建設業向けERPは、見積・実行予算から発注、工事原価、請求・入金、会計までの情報を一元管理する基幹業務システムです。現場・事務・経理で分かれた情報をつなぎ、工事ごとの原価や収支を把握しやすくします。二重入力を減らしたい企業や、部門をまたぐ管理を見直したい企業に向いています。
この記事では、建設業向けERP22製品の特徴、企業規模の目安、導入形態・料金、主要機能の対応状況を比較し、選び方を詳しく解説します。各製品の導入事例も参考に、自社の業務や課題に合うシステムを検討してください。
おすすめの建設業向けERP
多拠点・JVを扱う大手現場と本社の数字を揃えたいなら
成長中の中堅会社工事と建材販売の管理が分かれているなら
少人数の工事会社原価集計と経理を兼任しているなら
ポイント支店・現場ごとに情報や承認ルールが分かれている会社では、工事の進捗・原価と本社会計を同じ流れで把握できることが重要です。営業からアフターまでの統合、JV・承認の標準化、建設事務のモジュール構成という違いから比較しましょう。
ポイント建材販売と工事で台帳や請求が分かれている会社では、取引先・品目・債権・原価をつないで把握できることが重要です。販売と工事の一体化を優先するか、物販・保守など複数事業まで広げるか、営業から完成までまとめるかで候補を選び分けましょう。
ポイント原価の集計や請求確認が一人に集中している会社では、どの業務から整えるかを決めることが大切です。現場の情報共有から整える、原価と会計をまとめる、既存会計につなぐという3つの進め方から、自社の運用に合う候補を比較しましょう。
HUE C2
このケースでの強み
工事プロジェクトと会計の情報をつなぎ、JVや多段階の承認を標準化したい会社向け。受注・実行予算・発生原価から着地見込を確認でき、JV全体と自社持分の業績を分けて把握できます。
PROCES.S
このケースでの強み
建設会計・原価・支払・JVを中心に、部門ごとの事務処理を揃えたい会社向け。必要なモジュールを選んで構築でき、給与・人事なども段階的に組み合わせられます。管理部門の業務を一度に広げず、優先する範囲から整えたい場合に候補になります。
企業規模は候補を探す目安です。利用する部署、既存システムを残す範囲、必要なプラン・モジュールを確認して比較してください。
e2movE
このケースでの強み
建材・設備の販売と工事を同じ得意先で管理したい会社向け。販売管理と工事管理を組み合わせ、物販の売掛金と工事未収入金をまとめて把握できます。販売と工事の実績を同じ流れで確認したい場合の候補です。
InfiniOne ERP
このケースでの強み
工事だけでなく、物販・保守など複数の事業を同じ基盤で管理したい会社向け。販売・購買・在庫と工事の予算・原価をつなげ、物件単位の損益や複数工事をまとめた請求にも対応します。
建設WAO
このケースでの強み
工事と販売・在庫に加え、営業・見積などへ管理範囲を広げたい会社向け。必要な業務システムを組み合わせ、販売在庫の情報を工事原価へ反映できます。本社・現場で情報を共有し、案件発生から完成までを追いたい場合に検討できます。
企業規模は候補を探す目安です。利用する部署、既存システムを残す範囲、必要なプラン・モジュールを確認して比較してください。
ガリバーX・匠
このケースでの強み
原価管理と財務会計を一つの基盤で整えたい小規模の工事会社向け。工事に関わる各システムが連動し、現場と経理の転記を減らす運用を目指せます。給与管理までまとめたい場合にも候補になります。
どっと原価3
このケースでの強み
会計ソフトを残し、工事別の予算・原価・請求情報を先にまとめたい会社向け。必要なプランや追加機能を選び、原価管理から始めて見積・発注・日報・会計連動へ段階的に広げられます。
企業規模は候補を探す目安です。利用する部署、既存システムを残す範囲、必要なプラン・モジュールを確認して比較してください。
建設業向けERPシステム(基幹システム)比較一覧表
ここでは、おすすめの建設業向けERPシステムを簡易的に比較しています。各社のサービスをより具体的に比較検討したい方は、下記のコンテンツも参考にしてみてください。
| 会社名 | サービスの特徴 | 企業規模の目安 | 解決しやすい課題 | 導入形態・料金 |
|---|---|---|---|---|
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JVの組成から最終精算まで、大規模工事の収支を一元管理したい会社向け
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中堅〜大企業
大規模工事・JV案件まで見据える建設会社 |
・大規模工事・JV管理
・全社基幹業務の統合 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 個別見積 初期費用の参考目安あり |
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導入企業数8年連続シェアNo1!(※)現場報告と粗利管理をつなげたい施工会社向け
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小規模〜大手
現場・協力会社を含めて利用を広げたい企業 |
・現場と経営情報の一元化
・粗利低下の早期把握 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ ※初期+月額+オプション |
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PROCES.S |
個別管理を減らし建設事務を広く型化したい会社向け |
中堅〜大企業
建設業会計・原価管理を基幹業務として整えたい企業 |
・建設会計・原価の一元化
・建設事務の標準化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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建設WAO |
細かな業務単位まで自社運用に合わせたい建設会社向け |
中堅〜大企業
工事管理と販売・在庫まで一体化したい企業 |
・案件~完成情報の一元化
・工事・販売・在庫の統合 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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アイピア |
工事途中から原価と利益を把握したい工務店・リフォーム会社向け |
小規模〜中堅
工務店・リフォーム会社・住宅事業者 |
・工事途中の粗利把握
・工務店業務の一元化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 初期:132,000円(ライト) 月額:22,000円~(原価管理対応プラン) ※税込 |
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HUE C2 |
複雑な承認とJV工事を標準で管理したい会社向け |
中堅〜大企業
承認・調達・会計を含む複雑な基幹業務がある企業 |
・複雑な建設業務の標準化
・大規模基幹システム刷新 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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GRANDIT |
設備工事の収支と会計処理を連動させたい会社向け |
中堅〜大企業
建設業以外の全社ERPも含めて統合したい企業 |
・設備工事と会計の連携
・全社基幹業務の統合 |
▼導入形態
クラウド オンプレミス SaaS ▼料金 要問合せ |
