを分散できるという点も、多角化戦略を導入する大きなメリットとして知られています。

アンゾフの成長マトリックス

アンゾフの成長マトリックスは、企業が戦略に関する領域を検討するときに使われるフレームワークです。イゴール・アンゾフ氏(通称:戦略的経営の父)が生み出した手法で、長きに渡り使われ続けています。
アンゾフの成長マトリックスの考え方について解説していきます。

市場浸透戦略

市場浸透戦略は、既に存在している市場の中で、既に存在する製品を活用して取り組む戦略のことです。市場は形成されているため、購買意欲を高めるために必要な広告の強化に力を入れたり、顧客を中心としたマネジメント手法・CRMなどを活用して既存顧客との関係を強化するための取り組みを行ったりします。

特定の商品が定番となっている製品(アルコール飲料や清涼飲料水など)において、市場浸透戦略は特に有効だと考えられています。そのような製品に対して市場浸透戦略を行うと、さらに定番のブランドを真っ先に思い浮かべもらいやすくなるからです。

市場開拓戦略

市場開拓戦略は、新しい市場に既に存在している製品を売り込んでいくという戦略です。市場は形成されていますが、新たな市場に参入していく場合、新規の市場と解釈されます。

日本国内で事業を展開していた企業が海外へ進出するというケースが分かりやすい例だと言えるでしょう。国内で成功していた製品であっても、海外へ進出する場合は新たに市場を開拓しなければいけません。土台がない状態では成功の可能性は低くなってしまうため、事業パートナーとの契約を結ばなければいけない場合もあるでしょう。

その時に重要になるのが、新しい市場を開拓する際に何をすべきか、何が必要かといった点に関する分析です。しっかりと分析ができていれば、新しい市場でも成功できる可能性が高くなります。

製品開発戦略

既に存在している市場で新しい製品を展開しようと考える際に必要となる戦略です。市場が既に形成されているため、後発的な参入になるため、既に参入している製品とどのように差別化ができるかが重要になります。

近年多くの企業が手掛けているIoT製品は製品開発戦略に当たります。これまでに市場で上がってきた課題解決にIoTを活用してすることが重要視されているのでしょう。このことからも、はっきりとした差別化がなければ製品開発戦略での成功は難しいと言えます。

多角化戦略

多角化戦略は、新しい市場に新しい製品で参入するというものです。似たような業態へと進出する水平的多角化、流通段階の前後に進出する垂直的多角化、まったく異なる分野へ進出する集成型多角化などに分類できる戦略です

海外への進出をする際に、国内でも販売していない製品を打ち出すといったケースが多角化戦略に分類されることになります。リスクは高いですが、成功した時のリターンはかなり大きなものになると予想されるでしょう。

多角化戦略の分類

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多角化戦略といっても、大きく分けると4つに分類することができます。では、水平型・垂直型・集中型・集成型がどのような戦略なのか詳しく解説していきます。

水平型

水平型は、既に存在している市場や顧客と似たようなタイプを対象にした多角化戦略です。提供する製品やサービスは、その市場にとって新しいものになります。既にある生産技術や流通経路を活用できることから、リスクは低い方法となるでしょう

垂直型

垂直型は、バリューチェーンの上下に向けて既存の製品やサービスを展開するという多角化戦略です。製造業を例に挙げてみると、原材料を自社生産できるような体制を整えることにより、安価で安定的な原材料が確保できます

集中型

集中型は、既に存在している製品もしくはサービスと新しい製品もしくはサービスの間をとって取り組む多角化戦略です。技術とマーケティングの片方、または双方に関連性を持たせた上で戦略を進めていきます

集成型

集成型は、技術・マーケティング共にまったく関連がない分野に進出するタイプの多角化戦略です。成長性が高い分野における収益を高めたり、本業とは関係ない分野の事業を始めたりすることで、企業自体の安定性を向上させるのが大きな目的です

多角化戦略のポイント

ポイント
多角化戦略を成功させるためには、いくつか押さえて置きたいポイントがあります。次は、その中でも特に重要視したいポイントを3つピックアップして解説していきます。