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e2movE |
建材販売と工事原価を一緒に管理したい会社向け |
中堅企業
建材販売・設備工事など販売と工事が重なる企業 |
・建材販売と工事管理の統合
・建設会計・支払の一元化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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ガリバー匠 |
小規模工事業の原価と会計を低コストで整えたい会社向け |
中小〜中堅
原価管理・建設会計をクラウドで整えたい企業 |
・原価・会計の二重入力削減
・小規模工事業の業務標準化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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プロワン |
短期工事の営業・施工・保守・請求を一つの流れで管理したい会社向け |
中小〜中堅
設備工事・リフォーム・保守業務を扱う現場系企業 |
・短期工事の案件管理
・施工・保守・請求の一元化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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imforce Arch |
見込原価と事業計画を早くつかみたい建設会社向け |
中堅〜大企業
個社要件や複数事業の原価管理を重視する企業 |
・見込原価・収益の早期把握
・個社要件への柔軟対応 |
▼導入形態
オンプレミス ※個別構築型 ▼料金 非公開・要問合せ |
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OBIC7 建設工事業向け統合ソリューション |
案件収支と会計を同じ基盤で管理したい建設工事会社向け |
中堅〜大企業
会計一体型で全社経営管理まで見たい企業 |
・案件収支と会計の一元化
・全社経営の可視化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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SMILE V Air / SMILE V 2nd Edition |
販売会計人事と建設管理を段階的に広げたい会社向け |
中小〜中堅
必要な業務から段階導入したい企業 |
・工事原価・予算の可視化
・請求・支払・労務費の一元化 |
▼導入形態
クラウド オンプレミス ▼料金 非公開・要問合せ |
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プロカン |
現場ごとの収支と人件費まで含めて採算を見たい会社向け |
中小〜中堅
複数現場の収支・工数管理や、上場準備を見据えた内部統制を進めたい企業 |
・現場別の採算把握
・予実・工数の一元管理 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 初期:110,000円~ 月額:33,000円~ ※税込 |
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AnyONE(エニワン) |
ERPとして使える工務店向けの業務管理システム |
小規模〜中堅
住宅建設・工務店・リフォーム会社 |
・工務店業務の一元化
・引渡後まで履歴管理 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問合せ |
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EAST2 |
プロジェクト単位での原価、工程、人員・資機材までまとめて管理したい会社向け |
中小〜中堅
工事・プロジェクト単位の原価や人員、資機材を管理したい企業 |
・発生時点での原価把握
・プロジェクト収支の予実管理 |
▼導入形態
クラウド オンプレミス ▼料金 非公開・要問合せ |
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InfiniOne ERP |
建材販売・在庫管理と工事別の原価をまとめて管理したい会社向け |
中堅企業
建材・設備販売と工事収支をまとめたい企業 |
・建材販売と工事の一元化
・複合事業の収支管理 |
▼導入形態
クラウド オンプレミス ▼料金 非公開・要問合せ |
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EXPLANNER/C |
建築・土木・設備などの工事管理を会計や営業システムとつなぎたい企業向け |
規模を問わず個別相談
建築・土木・設備・内装・プラント工事など |
・工事ごとの着地原価の把握
・工事管理と会計・営業の転記を効率化 |
▼導入形態
その他:Web型パッケージ ※サーバー構成は要確認 ▼料金 非公開・要問い合わせ |
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どっと原価 |
原価管理を先に整え、必要な機能を段階的に足したい中小・中堅企業向け |
中小~中堅企業
原価管理に焦点を当てたい企業 |
・工事ごとの予算超過を見つけたい
・会計連携や現場入力を段階的に追加したい |
▼導入形態
クラウド:どっと原価3(PCアプリ利用) オンプレミス:どっと原価NEO ▼料金 どっと原価3:参考月額14,300円~(税込、ライト1ライセンス・年額契約) |
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注文分譲クラウドDX |
注文住宅・分譲住宅の営業から工事収支、引き渡し後までつなぎたい企業向け |
工務店・住宅会社
注文住宅・分譲住宅を扱う企業 |
・顧客情報と工事収支の分断解消
・分譲物件の仕入・販売計画の管理 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 非公開・要問い合わせ |
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勘定奉行クラウド[建設業編] |
全社ERPの刷新より、建設業会計と工事別原価の整備を優先したい企業向け |
会計・工事原価を中心に導入する企業
利用者数・管理体制に応じてプランを選択 |
・工事原価と財務会計の数字管理
・経理から始める段階的なクラウド化 |
▼導入形態
クラウド ▼料金 iA:月額30,250円~/初期費用55,000円(税込、1ライセンス・年間契約) |
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Galileopt DX 工事大将 |
工事別の利益管理を軸に、必要な基幹業務モジュールを組み合わせたい中堅企業向け |
中堅企業
工事管理と会計などを統合したい企業 |
・実行予算と発生原価を対比したい
・工事特有の支払条件や控除を処理したい |
▼導入形態
クラウド運用対応(導入するサーバー構成は要確認) ▼料金 非公開・要問い合わせ |
システムタイプ別で選ぶ建設業向けERP
建設業向けERPは、すべての製品が同じ業務を得意としているわけではありません。大規模工事の原価・会計まで管理するERPもあれば、工務店の日常業務に適したもの、建材販売や在庫管理までカバーするもの、現場業務を中心に設計されたものもあります。
個別製品を比較する前に、「自社がどのタイプのERPを探すべきか」を先に絞ると選びやすくなります。
ここでは、この記事で紹介している建設業向けERP・業務管理システムを、主な強みや利用シーンから5タイプに整理しました。複数タイプの特徴を持つ製品もありますが、まず候補を探す際の目安として活用してください。
| タイプ | 向いている企業・業態 | 主な掲載製品 |
|---|---|---|
| 全社基幹業務・大規模工事統合型 | 中堅~大企業で、工事・原価だけでなく会計や経営管理まで統合したい会社 業態の目安:総合建設・ゼネコン、複数工事やJVを扱う土木会社 確認ポイント:工事別収支、発注・支払、承認・権限、JV管理(必要な場合) | PROACTIVE PROCES.S HUE C2 OBIC7 imforce Arch |
| 販売・在庫・複合事業統合型 | 工事に加えて、建材・設備の販売、購買、在庫などもまとめたい会社 業態の目安:建材販売を伴う工事会社、材料・在庫を扱う設備工事会社 確認ポイント:販売・在庫、売掛金・未収入金、原価と会計の連携 | 建設WAO GRANDIT e2movE InfiniOne ERP SMILE V Air / SMILE V 2nd Edition |
| 工務店・住宅・リフォーム一元管理型 | 顧客・見積から施工、原価、請求、アフターまでをまとめたい会社 業態の目安:工務店、住宅会社、リフォーム会社 確認ポイント:案件・見積・工程・現場共有、請求・原価管理 | アイピア AnyONE |
| 現場・短期工事・保守連携型 | 現場での情報共有や、設備工事・保守などの案件進行を効率化したい会社 業態の目安:設備工事、修繕・保守、短期工事を扱う会社 確認ポイント:現場入力・情報共有、案件進行、発注・請求・粗利管理 | ANDPAD プロワン |
| プロジェクト原価・収支管理型 | 案件単位の原価や工数、利益を早く把握したい会社 業態の目安:工事別の採算把握を優先する土木・設備などの工事会社 確認ポイント:工事別原価、労務・機材・外注費、予算と実績の比較 | プロカン EAST2 ガリバー匠 |
業態は候補を探す目安であり、同じ業態でも管理したい範囲によって複数のタイプが候補になります。長期工事や設備工事では、出来高、分割検収、工事進行基準など、自社の工期・契約に必要な管理も確認しましょう。表の確認ポイントは、各掲載製品にすべて標準搭載されていることを示すものではありません。
全社基幹業務・大規模工事統合型
中堅~大企業では、工事部門だけをシステム化しても、会計や管理部門に別システムが残っていると二重入力や集計作業が発生します。大規模工事統合型のERPシステムは、工事情報と会社全体の経営情報を同じ基盤で管理することを重視しています。
PROACTIVEのように大規模工事・JVまで管理できる製品、PROCES.Sのように建設業会計・原価を基幹業務として整えやすい製品、HUE C2のように複雑な承認・調達に対応する製品など、同じタイプの中でも強みは異なります。
「工事原価を見える化したい」という段階を超えて、全社の基幹システムそのものを刷新したい場合は、このタイプから比較することをすすめします。
販売・在庫・複合事業統合型
建設会社の中には、工事だけでなく、建材・設備の販売、仕入、在庫、保守など複数の事業を行っている企業もあります。
この場合、工事原価だけを管理するERPでは、物販側の受発注や在庫情報が別管理になってしまうことがあります。そこで候補になるのが、工事管理と販売・購買・在庫を同じ基盤で扱えるタイプです。
たとえばe2movEやInfiniOne ERPは、建材・設備などの販売と工事原価をまとめて管理したい企業と相性があります。建設WAOは工事管理に加えて販売・在庫など幅広い業務システムを組み合わせられ、GRANDITやSMILE Vシリーズは建設部門だけでなく全社ERPとして管理範囲を広げやすいのが特徴です。
「商品を売る業務」と「工事を請け負う業務」の両方がある会社は、このタイプを中心に比較すると候補を絞りやすくなります。
工務店・住宅・リフォーム一元管理型
住宅会社や工務店、リフォーム会社では、大規模建設会社とは必要な管理機能が異なります。JV管理や複雑な全社会計より、顧客対応、見積、工事、原価、請求、引き渡し後の対応までを一つの案件として追えることが重要になります。アイピアやAnyONEは、こうした住宅・工務店業務に合わせた管理を行いやすいシステムです。
大規模なERPを導入するほどではないものの、Excelでの顧客管理、見積、工事台帳、原価管理を改善したい場合は、このタイプのシステムがおすすめです。
現場・短期工事・保守連携型
現場で働く担当者や協力会社との情報共有を重視する場合は、現場での入力・進捗確認を起点として業務をつなぐタイプが有力候補になります。
たとえばANDPADは、施工現場や協力会社を含めて利用者を広げ、現場情報と工事の粗利管理などをつなげたい企業に向いています。プロワンは、設備工事、リフォーム、保守など、比較的短い期間で複数の案件を進める事業に適した構成になっています。
大規模な基幹システムの刷新よりも、まず現場を中心とした案件進行や情報共有を改善したい場合は、このタイプから見るとよいでしょう。
プロジェクト原価・収支管理型
このタイプのERPシステムは「会社全体のERPを入れ替えたい」というより、まず工事・プロジェクトごとの採算を正確かつ早く把握したい企業に向いています。
プロカンは、案件ごとの売上・原価に加えて担当者の工数もひも付けられるため、人件費を含めたプロジェクト収支を確認したい企業に向いています。ガリバー匠は、小規模な建設・工事会社が工事原価と建設業会計をクラウド上で整えたい場合に検討しやすいシステムです。
工事が終わってから利益を確認するのではなく、進行中から原価や収支の変化を把握できる体制をつくりたい企業は、このタイプを中心に比較してみましょう。
機能の対応状況で選ぶ建設業向けERP
以下の対応状況は、各システム提供会社の公式サイトで公開されている情報をもとに整理しています。
標準機能として明記されているものは「標準対応」、オプション・追加モジュール・別製品・外部連携などを前提とするものは「オプション」、一部の機能のみ確認できたものは「一部対応」としています。
公式サイトで対応範囲を確認できなかった項目は「不明」と記載していますが、非対応を意味するものではありません。導入前には、自社で必要な機能が標準・追加構成のどちらに含まれるかをご確認ください。
| システム | 主要機能の対応状況 |
|---|---|
| PROACTIVE | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:標準対応 |
| 大規模工事やJV案件で必要になる出資比率、立替金・預り金、原価・売上配分、構成会社間の精算まで管理できます。営業からアフター対応まで含め、全社基幹業務を刷新したい中堅〜大手建設会社に向いています。 | |
| ANDPAD | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:標準対応 |
| 現場の施工管理に加え、引合粗利管理で見込み案件・実行予算・受発注・請求までをつなげられます。施工情報と経営側の粗利情報を同じ基盤で確認したい企業に向いています。建設業会計やJVの対応範囲は導入前の確認が必要です。 | |
| PROCES.S | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 積算データを実行予算へ取り込み、予算から注文書を作成できます。現場の出来高データを会計仕訳へ連動できるため、建設会計や現場経理を標準化したい中堅〜大規模企業に向いています。 | |
| 建設WAO | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:標準対応 |