機会と脅威の識別

機会は、それぞれの企業においてビジネスチャンスだとみなされる環境の変化、環境の変化による競合他社の動向などを分析することで発見できます。取り巻いている環境について徹底的に情報を集め、集めた情報の中からビジネスチャンスになると想定されるものを抽出していきます。そうすることで、成長へと導くためのチャンスを手にすることができるのです。

脅威は、強みを相殺してしまうようなリスクを伴う環境の変化、似たような商品やサービスを取り扱っている競合他社の動向などを分析することで発見できます。脅威を分析することにより、課題を見つけられたり、新しいビジネスチャンスを想像したりできます

自己の相対的強み・弱みの自己分析

自己の相対的強みは、商品やサービスを利用している顧客が選んでくれた理由や活用しているセールストークなどから考えることができます。技術力やノウハウ、人脈、顧客の数、特許、海外の拠点や研究所などは他社と差別化しやすい部分だと言えるでしょう

自己の相対的弱みは、苦手な分野やできていないこと、競合他社にはしかないもの、コストがかかっているもの、時代遅れになっている部分などが挙げられます。弱みを具体的に抽出するのが難しいと感じる場合は、コンサルタントのような目線で客観的に自社の状況を顧みると良いでしょう。

企業の望ましい行動領域の設定

行動領域は、行動指針によって決められているケースが多いです。目標を達成するためにどのような行動をすれば良いのか記されたものになります。そして、企業はそれを実現するために社員に対してどのような行動をとるべきか示す必要もあります

決められた行動領域に対して重点評価を行ったり、実現に向けて人材の雇用や育成したりするなどの重点的開発も必要不可欠です。さらに、どこに重点を置くかを決めて力の入れ具合を配分することも重要なポイントになるので忘れてはいけません。

企業の多角化戦略の重要性・メリット

円グラフ

企業が多角化戦略を行うことの重要性や享受できるメリットについて知っておくことも重要です。具体的にはどのような点が挙げられるのかみていきましょう。

経営基盤の安定

特定の事業だけに力を入れるのではなく、幅広い事業を展開する場合のリスクは小さいものではありません。しかし、たった1本の柱だけではなく、2本とか3本の柱があれば柔軟な対応もしやすくなりますし、時代や社会情勢の変化にも対応しやすくなります。

異なる分野の事業に取り組み、グループ全体を1つの会社だと感じられるような運営をすると相乗効果も期待できます。その相乗効果により、業績を高めることにもつながり、経営基盤を安定させることができるようになります。

リスク分散

多角化戦略を行うことにより、リスクを分散できるというメリットも企業は享受できるようになります。法令が強化されたり、技術革新が行われたりすると、予測しない変化によって大きな打撃を受けてしまう場合もあります。しかし、多角化戦略を導入していれば収益がピークを迎える時期が何度も訪れるなどするため、リスク回避につながるのです

また、何らかの事情で企業の規模を縮小したり、特定の部門を撤退しなければいけなかったりといった事態に見舞われてしまう場合もあります。そのような時にも、多角化していると経営資源を他の事業に割り振ることができます。つまり、企業にとってネガティブなイメージを与える人員整理などをしなくて済む可能性が高まります。

シナジー効果に期待ができる

多角化戦略を導入することにより、シナジー効果が得られるという点もメリットの1つです。シナジー効果は、総合的に見た時に大きな利益を得られることを意味します。

戦略的経営の父と呼ばれるイゴール・アンゾフ氏は、販売シナジー、操業シナジー、投資シナジー、マネジメントシナジーが多角化戦略によって得られるシナジー効果だと述べています。これらのシナジー効果が生まれることにより、資産や人材、技術、ノウハウ、知識、などを最大限に活かした企業経営を実現することにもつながるでしょう。

機会創出・多様性の強化

多角化戦略を導入することにより、機会創出・多様性を強化できるというメリットも享受できます。1つの事業に特化することによって、いくつかの事業を行うよりもコストは抑えられます。しかし、同じ企業内であればいくつかの事業を行って多角化することによるメリットも享受できるのです。

そのメリットには、他の事業でも活用できる副産物が発生すること、ブランドを確立できることなどが挙げられるでしょう。副産物を上手く活用すれば新たな価値を創造しやすくなります。ブランドを確立するのはマーケティングにおいて有効な手法なので、損することはないと考えられます。