| 本社と現場で予算・原価・注文・支払を共有し、販売在庫を工事原価へ振り替えられます。建設工事だけでなく、建材販売や在庫管理も扱う企業に適しています。 | |
| アイピア | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 見積時の原価を実行予算へ取り込み、発注後の原価変動や粗利を確認できます。小規模工事や契約前の先行発注にも対応しやすく、工務店・リフォーム会社の業務をまとめたい場合に向いています。 | |
| HUE C2 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 受注高・実行予算・発生原価から、今後の発注見込や最終原価の着地を確認できます。JVではスポンサー・サブ双方の業績を分けて管理できるため、大規模案件や複数拠点を抱えるゼネコン向けです。 | |
| GRANDIT | 工事原価・実行予算:オプション 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 販売・会計・調達・在庫を含む全社ERPを基盤に、設備工事向けのプロジェクト原価管理を追加できます。建設業務だけでなく、人事・販売・在庫まで統合したい企業に向いています。JV対応の有無は構成確認が必要です。 | |
| e2movE | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:オプション 現場・販売・在庫:オプション |
| 工種別の実行予算と原価実績を比較し、原価計上から支払管理までつなげられます。建設業のほか建材販売も行い、工事と販売の収支をまとめて管理したい企業に適しています。JV管理はオプションです。 | |
| ガリバー匠 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 工事別の原価予実から利益予想まで確認でき、共通原価の配賦やJVのプール方式にも対応します。小規模な建設・工事業で財務会計と原価管理をまとめたい企業向けですが、匠では販売・資機材機能に制限があります。 | |
| プロワン | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:標準対応 |
| 見積・発注・原価・請求をつなげ、合算・分割・出来高請求にも対応できます。設備工事、リフォーム、ビルメンテナンスなど、短期〜中期工事を多く扱う現場サービス業に向いています。 | |
| imforce Arch | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 工種別の見込原価や月次の着地見込を確認し、会計・経費・工事情報を統合できます。複数事業を展開する建設会社や、業務統制・内部統制も含めて基幹システムを整えたい企業に向いています。 | |
| OBIC7 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 材料費・外注費・社内労務費・経費などを案件に集約し、出来高請求や保留金など建設業特有の債権債務も管理できます。会計を中心に、現場・購買・人事まで全社の経営情報を統合したい企業向けです。 | |
| SMILE V | 工事原価・実行予算:オプション 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:オプション |
| 見積データをプロジェクト別予算へ取り込み、発注・支払・請求・原価を管理できます。必要な業務から段階的に導入したい企業に向いていますが、利用する機能によって追加オプションが必要です。 | |
| プロカン | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 案件別の売上・原価・工数を集計し、取引先・部署・担当者別の収支をダッシュボードで確認できます。工数管理と案件収支を重視する設備工事・制作・プロジェクト型事業に向いています。 | |
| AnyONE | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:一部対応 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 顧客・物件・見積・契約・工程・実行予算・発注・支払・住宅履歴を一元管理できます。Excelに近い操作感で、工務店やリフォーム会社の営業・現場・アフター業務をまとめたい場合に適しています。 | |
| EAST2 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:不明 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 発生時点で原価を入力し、プロジェクト単位の予実や経営指標を確認する管理会計型のERPです。中堅・中小企業で、まず原価管理から始めて段階的に業務範囲を広げたい場合に向いています。 | |
| InfiniOne ERP | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:標準対応 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:標準対応 |
| 建材販売・工事・保守をまたぐ複合業態に対応し、建設業会計や未成工事・完成工事の振替も管理できます。建材卸と工事、保守サービスを同時に行う企業に適しています。 | |
| EXPLANNER/C | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:標準対応 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 工事管理パッケージとして実行予算・着地原価を追跡し、JV工事会計・工事進行基準にも対応します。会計欄の「オプション」は財務会計システムとの連携構成を指します。資材在庫管理の範囲は公式ホームページでは確認できません。JVの構成会社間精算など、自社の処理手順まで確認しましょう。 | |
| どっと原価 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:オプション 現場・販売・在庫:オプション |
| どっと原価3のスタンダードプランを基準に整理しています。受注・実行予算・仕入・売上入金などは基本機能ですが、支払処理、会計連動、日報・現場連携などは追加オプションです。JV管理と工事進行基準はスタンダード/エキスパートのオプションで、ライトは対象外です。在庫業務が必要な場合は、対象とする資材と管理範囲の確認が必要です。 | |
| 注文分譲クラウドDX | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:一部対応 JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:一部対応 |
| 住宅営業と物件単位の収支管理をつなげる構成で、分譲では土地仕入れ・区画・販売価格の検討にも利用できます。請求・入金や支払査定は扱えますが、財務会計は連携先の個別確認が必要です。現場共有は別製品の現場Plusとの連携を検討します。公開された機能説明ではJV・工事進行基準と一般的な資材在庫管理の対応範囲を確認できませんでした。 | |
| 勘定奉行クラウド[建設業編] | 工事原価・実行予算:一部対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:不明 現場・販売・在庫:不明 |
| 工事現場別の原価集計と財務会計に軸足を置く製品です。原価欄の「一部対応」は、実行予算の作成・承認までの対応範囲がHP公開情報で確認できないためです。財務会計は標準機能ですが、支払管理は別製品の債務奉行との組み合わせとなります。JV・工事進行基準、現場アプリ・販売在庫の対応範囲は公開情報では不明です。 | |
| Galileopt DX 工事大将 | 工事原価・実行予算:標準対応 建設業会計・請求・支払:オプション JV・出来高・進行基準:一部対応 現場・販売・在庫:オプション |
| 工事大将モジュールを導入した構成が前提です。工事の支払条件や安全協力会費の控除に対応し、出面・損料・資材はオプションです。財務会計や販売は他のモジュールを組み合わせます。「一部対応」は工事進行基準・原価回収基準の対応が確認できる一方、同モジュールの説明ではJV管理の範囲を確認できなかったためです。 |
建設業向けERPシステム(基幹システム)おすすめ22選を比較
【完全ガイド】建設業向けERP(基幹システム)の選び方

建設業向けERPを選ぶときは、製品ページに並んでいる機能を順番に見比べるだけでは、自社に合うシステムを判断しにくいものです。同じ「原価管理」「工事管理」「会計連携」という名称でも、管理できる範囲や実際の業務フロー、標準機能でできることは製品によって異なります。
そこで、ERP選定では「機能が多い製品を探す」のではなく、自社の要件を整理し、候補を絞り、実際の業務を想定して確認したうえで、費用や導入リスクまで含めて比較するという順番で進めることが重要です。
ここでは、建設業向けERPを選ぶ流れを次の8ステップに分けて紹介していきます。
| ステップ | やること | 選定時のゴール |
|---|---|---|
| STEP1 | ERP導入で実現したい状態を決める | 何を改善するための導入なのかを明確にする |
| STEP2 | 要件を「必須・希望・不要」に分ける | 製品選定の判断基準をつくる |
| STEP3 | 企業規模・提供形態・対応領域で候補を絞る | 比較対象を3~5製品程度にする |
| STEP4 | 1件の工事を最初から最後まで追って比較する | 業務とデータが途中で分断されないか確認する |
| STEP5 | 実際の利用者がデモを確認する | 現場・事務・経理で無理なく使えるか判断する |
| STEP6 | 標準機能・連携・カスタマイズの境界を確認する | 追加開発に頼りすぎない構成にする |
| STEP7 | 導入後まで含めた総費用と運用条件を比較する | 長期的なコストと運用負担を把握する |
| STEP8 | 評価表を使って候補を最終比較する | 担当者の印象ではなく共通基準で決定する |
STEP1:ERP導入で実現したい状態を決める
最初に決めたいのは、導入するERPの製品名ではなく、ERP導入後にどのような状態を実現したいのかです。
たとえば「工事原価管理を効率化したい」だけでは、必要な機能を絞り込めません。下記のように、現在の問題と導入後の状態をセットで定義します。
- 「完工するまで分からない工事利益を月中でも確認できるようにしたい」
- 「現場から届いた原価情報を経理が再入力する作業をなくしたい」
- 「支店ごとに異なる工事台帳を統一したい」
比較を始める前に、経営層・現場・工事部門・経理などで「ERPを入れて何を変えたいのか」を共有しておきましょう。選定のゴールが明確であれば、知名度や機能数ではなく、自社の課題を解決できるかという基準で製品を比較できます。
STEP2:必要な要件を「必須・希望・不要」の3段階に分ける
次に、ERPに求める要件に優先順位を付けます。ERP・基幹システムに対するすべての期待・要望を必須条件にすると候補製品が極端に少なくなり、カスタマイズが増える原因にもなります。
| 優先度 | 考え方 | 例 |
|---|---|---|
| 必須(Must) | 対応していなければ候補から外す条件 | 工事別原価管理、必要な会計処理、JV管理、既存会計システムとの連携など |
| 希望(Want) | あると便利だが、代替手段も検討できる条件 | スマホ入力、独自帳票、ダッシュボード、細かな承認設定など |
| 不要 | 自社では利用する予定がない機能 | 在庫管理、人事給与、アフター管理など自社の業務範囲外の機能 |
特に重要なのは、「あれば便利」と「なければ業務が成立しない」を分けることです。営業部門、現場、経理、経営層から要望を集めると、すべてが必須要件になりがちです。
まず必須条件で候補を絞り、その後に希望条件で比較すると、必要以上に高機能なERPや追加開発の多い構成を選びにくくなります。
STEP3:企業規模・提供形態・対応領域から3~5製品に絞る
要件が整理できたら、すべてのERPへ問い合わせるのではなく、比較表を使って候補を絞ります。
最初の絞り込みでは、細かな機能よりも以下の3点を見ると効率的です。
- 企業規模の目安:自社と近い規模・業態で利用を想定した製品か
- 提供形態:クラウド・オンプレミスなど自社のシステム方針に合っているか
- 対応領域:工事・原価だけなのか、営業・会計・販売・人事まで含めて管理できるのか
この段階では1製品に決める必要はありません。必須条件を満たす可能性が高いERPを3~5製品程度残し、詳細資料やデモで比較すると、選定を進めやすくなります。
STEP4:1件の工事を最初から最後まで追って機能を確認する
候補を絞った後は、「原価管理あり」「請求管理あり」といった機能表だけで比較しないことが重要です。
建設業では、一つの工事の中で引合、見積、受注、発注、施工、請求、会計など、複数の業務が連続して発生します。そのため、各機能が搭載されていても、機能同士のデータがつながらなければ、途中でExcelへの転記や別システムへの再入力が残る可能性があります。
デモや商談では、たとえば次のように実際の1案件を想定してデータの流れを確認します。
- 見積の情報を受注後の実行予算へ引き継げるか
- 発注・仕入・経費が工事原価へどのタイミングで反映されるか
- 追加工事や契約変更が発生した場合に履歴を残せるか
- 請求・入金・支払情報と工事別収支がつながっているか
- 工事情報を会計へ渡す際に再入力やExcel加工が必要にならないか
ERP比較では「必要な機能があるか」だけでなく、「一度入力した情報が次の業務へどう引き継がれるか」を見ることが重要です。
STEP5:現場の担当者による操作チェック
機能面で候補を絞り込んだあとは、実際の画面や操作方法を確認します。「優れた操作性」を謳っているシステムは多いですが、この分野は実際に使ってみないとわからないとこごら多く、企業や担当者によって「使いやすい」と感じるシステムも異なります。情報システム部門や管理職だけで判断せず、日常的にシステムを使う担当者にも参加してもらうことが重要です。
デモでは、次のような点を実際に操作しながら確認しましょう。
- 日常的に行う入力を少ない操作で完了できるか
- 必要な工事や帳票をすぐに検索できるか
- 入力必須項目が多すぎないか
- 担当者ごとに必要な情報だけを表示できるか
- スマートフォンやタブレットを使う場合、現場でも操作しやすいか
- エラーや入力漏れが起きたときに原因を判断しやすいか
機能が豊富でも、入力が複雑で現場に定着しなければ正しいデータは集まりません。「操作できるか」ではなく「毎日の業務として無理なく続けられるか」という視点で確認しましょう。
STEP6:標準機能・外部連携・カスタマイズの有無を確認する
デモで「できます」と説明された機能については、どの方法で実現するのかまで確認します。ERPでは、同じ「対応可能」でも、標準機能で使える場合と、設定変更・外部システム連携・個別開発が必要な場合では、導入負担が異なります。
| 実現方法 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 標準機能 | 契約するプランに含まれており、そのまま利用できるか |
| 設定・オプション | 追加料金や設定作業が必要か、利用条件があるか |