組織運営にもプラスになる

多角化を実現すると、プロダクトライフサイクルに対応しやすくなります。プロダクトライフサイクルというのは、製品の開発から衰退までのサイクルを意味します。衰退期に突入した商品があったとしても、多角化していれば他の商品が成長期に突入するため売上が大幅に下がってしまうことがないと考えられるでしょう

商品には一定の寿命があると考えられています。その寿命を迎えると売上が下がってしまいます。しかし多角化しておけば商品の寿命=企業の寿命ではなくなるのです。それは、組織経営にとってもプラスの意味をもたらすでしょう。

多角化戦略に成功した事例

メリット・注意点
多角化戦略を導入し、成功した企業はいくつもあります。最後に、これまでに成功を収めた企業の事例をピックアップしてご紹介しましょう。

ソニー

ソニーは、家電製品メーカーとして事業がスタートしました。日系電機メーカーの中で売上高2位という好調な業績を残しています。そんなソニーは、集成型多角化戦略を導入している企業としても知られているのです。

テレビやスマートフォン、オーディオ機器、カメラなどを手掛ける企業として知名度が高まっています。それだけではなく、ゲーム機や半導体、音楽、映画、生命保険など幅広い事業を展開しています。本業のエレクトロニクス事業が赤字になってしまった時に、金融事業がソニーの業績を支えてきたのです。

エレクトロニクス事業はもともと主力でしたが、現在はどちらかというとその他の事業に力を入れているという側面も見受けられます。このことから、ソニーは多角化戦略で成功した企業だと言えるでしょう。

セブンイレブンジャパン

セブンイレブンジャパンは、コンビニエンスストアを主力事業として多角化を進めてきた企業です。プライベートブランドを立ち上げることによって、小売業としての側面だけではなく、メーカーとしての側面も持つようになりました。これにより、スーパーと同じような品質を有する商品を同じくらいの価格で提供できるようになっています。

コピーや公共料金の収納、チケットの発券、銀行ATMなどにも参入しています。シェアサイクルサービスにも参入していることから、多角化に成功している事例の1つだと言えるでしょう。

キヤノン

キヤノンは、多角化とグローバル化を目指した事業を展開しています。光学技術というキャノンならではの技術を主軸都市、多角化を進めてきた企業です。光学技術を駆使したカメラは今でもキヤノンの主軸となっていますが、その他にも小型レーザービームプリンターやインクジェットプリンターなど日本国内だけではなく、世界初の技術を開発するなど幅広い事業を展開してきました

多角化を進めたことによって成長を遂げ、どれか1つの事業に左右されることのないバランス性に優れた事業を構築することに成功している良い例でしょう。

LINE

LINEは、私たちの生活に浸透している連絡ツールの1つです。あまり知られていないかもしれませんが、実はまとめサイトの最大手として知られているNAVERの子会社です

そんなLINEは、ライブドアの運営元でもあります。ライブドアは過去に色々なことがありましたが、LINEが運営元になったことで現在でも存続しています。このことから、LINEも多角化戦略に成功しているでしょう。

Yahoo!

Yahoo!は、Googleと並ぶ検索サイトです。知らない人も多いかもしれませんが、ソフトバンクの子会社でもあります。元々はアメリカの会社ですが、日本で法人を立ち上げる時にアメリカのヤフーとソフトバンクが共同出資したため、ソフトバンクが筆頭株主になっています。

Yahoo!は、携帯電話や野球でも大きな成功を収めている企業です。そのため、多角化戦略に成功している企業の1つだと言えます

多角化戦略は自社の強みの理解が重要

オフィス会議
多角化戦略を進めることで、大きなメリットを享受できる可能性が高まります。しかし成功させるためには、自社がどのような強みを持っているのかきちんと理解しなければいけません。そうすることで、ビジネスチャンスを掴んだり、売上を安定化させたりできるようになります。

多角化を検討しているけれど、どのようにすればいいか分からないというケースもあるでしょう。そのような場合は、全研本社までお気軽にご相談ください。

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