| 外部システム連携 | 標準連携か個別連携か、連携頻度や受け渡せるデータは何か |
| カスタマイズ | 追加開発費だけでなく、バージョンアップ時の影響や将来の保守方法まで確認できているか |
特に独自帳票や特殊な承認フローなど、現在の業務をそのままERPへ再現しようとすると追加開発が増えやすくなります。
「システムを現在の業務へ合わせる部分」と「ERPの標準機能に合わせて業務を変える部分」を分けて考えることが、導入後の運用を複雑にしすぎないポイントです。
法制度・法改正対応を確認する
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は、請求書の作成機能があるだけでは判断できません。発行・受領・保存を自社の業務に沿って確認し、ERPで扱う範囲と外部サービスに任せる範囲を整理しましょう。
インボイス制度 登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額など、適格請求書に必要な事項を出力できるか確認します。協力会社から受領する請求書についても、登録番号の管理や会計処理までの流れを確認しましょう。
電子帳簿保存法
メールやEDIなどで授受する請求書・注文書等の電子取引データを、必要な要件に沿って保存できるか確認します。日付・金額・取引先による検索、訂正・削除履歴などの改ざん防止措置、画面表示・出力への対応が比較のポイントです。保存要件には例外や緩和措置もあるため、自社に適用される条件を確認してください。
契約範囲と法改正時の費用
対応機能が標準かオプションか、別の保存サービスとの契約が必要か、法改正時の更新・帳票修正が保守料金に含まれるかを比較します。
電子取引データの保存と、紙の書類を電子化するスキャナ保存は別の仕組みです。システムの導入だけで対応が完了すると考えず、保存対象、担当者、確認手順まで決めておきましょう。
【参考元】
・国税庁「適格請求書等の記載事項」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6625.htm)
・国税庁「電子取引データ保存要件チェックシート」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0024011-003_02.pdf)
STEP7:導入後3~5年の総費用と運用条件まで比較する
料金を比較するときは、月額利用料やライセンス価格だけでは判断できません。候補各社にはできるだけ同じ条件を伝え、見積もりに含まれる範囲をそろえて比較します。
確認したいのは、ライセンスや月額利用料に加え、初期設定、データ移行、操作研修、外部システム連携、追加開発、保守、ユーザー追加などを含めた費用です。
また、金額以外にも次の条件を確認しておきましょう。
- ユーザーや拠点を増やした場合の料金体系
- 契約期間や解約時の条件
- データをCSVなどで取り出せるか
- システム変更時にデータを移行しやすいか
- バージョンアップや法改正対応が料金に含まれるか
- 問い合わせ窓口やサポート時間
初年度の導入費だけでなく、3~5年間利用した場合の総費用と社内の運用負担まで並べると、製品間の違いを判断しやすくなります。
STEP8:評価表で候補ERPを採点する
最終候補が2~3製品になったら、担当者の印象だけで決定せず、評価項目と配点を決めて比較します。以下はあくまでも配点の一例です。自社で重要度の高い項目に合わせて比重を調整してください。
| 評価項目 | 配点例 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 必須要件への適合 | 30点 | Must要件を標準機能中心で満たせるか |
| 業務フローとの適合 | 20点 | 見積から原価・請求・会計までデータがつながるか |
| 操作性 | 10点 | 現場・事務・経理が継続して利用できるか |
| 連携・拡張性 | 10点 | 既存システムとの連携や将来の機能追加に対応できるか |
| 導入・サポート体制 | 10点 | データ移行、教育、運用定着まで支援を受けられるか |
| 総費用 | 10点 | 初期費用だけでなく中長期の運用費まで妥当か |
| 運用継続性・データ管理 | 10点 | 権限管理、データ出力、障害対応、契約終了時のデータ取り扱いなどに問題がないか |
たとえば「安い」という理由だけで加点したり、「営業担当者の説明が分かりやすかった」という印象だけで選んだりすると、製品本来の適合度を比較しにくくなります。選定基準と配点を先に決め、すべての候補ERPを同じ条件で評価することで、自社に必要なシステムを客観的に選びやすくなります。
建設業向けERP(基幹システム)を目的別に比較するポイント
「システムタイプ」で大まかに絞ったあとには、想定している使用目的をもとに候補に挙がっているシステムをさらに絞り込むことが必要です。現場の情報共有を整えたいのか、工事ごとの原価や利益を見たいのか、会計や請求までまとめたいのかによって、選ぶべきシステムは変わります。
「自社がどの業務で困っているのか」の観点から候補を整理して比較すると、必要な機能や確認すべきポイントが見えやすくなります。
| 目的 | よくある困りごと | 確認したい機能・対応範囲 | 向いているサービスの傾向 |
|---|---|---|---|
| 工事ごとの原価や利益を早く見たい | 工事が終わるまで利益が見えにくい。材料費や外注費が増えても、気づくのが遅れやすい。 | 工事原価管理、実行予算管理、発注・支払管理、請求・入金管理、会計連携 | 工事ごとのお金の流れを、見積から会計までつなげて管理できるERP |
| 現場と事務・経理の情報をつなげたい | 現場、事務、経理で見ている情報が分かれており、同じ工事でも数字や進み具合の認識がズレやすい。 | 案件管理、工事台帳、ワークフロー、承認管理、現場入力、システム連携 | 現場で発生した情報を、原価・請求・会計までつなげやすいシステム |
| 現場の連絡や施工管理を整えたい | 図面、写真、日報、工程、チャットなどがバラバラで、現場との確認に時間がかかる。 | 写真管理、図面管理、工程管理、日報、チャット、協力会社との情報共有 | 現場管理や施工管理に強いクラウド型サービス |
| 会計や請求までまとめて管理したい | 見積、発注、請求、入金、会計が別々に動いており、二重入力や転記が発生しやすい。 | 会計連携、財務管理、請求管理、入金管理、支払管理、建設業会計への対応 | 基幹業務や会計処理まで広く対応するERP |
| JVや複雑な承認を管理したい | 共同企業体での工事や、見積・発注・支払いの承認が複雑で、確認や精算に手間がかかる。 | JV管理、承認ワークフロー、契約管理、精算処理、権限管理 | 建設業特有の会計処理や複雑な承認に対応できるERP |
| 建材販売や設備工事も一緒に管理したい | 販売管理と工事管理が分かれており、在庫、受発注、工事原価をまとめて見にくい。 | 販売管理、在庫管理、受発注管理、工事原価管理、建設会計 | 販売管理と工事管理の両方に対応できるシステム |
このように、建設業向けERPは「有名なサービスかどうか」だけで選ぶのではなく、自社がどの業務を整えたいのかに合わせて比較することが大切です。次の一覧表では、各サービスの特徴を確認しながら、自社の目的に近いものを探してみてください。
建設業向けERP(基幹システム)と周辺システムの違い
ERPは、工事情報と会計・販売などの基幹業務を横断して管理するための選択肢です。現場の写真・図面・日報の共有が中心なら施工管理アプリ、経理処理が中心なら建設業向け会計ソフト、工事別の予算・実績の把握が中心なら工事原価管理システムも候補になります。
工事管理システムは製品によって対応範囲が広く、ERPと機能が重なる場合もあります。名称だけで判断せず、既存システムを残した場合の連携範囲も確認しましょう。
各システムの役割と使い分けは、建設業ERP・施工管理システム・会計ソフトの違いで詳しく解説しています。
建設業向けERP(基幹システム)が向いている会社・向いていない会社
建設業向けERPは、すべての会社に必ず必要なシステムではありません。工事に関わる情報をどこまでまとめたいのか、どの業務で困っているのかによって、ERPが合う場合もあれば、工事管理システムや会計ソフトから検討した方がよい場合もあります。
建設業向けERPが向いている会社
ERPが向いているのは、見積、発注、原価、請求、入金、会計などが別々に管理され、工事ごとの利益や進み具合が見えにくくなっている会社です。現場、事務、経理で情報が分かれており、確認や転記に時間がかかっている場合も候補になります。
また、担当者ごとのExcelや紙の台帳が増え、引き継ぎや全体把握が難しくなっている会社にも向いています。工事ごとの数字を会社全体で見られるようにしたい、部署ごとの個別管理を減らしたい。こうした課題がある場合は、ERPを検討しやすい状況です。
別のシステムから検討してもよい会社
一方で、現場写真の共有や日報管理だけを整えたい場合は、施工管理アプリや工事管理システムの方が合うことがあります。経理処理や工事別の会計だけを整えたい場合は、建設業向け会計ソフトや原価管理システムから検討してもよいでしょう。
ERPを選ぶかどうかは、会社の大きさではなく、困りごとの範囲で判断することが大切です。現場だけ、会計だけの課題なのか、工事に関わる業務全体をつなげたいのかを先に整理しましょう。
建設業の課題とERP導入が求められる背景
建設業では、限られた人員での業務運営、変動する労務費、現場と管理部門の情報共有などに対応する必要があります。工事・原価・会計の情報をつなぐERPは、こうした課題に対して管理業務を見直す際の選択肢です。
就業者数の減少と管理業務の省力化
総務省の労働力調査によると、建設業の就業者数は2015年の503万人から2025年の478万人へ減少しています。2025年は前年から1万人増えたものの、10年前より25万人少ない水準です。
人員の確保とあわせて、業務を少ない負担で回す体制づくりも重要になります。見積・発注・請求の情報を別々に入力し、集計のたびに確認する運用では、担当者の負担が増えやすくなります。ERPを活用する目的は、こうした転記や確認の重複を減らし、入力済みの情報を他部門でも使える状態を整えることです。
出典:総務省「労働力調査(基本集計)2025年平均結果の概要」(p.10、表Ⅰ-8「主な産業別就業者数・雇用者数の推移」)
労務単価の上昇と工事別の採算管理
2026年3月から適用する公共工事設計労務単価は、全国全職種の単純平均で前年度比4.5%引き上げられ、14年連続の上昇となりました。
労務費などの原価が変動する状況では、受注額だけでは工事の採算を判断しにくくなります。見積時の単価や実行予算に対して、工事中にどれだけ費用が発生しているかを把握する必要があります。ERPによる工事別の予算・原価・発注・支払の連携は、採算の変化を捉えるための管理基盤として検討できます。
出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(2026年2月17日公表)
データ標準化の難しさと部門間の情報共有
IPAの「DX動向2026」では、データ整備・管理・流通の課題として、「データの標準化が難しい」が36.8%、「管理システムが整備されていない」が32.6%でした。これは建設業に限定しない企業調査ですが、情報管理の課題を考えるうえで参考になる結果です。
工事番号、取引先、原価の費目などが部署ごとに異なると、データを集めても照合や整理が必要になります。ERPの導入を機に管理項目と入力ルールを揃え、現場・事務・経理で同じ情報を共有することが、部門ごとの個別管理を見直す出発点になります。
出典:IPA「DX動向2026」(p.49、図表3-30「データ整備・管理・流通の課題」、回答数1,781)
建設業向けERP(基幹システム)を導入するメリット
- 工事別の採算把握:原価や請求の情報をつなぎ、工事中の収支を確認しやすくする
- 二重入力の削減:見積・発注・支払・会計の間の転記や照合作業を減らす
- 部門間の情報共有:現場・事務・経理の個別管理を減らし、引き継ぎをしやすくする
- 承認・権限管理の整備:申請・承認の流れと履歴を残し、確認漏れを減らす
効果を得るには、必要な機能を選ぶだけでなく、入力ルールや部門間の連携も整えることが大切です。改善を目指す業務を先に決め、製品の対応範囲を確認しましょう。
具体的な活用方法は、建設業ERPの導入メリット・失敗例・導入手順で詳しく解説しています。
建設業向けERP(基幹システム)の導入形態
建設業向けERPの導入形態には大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」があります。
クラウド型はインターネット経由で利用し、サーバー管理の負担を抑えやすい形式です。オンプレミス型は自社で用意したサーバーや環境に構築し、自社の運用ルールに合わせたい場合に検討されます。既存の会計・積算・勤怠ソフトを残し、ERPと連携して段階的に導入する方法もあります。
現場からの利用、社内の管理体制、既存システムとの連携を踏まえて選びましょう。費用と運用負担の違いは、建設業ERPのクラウド・オンプレミス比較と費用で確認できます。
建設業向けERP(基幹システム)の主な機能
建設業向けERPには、工事に関わる情報をまとめて管理するための機能が用意されています。すべてのサービスに同じ機能があるわけではありませんが、よく見られるのは、原価管理、見積・実行予算管理、発注・支払管理、請求・入金管理、会計、営業・案件管理、工事管理、JV管理などです。工事ごとのお金と進み具合を追うための機能群。
工事原価管理
工事ごとの予算と実際にかかった費用を管理する機能です。材料費、外注費、人件費、経費などを工事単位で確認できるようにします。原価が予定より増えていないか、利益がどれくらい残りそうかを把握するために重要です。完工後ではなく、工事中に状況を見たい会社に必要な機能です。
見積・実行予算管理
見積内容や受注後の実行予算を管理する機能です。見積で出した金額と、実際に工事を進めるための予算をつなげることで、後から原価との差を確認しやすくなります。追加工事や変更が多い会社では、見積と予算の管理が利益に直結します。
発注・支払管理
協力会社や仕入先への発注、支払い予定、支払実績を管理する機能です。誰に、何を、いくらで依頼したのかを工事ごとに整理できます。発注内容と支払い状況をつなげて見られるため、確認漏れや二重入力を減らしやすくなります。
請求・入金管理
発注者への請求や入金状況を管理する機能です。工事の進み具合に応じた請求、追加工事分の請求、入金予定の確認などに使われます。現場で発生した追加作業が請求に反映されていない、といった取りこぼしを防ぐためにも大切です。
会計・財務管理
工事ごとの原価や売上を会計情報とつなげて管理する機能です。月次決算や工事別収支の確認、資金繰りの把握に役立ちます。建設業では、工事の期間が長くなることもあるため、進行中の工事を含めて数字を見られる仕組みが求められます。
営業・案件管理
引合、見積、受注予定、工期、受注確度などを管理する機能です。受注前の段階から案件情報を整理できるため、将来の売上見込みや人員計画を考えやすくなります。営業情報と工事情報が分かれている会社に役立つ機能です。
工事管理・進捗管理
工事の進み具合や予定、現場からの報告を管理する機能です。現場と事務所で同じ情報を見られるようになると、確認の行き違いを減らしやすくなります。日報や写真、進捗の共有まで対応するサービスもあります。
JV管理
JV管理は、複数の会社が共同で工事を行う場合に使う機能です。出資比率、共通費、精算、売上や原価の分配などを管理します。大規模工事や共同企業体での工事が多い会社では、対応有無を確認したい機能です。
建設業向けERPを比較するときは、機能の数だけでなく、自社の工事や管理方法に必要な機能がそろっているかを見ることが大切です。原価を見たいのか、現場情報をつなげたいのか、会計まで一体で管理したいのか。目的によって、重視すべき機能は変わります。
建設業向けERP(基幹システム)の料金・費用相場
建設業向けERPの料金は、利用する機能やユーザー数、導入形態、データ移行やカスタマイズの有無によって異なります。顧客・見積・工事原価など一部の業務から利用するクラウド型システムと、会計・販売・購買・人事やJV管理まで全社の基幹業務を統合するERPでは、必要な予算が大きく変わってきます。
| 導入形態 | 主な費用の目安 | 費用が発生する項目 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| クラウド型 | 初期費用無料~個別見積もり ユーザーライセンス:月額1,000円~1万円程度/人(目安) | 基本利用料、ユーザー追加、初期設定、データ移行、導入支援、オプション機能、外部連携 | 初期投資を抑えたい企業、必要な業務から段階的に導入したい企業 |
| オンプレミス型 | ライセンスや構築費を含め、数百万円~数千万円規模 | ライセンス、サーバー・ネットワーク、システム構築、カスタマイズ、データ移行、研修、保守 | 独自の業務要件が多い企業、大規模組織、既存システムとの複雑な連携が必要な企業 |
上記は一般的な目安です。クラウド型でも、利用者が多い場合や、会計・人事・販売・工事管理など複数領域を利用する場合は、月額費用が高くなります。一方、オンプレミス型でも、標準機能を中心に構築するか、大規模な追加開発を行うかによって導入費用は大きく変わります。
クラウド型ERPの費用
クラウド型は初期費用を抑えやすく、基本利用料とユーザー数に応じた月額料金を支払う形が一般的です。
ただし、「初期費用無料」と記載されているサービスでも、初期設定、既存データの移行、帳票作成、操作説明などは別料金になることがあります。また、工事原価管理、工程管理、ワークフロー、会計連携などがオプションとして提供されている場合は、利用範囲を広げるほど月額費用も増えます。
小規模な工務店やリフォーム会社向けのサービスには、月額数万円から利用できるものもあります。複数拠点や多数の従業員が利用し、工事管理から会計まで統合するERPでは、価格が公開されず、要件に応じて個別見積もりとしている製品が多く見られます。
オンプレミス型ERPの費用
オンプレミス型ではライセンスに加えて、サーバー、ネットワーク、環境構築、導入支援などの初期費用が必要になるため、導入時の負担が大きくなる傾向があります。
自社独自の承認フローや帳票、原価計算などをシステムに合わせて調整する場合は、カスタマイズ費用も発生します。小規模な機能追加であれば数万円から対応できるケースもありますが、基幹システム全体に関わる開発では、数百万円以上の追加費用がかかることもあります。
導入後には、保守契約、サーバーの更新、障害対応、法改正に伴う改修などの費用も見込んでおく必要があります。初期費用だけでなく、5年程度利用した場合の総保有コストでクラウド型と比較すると判断しやすくなります。
建設業ERPの料金を左右する項目
建設業向けERPの見積金額は、主に次の条件によって変わります。
- 利用するユーザー数と拠点数
- 工事管理、原価管理、会計、人事、販売などの利用範囲
- JV管理や出来高請求など、建設業特有の機能の有無
- 既存の会計・積算・勤怠・施工管理システムとの連携
- 顧客、工事、取引先、会計情報などのデータ移行量
- 帳票、承認フロー、入力項目などのカスタマイズ
- 操作研修や導入後のサポート範囲
特に注意したいのが、既存システムとの連携とカスタマイズです。現在の業務をそのまま再現しようとすると、追加開発が増えて導入費用が膨らむ可能性があります。ERPの標準機能に合わせて業務フローを見直せれば、開発費用や将来の保守負担を抑えやすくなります。
建設業向けERP(基幹システム)の導入が難しくなりやすい理由
- 工事ごとの条件の違い:契約・工期・請求方法によって、必要な処理が変わる
- 現場と管理部門の認識の違い:入力項目や締切が実務に合わないと、現場の負担が増える
- 既存のExcel・紙との二重管理:ERPに集約する情報が決まっていないと、従来の台帳が残る
- 関係者間の調整:複数部門や協力会社で、入力・確認・承認の役割をそろえる必要がある
導入前に例外処理、入力担当、移行対象を整理し、実際の工事を使って運用を確認することが重要です。製品選定と並行して、社内のルールも見直しましょう。
失敗を防ぐ進め方は、建設業ERPの導入で起こり得る失敗例と対策・導入手順を参考にしてください。
建設業向けERP(基幹システム)に関するよくある質問
Q1. 建設業向けERPと工事管理システムは何が違いますか?
工事管理システムは、現場の工程、日報、写真、進捗などを管理することに強いシステムです。一方、建設業向けERPは、見積、実行予算、発注、原価、請求、入金、会計など、工事に関わる業務を広く管理します。
現場の情報共有を中心に整えたい場合は工事管理システム、工事ごとの利益や会社全体の業務まで見たい場合はERPが候補になります。
Q2. 建設業向けERPの導入にはどれくらい時間がかかりますか?
導入期間は、サービスの種類や導入範囲によって変わります。原価管理や会計まわりだけを整える場合と、営業、発注、請求、会計まで広く入れ替える場合では、必要な準備期間が異なります。
比較するときは、初期設定、データ移行、社内説明、運用テスト、導入後のサポートまで含めて確認すると安心です。導入期間だけでなく、社内に定着するまでの流れを見ておきましょう。
Q3. 中小規模の建設会社でもERPは必要ですか?
会社の規模だけで判断する必要はありません。工事ごとの原価や利益が見えにくい、Excelや紙の管理が増えている、特定の担当者に業務が偏っている場合は、中小規模でもERPを検討する価値があります。
一方で、写真共有だけ、日報管理だけ、会計処理だけを整えたい場合は、ERP以外のシステムから検討してもよいでしょう。大切なのは、会社の大きさよりも困りごとの範囲です。
Q4. 既存の会計ソフトや積算ソフトと連携できますか?
連携できるかどうかは、サービスによって異なります。会計ソフト、積算ソフト、勤怠システム、販売管理システムなど、今使っている仕組みを残したい場合は、事前に連携可否を確認しましょう。
すべてを一度に入れ替える必要があるのか、一部のシステムを残して連携できるのかで、導入負担は変わります。既存システムとの相性確認も、ERP選びで見ておきたいポイントです。
Q5. ERPを導入すればExcel管理はなくせますか?
ERPを導入すると、Excelで管理していた情報をシステムに移せる場合があります。ただし、すべてのExcelをすぐになくせるとは限りません。独自の集計や一時的な確認表など、残るものもあります。
大切なのは、会社として正式に管理すべき情報をERPへ集約することです。担当者ごとのExcelに頼りすぎない運用を作ることで、確認漏れや属人化を減らしやすくなります。
自社に合う建設業向けERPを選び、工事利益を見える化しよう
重視する業務と必要な連携範囲を決め、比較表で候補を絞りましょう。各製品の詳細・導入事例を確認したうえで、デモと同じ条件の見積もりを比較し、自社の運用に合うERPを選ぶことが大切です。
- 免責事項
- 本記事は、2026年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。










